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成長編
決心
しおりを挟む私自身に出来る事は限界がある。
ちょっと冷たいかも知れないかなぁ――とは思ったけど。
その後、茉莉江の事はお父さんとナツさんに任せるとして私は、来る2023年3月4日卒業式までに自分自身の身の振り方を決める事に集中する。
最大の悩みである深大寺虎河との結婚だが、茉莉江の妊娠・中絶問題で険悪になった深大寺家との縁組でも避ける事は出来ない、ってのが悩みに悩んだ末出した私の最終決断。
これについて、お父さんは最後まであまり良い顔はしなかったけど、私が熟考した結論ならと納得してくれた。
それに、結婚後も仕事は続けさせて貰いたい旨を先方(深大寺家)へ提示したら、意外にもあっさりOKの返事を貰えた。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
和泉(成瀬)家・深大寺家、両家合議の結果、結納はせず挙式も簡素に済ませるという事に決まり。
両家顔合わせの食事会を一昨日済ませた。
先輩と私の正式な婚約はまたたく間に学内及びマンションの住人達にまで広まっており、毎日の様に利沙や美波や恵、茉莉江やチョーさんや米国くんから私を気遣うメールが届く。
昨日には結納金代わりの支度金(100万円)が私の銀行口座へ振り込まれ、もう、これで後戻りは出来ないと、腹をくくった。
今日は食事会での会話の流れで、深大寺先輩との初めてのデート。
時間通り、待ち合わせ場所に現れた深大寺先輩はいつも見慣れたビジネススーツとは違って。
ダッフルコート・ジャケット・シャツ・チノパン、ってスマートカジュアル
意外と素敵に見えた。
『おはよう』って、挨拶を交わした時から妙に胸がドキドキし始めた。
それから私達が辿ったデートコースは、ま、ありふれた所ばかりだったけど。
今まで私が接してきた男性は、悲しいかな、ほとんどが寝る事だけが主目的だったので、こんなデートも新鮮味があってたまにはいいかも、と思った。
水平線に沈む夕陽を見るのが目的で、わざわざその時間帯に訪れた横浜みなとみらいの大観覧車は、私達と同じような目的でやって来たカップルでけっこう混み合っていて、ゴンドラ内では2人きりになれなかったけど。
偶然相室になったカップルは、新婚旅行で来日したというドイツ人のご夫婦。
ちょうど、ゴンドラが頂上辺りに差し掛かった時、スマホで自分達のキスシーンを自撮りしていた。
かなり濃厚なフレンチ・キスだったので、向かい側に座った私達は、さすが目のやり場に困った。
(※注! 日本語でフレンチ・キスというと「軽いキス」を示す場合があるが 誤用であり、本来は「深くて濃厚なキス」のことを指す。――
Wikipediaより引用)
先輩、本当は゛夕食も゛と言ってくれたけど、明日の朝早く先約があるのでそれは次回に持ち越し。
私をマンションの玄関まで送ってくれて ――
「それじゃ」
って、立ち去りかけ、また戻ってきて、素早く私にキスして
「今度こそお休み」
と、立ち去った。
(女にはめっぽう手が早いと噂で聞いていた彼が、意外と紳士的だった事に少し驚いた)
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