13 / 41
成長編
嵯峨野書房・城東支社にて
しおりを挟む嵯峨野書房・城東支社は、
1階にエントランスロビーとカフェスペース、
2階~4階が商業施設のテナントエリア、
5階と6階に文芸誌・”フラッ※ュ”や
”フォー※ス””フライ※ー”に代表される写真週刊誌・
”青少年少女向け””女性向け””男性向け”の各まんが誌・
実用書・学校図書の編集部、
7階が営業部・総務部・秘書課・人事課、
8階が図書室及び資料室フロア、
9~14階までが会議室・医務室・従業員食堂&自販機コーナー・談話室・仮眠室・更衣室。
最上階の15階に社長室と専務の部屋、そして秘書室長の部屋がある。
絢音がいる”月刊・カミングアウト”及び”月刊・チェリーボーイ”の編集部は6階フロアにあって、各6卓程の事務机が4個のデスクの島を作っている。
その中心にある応接セットで、編集長・羽柴 禅と向かい合っていた絢音が ――、
「―― ええっ!! うちの会社が乗っ取られるかも知れないんですか?!」
そう驚きの言葉を発すると、近くにいたスタッフ達も一様に驚きの表情を浮かべた。
「う~む……キミ達も知っての通り、我が社の株式は創設当初から非公開だ。一般公開して妙な株主が力を持ったりすると、著書を自由に編集出来なくなる事を恐れての事なんだが。実は今回その対策が裏目に出てしまった」
「――――」
羽柴編集長の説明によれば ――
この”嵯峨野書房”を創設したのは今の和泉社長の妻・ナツさんの曽祖父・和泉 慎之介と
その友人である、桜羽一朗氏・世良和之氏の3名で代々和泉家が代表取締役社長として認められて来たそう。
最初は株の50%を和泉家が、25%ずつを桜羽と世良が保有していた。
そして戦後になって社の民主化が進んで社員にも株を持たせる事になった。
その結果、我が社の持ち株比率は和泉が30%、桜羽・世良の両家が18%ずつ、社員持ち株会が34%となって現在に至っている。
ここで副編集長の金子が補足説明をする。
「―― ところがだ、その18%の株を持つ桜羽家が政商として悪名高い深大寺虎造に全株を譲り渡していた事が判明した」
「「「 え、ええーーっ!!」」」
「あの深大寺に、ですか?!」
「んん。2年前、アメリカの軍事工場絡みの汚職事件で有罪にこそならなかったものの、大物政治家が絡んでいると目される事件では、必ず名前の挙がる限りなく黒い男だ」
「人呼んで ”Mrグレー”ですね」
「金の為ならどんな事でもする人間だ」
「そんな奴に我が社の株が18%も渡っているだなんて……寒気がするわ」
「その通り! しかもだよ、深大寺は世良へも強引に働きかけて、さらに18%の株を買い取ろうとしているんだ」
もし ―― 世良が深大寺に応じたら、
深大寺が36%になって、現在30%の和泉を抜いて筆頭株主になってしまう。
スタッフ達に一際大きい動揺が走った。
36%も株を保有していれば、何人も自分の息がかかった役員を社へ送り込めるし、経営にも口出しが出来る……
予期せぬ爆弾発言に、気持ちは沈み。
今日は金曜日なのでいつもなら就業後は仲の良い同僚達と夜の町に繰り出すのだが。
ほとんどのスタッフが真っ直ぐ自宅へ帰るようだ。
かくゆう絢音も今夜はパーティーのお誘いが来ているのだが、何だが自分だけそんな余興の場へ向かうのは不謹慎な気がして、エレベーターを待ちながら”どうしたもんだか……” 考えあぐねていた。
そこへ、高卒でこの会社へ就職した中学時代の先輩・寺沢 海斗がやって来た。
学生時代の無口・無骨・無愛想って印象とは裏腹。
百戦錬磨の作家先生達に鍛えられた話術とコミ力(コミニュケーション能力)は特筆ものだ。
「おつかれ」
「お疲れさまぁ」
「行くんだろ? 宇佐見のパーティー」
「えー、行くの??」
「って、行かん気ぃだったんか?」
「だって……」
「会社の状況と個人のプライベートは別物じゃん」
「そうは言っても、ねぇ……」
「たまには息抜きせんと長続きしないぞ」
「……それも、そっか――ほんなら、パーティー行こっかな」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる