続・7年目の本気~岐路

川上風花

文字の大きさ
上 下
9 / 26

新たな恋の予感 ②

しおりを挟む

 やっと辿り着いて開けたその部屋は……


「う”わっ! なんじゃこの部屋は……」


 部屋一面がパステルカラー。
 ”ディズニーキャラクター”で
 埋め尽くされている


「へへへ。可愛いでしょ~」


 何気に落ち着かない……。


「う~ ―― あちぃー……」

「水持って来ようか」

「い ―― いらなぁい」


 そう言うと行きかけた俺のシャツを
 掴んだ。

 え ――? なに?

 酔いぼけて無意識にそうしたようだが、
 急なその動作にピシッと、
 俺の理性にヒビが入った音がした。

 赤らんだ頬にかかる前髪を払う。


「ん~、どうしたん?」


 別れて初めて気付いた。

 未だ、キミに惚れてるって事。

 居酒屋にいた時と今とでギャップが
 有り過ぎて、
 見た事ない一面に胸がざわつく。

 顔、意外と豊満な胸、
 引き締まった腹筋……と、
 舐めるよう見下ろしていき ――

 次に止まったソコは
 何か、心なしかショーツの一部分に
 小さいシミが出来ているように見える。

 2人分の体重の乗ったベットがきしむ。

 細い腰に腕を回し寝転んだ和巴を
 抱きしめた。

 ぎゅう――っと力を込める。


「あ、ね、ねぇ……どしたのー? 暑いんだけど」

「かずは……」

「ん?」


 破局の原因はお互いのすれ違い。
 
 そして、こいつを強い女だと
 過信していた俺へ下された天罰。
  

「……きむら、さん?」


 苗字で呼ばれ 
 ”バっ”と体を離しベットから離れ
 膝をついた。


「す、すまん……俺……」


 足蹴りが飛んでくるか? と、
 哀しい習性で体が勝手に身構える。


「もしかして、
 私の事まだ好きだったりする?」

 あんな抱き締め方をしたら、
 そう思われても可怪しくないぐらい
 腰に入っていた腕に残る体の感触。

(あ、ってか、俺のこと覚えてたのか?)

 半身を起こした和巴が俺の顔を覗く。


「??……」


 顔、近っ。

 嘘をついても仕方ない事だった。


「あぁ。惚れてる。でも ――」


 襲おうなんて考えているわけじゃないと
 言いたいのに自分の行動がまるで
 制御出来てない。

 理性なんて性欲の前では無力だ。


「マジ、ごめん……」

「ふ~ん……で、ヤリたいの?」

「……は?」


 和巴からの予想外の言葉に度肝を抜かれ
 視線を上げると、
 あっけらかんとした表情の彼女と
 目が合った。


「ヤリたいの? セッ*ス」

「あ、それはその……」


 今さっきまでぐでんぐでんだった癖に
 視線がはっきりしている。

 酔いが醒めているのか……?

 って言うか、この状況で聞くか?


「あー、まぁ、そうかな」

「へ~ぇ……」


 面白がっているようには見えない。

 なんだろう、この試すような視線。

 気持ち悪いなら、
 もっとガツンと殴るなり蹴るなり
 するだろう。

 和巴はそうゆう女だ。

 じゃあ、これは一体……?

 試しに手を伸ばし和巴の頬に
 触れてみる。

 でもそこはやはり熱くて、
 彼女の酔いは醒めてはいない。

 それから和巴は視線を下ろしたが、
 それは拒否というより……照れている?

 さらさらの髪の毛に触れ
 後頭部を持ちぐっと引き寄せてみた。


「な ――」


 若干驚いたように何か言い、
 それでも抵抗というには弱すぎる。

 下から掬うように唇を合わせると
 一瞬逃げようとしたが離さずに
 強く押し付けた。


「ん……っ」


 熱い ――

 日本酒の強い匂い……でも、
 それよりも甘い和巴の吐息。

 やばい、止まらない。


「ちょ、きむ ――」

「告白出来なかったこと、ずっと後悔してた」


 両腕を抑えつけ上から見下ろす。


「んなにサカらなくても、私は逃げないよ?」


 ふっと微笑み応戦はしないのに
 抵抗もしない。

 今しかないと頭の中で行けという
 サインが出る。

 なんで抵抗しないのかわからない。
 単に酔っ払って何も考えていないだけ
 かもしれない。
 もしそうだとしても
 こんなチャンスを逃す気は毛頭ない。

 それからはもうなりふり構わず
 和巴の体を攻め立てた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛

冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!

狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

羽村美海
恋愛
 古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。  とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。  そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー  住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……? ✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦ ✧天澤美桜•20歳✧ 古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様 ✧九條 尊•30歳✧ 誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭 ✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦ *西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨ ※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。 ※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。 ※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。 ✧ ✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧ ✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧ 【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

変身or変心~今宵も貴方に乱されて

川上風花
恋愛
『―― お前なんか産まなきゃ良かった』  中学の卒業式翌日、置き手紙の1枚も残さず母は姿を消した……

新しい派遣先の上司が私のことを好きすぎた件 他

rpmカンパニー
恋愛
新しい派遣先の上司が私のことを好きすぎた件 新しい派遣先の上司は、いつも私の面倒を見てくれる。でも他の人に言われて挙動の一つ一つを見てみると私のこと好きだよね。というか好きすぎるよね!?そんな状態でお別れになったらどうなるの?(食べられます)(ムーンライトノベルズに投稿したものから一部文言を修正しています) 人には人の考え方がある みんなに怒鳴られて上手くいかない。 仕事が嫌になり始めた時に助けてくれたのは彼だった。 彼と一緒に仕事をこなすうちに大事なことに気づいていく。 受け取り方の違い 奈美は部下に熱心に教育をしていたが、 当の部下から教育内容を全否定される。 ショックを受けてやけ酒を煽っていた時、 昔教えていた後輩がやってきた。 「先輩は愛が重すぎるんですよ」 「先輩の愛は僕一人が受け取ればいいんです」 そう言って唇を奪うと……。

ハイスペ男からの猛烈な求愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペ男からの猛烈な求愛

最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた――― ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。 それは同棲の話が出ていた矢先だった。 凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。 ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。 実は彼、厄介な事に大の女嫌いで―― 元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――

処理中です...