6 / 26
池谷巡査
しおりを挟む新宿警察署・熊野神社前交番。
ちょうど今は日勤から夜勤の引き継ぎの時間帯で、
勤務を終えた警官らは各自荷物を持ち、
いつものように所属の警察署へ向かう。
警察官になって今年で6年目の池谷享巡査は
和巴が高校時代知り合った提携校の先輩男子。
警察学校卒業後は順調に希望する進路を突き進んで
いたが、2年前、当時の上司や先輩が起こした
不祥事の煽りを食らって降格、今はこうして
交番で勤務にあたっている。
交番の戸口から出た所で懐かしい顔に会って
相好を崩す。
「おー、和巴じゃん。久しぶりぃ」
「その節はどうも。……これからちょっと、
時間あります?」
「俺今から本署に戻って着替えてくっから、
まんぷく亭で一緒に飯食おうぜ」
「じゃ、うちここいらで待ってます」
*** *** ***
「―― あー、おばちゃ~ん?
キャベせんおかわりー!」
『あいよー』
「……大河内興行か……」
「知ってます?」
「2年前辺りからこっちにゴリ押しで進出して来てる
関西系暴力団のフロント会社だ」
「じゃ、倉本って男の方は……?」
そこで、店のおばちゃんが池谷が追加注文した
大盛りキャベせん=キャベツの千切りを
持ってきたので、2人の会話はしばし中断。
「はいよー、キャベせんお待ちどー。
それと、これはおばちゃんからの奢りね」
と、2人の皿へ鯵のフライをのっけた。
「うわぁ、おばちゃん最高」
「いつも、ありがとね~」
「いいえぇ、がんばってる若い子見ると、
なんだかこっちも元気もらえるから」
おばちゃんは別の客に呼ばれて行き、
池谷は話しの続きを始める。
「社長の倉本は、元高校教師。
大河内の3代目と幼なじみって奴で、
教師をクビになったあと今の役職に就いたんだが、
組と正式な盃は交わしていない。
でも、組織内では若頭補佐や若中に準ずる扱いを
されているらしい。若頭の津田以上に頭がキレるって
もっぱらの噂だ」
「先生をクビになったのはどうして?」
「未成年に対する強制わいせつ罪。私立の進学校
だったんで、被害にあった生徒と父兄に手を回して
示談に持込み、何とか起訴だけは免れたが、倉本は
警察へ任意同行を求められた時点で懲戒免職処分に
処せられた」
「元、学校の先生ねぇ……子供を手懐ける術は熟知
してるって事かな……」
「なぁ、和巴、気ぃ付けぇよ。ヤクザもんが
若い女の子に近づいてくる時は、絶対良からぬ
下心があるもんや」
「あ、ありがとう、池谷先輩……」
下心……? やっぱり奴の狙いは……。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる