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本章
ねるとんパーティー
しおりを挟む―― と、言うワケで、パーティーの主催会社から
届いた招待メールを見ながら、会場を探す親友・
国枝 あつしと俺。
「……あ、ココやわ、四条大宮第二ビル」
あつしの説明によれば、今夜のパーティーは
いつもと違って ”出逢う気満々”な感じではなく、
”とりあえずはお友達から宜しく” 的なノリの
集まりらしい。
ココはねるとんパーティー主催会社の自社ビルで、
この最上階がパーティー専用フロアになっている
という。
その最上階では、爽やか笑顔の男性スタッフと
女性スタッフがお出迎え~。
『こんにちわ! こちらで受付させて頂きまぁす』
『ご予約の国枝様ですね~。5000円頂きます』
5000円か……けっこう痛い出費。
しかも、そんな出逢いたい訳じゃなく、
友達の付き添いで来た俺にはちと高い。
『では、このバッジに名前を書いて、
なるべく目立つ所につけて下さい』
番号が付いたバッジだ。
初対面な訳やし、名札はいる。
んー。名札なんて中学生以来かも?
名札をつけたら、いよいよ会場内へ潜入!
そこは早くもロマンチックなムードが満天で
全体的に薄暗い。
もうお客さんがけっこう入ってる。
男女大体……20人くらいかな?
てか、強烈な視線を感じる!?
これ、実はパーティー特有の品定め
皆さん基本はヤリ友を見つけようと来てるので、
普通の視線ではない。
狭い店内から無数に来る、
突き刺さるような視線 ――
同姓達はライバルになるので、自分より上か下か
異性は出逢う対象なので、
イケてるか? イケてないか? を、厳しくチェーック
正に弱肉強食の世界
ってか、怖いんですけど……
それと同時に、
男女とも「こんなパーティーに来てる自分」に
羞恥心全開なため、みんなガン見のくせに、
絶対目を合わせない
後から分かった事だけど、
このパーティーは初心者向けなので、
みんな初パーティー
始まるまでは、男女で話すのは厳禁ルール。
スタートを待つ間は、
無言とヒソヒソ話の世界なので、
気まずーい時間が過ぎてゆく……
そうやって待たされるコト、数十分 ――
アゲアゲな音楽にのって司会進行役のスタッフが登場
『ハ~イ、皆さんこんにちわ~♪』
シ~~~~ン
って、効果音が聞こえてきそうなくらい静かな室内。
『あれぇ~? 元気ないなぁ~。
もういっかいやりますよ~。
こんにちわ~!』
異様にハイテンションなスタッフさんに、
参加者全員無理やり付き合わされる感じで、
「「「こっ、こんにちわ~」」」
全然揃ってないし。
『それでは早速ルールを説明させて頂きます! まず、
男性に女性のテーブルを廻って頂いて、女性全員に
ひと言あいさつと握手をして頂きます』
いきなり握手?
時間ないから飛ばさないとダメなのかも
『それが終わりましたら、
ファースト・インプレッション!
気になる人のテーブルに行って話して下さい。
その後、途中投票があります』
投票?
それ、ほとんど100パー顔への投票になる
ような気が……
『その後は、自分が投票した人優先で10分間の
フリートークができます。ちなみに女性が誰に
入れたかは分からないけど、男性が入れたのは、
相手の女性には分かる様になってます』
なるほど
『フリートークの後は、2回目の投票ターイム。
ゆっくり話してみて、良かった人に入れて下さい。
そして最後のフリートークがあって、最終投票。
ここでお互いに投票した人同士が、カップル誕生に
なります。カップルは発表させてもらいます』
大方の説明は終わり、ここからパーティーの本番
スタート。
今回は男女各25人のパーティーだったので、
初めましてー、こんにちわ&握手×25セットを
こなしながら、男女とも気に入った人を探します
まだ挨拶しかしてないので、ここでは外見100%。
しかも、男性は総じて優しいのか?
そんなに差もなく接するけど、
女性の態度ははっきりしています。
それなりのイケメンにはニコニコ・キラキラ笑顔全開
ブサイクには嫌々ビーム
ひどい子は握手を拒否したりする
あんたはそんなにイケてる女なのかっての!
ここで自信のない男性は心が折れて、
実質脱落。
けっぱれ駄メンズ!
約2時間後 ――
さしたる盛り上がりのないままパーティー終了。
男女各25名の参加者中、カップルになれたのは
たったの2組だけだった。
あつし曰く、酷い時はカップルの成立はない
そうだから、2組もカップルが誕生した今日は
いい方だったのかも知れない。
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