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60 新たな職場、第一営業へ
しおりを挟むどの机からも、ひっきりなしに電話のベルが鳴り響き――。
『―― ハイ、第一営業羽田です。あ、お疲れ様ですぅ』
スタッフ間での言葉のやりとりも頻繁で。
『―― ねぇ戸部クン、キミんとこの松岡浩司週末の予定どうなってる?』
これぞ、営業部!って感じの、騒然としたワンフロアーぶち抜きの広々としたオフィス。
そこをざっと見渡し、八木が注略を付け加える。
「手前が第一、奥の方が第二ね。双方の営業部には取りまとめ役の主任がいて……」
丁度、八木の近くを通って自分の席へ行こうとしていたらしい30代前半位の男性スタッフを捕まえ、
「彼が第二のチーフ・西村君。ア、西村君、彼女は今日から入社の和泉君だ。第一に入るから目ぇかけてあげてね」
「ういっす。―― どーも、西村です」
「和泉です、よろしく」
「――で、第一の方はだ……」
と、しばらく室内へ泳がせていた視線をとある箇所で止め、呆れたようなため息をついて。
「この騒々しい所でよくもまぁ熟睡出来るもんだ……」
「は?」
「ホラ、あそこ、窓際の円卓の所で寝てる奴がいるだろ? あれが、これからキミの直属のボスになる石田たくまだ。あれでも一応営業部全体の統括次長」
そして、八木はまた近くを通りかかった男性スタッフを捕まえ。
「あ、北野君ちょうどよかった。彼女、今日入社の和泉君。この第一に入るから担当が決まるまで一応ひと通りの日常業務指導して貰えるかな」
「はい、承知しましたぁ」
”八木さぁん、ちょっとこっちいいですかぁ~?”
「じゃ、和泉君、頑張ってね」
「はい」
竹内は呼ばれた方へ行ってしまった。
「――んじゃ、とりあえず、コピー手伝ってもらおっかな」
「はい」
統括次長だという男が今も尚居眠りしているエリアにあるコピー機へ行く道すがら、2人は簡単に自己紹介し合う。
「ぼくは北野公平」
「あ、私は和泉絢音です」
「ぼくの事は下の名前で呼んでいいから。で、あやはいくつ?」
「こないだ26になったばかり」
「んじゃ、タメじゃん。自宅通勤? 家はどこ?」
「うん、太秦の方」
2人がコピーの準備を進めるその近くの円卓で熟睡中だった男性スタッフ石田たくまが、”ふぁ~~っ ”と、大っきな欠伸をしながらやっと、テーブルから上体を起こした。
たくまは、その整った端正な顔立ちと外国人並に恵まれた長身とで、モデルとか役者でも充分通用するんじゃね? ってくらいの、超イケメン。
「もうっ、たくまさんってば、また二日酔いですか?」
「分かってたら聞かない」
「この間減俸されたばかりで、性懲りもなくそうやってぐ~たらしてるとまた社長に雷落とされますよ」
たくま、その頃になってやっと北野の隣にいる絢音に気付いて。
「およっ、あやちゃんじゃない。久しぶりぃ」
「ど~も~」
「え~っ、あやとたくまさんって知り合いだったのぉ?」
「そんな事よかコピー仕上げんでいいの? 定例会議はあと20分で始まるよ」
「あっ、いっけね。あや、大急ぎで手伝って」
「はい」
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