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58 恋の病に効く薬なし
しおりを挟む有利に手を振り別れて。
三上の待つ場所まで全速力で走り、車の助手席に乗り込んだ。
「―― っお待たせ」
息を切らして笑む絢音に三上も笑う。
「走ってきたのか? そんなに俺に会いたかった?」
「うん……物凄く会いたかった」
ニヤリを笑う絢音の手を握り、
「じゃあ、参りましょうか? 2人きりの場所へ」
三上が嬉しそうに笑み、握っている絢音の手の甲にキスをして、車を発進させた。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
「あ、あぁ……は、ン……みかみ、さ……」
ソファーへ身を横たえた三上へ馬乗りに跨がり悩ましげに腰を揺らす絢音……。
待ち合わせた場所で、落ち合った時点で三上は既にいっぱいいっぱいで。
早く愛おしい恋人と2人きりになりこの欲情を思い切りぶつけたいが為だけに、手っ取り早く2人きりになれる場所、という事で、手近なラブホへ絢音を連れ込みコトに及んだ。
絢音のナカで三上のモノがドクンドクンと強く脈を打つのがわかり絢音は腰をモジモジ動かした。
そんな様子にプッと三上が笑う。
「ホラ、腰止まってんぞ?」
「ああんっ」
三上は絢音の腰に手を添え、絢音を揺すった。
「はぁ……すっご、あなたがいっぱい……」
「……」
絢音は戸惑いながら再び腰を動かし始める。
「あぁっ」
前のめりに崩れた。
「手、貸して。支えてやる」
三上は絢音の両手共に指をからませた。
「んっんっ」
絢音は三上の上でユラユラ揺れた。
三上はそんな絢音をじっと見ている。
「あ……あんまり見ないで」
「お宝映像、しっかり瞼に焼きつけとかねーと」
「バカ バカ、三上さんのエロ親父」
絢音は掌で三上の目を隠した。
「バッカ、チビうさのいいとこ見えねえだろー?」
絢音の手首を掴んで引き寄せる。
「あっ、はぁ ――っ」
「たまにはエッチに積極的なチビうさもいい」
そう言って唇にムチュっとキスをした。
「んふ……」
「おっしゃあ! 充電完了。復活っ」
「はや……あぁっ」
三上は絢音の腰をつかむと下からズンズン突き上げる。
「あっ、あっ、ちょっと……はげしすぎっ」
「問答無用」
「ひぃっ」
そのまま一気に弾けて、白い世界へ ――
三上の腕にしっかり抱かれながら、今までに感じた事のない充実感でゆっくり意識を手放した。
――翌日。
三上と絢音の2人は、渡月橋からブラブラ歩き、世界遺産のお寺「天龍寺」を参拝した後、嵐山へ戻って「竹林の道」へ。
「本当に素晴らしかった。本堂と庭園」
「うん、あの庭園は一見の価値アリだね」
「そろそろ昼だが、何食べる?」
「三上さんのリクエストは?」
「ん~、その前にちょっと頼みがある」
「なに?」
「そろそろ、俺のこと名前で呼んでくれないか」
絢音はハッ! とした後、顔を少し赤らめうつむく。
「ん? 俺、難しい事は言ってない、よな」
《うん。言ってない》
「……そう、だよね……私も恋人同士ならそうするのが自然だってわかるけど……まだ何となく恥ずかしくて……」
遊歩道を進みながら、そんな事を話し合う。
すると三上が不意に立ち止まり、絢音を見た。
「ん? 何? どしたの?」
立ち止まって振り返った絢音にニヤリと笑うと手を引いて竹林の中へと入った。
「あ、ダメだよ。こっちは立ち入り禁止」
三上は無言で竹林を少し奥へと進み、道から見えるか見えないかの場所で止まる。
「ほんとはさぁ、こんなシチュエーションなら着物を着せたかったんだが」
は? シチュエーション? 着物? マジ、三上さんってば何言ってんだ。
絢音は、物凄く嫌な予感がした。
三上の笑みが、凄く……
「な……なんで?」
「それを俺に言わせる気?」
三上が絢音の耳元で息を吐きながら囁いて、舌を入れた。
「……っぁ……」
「声を立てると聞こえるかもな」
笑いながら服の中にてを滑らせて乳首を摘んだ。
「あ ―― っ、ん……っ」
まずい! 人に聞こえる!
絢音は手を口に当てて声を殺した。
三上はここでする気なんだ……。
必死で抵抗する絢音の手を三上が掴んだ!
本気だ ――本気で……ここで?!
「み、見られちゃうよ……」
「見せつけてやれ。本当は道の真ん中でしようと思ったくらいだから」
「……っ」
人は年を重ねると”肝が据わる”というか……かなり大胆になるものなんだ
絢音を見て笑う顔が優しくて意地悪で。
こんな場所もスリルがあってたまには良いかも……などと思ってしまう。
絢音は微笑み自分から三上にキスをした。
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