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33 衝撃の……
しおりを挟む週末。
本来なら今頃は、大阪行きの新幹線に揺られているハズだった。
『―― あ、もしもしあや。ごめんっ! **のアホが家の屋根から落ちて足の骨折ったって。せやからユニバ行けんようになってしもた』
「何言うてんの! そんな事はどうでもええから**さんに付いててあげな」
―― って事で。
どうせ茉莉江達は手嶌さんの親戚んちへ帰省して留守だし。
年末年始はみっちり自身のスキルアップに充てるつもりでいた。
なのに!
『今夜もフィガロで待ってる』
『 ――必ず来いよ』って、三上さんの誘いをすっぽかしたら、こともあろうに安東社長から直呼び出しがかかって。
ま、三上さんも嵯峨野書房の社員なんだから安東社長との付き合いがあって当然だけど。
一体何事やろ??と、呑気に出向いた年末休暇中の会社。
清水さんの後を引き継いで秘書になった矢吹さんの指示で向かった応接室で私を待っていたのは安東社長と三上さん。
社長は私を室内へ迎え入れると「それじゃ、後は頼みましたよ」と意味深な言葉を三上さんへ残し、そそくさと出て行ってしまった。
「……俺は心の広い男のつもりだから、過ぎた事は根に持たない主義だ」
はぁ、そうですか。
「しかし、約束をすっぽかされれば当然その理由が気になる……昨夜はどうして来なかった?」
しっかり根に持ってるじゃん。
「でも、それで、わざわざ社長を通してまでの呼び出しは度が過ぎてるんじゃないですか?」
三上さんはゆっくり立ち上がって、私がまだ佇んでいる戸口へやって来た。
「ほんなら、直接自宅へ行った方がよかったか?」
いや、そんな事をされたらえらい騒ぎになってしまう。
ただ存在してるというだけで、この男は目立ちまくりなんだ。
「ホント、ツレナイよなぁ~……この俺がここまで好意を示してんのに」
「あなたのは好意ではなく、ただのセクハラです」
「お前、シラフだと(ほ)んっと可愛くねぇな。ま、酒が入っててもかなりの毒舌だったが」
私はつい、あの翌朝の情景を思い浮かべてしまい、かぁぁぁっと赤面。
「あ、またお前何かヤラシイ事考えてたろ~……欲求不満なんじゃね?」
「しっ ―― ?*!★(失礼な――ッ) お話しはそれだけなら失礼させて頂きます」
顔が異様に熱いのは、羞恥からか?
彼へ激昂したからなのか?
何がなんだか自分でも分からなくなり、踵を返したけど。
彼が私の背後から手を伸ばしドアを手で押さえてしまったので、開ける事が出来ない!
私より頭ひとつ半分ほど背の高い三上が至近距離に(ってか、ほとんど密着状態で)傍に立つと、必然的に彼は私を見下ろす恰好になる。
私は早鐘のようにドキドキし始めた鼓動を三上さんに勘づかせないよう、ゆっくり彼を見返した。
すると、三上さんは私の目をじっと覗き込むようにして、その顎に手を添えるとやおら口付けてきた。
「!! んン、ちょ……っ!やめ ―― 」
私は腕を思いっきり突っ張って三上さんを押し戻した。
「いきなり何すんのよっ」
「じゃ、予告でもすりゃ良かったか? お前ってさ、何だか無性にいじりたくなるタイプなんだよなぁ~」
「ふざけな ――」
言いかけた私の唇に、懲りもせずまた自分のソレを重ねてきた。
しかも今度のはかなり濃厚なべろチュー。
「やだ……って!」
抵抗しようとする私をドアへ強く押し付けて強く舌を吸われる。
「やめっ ―― ん……っ」
私の顔を両手で包むと、深く舌を入れてくる。
引き離そうと三上さんの腕を掴むが力は入らない。
「は……っ……あっ……や」
す、すごい……あっという間に思考は混濁 ――
情熱的な三上さんの口付けに腰は砕け、立っているのもやっとになった頃。
部屋の扉がノックされ。
三上さんは名残惜しそうに私を放した。
「続きがお望みなら今夜俺んちへおいで。場所は分かってるよな?」
「……」
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