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小さな恋の物語 ・ 大地編
しおりを挟む東京で史江さんの用事を済ませた大地は、
予定通り午後3時43分の”のぞみ”357号で
京都に無事到着。
京都駅に直結している『ホテルグランヴィア京都』
の正面玄関前で合流した。
「―― おいでやすぅ、
お待ち申しておりましたぁ」
京都弁っぽい喋りでお出迎え。
「や~ん、ジェイクってばすっかり関西人」
「あれっ。ビニーは?」
そう。
ビニーは親父さんの戦友会のお伴で来日が決まった
らしい。
大地とビニーは喧嘩がきっかけで親しくなった
そうだ。
「あ、ビニーなら ”アキバがオレを呼んでいる~!”
とか言って、成田からすっ飛んでったよ」
「アハハハ……そっか。あいつらしい……」
大地が1人旅の目的地をこの京都に選んだ理由は、
俺がいるって事もひとつだが、最も大きい理由、
それは ――
「か、かのじょ~~っ??」
周囲の人達から大注目されるほど絶叫して、
驚いた。
だ、だって、彼女ってなんだよ~。
初対面で俺のナニ平然と咥えたくらいだから、
俺ってば大地はゲイだと思ってた……。
「ちょっ、ジェイク、声が大きい……」
「あ、ごめん ―― でさ、この事、慎さんと」
「わぁーっ。お願い。お父さんとお祖母ちゃんには
内緒にしてて」
「ふ~ん、それは条件次第だなぁ」
「……分かってます」
それから東山に着くまで、タクシーの中で
そのガールフレンドの詳細情報を
聞きに・聞きまくった ――
出逢いのきっかけは共通の友達を
介したツイッター。
(ほ~う、SNSとは今時だ……)
大体2年前からスカイプやスマホメールや
ツイッターのダイレクトメッセージで交友を深め、
お互い無事進級出来たら直接会おうって
約束していたんだそう。
彼女の名前は新庄絢音さん。年は17才。
京都市東山区在住の高校3年生。
おぉ……ひょっとして、後輩かも ――。
あ、それはあり得ないか。
うちは男子校だ。
「―― ところでぇ、ココは一番大事なポイント
なんだけど、その絢音さんもうちに呼んでたり
する?」
そうジェイクが尋ねると大地は顔を耳まで
真っ赤にして俯いてしまった。
「その様子じゃ、ヤる気満々だねお前」
「!! ちょっ、そんなあからさまに言わないでよ。
これでも僕こっちに来るまでもの凄く悩んだん
だからね」
「男の頭と下半身は別モノだ。いっくら理性で制御
しようとしたって、美味しそうなご馳走が目の前に
あればすぐにでも食らいつきたい」
「ジェイク……」
「ま、自分のした事にちゃんと責任がもてるなら、
いいんじゃね?」
「……」
藤乃家の玄関先でタクシーから降り立つと、
お母はんと仁美さんが出迎えてくれた。
「まぁ、遠い処ようこそおいで下さいましたね」
「始めまして、柊大地と云います。今日からしばらく
お世話になります」
「長旅でお疲れになったでしょう。さ さ、どうぞ
お上り下さいな」
仁美さんがお母はんに小声で耳打ちした
『お母はん、お客様がいらしてるって』
「あらまぁ、そうやったわね。―― 新庄はんって
可愛らしいお嬢さんが翡翠の間でお待ちですよ」
途端、大地の表情が100万ボルトくらいに
輝いた。
「あ……そう、ですか……」
でも、大地はその場に凍りついたようになって
動かない(動けない?)。
「おい、どーした?」
「あ、ははは……足、竦んじゃって」
「なぁに情けないこと言ってんだよ。おら、彼女
あんまり待たせちゃ可哀想だぞ」
ポン、と軽く背を押してやれば、大地はまるで
電池のキレかかったロボットみたいなおぼつかない
足取りで店の中へと入って行った。
(あ~ぁ、あいつ、手と足一緒に動いてらぁ……)
それから”翡翠の間”に行き、大地を介して
彼女・新庄絢音さんを紹介して貰った。
絢音さんはひと昔前の古風な女学生・
”ヤマトナデシコ”を地でいくような清楚な女の子
学校は京都屈指のお嬢様学校『星蘭女学館』
大地より1才年上の17才だと言うが、時折見せる
幼い口調や素振りが堪らなく可愛らしい。
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