7年目の本気

川上風花

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第2章 東京編

ルームシェア そのⅡ

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 4月の風は爽やかだし、
 沿道に並ぶ商店やビルはどれもが目新しくて、
 私は完全おのぼりさん。

 2020の東京五輪へ向け、
 土地の再開発が目ざましい山谷地区に一昨年
 一貫教育の私立校が新設され。
 この辺りにもどっと新しい人の流れが出来たんだ
 そう。
 
 この西浅草・元浅草エリアには中等部と高等部が
 あり、学校の広大な敷地の周辺には、
 70もの関係教育施設。
 そして、教職員、大学院生及びその家族用に
 所有する賃貸物件の数は7,800戸に上るという。

 今、私らが向かっているマンションもそんな
 建物の中のひとつだ。

 ”リトル・ライオン・レジデンス”
 赤いレンガ造りの洒落た10階建て。


 ベラが出入り口の扉のオートロックを開けてくれた。
 
 指紋認証。
 

「あとでカズハの指紋も登録しておこうね」

「うん」



*****  *****  *****



「―― さ~ぁ、どうぞどうぞ~、
 遠慮なく入ってぇー」

「では、お邪魔します …… って、ひろっ!」

  
 中に入って驚いた。

 日本のこういった賃貸物件は狭いものと
 決めつけていたが……

 「ハイ、ここがバス・トイレ、
  こっちがウォ-クインクローゼット、
  あっちがテラスね」と

 ベラから手短に案内され、
 私はただ、ただ予想外の広さに唖然とするばかり。

 ここは2階の206号室。
 ワンフロアには6戸あって、1階に集合玄関と
 ちょっとした交流ルームがある。
 

「―― カズハの部屋は奥の方ね」

「あ、うん、分かった」

「今お茶でも淹れるから、座ってて」


 ソファーに座りベラを待つ間、時間を確認する。

 利沙やあつしはまだ仕事中だろう。

 とりあえず、携帯メールで”無事到着”を知らせ。


 メモリーに出した ”匡煌”の番号をじっと
 見つめる。
 
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