7年目の本気

川上風花

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★ 和巴、陥落 そのⅢ

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 発情した雌猫だな。

 膝の上に姫だっこされ、肩口に吸い付きながら
 喘ぐ和巴を見下ろして、宇佐見は微笑んだ。

 下に潜り込ませている指をちょっと乱暴に
 掻き回してやると、いい声で鳴いて、腰を揺らす。

 充分に解れたそこからは、ローションなど必要が
 ないくらい……溢れ出して卑猥な水音を
 響かせている。


「すっげぇ音」

「あ ―― や、ぁ……」

「どんどんエロくなるね、和巴」


 耳元でささやいてやると、宇佐見の指を咥えこんだ
 内壁がきゅっと締まった。

 昼間のストイックな様子からは想像できないほど
 壮絶な色気を放ちだした和巴を、さらに追い詰める
 のがこれほど楽しいとは……。


「うさみ……さ」

「んー? どうした?」

「き、もち、いい……」


 自分が教えたとおりに快感を追って乱れる恋人が、
 愛しくて仕方がない。

 バカな子供だ。

 俺を本気にさせたりして。


「あなたの、早く、欲しい……」


 花が開くように、急激に大人になった和巴は、
 自分の変化に戸惑いながらも、それをちゃんと
 受け入れていく。

 部下としても恋人としても申し分なく自分を
 楽しませる存在が、信じられない程愛しい。

 愛しすぎて、壊してしまいそうな程に。

  
「―― なら、自分で挿れてごらん」


 言われた事を理解して、
 和巴の頬がかっと赤くなる。

 今さら、と思うが、
 ときどき和巴はこういう反応を
 見せて宇佐見を楽しませる。

 姫だっこから前だっこに体位を変えて。
  
  
「ホラ、ここに ―― できるだろ?」


 指を抜いたソコに自分の分身をあてがう。

 何度か入口を擦ってやると、和巴がのけぞって
 甘い声を上げた。


「なんで ―― そんな……」

「俺を欲しがる、和巴が見たいから」


 ゆらゆらと揺れる瞳で抗議する和巴にそう囁くと、
 観念したように瞳をふせた。

 和巴は宇佐見のモノに手を添えて、
 ……にあてがうと、大きく息をしながら、
 ゆっくりと腰を下ろした。

                           
                           
「あっ」


 悲鳴のような声とともに、熱い粘膜が宇佐見を
 包み込む。

 眉をよせて、苦しげに自分を受け入れていく
 和巴の様子が、堪らない。


「あ ―― あ……」

「気持ちいいよ……ほら、和巴のナカに入ってく」


 最初の抵抗をやり過ごすと、誘われるように深く、
 呑み込まれていく。


「―― んっ、ふぁ……っは……」


 肩に食い込む和巴の爪が、持って行かれそうに
 なるのをかろうじてとどまらせた。

 和巴のナカは熱く蕩けて、今まで抱いたどんな女
 より、そしてどんな男よりも宇佐見を興奮させる。


「動け」

「あ ―― んなの、む……り」

「無理じゃない」


 宇佐見は自分を呑み込んだまま後ろに倒れようとする
 和巴の体を支えて、その胸の突起に舌を這わせた。


「あっ、やあっ」


 ナカが、ぎゅっと締まる。


「ほ~らできるじゃないか。締めて、腰をふれよ」


 脇をくすぐりながら、胸に舌を這わせ、
 和巴を追い上げる。

 和巴が首を振りながら、ゆっくりと腰を上げた。

 慣れない仕草で、体を上下させて、深く、浅く
 宇佐見を受け入れる姿に、宇佐見は技巧の拙さを
 凌駕する快感を覚えた。

「たすけ……て」

「どうして欲しい?」


 腰を上下に揺らしながら、和巴が泣く。
 
 和巴の気持ちいいところにあたるには、
 この体勢では無理だ。
 そんなことは最初から分かっている。


「うさみさ……」


 和巴が縋るように唇を寄せてきて、
 宇佐見は笑いながらキスに答えてやる。

 切なげな吐息が漏れて、またナカが締まった。


「言わないと、分からない」

「さ、いて……」

「なんだって?」


 腰を揺らしながら、和巴が宇佐見を睨む。

 宇佐見は、ますます可笑しくなって、笑う。


「ほんと最低……わかってる、くせに」

「わからないよ。ちゃんと言わなきゃね」


 泣きそうな顔で、和巴が俯いた。

 奥まで突き上げて、ぐちゃぐちゃにして欲しい
 とはさすがに口に出せないのか、
 唇を固く噛んで堪えている。


「なんで、こんな人……」


 こてんと、和巴の額が宇佐見の肩に落ちる。

 思わぬ動きに顔を上げさせようとしたとき、
 和巴の掠れた声が聞こえた。


「……好き、とか……」

「……」
                        

 宇佐見は一瞬固まったが、次の瞬間、
 伏せた和巴の顔を強い力で上げさせた。


「好きとか、ありえない」

「和巴?」


 覗き込んだ和巴の瞳が、強い光を帯びていて、
 宇佐見は分からない程度に見惚れた。
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