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恋のトキメキ
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―― 恋って突然来るものなのかなぁ……。
そんなことを考えながら、あさひ亭の
バックヤードで調味料の在庫確認をしてると、
ポケットでスマホが振動した。
世良からのメールだった。
”カフェ《白クマ》で7時に待ち合わせよう。
くれぐれも遅れないように”
「あ、和ちゃん。後は私がやっておくから、
先に上がっていいわよ」
って、言ってくれた祥子さんの厚意に甘える。
「そう? じゃ、お先に失礼します」
実は、この間の同窓会の帰りメールで
『和食、イタリアン、エスニック、スウィーツなら
何が食べたいか』と問われ、
私が迷わずスウィーツ! と即答したから、
このメールがきたというわけ。
ただ、私はちょっとひっかかっている事がある。
まだ大学生だ、とは言っても22才。
お互い分別をわきまえた大人だ。
あっちはかなり手慣れた男だから、
高校生みたいなノリで
『好きです。付き合って下さい』とか、
告白から交際が始まる訳じゃないのは
わかってる。
そうゆう観点から思い起こせば、
あの宇佐見さんはホント最初っから
”押せ押せ・イケイケ”で、
猪突猛進の見本みたいなアプローチだった。
―― 世良くんには、
明日どこかチャンスを見つけて、
訊いてみようか?
一旦そう決めたものの、
こんな藪蛇やぶへびな質問して、
『お前だってオレの事好きみたいだから
抱いてやっただけ』なんて
答えられたらどうしよう! とか、
マイナス思考が襲ってきたりする。
モテないヘタレ女子の習性って悲しい。
そんな風に頭の中をプラス思考とマイナス思考が
ぐるぐる回っているうちに、待ち合わせ場所の
カフェが見えてきた。
***** ***** *****
少し道に迷い、7時を5分ほど過ぎてから、
『カフェ・白クマ』に辿り着いた。
白い壁に、水色ソファー、
南極大陸を現代アート風にした絵が飾ってあったり
するセンスのいい今時カフェだ。
入ると、奥の席で、世良くんはまた犬みたいな
笑顔を私に向けてくれた。
思わず、私の顔も綻ぶ。
ぐるぐる思考が一瞬で止まり、
もう、セフレでもいいです!
抱いて! みたいな結論に至る。
私が向かい側へ座ると、彼はメニューを差し出し
「ここのフルーツサンドは絶品だぜ。
絶対オススメ」と言った。
実際、めちゃくちゃ美味しかった。
カットフルーツ大きさも・生クリームの甘さ加減も
絶妙で……こんな美味しいサンドイッチあるんだ!
みたいな。
そしてもうひとつお薦めメニューの
”抹茶白玉ぜんざい”を食べ、
「ごちそうさま」といった瞬間、
彼の瞳が犬から狼に変わり、私の双眸を見据えた。
「まさか、これでバイバイじゃないよね?」
―― あ、あのぉ~……
もしや、こんな宵の口からですか?
私は自分でも顔がぼっと熱くなったのがわかった。
私が黙ってそんなことを考えていると、
彼は目を眇め、
さらに獰猛な顔つきに変わってきた。
「散々我慢させておいて、
これ以上引っ張らないよね?」
私は「は、はい」と小声で頷くしかできなかった。
そんなことを考えながら、あさひ亭の
バックヤードで調味料の在庫確認をしてると、
ポケットでスマホが振動した。
世良からのメールだった。
”カフェ《白クマ》で7時に待ち合わせよう。
くれぐれも遅れないように”
「あ、和ちゃん。後は私がやっておくから、
先に上がっていいわよ」
って、言ってくれた祥子さんの厚意に甘える。
「そう? じゃ、お先に失礼します」
実は、この間の同窓会の帰りメールで
『和食、イタリアン、エスニック、スウィーツなら
何が食べたいか』と問われ、
私が迷わずスウィーツ! と即答したから、
このメールがきたというわけ。
ただ、私はちょっとひっかかっている事がある。
まだ大学生だ、とは言っても22才。
お互い分別をわきまえた大人だ。
あっちはかなり手慣れた男だから、
高校生みたいなノリで
『好きです。付き合って下さい』とか、
告白から交際が始まる訳じゃないのは
わかってる。
そうゆう観点から思い起こせば、
あの宇佐見さんはホント最初っから
”押せ押せ・イケイケ”で、
猪突猛進の見本みたいなアプローチだった。
―― 世良くんには、
明日どこかチャンスを見つけて、
訊いてみようか?
一旦そう決めたものの、
こんな藪蛇やぶへびな質問して、
『お前だってオレの事好きみたいだから
抱いてやっただけ』なんて
答えられたらどうしよう! とか、
マイナス思考が襲ってきたりする。
モテないヘタレ女子の習性って悲しい。
そんな風に頭の中をプラス思考とマイナス思考が
ぐるぐる回っているうちに、待ち合わせ場所の
カフェが見えてきた。
***** ***** *****
少し道に迷い、7時を5分ほど過ぎてから、
『カフェ・白クマ』に辿り着いた。
白い壁に、水色ソファー、
南極大陸を現代アート風にした絵が飾ってあったり
するセンスのいい今時カフェだ。
入ると、奥の席で、世良くんはまた犬みたいな
笑顔を私に向けてくれた。
思わず、私の顔も綻ぶ。
ぐるぐる思考が一瞬で止まり、
もう、セフレでもいいです!
抱いて! みたいな結論に至る。
私が向かい側へ座ると、彼はメニューを差し出し
「ここのフルーツサンドは絶品だぜ。
絶対オススメ」と言った。
実際、めちゃくちゃ美味しかった。
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絶妙で……こんな美味しいサンドイッチあるんだ!
みたいな。
そしてもうひとつお薦めメニューの
”抹茶白玉ぜんざい”を食べ、
「ごちそうさま」といった瞬間、
彼の瞳が犬から狼に変わり、私の双眸を見据えた。
「まさか、これでバイバイじゃないよね?」
―― あ、あのぉ~……
もしや、こんな宵の口からですか?
私は自分でも顔がぼっと熱くなったのがわかった。
私が黙ってそんなことを考えていると、
彼は目を眇め、
さらに獰猛な顔つきに変わってきた。
「散々我慢させておいて、
これ以上引っ張らないよね?」
私は「は、はい」と小声で頷くしかできなかった。
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