7年目の本気

川上風花

文字の大きさ
上 下
1 / 124

断ち切れない関係

しおりを挟む
「水くれ」


 和巴かずははテーブル上のジョグからグラスへ水を注ぎ、
 晴彦の傍らへ跪いて水のグラスを差し出した。


「ハイ、晴彦さん、お水だよ」

「……の~ま~せ~てぇ? 和ちゃん」

「もう ―― っ」


 酔うといつも決まって、大人の駄々っ子と化して
 子供以上に手のかかる晴彦。

 こんな時は彼の事がほんの少し、
 可愛く見えてしまう私ってかなり#末期かなぁ#と、
 自嘲的笑みを浮かべつつ、
 水のグラスを晴彦の口許へゆっくりと運んでいく。

 ――と、晴彦は自分で”飲ませろ”と言って
 おきながら、和巴の手は遮った。


「……晴彦、さん?」

「違うだろ? 飲ませ方が」

「!……」


 和巴は晴彦と手元のグラスを交互に見て、
 しばらく迷っていたが。
 やがて意を決して、グラスの水を自分の口に含み
 口移しで晴彦へ水を飲ませた。

 晴彦は水を飲み終えても和巴から唇を離さず、
 徐々に口付けを深くしていき。
 和巴のシャツのボタンを外しにかかる。


「ね、晴彦さん、今日は止めて? 学校あるし」

「それがどうした? 俺はヤりたい」


 軽く何度もの啄むようなキスを繰り返し ――、
 やがてそれは、頬へ~首筋から胸元へと
 下りて行く。


「ん ―― ほんと、やめ……ン、あぁ……っ」


 弱いポイントの乳房を執拗に攻められ、
 和巴は抵抗するのを諦めて晴彦へその身を委ねる。





 ”まな板の上の鯉”状態の和巴の華奢な体の上で。
 晴彦はブルリとその身を震わせた。


「あぁ ―― っふ……く ――っ」


 微かに痙攣した晴彦が和巴のナカに自身の白濁を
 勢い良く吐き出す。

 ゆっくり弛緩していく体で乱れた気を整え、
 晴彦が和巴のナカから自身を抜き出すと ――。

 避妊具なしセッ*スで中出しの白濁が、
 和巴のソコからトロリと溢れた。


 気怠そうに立ち上がって台所の冷蔵庫から
 取って来た缶ビールを飲みながら戻った晴彦へ、
 和巴が重い口を開く。


「―― ね、晴彦さん?」

「んー?」

「今日ね、妙子叔母さんが遊びに来たの」

「妙子、叔母さん?」

「ほら、東京に住んでる ――」

「あぁ! あのいっつも光りもんジャラジャラ付けてる
 チョーお節介焼きの人か」
 
 
 その例えが当たらずといえども遠からずで、
 昨日自分が叔母さんと会った時のいでたちそのまま
 だったので、思わず和巴は小さく”プッ”と、
 噴き出した。
  

「で、その叔母さんがどうしたよ」


 今日の晴彦はいつになく優しいので、
 思い切って打ち明けようと、思ったが、
 それでもまさか”見合いを勧められた”とは
 言い難い和巴だった。
   

「……あ、あのね、実はその叔母さんから、お見合い、
 勧められてて……」
 
「な~んだそんな事か。深刻な顔するもんだから
 一体何事かって、流石の俺も身構えちまったじゃん」
 
「……」

「大方、あのお節介焼き叔母さんの面子もある
 ってんだろ? いいよ。この前みたく旨いもん
 食って、相手の野朗は適当にあしらって、
 帰って来りゃあいい」
 

 それは ”適当にあしらえる相手”ならばだ。
   
   
「ん……やべぇ ―― なんか、今夜は絶好調みたい」

「え?」


 言われた意味が分からず聞き返したが、
 自分の手を晴彦の昂ぶった下半身に導かれ
 理解した。
   
   
「も、晴彦ってば……」

「和巴、も1回シよ?」




 昨日、叔母から出された見合い相手の釣り書には、
 そうそうたる学歴&経歴と現在の役職が羅列されて
 いた ――。
  

 西の ”東大” と、言われる、
 京都大学藝術学部写真学科――主席卒業。
  
 東亜銀行本社へ入行。
  
 ”商品企画””M&A関連業務””営業統括”などの
 部署勤務を経て、ニューヨーク支社へ異動。                      
  
 ここで写真家のアラン・パウエルと出逢い、
 軌道修正。

 10年間勤めた東亜銀行をあっさり退職し、
 カメラマンへの道を進み始める。  
    
 特定の会社に属さないフリーランス。
 
 自分の希望は報道だが、
 生活のため芸能人のグラビア撮影をする事が多い。

                    
 そこまで読んだ時点で、和巴は
 ”うわぁ~~っ、こりゃダメだ。今まで会ってきた
  人達とは格が違い過ぎる!”
 と、思った。
  
 相手の容姿は文句のつけようもなく”特Aランク”
  
 こんな人がどうしてお見合いなどに頼るのか?
 不思議になるくらいのイケメン。
  
 そして、自分との”釣り合い”から考えても、
 大きなギャップを感じずにはいられなかった。
  
 だが、容姿だけは自分のタイプど真ん中。    

 晴彦の言うよう、
 旨いもん食べて、相手の青年は適当に
 あしらえればいいのだが……
  
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...