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SIDE エピソード
エピソード6 セドリック
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【エピソード セドリック】
これはベルナデットとエリックがアトルワ公爵領を訪れた時のお話です。
ーーーーーーーーーー
私たちは、アトルワ公爵領の公爵邸に宿泊することになった。
そしてセドリック様と一緒に食事をした後に、私たちはのんびりとソファーに座って話をすることになった。
テーブルの上には、お酒やジュースやフルーツや軽食が並べられていた。
セドリック様とお兄様は果実酒を飲みながら、私はジュースを飲みながら話に花が咲いていた。
「食事は、ベルナデットの口に合ったかな?」
「はい!! セドリック様ありがとうございました!!」
今日の食卓には私の好きな物ばかりが並んでいてとても美味しくてつい食べ過ぎてしまったのだ。
それにこのジュースもとても好きな物だった。
「ふふふ、エリックが言う通りだったな。よかった」
セドリック様がお兄様を見てニヤリと笑った。
「え?」
「ゴホゴホ」
するとお兄様が咳をしながら真っ赤な顔で、セドリック様を見ていた。
「ふふふ。実はね、エリックはレアリテ国に行く前とか、帰って来ると必ずベルナデットの話をしていてね……私はベルナデットと離れているのに、すっかりベルナデットのことは詳しくなったよ」
私はお兄様を驚いてお兄様を見た。お兄様は気まずそうに目を泳がせていた。
「あのセドリック様。ちなみにどんな話をされていたのですか?」
「ふふふ? 聞きたい?」
「はい!!」
お兄様は止めるような手振りをセドリック様にしていたが、それで止めるこはなくセドリック様は話を聞かせてくれた。
「じゃあ、ベルナデットが音楽学院で初めて演奏会に選ばれた時の話をしようか?」
「はい」
「……セドリック!!」
するとお兄様が真っ赤な顔で大きな声を出した。
でもセドリック様は飄々とした様子で片目を閉じて見せた。
「いいだろ?
ええ~と、あ、そうだ。
その時エリックはそれはもう喜んでいてね『ベルの天使のような音色が教会に響き渡った途端世界が浄化されるようだった!!』って顔を真っ赤にしながら言っていたよ」
「え?!」
確かあの時、初めての演奏会で緊張していた私に「当然だな、いつも通りで問題ない」と言ってくれたように思う。そんな風に思っていてくれたなんて!!
思わず私の頬も赤くなってしまった。
「あ~~~。私は少し、庭で剣の稽古をしてくる」
兄はこの空気に耐えられなかったのか、そそくさと剣を持って庭に出て行った。
「いってらっしゃい~~」
「いってらっしゃいませ!!」
セドリック様と2人で兄を見送ると、私はセドリック様の方を見た。するとセドリック様が笑った。
「ベルナデットが卒業演奏会で、着たドレスがあるだろう?」
「はい!! お父様からプレゼントだとお聞きしましたが?」
「ふふふ。実は、あのドレスってデザインして作らせたのはエリックなんだよ?」
「えええ~~~~?! そうなのですか?」
「ああ。エリックのヤツ『ベルの晴れ舞台だ!! ベルの良さを際立たせる最高のドレスを作る』っと言って何度もレアリテ国のデザイナーに相談して、あのドレスを作っていたんだよ?
僕は『君からのドレスだと本人に伝えたらどうだい?』と提案したんだよ?
そうしたらエリックなんて言ったと思う?」
「なんでしょうか? 全く想像が出来ません!!」
「『ダメだ。私からのドレスなどと婚約者や学長にバレれば阻止されるかもしれない。私は絶対にこのドレスをベルに着せたい!! だから親からだと言えば邪魔は入らない!! これが兄の特権だ!!』って言ってたよ。必死すぎでしょ?」
「そうですね……」
でもクリス様の前でお兄様からのドレスだと言えば確かに着れなかったかったかもしれない。
「他にもね……」
それから、私は顔が溶けそうなほどの兄が私を褒めていた話を聞いたのだった。
+++++
「そんなに!! お兄様、直接言って下さればよかったのに」
私は思わず、セドリック様の話を聞いて叫んでいた。
「本当は言いたかったのだと思うよ?
でもほら、エリックのヤツ。君に手を出したら大変なことになるのはわかってたからさ。随分と我慢してたんだと思うよ」
「……」
お兄様がずっと我慢してくれていたのはなんとなくわかっていた。
だが、もしかしたら私の想像以上に我慢してくれていたのかもしれないと思えた。
私が考えているとセドリック様が泣きそうな顔をして言った。
「『運命』って言葉にエリックはずっと怯えていたんだ」
「運命に?」
「ああ、ベルナデットのことが好きで好きで好きでどうしようもないのに、君には他に婚約者がいた。
それに君はずっと、憧れる音を追いかけていた。
エリック怯えていたのだと思うよ」
セドリック様の顔は怖いくらいに真剣だった。
「お兄様が怯えていた」
「ああ。
ねぇ、ベルナデット? エリックは君のことがどうしようもないほど好きだ。
もう、君のためならそれこそどんな苦労も厭わないほどに……
僕はね、君たちには幸せになってほしいと思ってるんだ、心から……。
ベルナデットにもエリックにも笑っていてほしい」
セドリック様の美しい笑顔を見て、私も笑顔を返した。
「ありがとうございます。幸せにします」
「そっか。よかった」
セドリック様がどこか安心したように微笑んでいた。
ああ、お兄様にこの方がいて下さってよかった。
きっとお兄様はこの方を誰よりも信頼していたのだろう。
だからこそ、弱い部分も見せられらたのだろう。
「セドリック様、これからもお兄様を支えてあげて下さい」
私が頭を下げるとセドリック様は大きく目を開いて驚いた。
「はい」
そうしてセドリック様は嬉しそうに笑ったのだった。
【セドリック エピソード END 】
ーーーーーーーーーーー
皆様、長い間お付き合い頂きまして誠にありがとうございました。
本当に感謝でいっぱいです。
ありがとうございました!!
本当にありがとうございました!!
またどこかでお会いできることを願っています。
たぬきち25番
これはベルナデットとエリックがアトルワ公爵領を訪れた時のお話です。
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私たちは、アトルワ公爵領の公爵邸に宿泊することになった。
そしてセドリック様と一緒に食事をした後に、私たちはのんびりとソファーに座って話をすることになった。
テーブルの上には、お酒やジュースやフルーツや軽食が並べられていた。
セドリック様とお兄様は果実酒を飲みながら、私はジュースを飲みながら話に花が咲いていた。
「食事は、ベルナデットの口に合ったかな?」
「はい!! セドリック様ありがとうございました!!」
今日の食卓には私の好きな物ばかりが並んでいてとても美味しくてつい食べ過ぎてしまったのだ。
それにこのジュースもとても好きな物だった。
「ふふふ、エリックが言う通りだったな。よかった」
セドリック様がお兄様を見てニヤリと笑った。
「え?」
「ゴホゴホ」
するとお兄様が咳をしながら真っ赤な顔で、セドリック様を見ていた。
「ふふふ。実はね、エリックはレアリテ国に行く前とか、帰って来ると必ずベルナデットの話をしていてね……私はベルナデットと離れているのに、すっかりベルナデットのことは詳しくなったよ」
私はお兄様を驚いてお兄様を見た。お兄様は気まずそうに目を泳がせていた。
「あのセドリック様。ちなみにどんな話をされていたのですか?」
「ふふふ? 聞きたい?」
「はい!!」
お兄様は止めるような手振りをセドリック様にしていたが、それで止めるこはなくセドリック様は話を聞かせてくれた。
「じゃあ、ベルナデットが音楽学院で初めて演奏会に選ばれた時の話をしようか?」
「はい」
「……セドリック!!」
するとお兄様が真っ赤な顔で大きな声を出した。
でもセドリック様は飄々とした様子で片目を閉じて見せた。
「いいだろ?
ええ~と、あ、そうだ。
その時エリックはそれはもう喜んでいてね『ベルの天使のような音色が教会に響き渡った途端世界が浄化されるようだった!!』って顔を真っ赤にしながら言っていたよ」
「え?!」
確かあの時、初めての演奏会で緊張していた私に「当然だな、いつも通りで問題ない」と言ってくれたように思う。そんな風に思っていてくれたなんて!!
思わず私の頬も赤くなってしまった。
「あ~~~。私は少し、庭で剣の稽古をしてくる」
兄はこの空気に耐えられなかったのか、そそくさと剣を持って庭に出て行った。
「いってらっしゃい~~」
「いってらっしゃいませ!!」
セドリック様と2人で兄を見送ると、私はセドリック様の方を見た。するとセドリック様が笑った。
「ベルナデットが卒業演奏会で、着たドレスがあるだろう?」
「はい!! お父様からプレゼントだとお聞きしましたが?」
「ふふふ。実は、あのドレスってデザインして作らせたのはエリックなんだよ?」
「えええ~~~~?! そうなのですか?」
「ああ。エリックのヤツ『ベルの晴れ舞台だ!! ベルの良さを際立たせる最高のドレスを作る』っと言って何度もレアリテ国のデザイナーに相談して、あのドレスを作っていたんだよ?
僕は『君からのドレスだと本人に伝えたらどうだい?』と提案したんだよ?
そうしたらエリックなんて言ったと思う?」
「なんでしょうか? 全く想像が出来ません!!」
「『ダメだ。私からのドレスなどと婚約者や学長にバレれば阻止されるかもしれない。私は絶対にこのドレスをベルに着せたい!! だから親からだと言えば邪魔は入らない!! これが兄の特権だ!!』って言ってたよ。必死すぎでしょ?」
「そうですね……」
でもクリス様の前でお兄様からのドレスだと言えば確かに着れなかったかったかもしれない。
「他にもね……」
それから、私は顔が溶けそうなほどの兄が私を褒めていた話を聞いたのだった。
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「そんなに!! お兄様、直接言って下さればよかったのに」
私は思わず、セドリック様の話を聞いて叫んでいた。
「本当は言いたかったのだと思うよ?
でもほら、エリックのヤツ。君に手を出したら大変なことになるのはわかってたからさ。随分と我慢してたんだと思うよ」
「……」
お兄様がずっと我慢してくれていたのはなんとなくわかっていた。
だが、もしかしたら私の想像以上に我慢してくれていたのかもしれないと思えた。
私が考えているとセドリック様が泣きそうな顔をして言った。
「『運命』って言葉にエリックはずっと怯えていたんだ」
「運命に?」
「ああ、ベルナデットのことが好きで好きで好きでどうしようもないのに、君には他に婚約者がいた。
それに君はずっと、憧れる音を追いかけていた。
エリック怯えていたのだと思うよ」
セドリック様の顔は怖いくらいに真剣だった。
「お兄様が怯えていた」
「ああ。
ねぇ、ベルナデット? エリックは君のことがどうしようもないほど好きだ。
もう、君のためならそれこそどんな苦労も厭わないほどに……
僕はね、君たちには幸せになってほしいと思ってるんだ、心から……。
ベルナデットにもエリックにも笑っていてほしい」
セドリック様の美しい笑顔を見て、私も笑顔を返した。
「ありがとうございます。幸せにします」
「そっか。よかった」
セドリック様がどこか安心したように微笑んでいた。
ああ、お兄様にこの方がいて下さってよかった。
きっとお兄様はこの方を誰よりも信頼していたのだろう。
だからこそ、弱い部分も見せられらたのだろう。
「セドリック様、これからもお兄様を支えてあげて下さい」
私が頭を下げるとセドリック様は大きく目を開いて驚いた。
「はい」
そうしてセドリック様は嬉しそうに笑ったのだった。
【セドリック エピソード END 】
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皆様、長い間お付き合い頂きまして誠にありがとうございました。
本当に感謝でいっぱいです。
ありがとうございました!!
本当にありがとうございました!!
またどこかでお会いできることを願っています。
たぬきち25番
応援ありがとうございます!
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高校生の母様
感想ありがとうございます✧*。✧*。(。>ㅅ<。)♡*。
クリスルート選択ありがとうございます♪
エールもありがとうございました(>᎑<`๑)♡
今後ともよろしくお願いいたします。
まだ途中ですが楽しく読ませて頂いています。
「なければならない」ではなくて、本当に心のままに誰かを愛し
その人をずっと好きでいられたら……それは本当に幸せな事なのだと思います。
続きを楽しみにお待ちしています~♪
読ませて頂いて有難うございます。
hiyo様
感想ありがとうございました⁺‧⁺‧•͙‧⁺•͙‧⁺•͙‧⁺o(⁎˃ᴗ˂⁎)o⁺‧•͙‧⁺⁺‧•͙‧⁺
hiyo様のお言葉が心に染みます。
本当にそれは幸せなことだと思います。
本当に有難いお言葉をありがとうございました( ᴗ̤ .̮ ᴗ̤♡)
エリックルート突き進んでます!
他のルートも読もうと思いつつ、エリック兄様に夢中です。
続き楽しみにしてますっ!
ちえ様
感想ありがとうございます‧•͙‧•͙‧⁺‧‧•͙‧⁺⁺•͙‧⁺o(⁎˃ᴗ˂⁎)o⁺‧•͙‧⁺
夢中になってもらえるなんて!!
有難いです(>᎑<`๑)♡
エリックルートも中盤です。
今後ともお楽しみ頂ければ嬉しいです!!