我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番

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後日談 サミュエル編 奥手な2人の誘惑大作戦!!

10 新たな始まり

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「はぁ~~~~!! やっ~~~と議会で、承認が下りたわ~~~」

 私は部屋に入るなり、大きく息を吐くと、隣に立っているサミュエルに抱きついた。

「ふふふ。今回は大変でしたもんね」

 サミュエルが私の頭を優しく撫でてくれたので、私は思わず目を閉じた。
 
「ん~~♡ 気持ちいい~~。サミュエルこそ、すっごく大変だったでしょ? 無理させてすみませんでした」

「いいんですよ。ベルナデットの発想は素晴らしいです。
 私だけではなくコンラッドも、そう言っているでしょう?」

 私はサミュエルの口からコンラッド君の名前が出て、ますますサミュエルの胸元に頬を擦り付けた後、頬を膨らませながらサミュエルを見上げた。

「忙しいのはわかっています!!
 すっごくわかっていますが……。
 最近、サミュエルは私といるよりも、コンラッド君といる時間の方が長いです!!
 嫉妬します。コンラッド君が羨ましいです!!」

「ええ~~?! コンラッドに嫉妬ですか??? 
 困ったな……ベルナデット、細かいところを詰めていかなければ、承認が下りないので仕方なかったんですよ?」

 サミュエルがオロオロしながら、私の顔を覗き込んだ。

「知っていますよ!! 知っていますけど……寂しいものは寂しんです!!」

 そう言うと、フワリと私の身体が浮いた。
 私はいつの間にかサミュエルにお姫様抱っこをされていたようだった。

「わかりました。
 寂しい思いをさせて本当にすみませんでした。
 明日は、私もベルナデット様もお休みですし、二度と寂しいと言えないほど、愛を伝えます。
 言葉と、態度で存分に……」

「え?」

 サミュエルが壮絶な色気を放ちながら、私の耳元に唇を寄せた。


「愛していますよ。愛しい人」

 サミュエルのこの声は反則だ。
 こんな甘くて切なそうな声で、囁かれて平然としていられる人がいたらぜひお目にかかりたい。


――……チュッ♡


 サミュエルは、私をドロドロに甘やかす前は、わざと音を出してキスをする。
 まるで、これが始まりだと伝えるように。

 私も身体に熱を持ちながら、そのキスに答える。

「私も、愛しています。サミュエルの全てがほしいです」

「……」

 サミュエルが驚いた後、耳まで赤くして呟いた後、唇を重ねた。

「いつまで経ってもあなたには、勝てないな……んっ…は………今ので余裕……なくなりました」

「私なんて……ん……は……はじめから余裕なんて……ん……ありません」

 私は唇に熱を感じながら目を閉じた。
 そうして私たちは甘い甘い時間に溺れたのだった。















レアリテ国 女王ベルナデット、王配サミュエル。

1人の王子と1人の王女に恵まれる。

 次々に革新的な改革を行い、この国を再び文化の先進国として蘇らせた奇跡の女王。
 現在の試験による、文官採用制度や、収入による税の徴収という他にも類を見ない制度を確立した女王でもある。
 女王は、生涯『私の功績はパートナーの功績です』と言い続けていた。
 現在、国立公園に建立されているサミュエル閣下の像が彼女の王配だ。ちなみに同公園に内に建てられているコンラッド閣下像は、お2人の生涯の支えとなり、絶大な信頼を得た人物である。
 
――……レアリテ国歴史教科書より抜粋






サミュエル ルート 【 ルートオールクリア!! 】






――――――――――――



 

サミュエル ルート完全完結致しました!!
皆様、長い間この2人を応援して下さってありがとうございました。

次回から【エリック後日談】《お兄様、全年齢ですよ?! 元兄の愛に溺れそうです!!》を公開する予定ですので、ぜひお立ち寄り下さい。




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