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【エリック】(真相ルート)
18 幸せの形【エリック ルート最終話】
しおりを挟む全ての貴族が退席して、私たちはゆっくりと女王陛下の前に移動した。
「ベルナデットを皇女に!!」
女王陛下の言葉に私と兄は静かに頭を下げた。
全ての儀式が終わると、母が私に近づけて来て微笑んでくれた。
「よかったわ。お疲れ様」
すると実父が微笑んでくれた。
「美しかったよ。ベル!!」
私は2人に向かって微笑んだ。
「ありがとうございます」
それから、私は着替えのために部屋に戻ることになり、兄はこれから王配としてのあいさつがあるらしく別行動となった。
「後で部屋で」
兄が私の耳元に唇を寄せて呟いた。
私はコクンと頷いた。
それから私は部屋に戻って、豪華なドレスや装飾品を外して、湯浴みをして楽な服装に着替えると軽食を取った。
「はぁ~終わったわ」
そう呟いて小さく首を振った。
「いえ、これから始まるのね」
窓辺に立って空を見ると月が出ていた。
(月だわ……)
まるで爪でひっかいたような細く長い月は儀式で浮ついていた私の心を落ち着かせてくれた。
コンコンコン。
「はい」
カタリ。
ドアが開く音がして振り向くと、着替えを済ませた兄が部屋に入ってきて、こちらに向かって歩いてきた。
「何をしていたのだ?」
「月を見ていました」
兄が私の隣に立つと、月を見た。
その横顔は妖艶な色気を放っていて、私は思わず見とれてしまった。
思えば昔から私はずっと兄に憧れていた。
いつも厳しくて。
いつも強くて。
いつも優しくて。
いつも私の側にいて私を支えてくれた。
兄がいたからこそ、私はここのこうして立っているのだろう。
これほどの愛がこの世にあるのだろうか?
人はこれほどまでに深く人を愛することができるのだろうか?
ーー……運命。
私にとって兄は間違いなく運命だ。
「ベル……頼みがある」
すると兄が私の方を見て真剣な顔をした。
「……」
私は何も言えずに兄の言葉を待った。
「名前を呼んでくれないか?」
それは長いこと封印していた言葉だった。
兄に好きだと、愛しているとは言っていたが、私はずっと兄と呼んでいた。
兄もそう呼ぶことを止めなかった。
ーー……仕方がなかったのだ。
この封印を破ってしまったら、戻れなくなくなることがわかっていた。
兄と呼ぶことで、兄と呼ばれることでお互いがギリギリの理性を保っていたのだ。
ーー……でも、もう戻らない。
私は愛しいその言葉を抱きしめるように言の葉にのせた。
エ リ ッ ク
兄の目から涙が零れて月の光に照らされて美しく光った。
兄が私のおでこにおでこをくっつけながらまるで祈りのように言った。
「ベルナデット……もう一度……呼んでくれ……」
私は兄の鼻に自分の鼻をこすりつけるように甘く囁いた。
「エリック」
いつも冷静な兄が、エリックと名前を呼んだだけで、まるで溶けてしまうのではないかというほど甘い瞳に変化した。この瞳がいつか兄が言っていたトロトロの目かもしれない。
「ふふふ。溶けてしまいそうなトロトロの目。私だってエリックのそんな目、誰にも見せたくないです」
「そうか……じゃあ、私もベルにだけ見せるから、ベルも私にだけ見せてくれないか? ベルのとろけそうな目を」
私たちはどちらともなく唇を合わせていた。
「……ん……ぁ……」
甘くて、愛しくて、これまでの儀式の練習のためのキスとは全く違う。
エリックの熱を全て感じるような深いキスだった。
唇から感じた熱は全身にじわじわと移動する。
身体中が熱い。
エリックが深く口付けをしながら私の頭を掻き抱くように抱き寄せた。
「ん……ベ……ル……好きだ……愛している」
私もその言葉に答えるようにエリックの耳を抱き寄せる。
「ん……好き……エリック……」
名前を呼ぶと兄の口付けがさらに深くなる。
まるで溶けてしまうんじゃないかという熱に私たちお互いの身体を隙間なく擦り付けた。
熱をはらみ、熱を感じる。
持て余した身体の熱は行き場をなくして、それを発散させるかのようにお互いを求めた。
何も考えることのできない支配的な幸福感。
ガクン。
立っていられなくなって、足の力が抜けたところでエリックが支えてくれた。
それでも唇は離してもらえなくて、エリックに抱き上げられた。
ゆらゆらとした不安定な感覚のままキスを続ける。
離れることなどできないとでもいうように。
これまで抑えていた全てがその夜に開放された。
この日。
私は、彼の妹から恋人になったのだった。
+++
「ん? 朝?」
「おはようベル」
目を開けた途端にエリックがいた。
「あ!! エリック」
そして、布団の中でエリックの肌の感触を感じて私は声にならない声を上げそうになった。
「&%$#!! 昨日……」
私が布団にもぐろうとすると、エリックに抱き寄せられた。
(ひえ~~~~。服!! 服はどこ??)
「ふふ。ああ、可愛い。こんな顔誰にも見せたくないな」
するとエリックはこれまで聞かせたこともないほど甘く囁きながら言った。
チュッ♡
そう言うと触れるだけのキスをして、私の手を取った。
そして私の手にエリックの瞳の色である深い青色の宝石の付いた指輪を手につけてくれた。
「これは?」
私が尋ねると、エリックが本当に嬉しそうに笑った。
「ああ。やっと渡せた。
いつか渡せる日がくると、ずっと前から用意していたのだ」
ふとベットの横に置いてある指輪の箱を見るとその箱には見覚えがあった。
「それ……いつか一緒に宝石を買いに行ったお店の……」
「そうだ。私への宝石ではないがな……」
エリックは少し拗ねたように言った後、片眉を上げて笑った。
「でも、ようやく渡せた!!」
そうして私をぎゅっと抱きしめると本当に嬉しそうに言った。
「ベルナデット!! 愛している!!」
私はエリックの首に抱きつき、キスをした。
「私もです!!」
チュ♡
と触れるだけのキスをすると、エリックが色気のある声で囁いた。
「ベル。今日と明日はなんの予定もない。このままもう少しいいだろうか?」
きっと私の顔は真っ赤になっていただろう。
エリックの甘い声と瞳に私は頷くしかなかったのだった。
その日私がどうなったか?
そんなの!!!
エリックと私だけの秘密です……。
【エリック ルート エピソードエンド!!】
ーーーーーーーーーー
これにてエリックルート完結です!!
長い間お付き合い頂き、本当にありがとうございました!!
応援、本当に感謝しています。
ありがとうございました!!
この後は、
SIDEエピソードと、後日談で完全完結となります!!
もうしばらくどうぞよろしくお願い致します。
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