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【エリック】(真相ルート)
6 真相
しおりを挟むその日の夜。
私は兄と夕食を済ませると父の帰りを待つことにした。どうしても、兄の一存で話せない内容らしい。
……兄よ。一体、どんな秘密を隠しているんだい? 私は聞くのが怖いよ!!
父がお城から見たこともない男性と一緒に戻って来た。
「今戻ったよ。待たせて悪かったね」
「おかえりなさいませ」
私は頭を下げると、父の隣にいた男性に視線を向けると、男性と目が合ってにっこりと微笑まれた。
「ベルナデット本当に大きくなったな~~。本当にあの方によく似てるな~」
(私を知っているの??)
私が不思議そうに見ていたことに気づいて、父が困ったように笑った。
「そうか……ベルは覚えていないのか? セドリックだよ。私の弟だ」
(父の弟?! 若くない??)
年はどう見ても兄と同じくらいだった。
私が穴の開くほど男性を見ていると、男性が冗談っぽく悲しいそうな顔をした。
「覚えてないんだ~。大きくなったら僕のお嫁さんになるって言ってたのにな~、僕はちゃんと約束を守って君が卒業するまで待ってたのに……悲しいな~」
「え?」
私が固まっていると、兄が溜息をついた。
「そんな昔のことを言って困らせないで下さい。それに約束なんてしていない。あなたが勝手に言っていただけだ。それに、あなたなんでしょ? 急にコンラッドなんて寄越して、ベルを混乱するように仕向けたのは……」
「な~んだ。バレてたんだ。でも、知りたいと思ったタイミングで現れた方がドラマティックだろ? それに僕がいきなり行くより、コンラッドに行ってもらって覚悟した方がベルナデットにとってもいいだろ?」
父の弟が、「ふふふ」と楽しそうに笑った。
「そんなことで、コンラッドを動かすなんて一体どんな弱みを握っているですか」
兄が心底嫌そうな顔で父の弟を見ながら言った。
「別に~何も。コンラッドが親切なだけだよ~~~♪
そんなことより、早くベルナデットに教えてあげようよ。
……エリックにまんまと乗せられて選んでしまった彼女の道をさ♪
すでにクリストフ殿下との婚約も破棄されたんだ。もう戻れない彼女の選んだ道を……ね?」
父の弟が少しだけ怒りを含んだ目で冗談っぽく言った。
(あれ? セドリック様もしかして怒ってるの?)
「っく……人聞きが悪いことを!!」
普段兄は誰かに声を荒げることはほとんどないが、今日は声を荒げていた。
「事実だろ? 何も知らない孤独な彼女を翻弄して説明もないまま篭絡したのはさ」
(え? え? え? 何? 何なの? この2人仲が悪いの??)
私がハラハラしていると、父が溜息をついた。
「そこまでにしておけ。ベルナデット、君のことを知りたいのだろう?
本当は卒業式が終わってから伝えるはずだったが、ここ最近のベルナデットとエリックの様子を報告したら、あの方からのお許しも出たしね」
(ここ最近の私たちって……)
私は頭の中にここ最近の兄との様子を思い浮かべた。
ーー……サロンで膝乗りキス三昧。
ーー……寝室のベットで朝からキス三昧。
ーー……学校に行く前にエントランスでキス三昧。
ーー……帰って来て部屋まで我慢できずにそのままエントランスでキス三昧。
ーー……寝る前までキス三昧。
私はここ最近の所業に思わず土下座をしたくなった。
(公爵家で働く皆様!! 風紀が悪くてごめんなさい!!)
私が呆然としていると、兄にそっと手を繋がれた。
「ベル、行くぞ。一緒に考えてくれるのだろ?」
兄が不安そうな顔を隠して笑顔で話しかけてくれた。
自分だって不安なのに精一杯その不安を隠して私のために笑ってくれる兄に私は思わず手をきつく握り返した。
「ええ、もちろんです」
そうして、私たちはサロンへと向かったのだった。
+++
サロンに着くと、私の隣には兄。そして、私の前には父、そして父の隣に父の弟という風に座った。
父はお茶の準備をさせずに、すぐに人払いをして私の顔を真剣に見て言った。
「ベルナデット。いえ、ベルナデット様。
あなたはレアリテ国38代目女王である、ブリジット女王陛下のご息女で在らせられます」
・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・え?
父の言葉を理解出来ずに私は石のように固まってしまった。
目の前には、真剣な父の顔。その隣には怖いくらいに私を見つめる父の弟であるセドリック様の顔。
私はギギギと音がしそうな様子で首を兄に向けると兄も心配そうな顔で私を見ていた。
ーー……これは冗談じゃないな。
みんなの真剣な様子にこの話がドッキリや冗談といった類の話ではない事を悟り、私はもう一度父の言葉を思い出した。
『あなたはレアリテ国38代目女王である、ブリジット女王陛下のご息女で在らせられます』
女王陛下のご息女?!
あれ? ご息女って娘ってことよね。
つまり……女王陛下の娘?
え? ……誰が?
・・・・・・・・・・・私が?!
私が女王陛下の娘?
「ええええええ~~~~~~~!!!」
私の大きな声は屋敷中に響き渡っていたのだった。
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