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【サミュエル】(学院発展ルート)
15 究極の選択
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衝撃過ぎる事実に私が唖然としていると、ブリジット女王陛下が嬉しそうに笑った。
「ふふふ。大きな声。本当に元気ね。こんな元気に育ってくれるなんて、本当に感謝だわ」
「あの、女王陛下……」
私が恐る恐る尋ねると、ブリジット女王陛下に不安そうな顔で見つめられた。
「ねぇ、ベル。私のことは母と呼んではもらえないかしら?」
(母……女王陛下を?! 呼んでもいいの??)
私が困惑していると、実父が顔を覗き込んできた。
「ベル、離れていたけど、お母様はベルのことを忘れたことは一度もないんだよ、ほらここだって君の絵がたくさん飾ってあるだろう? 寝室にも飾ってあるんだよ」
見ると、執務室に私の絵がたくさん飾ってあった。
幼い私の絵や、音楽学院時代の絵も飾られていた。
(あ~定期的に画家のモデルなっていたのはこのためだったのね。……呼んでみようかしら)
「お母様」
「ああ!! 嬉しい!! ベル、我が愛しい娘!! やっとこの手に抱きしめることができたわ!!」
気が付くと、私にきつく抱きしめられていた。
この方に会うのは初めてだったはずなのにどこか懐かしく感じた。
(ああ。不思議だけど落ち着くわ)
お母様が満足するまで抱きしめられると、私たちはソファーに座った。
少し照れくさく感じたが、不思議とその状況を受け入れている自分に驚いた。
「改めて、久しぶりね。サミュ。」
母が、私の隣に座っているサミュエル先生に微笑みかけた。
「お久しぶりです。ずっとお会いしたかったので、お会いできて嬉しいですが、まさか先生が女王陛下だとは知らずに数々のご無礼をお許し下さい」
母の言葉にサミュエル先生は少し顔を赤くすると、困ったように笑った。
「ふふふ。それは、泣きながら『こんなのあなたの音とはほど遠い!! 気休めに褒めるのはやめて下さい』と言われたことかしら? それとも、『もう一度教えて下さい!! もう一度だけ』と何度も私が帰るのを引き留めたことかしら?」
(さ、さすがサミュエル先生……)
「……本当に……その節は、ご迷惑を」
サミュエル先生は赤い顔から青い顔になって頭を下げた。
すると、母がくすくすと笑った。
「ふふふ。でもそんなあなただからこそ、ベルとこの国を任せてもいいかと思ったのよ」
「え?」
「は?」
私とサミュエル先生はほぼ同時に声を上げた。
(国を任せる? あれ? 私……女王陛下の娘ってことは……? え? え? もしかして?)
私はとてつもなくイヤな予感がして、母の顔をじっと見つめた。
「ベル。次の女王になってくれない?」
母はまるで、『お醤油買って来てくれない?』くらいの気軽さでとんでもないことを打診してきた。
「女王とは、私がですか?」
「そうよ」
「無理です」
私は咄嗟に口に出した。
(無理だよ! 無理!! 女王なんか無理だよ?! 私だよ?! ねぇ、私だよ? 無理だよ!!)
私が首を全力で振って拒否をすると、母は「そう」と言ってサミュエル先生の方を見た。
「サミュ。あなたベルを支えて王配になる覚悟はある?」
「え?」
サミュエル先生は突然、話を振られて驚いていた。
「学長を心配しているのであれば、問題ないわ。
今後の音楽芸術学院に相応しく、音楽、美術、演劇すべてに精通している人物が次の学長になるはずよ。サミュは王配として、外部からその人物を支えて学園を発展させてくれたらいいわ」
「は、はぁ」
あの冷静沈着なサミュエル先生がいまだに状況を整理出来ずポカンとしていた。
すると、母はそれはそれは美しく笑った。
「それとも? ベルのことなど愛してもいないから王配になどなりたくない?」
するとサミュエル先生は立ち上がって、大きな声を出した。
「私はもうずっと、何年もベルナデット様を、彼女だけを愛しています!! 心から!! 彼女と共に歩めるのならどんな困難にも立ち向かう覚悟があります!!」
(え……サミュエル先生が、私を愛してる……って、愛してるって言って……)
いつの間にか私の目からは涙が流れていた。
「愛……しているなど……初めて……」
私は隣に立っているサミュエル先生を見上げた。
先生はゆっくりと座ると、私の手を取って泣きながら笑った。
「ずっと、伝えたかった……でも、私には、あなたに相応しい地位も立場もない。
こんな私はあなたに相応しくないと……でも、諦めたくなくて……ずっと考えて……!
でも見つけられなくて……!!
あなたと共に歩めるなのなら、私にできることはなんでもします!!」
私は何も考えずにサミュエル先生のことをただ思っていた。
だが、サミュエル先生は色々考えてくれていたのだ。
「そんな……究極の選択……私が女王になれば、サミュエル先生と結ばれる。
でも私が女王にならなければ、身分差でサミュエル先生と一緒になれないなんて……」
みんなの視線が私に向かった。
(ああ、こんな究極の選択ってある……?)
▶ 女王になる
▶ サミュエル先生をあきらめる
私はサミュエル先生の手をぎゅっと握った。
サミュエル先生は一瞬驚いた後、私の手を握り返してくれた。
そして、私はサミュエル先生の手を握ったまま、正面に座る両親の顔を見た。
「私、女王になります」
「ふふふ。大きな声。本当に元気ね。こんな元気に育ってくれるなんて、本当に感謝だわ」
「あの、女王陛下……」
私が恐る恐る尋ねると、ブリジット女王陛下に不安そうな顔で見つめられた。
「ねぇ、ベル。私のことは母と呼んではもらえないかしら?」
(母……女王陛下を?! 呼んでもいいの??)
私が困惑していると、実父が顔を覗き込んできた。
「ベル、離れていたけど、お母様はベルのことを忘れたことは一度もないんだよ、ほらここだって君の絵がたくさん飾ってあるだろう? 寝室にも飾ってあるんだよ」
見ると、執務室に私の絵がたくさん飾ってあった。
幼い私の絵や、音楽学院時代の絵も飾られていた。
(あ~定期的に画家のモデルなっていたのはこのためだったのね。……呼んでみようかしら)
「お母様」
「ああ!! 嬉しい!! ベル、我が愛しい娘!! やっとこの手に抱きしめることができたわ!!」
気が付くと、私にきつく抱きしめられていた。
この方に会うのは初めてだったはずなのにどこか懐かしく感じた。
(ああ。不思議だけど落ち着くわ)
お母様が満足するまで抱きしめられると、私たちはソファーに座った。
少し照れくさく感じたが、不思議とその状況を受け入れている自分に驚いた。
「改めて、久しぶりね。サミュ。」
母が、私の隣に座っているサミュエル先生に微笑みかけた。
「お久しぶりです。ずっとお会いしたかったので、お会いできて嬉しいですが、まさか先生が女王陛下だとは知らずに数々のご無礼をお許し下さい」
母の言葉にサミュエル先生は少し顔を赤くすると、困ったように笑った。
「ふふふ。それは、泣きながら『こんなのあなたの音とはほど遠い!! 気休めに褒めるのはやめて下さい』と言われたことかしら? それとも、『もう一度教えて下さい!! もう一度だけ』と何度も私が帰るのを引き留めたことかしら?」
(さ、さすがサミュエル先生……)
「……本当に……その節は、ご迷惑を」
サミュエル先生は赤い顔から青い顔になって頭を下げた。
すると、母がくすくすと笑った。
「ふふふ。でもそんなあなただからこそ、ベルとこの国を任せてもいいかと思ったのよ」
「え?」
「は?」
私とサミュエル先生はほぼ同時に声を上げた。
(国を任せる? あれ? 私……女王陛下の娘ってことは……? え? え? もしかして?)
私はとてつもなくイヤな予感がして、母の顔をじっと見つめた。
「ベル。次の女王になってくれない?」
母はまるで、『お醤油買って来てくれない?』くらいの気軽さでとんでもないことを打診してきた。
「女王とは、私がですか?」
「そうよ」
「無理です」
私は咄嗟に口に出した。
(無理だよ! 無理!! 女王なんか無理だよ?! 私だよ?! ねぇ、私だよ? 無理だよ!!)
私が首を全力で振って拒否をすると、母は「そう」と言ってサミュエル先生の方を見た。
「サミュ。あなたベルを支えて王配になる覚悟はある?」
「え?」
サミュエル先生は突然、話を振られて驚いていた。
「学長を心配しているのであれば、問題ないわ。
今後の音楽芸術学院に相応しく、音楽、美術、演劇すべてに精通している人物が次の学長になるはずよ。サミュは王配として、外部からその人物を支えて学園を発展させてくれたらいいわ」
「は、はぁ」
あの冷静沈着なサミュエル先生がいまだに状況を整理出来ずポカンとしていた。
すると、母はそれはそれは美しく笑った。
「それとも? ベルのことなど愛してもいないから王配になどなりたくない?」
するとサミュエル先生は立ち上がって、大きな声を出した。
「私はもうずっと、何年もベルナデット様を、彼女だけを愛しています!! 心から!! 彼女と共に歩めるのならどんな困難にも立ち向かう覚悟があります!!」
(え……サミュエル先生が、私を愛してる……って、愛してるって言って……)
いつの間にか私の目からは涙が流れていた。
「愛……しているなど……初めて……」
私は隣に立っているサミュエル先生を見上げた。
先生はゆっくりと座ると、私の手を取って泣きながら笑った。
「ずっと、伝えたかった……でも、私には、あなたに相応しい地位も立場もない。
こんな私はあなたに相応しくないと……でも、諦めたくなくて……ずっと考えて……!
でも見つけられなくて……!!
あなたと共に歩めるなのなら、私にできることはなんでもします!!」
私は何も考えずにサミュエル先生のことをただ思っていた。
だが、サミュエル先生は色々考えてくれていたのだ。
「そんな……究極の選択……私が女王になれば、サミュエル先生と結ばれる。
でも私が女王にならなければ、身分差でサミュエル先生と一緒になれないなんて……」
みんなの視線が私に向かった。
(ああ、こんな究極の選択ってある……?)
▶ 女王になる
▶ サミュエル先生をあきらめる
私はサミュエル先生の手をぎゅっと握った。
サミュエル先生は一瞬驚いた後、私の手を握り返してくれた。
そして、私はサミュエル先生の手を握ったまま、正面に座る両親の顔を見た。
「私、女王になります」
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