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24 解釈違い?

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クリスとのミーティング・・いや、お茶会の部屋に行くと、クリスはまだ来ていなかった。
昨日のことを報告しようと、わくわくしながらクリスを待っていた。
するとクリスがずかずかと入って来たかと思うと、至近距離に座って、にっこりと笑った。
笑っているはずなのに寒気がする。

(寒気?風邪かな?)

しかも、いつもよりかなり距離が近い。

(どうしたの?もしかして、クリス怒ってる??今日は、会ったばかりよね?私、何か間接的に失礼なことをしたのかしら??)

クリスの怒っている理由がわからず、考えているとクリスがゆっくりと話だした。

「ベル。昨日の休暇・・・城下に行ったのですね?」
「え、ええ。」

(あら?もしかして!事前に報告する必要があったの??でも休暇の予定を報告なんて話あったかしら?)

クリスの怒っている理由を考えていると、クリスの顔が迫ってきた。

「城下の話をしたのは私ですよね?」
「??ええ。そうですね。」

ベルは近づいてくるクリスから少し遠ざかりながら返事をした。

「なぜ、私を誘わないのですか?」
「え?」
「ベルに誘われるだろうと思い、スケジュールを調整できるようにしていたのですよ?」

(ええ~~~!!もしかして、クリスの城下の視察の話って、遠回しな城下へのお誘いだったとか???わかんないよ!そんなのわかったら私はとっくに魔法使いだよ!!)

とにかくこの状況から逃れるために頭をフル稼働させて言い訳を考える。

「あ、いえ。その、クリス様は大変お忙しいだろうと・・。」

だが、そんな言い訳はクリスにはお見通しのようで、さらに怖い笑顔を張り付けて近づいてきた。
私はクリスの前に両手を出して、バリケードを作ったが、その手をクリスにやんわりと握られてしまった。

「私が忙しいなら、エリックだって忙しいですよ?」
「それは・・・。」

(これは・・詰んだわ・・・。これは謝るのが得策ね。)

謝ろうとした瞬間に先程までの作り物の笑顔から、不機嫌な顔になったクリスが口を開いた。

「なんでベルはエリックと城下に行ったんだ?初めての城下だったんだろ?俺と行きたいとは思わなかったのか?それとも俺のことなど思い出しもしなかったのか?」

クリスは切迫詰まったように私の言葉を遮り、加えて言葉遣いも素になっていた。

(ああ・・なるほど。クリスにとって私は仲間だものね。友達から仲間外れにされたと思ったのかな?クリスもまだ8歳だもんね。寂しいよね。)

「クリス様。ごめんなさい。お兄様だけではなくクリス様にも相談すればよかったですね。」

私は素直にクリスに頭を下げた。

「次は・・・」

クリスの言葉に顔を上げて、クリスの言葉を待った。

「次は俺と一緒に出掛けるぞ。」

少し不貞腐れた顔が、いつものクリスより年齢相応に見えて、私はとても嬉しくなって思わず笑ってしまった。

「ふふふ。はい。楽しみです。実は昨日買った小説がとても面白かったので続きが読みたいと思っていたんです。あの小説の続きが発売されたらぜひご一緒してくださいね。」

クリスが先程までの怖い笑顔ではなく、優しい笑顔を見せてくれた。

「ああ。行こう。ところで、その小説はどんな小説なんだ?」
「東の小さな国が舞台なのですが、田舎から出てきたツバキという女の子が、突然雇い主になった成孝様との信頼関係を築いていきながら成長していく話です。」
「なるほど、サクセスストーリーか。面白そうだな。」
「ジャンルとしては恋愛ですね。」
「恋愛?では、その雇い主との恋ということか?」
「私もそうかと思っていたんですが、仕事がどんどんと複雑になってきてとても恋愛という感じでは・・。」
「それ、恋愛物語なのか?だが、そんなに恋愛色が濃くないなら私も読めそうだな。」
「ぜひ!!クリス様も感想聞かせて下さい。」
「ああ。もしかして、ベルが気付いてないだけで、恋愛が進んでそうだけどな・・。」

気が付くと、クリスといつものようにたわいもない話をしていた。

「クリス様、こちらお土産です。」

私はクリスに焼き菓子を差し出した。

「ああ。ベルもあの店に行ったのか。どれがおすすめだ?」
「これと、これは甘さ控え目だそうです。」
「じゃあ、それを。」

クリスへのピアスも買いに行ったが、完成までに数カ月かかると言われたので、今日渡すことは出来なかった。

(ピアスのことは内緒にして、出来上がってからプレゼントしよう。)

先程のクリスの様子を思い出し、少しだけ笑顔になった。

(でも、誘ってもらえなかったのが寂しいって。クリスって普段大人びてるけど、やっぱりまだまだ子供なのね。)

「ベル・・。今、何かよくないことを考えただろ?」

クリスが疲れた顔で溜息を付いた。

「そんなことないですよ?」
「そうか?解釈違いが起きている予感がして頭が痛いんだが。」
「解釈違いですか?」

すると、クリスが急に耳に唇をよせて来た。

(ちょっ!!!近い!!息!!唇、今、耳に当たって・・。え?)

「ベルの初めては全部俺の物だから。」

(きゃ~~唇近い~~無理~~!!)

クリスが満足そうにくすくすと笑っていたが、それにかまっていられる余裕はなかった。
鏡をみた訳ではないがきっと、耳まで真っ赤になっていただろう。
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