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第三章
58 ゲアニブル山脈へ
しおりを挟む「回復薬、こんな必要なかったな……」
ジンバが回復薬の詰まった荷物を抱えながら言った。
「次は、火と風を混ぜます! 行け!!」
「そんなスピードで私に敵うと思っているの?」
目の前では、6属性魔法を習得して、もはや敵なしの魔導士様と、剣技なら騎士にも引けを取らない王女様が、次々に強敵と言われる魔物をなぎ倒している。
「体力回復~~~物理攻撃防御~~ついでに、魔法防御~~~他には何がいる?」
ハレッサーは久しぶりの外の世界が楽しいらしく、前線で敵をなぎ倒しているベルスリータとマイアに過剰なまでの補助魔法や防御魔法をかけまくっている。
「うん。むしろ……俺の出番もないな」
俺は少し離れた場所でジンバの言葉に頷きながら答えた。
ジンバは回復薬を詰めれるだけ詰めて重くなった鞄を背負い直しながら言った。
「ゲアニブル山脈の魔物は強敵だからって、騎士団さえもこの山脈には足を踏み入れずに、遠回りしてカペラを通るルートを選ぶのに……すごいとしか言えないな」
事前にジンバからこのゲアニブル山脈の危険性については聞いていたので、俺も警戒していたし、コルアルも何かあった時のために上空から俺たちを監視しながら飛んでくれている。
ところが蓋を開けてみると……。
『皆様、私この機会に複合魔法も試したいです!! ここは私にお任せを!!』
――マイアはゲアニブル山脈に入って最初の魔物を見た時、目をキラキラさせながら言った。
『私も最近身体が鈍っているから、師匠に会う前に勘を取り戻したいわ!!』
――ベルスリータも、魔物を見た瞬間に叫んだ。
『じゃあさ、じゃあさ、僕も久しぶりに魔法たくさん使いた~~い』
――ハレッサーが、魔物に突撃していくマイアとベルスリータ見て目を輝かせながら言った。
そんな3人を見ながら俺とジンバは手を振って答えのだ。
「いってらっしゃい、気を付けて」
「お願いします」
……そして、今に至る。
マイアとベルスリータが魔物を倒してくれるし、ハレッサーが魔力回復に体力回復に魔法防御、物理防御、そしてもし傷が出来てもすぐに治癒してしまうので、俺とジンバは世間話をしながらただの登山になっていた。
俺も防御を試したかったが、まだ慣れていないので、味方に何かあってもいけないし、何よリベルスリータたちのおかげで俺の出る幕はない。
「ジンバ、そろそろ荷物持とうか?」
俺はずっと重そうな荷物を持っているジンバに手を差し出した。
だが、ジンバはやはり首を振った。
「いや、いいって。自分の荷物くらい自分で持つよ。それにレン君は何かあった時に動かないといけないからな。それよりレン君、お弁当って何?」
「今日は余り物の食材全部使った豪華弁当だよ」
「おお! それは楽しみだな!!」
「景色のいいところで、食べようか!」
「それはいいな!!」
俺とジンバは、すっかりハイキング気分で難所と言われるゲアニブル山脈を歩いたのだった。
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