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第二章
51 作戦終了!
しおりを挟む無事に砦を脱出した俺は、ハレッサーの背中に乗って空を渡って行った。
森の方に落ちたのは不幸中の幸いだった。
コルアルのように大空高く舞うというよりは、風に乗ってゆっくりと下に向かって移動していた。ちなみにハレッサーの背中の上も快適だった。
「ハレッサー、空も飛べるんだな」
「ん~~まぁ、そうだけど、僕が飛ぶには高いところに移動しないといけないからな~~」
なるほど、高いところから低いところへという飛行の原理は、モモンガやムササビと似ているかもしれない。
段々と地面が近付いて来て、俺たちはゆっくりと地面に足を着いた。
「あ~~疲れた。レン。魔力あげる~~はい~~っと」
そう言うと、ハレッサーはまたしても俺の首に巻けるほどの大きさになった。ドクンと心臓が大きく脈を打った。魔力が増えたという感覚がして、手を握りしめていた。そんな俺にハレッサーは両手を伸ばしながら言った。
「レン~~抱っこ」
「うん」
ハレッサーを抱き上げて肩に乗せると、ハレッサーが俺を見ながら興味深そうに言った。
「ねぇ、レン。さっき言ってた僕の弱点って何?」
やはり聖獣には嘘を付けない。
ハレッサーは冗談のような問いかけにしながらも真剣な顔で俺を見ていた。
俺は肩に乗っているハレッサーの耳の下を人差し指で優しく撫でた。
「ふぁ……」
するとハレッサーが気持ち良さそうに目を細めた。
「ハレッサーが俺の肩に乗ってる時、指がここの当たったことがあっただろう? その時気持ちよさそうな顔をしたから、ここを撫でられるのが弱点なのかな~って」
ハレッサーが目を丸くしながら言った。
「え? 弱点ってそういう意味?!」
弱点とは色々な意味がある。もちろん自分の急所や欠点と言った意味もあるが、好きで目がないと言うのも弱点だという言い方をする。俺は今回、好きで目がないという意味で弱点という言葉を使った。
「うん。そう。好きで弱いっていうのは十分に弱点だろ?」
ハレッサーが息を吐いた。
「な~~んだ。そういう弱点ならまぁ、知られてもいいか……気持ちいいし」
ハレッサーは安心したように、俺に撫でられて目を閉じた。
すると、バサバサと羽の音がして、コルアルが迎えに来てくれた。
(レン、ハレッサー無事だったか! お前たちが飛んでいるのを見て追ってきた)
(ありがとう、コルアル)
2人でコルアルに近づくと、コルアルが背中に乗れと身体を屈めてくれた。
俺たちが、コルアルの背中に乗ると、コルアルが大空に舞い上がった。
(レン、もう、戻ってもいいのか?)
(ああ、頼む)
こうして俺たちは、ベルスリータたちの待つ小屋へと戻ったのだった。
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