18 / 86
第二章 霧のかかった未来
17 乗馬大会にて(2)
しおりを挟む
「シャル~~」
笑顔のハンスが、私に手を振りながら歩いて来た。
「ハンス~~!!」
私も手を振り返すと、ハンスが走り出して、私の目の前まで来ると、私の手を取った。
「ねぇ、シャル。どうだった?」
「とても素敵だったわ!!」
これは本心だった。
ハンスは乗馬大会に向けて、本当に努力していた。その努力を知っている私は、ハンスの努力が報われたことが心から嬉しかった。
「本当?! シャルにそう言って貰えると、僕も嬉しいな!! ねぇ、シャル。僕ね、競技が始まる前に、観客席にいるシャルを見つけたんだ」
「え? あんなに離れていたのに?」
私は、ハンスたちの場所から高い位置にある観客席の中段くらいにいたので、ハンスが私を見いたことが驚いた。
「うん。離れていたけど、わかったよ。シャル、両手を合わせて祈るように僕を見てたよね。僕ね、シャルがこんなに祈ってくれてるんだから、絶対に大丈夫だって思ったんだよ。だから、僕が入賞したのはシャルのおかげだよ。ありがとう、シャル」
頑張ったのは、ハンスだ。
だが、ハンスに、そう言って貰えるのは、とても嬉しかった。
「ハンス……。嬉しい」
ハンスの言葉に感動していると、嬉しそうな声が聞こえた。
「ふふふ。旦那様。もう、明日にでも、ハンスとシャルロッテは、夫婦になってもいいんじゃないかしら?」
ハンスのお母様が嬉しそうに微笑みながら言った。
「本当だね~。きっと、ハンスと、シャルロッテ嬢は、互いを支え合う素晴らしい夫婦になるんだろうな~」
ハンスのお父様も嬉しそうに目を細めた。
「もちろん!! シャル、僕、来年も頑張るね!!」
――来年も頑張る。
いいことのはずだ。ハンスには才能がある。
その才能を存分に伸ばすのは、素晴らしいことだ。
――ただ……。
ここ数日、ハンスは乗馬大会があるからと、全ての勉強の時間を削り、乗馬ばかりに時間をつぎ込んだ。
宝石の勉強もせずに、ホフマン伯爵は『後で努力するなら、休むことを認める』とおっしゃっていた。つまり、ハンスは、今後、遅れた分の貴族としての一般的な勉強も、宝石の勉強もすることになる。
史上最年少で乗馬大会入賞という栄誉はそうした、ハンスにとって、とても大切な物を引き換えに得た結果だった。
――それを来年も? 大丈夫かしら?
そんなことを考えている私は、どうしてもハンスに『頑張って』と言えずに、言葉に詰まってしまった。そして、結局「お疲れ様。今日はゆっくり休んでね」ということしか言えなかった。
☆==☆==
乗馬大会が終わり、私はいつものようにホフマン伯爵と2人で宝石の勉強をした。ハンスは、明日には領に帰るご両親との時間を取るために、町にでかけた。私も誘われたが、親子水入らずの時間を邪魔したくなくて断った。
宝石の勉強が終わり、いつも表情を崩さないホフマン伯爵が眉を下げながら呟いた。
「天命と使命……それが同じとなれば良いのにな……」
私は思わず、ホフマン伯爵を見つめた。伯爵の気持ちはまさに私の思っていたことと同じだったのだ。
才能のあるハンスには、才能をどこまでも伸ばしてもらいたいが、ハンスの将来を考えるとハンスの苦手だという宝石の勉強は避けて通ることができない。私は、小さく頷いたのだった。
☆==☆==
帰りの馬車の中で、私は胸にたくさんのトゲが刺さったようで、落ち着かない気分だった。今日はハンスは不在だったので、1人で馬車に乗っていた。それも良くなったのかもしれない。
次から次への不安が浮かんでは消える。
ゲオルグのつらそうな瞳に、何も言えなかった自分。
嬉しそうなハンスに、心から次も頑張ってと言えなかった自分。
グルグルと考えていると、胸が痛くなった。
ガタッ。
「シャルロッテ様。到着致しました」
ピエールの声にできるだけ笑顔で答えた。
「ありがとう」
私がピエールの手を取って、馬車を降りると、ピエールが困った顔をしながら言った。
「きっと、明日はハンス様と一緒にお送り致しますよ」
どうやら、ピエールは、私が1人で帰ることで落ち込んでいると思ったようだ。
やはり、態度に出ていらしい。
「ええ、そうね、心配かけてごめんなさいね、ピエール」
「いえ。それでは、また明日、お迎えに参ります」
「気を付けて」
「ふふふ。ありがとうございます。それでは」
私はピエールを見送ると、玄関の扉を開いた。
すると、凄い顔のエイドが階段から走ってきた。落ちそうで怖い。
「お嬢~~~~~!! 大変ですよ!! 大変です!! ここ数年で1番か2番を争うビックニュースです!!」
一体どうしたのだろうか?
エイドが、階段から落ちそうで、ヒヤヒヤしながら、私はエイドを待った。
「はぁ、はぁ、は~~~~ぁ!!」
エイドは、私の前に来ると、弾んでいた呼吸を整えた。
「どうしたの? エイド?」
私が尋ねると、エイドが目を大きく開けて叫ぶように言った。
「お嬢に、弟か妹ができますよ!!」
「……え?」
「奥様、現在。妊娠3ヵ月だそうです!!!」
弟か妹?
妊娠3ヵ月……。
「えええええ~~~~~!!!」
私はそれを聞いて、お母様の部屋に走っていた。エイドもそんな私の後ろを走ってついてきた。
あまりのことに、私は先程の、モヤモヤした気持ちは吹き飛び、ただ何も考えずに走ったのだった。
笑顔のハンスが、私に手を振りながら歩いて来た。
「ハンス~~!!」
私も手を振り返すと、ハンスが走り出して、私の目の前まで来ると、私の手を取った。
「ねぇ、シャル。どうだった?」
「とても素敵だったわ!!」
これは本心だった。
ハンスは乗馬大会に向けて、本当に努力していた。その努力を知っている私は、ハンスの努力が報われたことが心から嬉しかった。
「本当?! シャルにそう言って貰えると、僕も嬉しいな!! ねぇ、シャル。僕ね、競技が始まる前に、観客席にいるシャルを見つけたんだ」
「え? あんなに離れていたのに?」
私は、ハンスたちの場所から高い位置にある観客席の中段くらいにいたので、ハンスが私を見いたことが驚いた。
「うん。離れていたけど、わかったよ。シャル、両手を合わせて祈るように僕を見てたよね。僕ね、シャルがこんなに祈ってくれてるんだから、絶対に大丈夫だって思ったんだよ。だから、僕が入賞したのはシャルのおかげだよ。ありがとう、シャル」
頑張ったのは、ハンスだ。
だが、ハンスに、そう言って貰えるのは、とても嬉しかった。
「ハンス……。嬉しい」
ハンスの言葉に感動していると、嬉しそうな声が聞こえた。
「ふふふ。旦那様。もう、明日にでも、ハンスとシャルロッテは、夫婦になってもいいんじゃないかしら?」
ハンスのお母様が嬉しそうに微笑みながら言った。
「本当だね~。きっと、ハンスと、シャルロッテ嬢は、互いを支え合う素晴らしい夫婦になるんだろうな~」
ハンスのお父様も嬉しそうに目を細めた。
「もちろん!! シャル、僕、来年も頑張るね!!」
――来年も頑張る。
いいことのはずだ。ハンスには才能がある。
その才能を存分に伸ばすのは、素晴らしいことだ。
――ただ……。
ここ数日、ハンスは乗馬大会があるからと、全ての勉強の時間を削り、乗馬ばかりに時間をつぎ込んだ。
宝石の勉強もせずに、ホフマン伯爵は『後で努力するなら、休むことを認める』とおっしゃっていた。つまり、ハンスは、今後、遅れた分の貴族としての一般的な勉強も、宝石の勉強もすることになる。
史上最年少で乗馬大会入賞という栄誉はそうした、ハンスにとって、とても大切な物を引き換えに得た結果だった。
――それを来年も? 大丈夫かしら?
そんなことを考えている私は、どうしてもハンスに『頑張って』と言えずに、言葉に詰まってしまった。そして、結局「お疲れ様。今日はゆっくり休んでね」ということしか言えなかった。
☆==☆==
乗馬大会が終わり、私はいつものようにホフマン伯爵と2人で宝石の勉強をした。ハンスは、明日には領に帰るご両親との時間を取るために、町にでかけた。私も誘われたが、親子水入らずの時間を邪魔したくなくて断った。
宝石の勉強が終わり、いつも表情を崩さないホフマン伯爵が眉を下げながら呟いた。
「天命と使命……それが同じとなれば良いのにな……」
私は思わず、ホフマン伯爵を見つめた。伯爵の気持ちはまさに私の思っていたことと同じだったのだ。
才能のあるハンスには、才能をどこまでも伸ばしてもらいたいが、ハンスの将来を考えるとハンスの苦手だという宝石の勉強は避けて通ることができない。私は、小さく頷いたのだった。
☆==☆==
帰りの馬車の中で、私は胸にたくさんのトゲが刺さったようで、落ち着かない気分だった。今日はハンスは不在だったので、1人で馬車に乗っていた。それも良くなったのかもしれない。
次から次への不安が浮かんでは消える。
ゲオルグのつらそうな瞳に、何も言えなかった自分。
嬉しそうなハンスに、心から次も頑張ってと言えなかった自分。
グルグルと考えていると、胸が痛くなった。
ガタッ。
「シャルロッテ様。到着致しました」
ピエールの声にできるだけ笑顔で答えた。
「ありがとう」
私がピエールの手を取って、馬車を降りると、ピエールが困った顔をしながら言った。
「きっと、明日はハンス様と一緒にお送り致しますよ」
どうやら、ピエールは、私が1人で帰ることで落ち込んでいると思ったようだ。
やはり、態度に出ていらしい。
「ええ、そうね、心配かけてごめんなさいね、ピエール」
「いえ。それでは、また明日、お迎えに参ります」
「気を付けて」
「ふふふ。ありがとうございます。それでは」
私はピエールを見送ると、玄関の扉を開いた。
すると、凄い顔のエイドが階段から走ってきた。落ちそうで怖い。
「お嬢~~~~~!! 大変ですよ!! 大変です!! ここ数年で1番か2番を争うビックニュースです!!」
一体どうしたのだろうか?
エイドが、階段から落ちそうで、ヒヤヒヤしながら、私はエイドを待った。
「はぁ、はぁ、は~~~~ぁ!!」
エイドは、私の前に来ると、弾んでいた呼吸を整えた。
「どうしたの? エイド?」
私が尋ねると、エイドが目を大きく開けて叫ぶように言った。
「お嬢に、弟か妹ができますよ!!」
「……え?」
「奥様、現在。妊娠3ヵ月だそうです!!!」
弟か妹?
妊娠3ヵ月……。
「えええええ~~~~~!!!」
私はそれを聞いて、お母様の部屋に走っていた。エイドもそんな私の後ろを走ってついてきた。
あまりのことに、私は先程の、モヤモヤした気持ちは吹き飛び、ただ何も考えずに走ったのだった。
75
お気に入りに追加
2,334
あなたにおすすめの小説
あなたの姿をもう追う事はありません
彩華(あやはな)
恋愛
幼馴染で二つ年上のカイルと婚約していたわたしは、彼のために頑張っていた。
王立学園に先に入ってカイルは最初は手紙をくれていたのに、次第に少なくなっていった。二年になってからはまったくこなくなる。でも、信じていた。だから、わたしはわたしなりに頑張っていた。
なのに、彼は恋人を作っていた。わたしは婚約を解消したがらない悪役令嬢?どう言うこと?
わたしはカイルの姿を見て追っていく。
ずっと、ずっと・・・。
でも、もういいのかもしれない。

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。

婚約破棄のその先は
フジ
恋愛
好きで好きでたまらなかった人と婚約した。その人と釣り合うために勉強も社交界も頑張った。
でも、それももう限界。その人には私より大切な幼馴染がいるから。
ごめんなさい、一緒に湖にいこうって約束したのに。もうマリー様と3人で過ごすのは辛いの。
ごめんなさい、まだ貴方に借りた本が読めてないの。だってマリー様が好きだから貸してくれたのよね。
私はマリー様の友人以外で貴方に必要とされているのかしら?
貴方と会うときは必ずマリー様ともご一緒。マリー様は好きよ?でも、2人の時間はどこにあるの?それは我が儘って貴方は言うけど…
もう疲れたわ。ごめんなさい。
完結しました
ありがとうございます!
※番外編を少しずつ書いていきます。その人にまつわるエピソードなので長さが統一されていません。もし、この人の過去が気になる!というのがありましたら、感想にお書きください!なるべくその人の話を中心にかかせていただきます!

前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
【商業化予定のため、時期未定ですが引き下げ予定があります。詳しくは近況ボードをご確認ください】
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています

助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした
Karamimi
恋愛
15歳のフローラは、ドミスティナ王国で平和に暮らしていた。そんなフローラは元公爵令嬢。
約9年半前、フェザー公爵に嵌められ国家反逆罪で家族ともども捕まったフローラ。
必死に無実を訴えるフローラの父親だったが、国王はフローラの父親の言葉を一切聞き入れず、両親と兄を処刑。フローラと2歳年上の姉は、国外追放になった。身一つで放り出された幼い姉妹。特に体の弱かった姉は、寒さと飢えに耐えられず命を落とす。
そんな中1人生き残ったフローラは、運よく近くに住む女性の助けを受け、何とか平民として生活していた。
そんなある日、大けがを負った青年を森の中で見つけたフローラ。家に連れて帰りすぐに医者に診せたおかげで、青年は一命を取り留めたのだが…
「どうして俺を助けた!俺はあの場で死にたかったのに!」
そうフローラを怒鳴りつける青年。そんな青年にフローラは
「あなた様がどんな辛い目に合ったのかは分かりません。でも、せっかく助かったこの命、無駄にしてはいけません!」
そう伝え、大けがをしている青年を献身的に看護するのだった。一緒に生活する中で、いつしか2人の間に、恋心が芽生え始めるのだが…
甘く切ない異世界ラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる