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番外編【NEW!!】
陰謀パニック!!
しおりを挟むガチャン!!
私は持っていたカップをゆっくりと床に落としてしまったようだ。
(力が入らない……)
「キャ~~~~~~~!! キャメロン様~~~!!」
沈みゆく意識の中で大きな声で叫ぶ侍女の声が聞こえた。
+++
~~キャメロンの寝室~~
カツカツカツ!!
足音が近づいてきたかと思った途端、キャメロンの寝室の扉が開け放たれた。
「キャメロンが薬を飲まされただと?!」
「はい……」
医者が神妙な声を出した。
「何を飲まされたんだ?!」
「それが匂いや、残ったお茶から調べてみたところ…………どうやら今、問題になっている自白剤のようです」
「自白剤だと?!」
ディランは目の前が真っ暗になった。
『自白剤』
実はこれは今、貴族の間でかなり問題になっていた。
ずっとおしどり夫婦として有名だった伯爵夫婦が実はお互いに不倫をしていて泥沼の離婚劇になったり、忠誠を誓っていたはずの部下が実は、スパイだったりと、人間関係がこじれて、かなり問題になっているのだ。
もしかしたら粛正した貴族の差し金かもしれない。
そう思うと胸が痛くなった。
ディランは眠るキャメロンの頬を優しく撫でた。
「キャメロン……君の本音が例え、どうであっても私は君を愛するよ……」
ディランはすがりつくようにキャメロンの手を握った。
+++
手に温かさを感じてゆっくりと目を開けるとディラン様と目が合った。
「キャメロン?! 気が付いたか?」
「え? え?
どうしてここに私のディラン様が?!」
「え? 私の? キャメロン!!『ディラン様は王族ですので皆のものです』言っているのに?! 心の中では『私の』だと想ってくれていたのか?!」
「口に出して?! ああ、でもどうしましょう。ディラン様の驚いた顔も最高に可愛くて素敵だわ」
「え? 可愛い? 私が可愛い??? そのようなことも一度も……」
「あれ? また口に出して??
あ~~~艶々の唇が今日も色気に満ち溢れてるわ~~。キスしたいわ。ディラン様の色気が凄すぎる!! 倒れそう!! でも、ディラン様から目をそらしたくないから倒れられな~~~い!!」
私の口からは思っていることが次から次へと溢れてとても止まりそうもない。
意味がわからなくてパニックになっていると、ディラン様が真っ赤になった顔で、首を傾けた。
「キャメロンは……その……私とキスしたいの?」
「もちろんです!! そんなのいつでもしたいです。
一日中したいです!! 欲を言えばず~~~とディラン様にくっついていたいです。
っぎゃぁ~~~~!!
私、何言ってるの??? 本当に何言ってるの??
ああ、でもディラン様が真っ赤になってる!! 可愛い、愛おしい!!最高!!
ああ、もう至高の芸術品だわ!!
美しいのに可愛いなんて!!
神様!! ありがとうございます」
私の口からは信じられないほど恥ずかしい言葉が次から次へと溢れてきた。
すると先程までびっくりして固まっていたディラン様が私のすぐ近くに来て頬に手を伸ばした。
「キスしてもいい?」
「はい!! したいです!! して下さい。ディラン様とのキス気持ちよくて大好きです。
ふぇ~~!!誰か私の口を止めて~~~~」
「そうか、キャメロンは私とのキス気持ちよくて大好きだったんだ……初めて聞いたな……いいよ。私が止めてあげる」
「……ん……はぁ……」
ディラン様の唇が近づいて来て、キスをされた。
確かに話すのは止まった。
止まったのだが……キスがいつもより濃厚で長い!!!
長い長いキスの後にディラン様がゆっくりと唇を離した。
「どう?気持ちよかった?」
「……気持ちよかったです……もっとしたいです」
「え? もっとしてもいいの??」
「したいです!! いつでもキスしたいです。ひぇ~~誰か止めて~~~」
「(これはご褒美なのか? ……自白剤最高だな)いいよ。いっぱいキスしようね」
「はい……ん」
「気持ちいい? キャメロン? 私のこと好き?」
「気持ちいいです~~♡ ディラン様~~~もっとして♡ ディラン様大好きです。愛してます♡
好きすぎてつらいんです。好きです。大好きです♡」
「あ~~~もう、本当に最高~~~~♡♡♡」
そのまま、ディラン様と今まで体験したこともないような濃厚なキスをしたのだった。
+++
「はっ!!」
私は気が付くと、とても恥ずかしい姿でディラン様の隣に寝ていた。
(あああああ~~~~~~~!!
私、昨日ディラン様になんていうことを!!)
昨日の自分を思い出して、私は布団に潜り込みそうになるが、布団にもぐるとそれはそれで恥ずかしい状況だったので、まずは服を着ることにした。
「おはようキャメロン」
「ディラン様?! お、お、おはようごいます」
「いっぱいキスしよう。おいで~~」
「今は、朝なので!! そのようなことは………」
(昨日散々、恥ずかしいことを言って今さらって感じだけれども!!! 恥ずかしすぎる!! ディラン様の記憶を消した~~~~~い~~~~!!!)
「あれ? もう薬の効果切れちゃったの? ……残念だな(また手に入れようかな……)」
「え? 薬?」
ディラン様が起き抜けでも美しい顔を向けてきた。
「そうだよ。キャメロン何者かに自白剤を飲まされていたんだ」
「それって、今問題になっているあの??」
「そう。どうやら、私とキャメロンの仲を裂こうとした者がいるみたいだね。
でも、私たちの場合すっごく深まったね。
全然我慢できなかった。
だ・か・ら、仲を深め過ぎちゃったから結婚式早めようか?」
(あ~~~~~!!!
記憶があるってつらい~~~~!!!
お酒とかだった記憶曖昧なのに~~~~~!!
自白剤バッチリ記憶ある~~~!!
確かに昨日は……。
………………。
……。
……結婚式早めた方がいいかも)
「あ……その……えっと……はい」
「ふふふ。キャメロン。大好きだよ」
「私も大好きです」
そうして私たちは予定よりもかなり早く式を上げることになったが、ディラン様がこんなこともあろうかと裏で結婚式を早める計画を以前から立てていたらしく、かなりスムーズに進んだのが驚きだった。
こんな偶然にも対応できるなんて、やっぱりディラン様はどこまでも優秀な方だと私はまたしても惚れ直したのだった。
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nao様
ありがとうございます。
嬉しいです。
日向ララ様
感想ありがとうございました•͙‧⁺o(⁎˃ᴗ˂⁎)o⁺‧•͙‧⁺
日向ララ様を幸せなお気持ちにできたのなら、これほど嬉しいことはありません。
また、ファンになったなんて、有難いお言葉!
嬉し過ぎます(>᎑<`๑)♡
本当にありがとうございました。
この2人がめちゃくちゃ可愛くて大好きです。
癒されたい時は安心無限大糖度のこの世界に大変お世話になってます(*'∀'*)ゞ
そら豆太様
感想ありがとうございます⁺‧•͙‧⁺‧•͙‧⁺⁺•͙‧⁺o(⁎˃ᴗ˂⁎)o⁺‧•͙‧⁺
そら豆太様の癒しになっていたなんて!!
嬉しくて泣きそうです!!
2人もきっと喜んでいると思います。
全力でイチャイチャしてる2人ですが、今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします(,,>᎑<,,)