折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!

たぬきち25番

文字の大きさ
上 下
7 / 20
本編

7 糖度2 (ほとんど甘さはありません)

しおりを挟む

 困ったことが起きました。
 
 ダンスバトルイベント発生できませんでした……。
 なぜなら、私はディラン様にエスコートをされてダンスパーティーに出席することになったからです。

 そもそもダンスバトルイベントは、ディラン様が主人公をエスコートすることになり、学院のダンスの授業中にディラン様と主人公が練習することになって、今までずっとディラン様のダンスのパートナーを務めていた私ことキャメロンの相手役がいなくなったことが発端で起きたイベントだった。

ーー……ところが!! 

 私のお相手は、ディラン様。
 そして主人公であるナターシャ様のお相手は、ブルーノ様。

 みんな相手がいる。

 みんなハッピー!!

 みんな幸せ。

 なんの問題もありません。
 お互いパートナーとダンスの練習しています。


ーー……そう、バトルのしようがないのです!!


 しかし、私はライバル令嬢。
 これではいけないと思って『ナターシャ様のダンスが見たいですわ』と言ってみたところ、ナターシャ様は『わかりました』と微笑んで、ブルーノ様と踊っている姿を見せてくれた。

 流れるような優美な動きに思わず拍手を送ってしまった。
 きっとこれなら、ご褒美も貰えるだろう。

 ただ、これはダンスバトルか? と聞かれれば10人中9人は違うと答えるかもしれない。

 ナターシャ様とブルーノ様が踊られた後、私がナターシャ様のダンスを褒めちぎっていると、ディラン様が少しだけ拗ねた様子で『私たちだって優美だろ?』とおっしゃって本気ダンスをナターシャ様とブルーノ様に披露したのでこれがバトル(?)だったかな?と思うことにしました!!

 ただ『私たちだって優美だろ?』と拗ねた様子で言ったディラン様は可愛すぎた!!
 いつもは美しくてカッコイイのに、可愛いなんて……。
 ディラン様は本当にどこまで行っても得難い人類の宝だ。
 どうしてこんなに可愛いのだろう? 本当に素敵だ。
 ああ、好きすぎる!! 

「ディラン様がご到着になりました」

 と、私はドレスに着替えて玄関でディラン様のご到着を待ちながら、数日前のことを思い出していた。

 そして今日はいよいよ、ダンスパーティーの日だ。
 今日はディラン様が自宅まで馬車で迎えに来て下さるというので甘えることにした。

「キャメロン、今日も綺麗だね。こんな美しい君の隣に立てるなんて私は幸せ者だな」

 そう言うと、私のおでこにキスをしてくれた。
 こんなに褒められて舞い上がってしまいそうになるが、今の私には舞い上がるヒマはない。
 なぜなら、ディラン様の正装姿が目の前に!!
 普段にお姿もそれはもう素敵だが、正装姿の破壊力は凄まじい。
 美しい!! 神々しい!! ビューティフルだ!!

 身体中の血液がぐるぐると高速で入れ替わっている気がする。
 今、1歳半は確実に身体中の細胞が若返った気がする。
 
「ディラン様こそ!! 鍛えた方でないと似合わないその服をそんなにもさりげなくでも壮麗に着こなし、胸に輝く飾緒より美しく煌めく瞳!! ディラン様の日頃の努力の賜物ですそのお姿その物が芸術品の様ですわ!! 私もディラン様のお傍にいられて幸せです!!」

 私はディラン様の初めてみた正装姿につい熱く語ってしまった。
 するとディラン様が固まっていた。

(しまった!! こんなの怖すぎるよね!! つい暴走してしまった!!)
 
 私がやってしまったという反省していると、小さめの声が聞こえた。

「……ありがとう」

 お顔を見るとディラン様が首まで真っ赤にして、照れた顔をして首を触っていた。
 最近気づいたのだが、ディラン様は困ったり、恥ずかしい時に首を触る癖がある。

「いえ……」

 つられて私まで恥ずかしくなってしまった。しばらく2人でもじもじと視線を彷徨わせた後、ふと目が合った。

「行こうか」

 ディラン様がまだ赤い顔で私に手を差しのべてくれた。

「はい」

 私はディラン様の手を取って馬車に向かった。



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になんかなりません

コイケ
恋愛
これはもはやお約束。転生先は悪役令嬢。 最終闇落ちの死亡確定なんてまっぴらごめん。 なら、私は私の道を行く。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

【完結】溺愛される意味が分かりません!?

もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢 ルルーシュア=メライーブス 王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。 学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。 趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。 有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。 正直、意味が分からない。 さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか? ☆カダール王国シリーズ 短編☆

【完結】夜会で借り物競争をしたら、イケメン王子に借りられました。

櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のセラフィーナには生まれつき前世の記憶があったが、覚えているのはくだらないことばかり。 そのどうでもいい知識が一番重宝されるのが、余興好きの国王が主催する夜会だった。 毎年余興の企画を頼まれるセラフィーナが今回提案したのは、なんと「借り物競争」。 もちろん生まれて初めての借り物競争に参加をする貴族たちだったが、夜会は大いに盛り上がり……。 気付けばセラフィーナはイケメン王太子、アレクシスに借りられて、共にゴールにたどり着いていた。 果たしてアレクシスの引いたカードに書かれていた内容とは? 意味もなく異世界転生したセラフィーナが、特に使命や運命に翻弄されることもなく、王太子と結ばれるお話。 とにかくツッコミどころ満載のゆるい、ハッピーエンドの短編なので、気軽に読んでいただければ嬉しいです。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。 小説家になろう様への投稿時から、タイトルを『借り物(人)競争』からただの『借り物競争』へ変更いたしました。

【完結】サポートキャラって勝手に決めないで!

里音
恋愛
私、リリアナ・モントン。伯爵令嬢やってます。で、私はサポートキャラ?らしい。 幼馴染で自称親友でヒロインのアデリーナ・トリカエッティ伯爵令嬢がいうには… この世界はアデリーナの前世での乙女ゲームとやらの世界と同じで、その世界ではアデリーナはヒロイン。彼女の親友の私リリアナはサポートキャラ。そして悪役令嬢にはこの国の第二王子のサリントン王子の婚約者のマリエッタ・マキナイル侯爵令嬢。 攻略対象は第二王子のサリントン・エンペスト、側近候補のマイケル・ラライバス伯爵家三男、親友のジュード・マキナイル侯爵家嫡男、護衛のカイル・パラサリス伯爵家次男。 ハーレムエンドを目指すと言う自称ヒロインに振り回されるリリアナの日常。 ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 多人数の視点があり、くどく感じるかもしれません。 文字数もばらつきが多いです。

猫かぶり令嬢は王子の愛を望まない

今井ミナト
恋愛
【あざとい系腹黒王子に鈍感干物な猫かぶり令嬢が捕まるまでの物語】 私、エリザベラ・ライーバルは『世界で一番幸せな女の子』のはずだった。 だけど、十歳のお披露目パーティーで前世の記憶――いわゆる干物女子だった自分を思い出してしまう。 難問課題のクリアと、外での猫かぶりを条件に、なんとか今世での干物生活を勝ち取るも、うっかり第三王子の婚約者に収まってしまい……。 いやいや、私は自由に生きたいの。 王子妃も、修道院も私には無理。 ああ、もういっそのこと家出して、庶民として生きたいのに! お願いだから、婚約なんて白紙に戻して! ※小説家になろうにも公開 ※番外編を投稿予定

転生先は推しの婚約者のご令嬢でした

真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。 ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。 ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。 推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。 ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。 けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。 ※「小説家になろう」にも掲載中です

処理中です...