255 / 305
第六章 お飾りの王太子妃、未知の地へ
260 町の外れにて(3)3/3戦闘度1【★☆☆】
しおりを挟む
本日は死神の箱舟の続きです。
少しですが戦闘シーンがあります。
苦手な方はご注意下さい。
戦闘度1【★☆☆】(武器を使っている様子が記述されているが、具体的な攻撃の記載はない)
戦闘度は三段階評価です。
※ラウルの戦闘シーンは戦闘度2【★★☆】(武器を使っている様子が記載され、なおかつ具体的な攻撃の記載はあるが、具体的な損傷などの描写はない)
それでは本編へどうぞ
↓
――――――――――――――――
ラウルが川上で水賊を引き付けていた頃。
「母船に避難しろ!! 急げ!!」
戦えない者たちは彼らがいうところの『母船』と呼ばれる一際大きな船に避難していた。
ラウルを排除しようと戦いに出た者以外の水賊の男性たちは、女性や子供たちの避難に手を貸していた。
彼らの避難は大変手際よく行われ、レイヴィンの想定よりも随分と早い時間で終わったようだった。
そして随分と静かになった陸の集落にヒルマの声が響いていた。
「もう誰もいないかしら?」
ヒルマは逃げ遅れた者たちがいないか、陸地の集落を見て回っていた。
「……何者だ!!」
ヒルマは水賊の男と遭遇し、斬りかかられるが、槍で攻撃をかわす。そのまま、槍を振り上げて水賊の男を地面に倒した。
そして倒れた賊をロープで縛りあげた。
「ふぅ、女性や子供たちは全くいないけれど、男性は結構いるわね……」
ヒルマの通った後には、多くの水賊の男性を倒れていた。
「あの辺りで最後ね、急ぎましょう」
その後、ヒルマが素早く全てを確認を終えた頃、荷台に捕えられた水賊男性を大勢乗せたレイヴィンがやって来た。
「姉上……ご無事ですか? ご無事ですよね!!」
レイヴィンはどこからか見つけて来た荷台にヒルマが倒した者や自分が倒した者たちを乗せていた。
ヒルマはレイヴィンを見ながら言った。
「ふふふ、レイちゃんのその問いかけ懐かしいわ。ええ、私は無事よ。それに避難は無事に終わったみたいよ。慣れているのでしょうね……彼らも……」
きっと彼だって望んでこんな生活をしているわけではない。
国を追われて、生きる場所を無くし、仕方なく水賊となり、誰かから奪うことで大切な人を守りながら生きてきたのだ。
――生き方を選ぶことができない……
恐らく……そんな状況だ。
切なそうな顔をするヒルマを見ながらレイヴィンが眉を下げながら言った。
「ええ……そうでしょうね。ですが、今回の策はそれも見越しての策ですので……彼らの撤退の速さは想定内です。そうでなければ、ラウル副団長の負担になりますので……」
ヒルマは「そうね……」と呟き、空に煙玉を放った。小さめの煙玉なのであまり目立たない。これも必要な作戦の一部だった。
ヒルマは天を見上げた後にレイヴィンを見た。
「さて、そろそろラウル殿の倒した賊の拘束の手伝いに向かいましょうか」
「そうですね」
レイヴィンとヒルマはラウルの元に向かったのだった。
◇
ヒルマが打ち上げた煙玉を見ていたアリスが、避難する人々に紛れながら母船の近くに潜んでいたガルドに言った。
「避難完了したそうですよ」
「わかりました」
そしてアリスは顔を隠すように母船に乗り込んだ。
合図を受けたガルドは、母船に向かって歩いた。
「誰だ?」
「まだ仲間がいたのか!?」
ガルドは無言で、見張りの男たちに剣を抜いたことさえ相手に認識させないままに倒した。
そして悠々と、船に乗り込んだ。船には水賊の男たちも多く乗っていて、ガルドに襲い掛かった。
ガルドは次々に襲い来る水賊を倒して船の中を進む。
「敵襲だ!! 皆、奥の部屋に隠れろ!!」
避難を仕切っていた男が、ガルドの存在を警戒して声を上げると、女性や子供など戦えない者たちはすぐに奥の部屋に移動した。
そして船の中にいる戦えない者たちは敵襲に怯え、皆一つの部屋に固まった。
すでに甲板や廊下などには武器を持った人々しか残っていない。
「計画通りだわ」
アリスは念のために彼らが隠れている部屋を外から封鎖して、戦えない人々が部屋を出て戦いに巻き込まれないようにした。
(みんなしばらくそこにいて……またガルド様の心に傷になっちゃうから……)
これも全てガルドが武器を持たない者を傷つけないための配慮だった。
「これでいいわ」
アリスがドア付近から離れようとした時、後ろから声をかけられた。
「何をしている!! 危ないぞ、早く部屋に入れ……」
アリスは振り向くと、男が剣に手をかけた。
「お前……誰だ?」
「見つかったわね……」
アリスはそう言うと、両方の袖口から暗器を出して、男性に攻撃を仕掛ける。
油断もしていたのか男性はあっさりと倒れた。
アリスはフードを取り、辺りを見回しながら思った。
(ここにはもう誰もいないわね……ガルド様はもう船を制圧したかしら?)
この作戦ではガルドが母船を制圧することがかなり重要な条件だ。
アリスが耳を澄ませるとすでに船内は静まりかえっていた。
(……もう終わったのかしら?)
アリスが辺りを警戒しながらも甲板に出ると、ガルドはすでに船にいた水賊を全て倒していたようだった。
ガルドの周りには縛られた賊が多く倒れていた。
(は、早い。すでにこれだけの賊を倒すだけではなく、捕えているだなんて……)
アリスはガルドの手腕に驚きながらも表情には出さずに冷静に伝えた。
「ガルド様、皆はすでに奥の部屋に集まっております。いいですか?」
アリスが微笑むと、ガルドが胸元から拡声板を取り出し、丸めて困ったように言った。
「わかりました……いつでもどうぞ……」
そしてアリスは空に大きな音の出る光玉を投げた。
――パンッ!! という大きな音と光で、船の周囲にいた者や、ラウルに戦いを挑もうとした者たちの視線が母船に釘付けになる。
「なんだ?」
「どうした!?」
次々に母船に集まって来る賊に向かって、ガルドは甲板から拡声用の板を丸めた物を持って大きな声で叫んだ。
「この船の女性や子供たちは私が預かりました!! 無事に返してほしくば、武器を捨て投降しなさい!!」
ガルドのよく通るいい声が周囲に響いた。
「はぁ……ガルド様の低い声ゾクゾクする……悪役のガルド様も素敵……」
アリスは恍惚しながらガルドの声に浸っていた。
水賊たちの反応は、レイヴィンの予想通り真っ二つだった。
「母船の見張りを全て倒したのか……?」
「人質だと!? 妻と子供が……」
「くっ!! 姑息な真似を……絶対に子供には手を出すな!!」
ガルドの声に剣を手放し膝を着く者。
だが、一方でいきり立つ者たちもいた。
「橋の男は囮だったのか!!」
「戦えない者を人質にするなんて!! なんて卑怯だ!! 絶対に息の根の止めてくれる!!」
「ああ!! 卑怯者を許すな!!」
ラウルに攻撃を仕掛けようとしていた者たち数人が、ガルドのいる船に向かって走り出した。
そんな彼らの前に槍が降り下ろされた。
彼らの目の前には、真っ赤に燃える髪の背の高い影と背の低い影が立ち塞がった。
そして槍を構えた方の人物が野獣のようになった男たちを真っすぐに見据えた。
「……人質がいるとわかっているにもかかわらず、向かって行くのですか? もしそれで戦に関係ない者が命を落としたらどうするのです? 冷静に相手を見て判断なさい、もしも皆殺しにするつもりなら、このような危険な囮な作戦など使わずに火計ですでに八つ裂きにしています」
ヒルマそう言って叫ぶと、男たちが声を上げた。
「どけ!!」
するとヒルマに向かって叫んだ男たちに、剣を抜いたレイヴィンによって鉄槌が下された。
「頭を冷やせ、それに……女性に向かって『どけ』など、紳士として……聞くに堪えない」
倒れた男たちを見た他の者は、先ほどまで剣を向けていたラウルを見ながら言った。
「俺たちが投降すれば、船の者たちには手を出さないのか?」
ヒルマが通訳をすると、ラウルは先ほどまでの鬼神のような顔から柔らかな顔で答えた。
「ええ。もちろんです」
「そうか……」
言葉ではなく、ラウルの顔の動きと表情の変化に毒気を抜かれた水賊たちは次々に剣を手放した。
そして無抵抗になった男たちをレイヴィンが拘束しながらラウルを見ながら言った。
「副団長もご無事なようですね……」
レイヴィンと同じように投降して来た者を拘束していたラウルも頷いたのだった。
「ええ、レイヴィン殿の策のおかげで随分と分散していたようです」
そういうラウルの前にはすでに五十以上の者が倒れていた。
レイヴィンが口角を上げながら呟くように言った。
「それにしても……声は相変わらずよく通って狙い通りですが、随分と棒読みでしたね~~~」
ラウルも口角を上げながら言った。
「……確かに」
たった4人で制圧した水賊の規模は……戦う者がおよそ130人、戦えない者がおよそ100人で200人を超える大所帯だった。
多くの人間を生かすために略奪する範囲も規模も大きかったのだ。
こうしてスカーピリナ国の軍師レイヴィンの策により死傷者及び重傷者はなく、カルンの町を脅かしていた水賊全員の拘束に成功したのだった。
――――――――――――――――
次回更新は11月14日(木)です☆
※戦闘シーンについてたくさんのご意見を頂き感無量です。
本当にありがとうございます!!
解決策1 戦闘シーン有無しの二種類を掲載してはどうか
解決策2 戦闘シーンと書いてあるだけで充分ではないか
解決策3 これまで通り分けて書くのが適切
解決策4 戦闘シーンの度合いを設けてはどうか
など、本当にたくさんの改善策を頂きましたことに深く感謝いたします。
読者の方、クリエイティブな方が多くて本当に勉強になります!!
解決策1については、今後『戦闘シーンをたっぷりお届けしたい!!』という時に取り入れようと思います!!
解決策2・3についてはおおむね現状維持という意見だと受け取りました。
もし違ったらすみません……(汗)
解決策1~3は状況を見てどれを使うか考えてお届けしたいと思います!
(>᎑<`๑)♡
解決策4については、本当に目からウロコでした。
戦闘シーンの度合い……本日から試験的に導入してみました♪
いかかでしょうか?
本当に貴重なご意見や戦闘シーンに対する熱い想い、ありがとうございました!!
( ´,,•ω•,,)_旦~~
たぬきち25番
少しですが戦闘シーンがあります。
苦手な方はご注意下さい。
戦闘度1【★☆☆】(武器を使っている様子が記述されているが、具体的な攻撃の記載はない)
戦闘度は三段階評価です。
※ラウルの戦闘シーンは戦闘度2【★★☆】(武器を使っている様子が記載され、なおかつ具体的な攻撃の記載はあるが、具体的な損傷などの描写はない)
それでは本編へどうぞ
↓
――――――――――――――――
ラウルが川上で水賊を引き付けていた頃。
「母船に避難しろ!! 急げ!!」
戦えない者たちは彼らがいうところの『母船』と呼ばれる一際大きな船に避難していた。
ラウルを排除しようと戦いに出た者以外の水賊の男性たちは、女性や子供たちの避難に手を貸していた。
彼らの避難は大変手際よく行われ、レイヴィンの想定よりも随分と早い時間で終わったようだった。
そして随分と静かになった陸の集落にヒルマの声が響いていた。
「もう誰もいないかしら?」
ヒルマは逃げ遅れた者たちがいないか、陸地の集落を見て回っていた。
「……何者だ!!」
ヒルマは水賊の男と遭遇し、斬りかかられるが、槍で攻撃をかわす。そのまま、槍を振り上げて水賊の男を地面に倒した。
そして倒れた賊をロープで縛りあげた。
「ふぅ、女性や子供たちは全くいないけれど、男性は結構いるわね……」
ヒルマの通った後には、多くの水賊の男性を倒れていた。
「あの辺りで最後ね、急ぎましょう」
その後、ヒルマが素早く全てを確認を終えた頃、荷台に捕えられた水賊男性を大勢乗せたレイヴィンがやって来た。
「姉上……ご無事ですか? ご無事ですよね!!」
レイヴィンはどこからか見つけて来た荷台にヒルマが倒した者や自分が倒した者たちを乗せていた。
ヒルマはレイヴィンを見ながら言った。
「ふふふ、レイちゃんのその問いかけ懐かしいわ。ええ、私は無事よ。それに避難は無事に終わったみたいよ。慣れているのでしょうね……彼らも……」
きっと彼だって望んでこんな生活をしているわけではない。
国を追われて、生きる場所を無くし、仕方なく水賊となり、誰かから奪うことで大切な人を守りながら生きてきたのだ。
――生き方を選ぶことができない……
恐らく……そんな状況だ。
切なそうな顔をするヒルマを見ながらレイヴィンが眉を下げながら言った。
「ええ……そうでしょうね。ですが、今回の策はそれも見越しての策ですので……彼らの撤退の速さは想定内です。そうでなければ、ラウル副団長の負担になりますので……」
ヒルマは「そうね……」と呟き、空に煙玉を放った。小さめの煙玉なのであまり目立たない。これも必要な作戦の一部だった。
ヒルマは天を見上げた後にレイヴィンを見た。
「さて、そろそろラウル殿の倒した賊の拘束の手伝いに向かいましょうか」
「そうですね」
レイヴィンとヒルマはラウルの元に向かったのだった。
◇
ヒルマが打ち上げた煙玉を見ていたアリスが、避難する人々に紛れながら母船の近くに潜んでいたガルドに言った。
「避難完了したそうですよ」
「わかりました」
そしてアリスは顔を隠すように母船に乗り込んだ。
合図を受けたガルドは、母船に向かって歩いた。
「誰だ?」
「まだ仲間がいたのか!?」
ガルドは無言で、見張りの男たちに剣を抜いたことさえ相手に認識させないままに倒した。
そして悠々と、船に乗り込んだ。船には水賊の男たちも多く乗っていて、ガルドに襲い掛かった。
ガルドは次々に襲い来る水賊を倒して船の中を進む。
「敵襲だ!! 皆、奥の部屋に隠れろ!!」
避難を仕切っていた男が、ガルドの存在を警戒して声を上げると、女性や子供など戦えない者たちはすぐに奥の部屋に移動した。
そして船の中にいる戦えない者たちは敵襲に怯え、皆一つの部屋に固まった。
すでに甲板や廊下などには武器を持った人々しか残っていない。
「計画通りだわ」
アリスは念のために彼らが隠れている部屋を外から封鎖して、戦えない人々が部屋を出て戦いに巻き込まれないようにした。
(みんなしばらくそこにいて……またガルド様の心に傷になっちゃうから……)
これも全てガルドが武器を持たない者を傷つけないための配慮だった。
「これでいいわ」
アリスがドア付近から離れようとした時、後ろから声をかけられた。
「何をしている!! 危ないぞ、早く部屋に入れ……」
アリスは振り向くと、男が剣に手をかけた。
「お前……誰だ?」
「見つかったわね……」
アリスはそう言うと、両方の袖口から暗器を出して、男性に攻撃を仕掛ける。
油断もしていたのか男性はあっさりと倒れた。
アリスはフードを取り、辺りを見回しながら思った。
(ここにはもう誰もいないわね……ガルド様はもう船を制圧したかしら?)
この作戦ではガルドが母船を制圧することがかなり重要な条件だ。
アリスが耳を澄ませるとすでに船内は静まりかえっていた。
(……もう終わったのかしら?)
アリスが辺りを警戒しながらも甲板に出ると、ガルドはすでに船にいた水賊を全て倒していたようだった。
ガルドの周りには縛られた賊が多く倒れていた。
(は、早い。すでにこれだけの賊を倒すだけではなく、捕えているだなんて……)
アリスはガルドの手腕に驚きながらも表情には出さずに冷静に伝えた。
「ガルド様、皆はすでに奥の部屋に集まっております。いいですか?」
アリスが微笑むと、ガルドが胸元から拡声板を取り出し、丸めて困ったように言った。
「わかりました……いつでもどうぞ……」
そしてアリスは空に大きな音の出る光玉を投げた。
――パンッ!! という大きな音と光で、船の周囲にいた者や、ラウルに戦いを挑もうとした者たちの視線が母船に釘付けになる。
「なんだ?」
「どうした!?」
次々に母船に集まって来る賊に向かって、ガルドは甲板から拡声用の板を丸めた物を持って大きな声で叫んだ。
「この船の女性や子供たちは私が預かりました!! 無事に返してほしくば、武器を捨て投降しなさい!!」
ガルドのよく通るいい声が周囲に響いた。
「はぁ……ガルド様の低い声ゾクゾクする……悪役のガルド様も素敵……」
アリスは恍惚しながらガルドの声に浸っていた。
水賊たちの反応は、レイヴィンの予想通り真っ二つだった。
「母船の見張りを全て倒したのか……?」
「人質だと!? 妻と子供が……」
「くっ!! 姑息な真似を……絶対に子供には手を出すな!!」
ガルドの声に剣を手放し膝を着く者。
だが、一方でいきり立つ者たちもいた。
「橋の男は囮だったのか!!」
「戦えない者を人質にするなんて!! なんて卑怯だ!! 絶対に息の根の止めてくれる!!」
「ああ!! 卑怯者を許すな!!」
ラウルに攻撃を仕掛けようとしていた者たち数人が、ガルドのいる船に向かって走り出した。
そんな彼らの前に槍が降り下ろされた。
彼らの目の前には、真っ赤に燃える髪の背の高い影と背の低い影が立ち塞がった。
そして槍を構えた方の人物が野獣のようになった男たちを真っすぐに見据えた。
「……人質がいるとわかっているにもかかわらず、向かって行くのですか? もしそれで戦に関係ない者が命を落としたらどうするのです? 冷静に相手を見て判断なさい、もしも皆殺しにするつもりなら、このような危険な囮な作戦など使わずに火計ですでに八つ裂きにしています」
ヒルマそう言って叫ぶと、男たちが声を上げた。
「どけ!!」
するとヒルマに向かって叫んだ男たちに、剣を抜いたレイヴィンによって鉄槌が下された。
「頭を冷やせ、それに……女性に向かって『どけ』など、紳士として……聞くに堪えない」
倒れた男たちを見た他の者は、先ほどまで剣を向けていたラウルを見ながら言った。
「俺たちが投降すれば、船の者たちには手を出さないのか?」
ヒルマが通訳をすると、ラウルは先ほどまでの鬼神のような顔から柔らかな顔で答えた。
「ええ。もちろんです」
「そうか……」
言葉ではなく、ラウルの顔の動きと表情の変化に毒気を抜かれた水賊たちは次々に剣を手放した。
そして無抵抗になった男たちをレイヴィンが拘束しながらラウルを見ながら言った。
「副団長もご無事なようですね……」
レイヴィンと同じように投降して来た者を拘束していたラウルも頷いたのだった。
「ええ、レイヴィン殿の策のおかげで随分と分散していたようです」
そういうラウルの前にはすでに五十以上の者が倒れていた。
レイヴィンが口角を上げながら呟くように言った。
「それにしても……声は相変わらずよく通って狙い通りですが、随分と棒読みでしたね~~~」
ラウルも口角を上げながら言った。
「……確かに」
たった4人で制圧した水賊の規模は……戦う者がおよそ130人、戦えない者がおよそ100人で200人を超える大所帯だった。
多くの人間を生かすために略奪する範囲も規模も大きかったのだ。
こうしてスカーピリナ国の軍師レイヴィンの策により死傷者及び重傷者はなく、カルンの町を脅かしていた水賊全員の拘束に成功したのだった。
――――――――――――――――
次回更新は11月14日(木)です☆
※戦闘シーンについてたくさんのご意見を頂き感無量です。
本当にありがとうございます!!
解決策1 戦闘シーン有無しの二種類を掲載してはどうか
解決策2 戦闘シーンと書いてあるだけで充分ではないか
解決策3 これまで通り分けて書くのが適切
解決策4 戦闘シーンの度合いを設けてはどうか
など、本当にたくさんの改善策を頂きましたことに深く感謝いたします。
読者の方、クリエイティブな方が多くて本当に勉強になります!!
解決策1については、今後『戦闘シーンをたっぷりお届けしたい!!』という時に取り入れようと思います!!
解決策2・3についてはおおむね現状維持という意見だと受け取りました。
もし違ったらすみません……(汗)
解決策1~3は状況を見てどれを使うか考えてお届けしたいと思います!
(>᎑<`๑)♡
解決策4については、本当に目からウロコでした。
戦闘シーンの度合い……本日から試験的に導入してみました♪
いかかでしょうか?
本当に貴重なご意見や戦闘シーンに対する熱い想い、ありがとうございました!!
( ´,,•ω•,,)_旦~~
たぬきち25番
1,063
お気に入りに追加
9,052
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したようですが、前世の記憶が戻り意識がはっきりしたのでセオリー通りに行こうと思います
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したのでとりあえずセオリー通り悪役ルートは回避する方向で。あとはなるようになれ、なお話。
ご都合主義の書きたいところだけ書き殴ったやつ。
小説家になろう様にも投稿しています。
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと時分の正体が明らかに。
普通に恋愛して幸せな毎日を送りたい!
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
順番を待たなくなった側室と、順番を待つようになった皇帝のお話 〜陛下!どうか私のことは思い出さないで〜
白猫
恋愛
主人公のレーナマリアは、西の小国エルトネイル王国の第1王女。エルトネイル王国の国王であるレーナマリアの父は、アヴァンジェル帝国との争いを避けるため、皇帝ルクスフィードの元へ娘を側室として差し出すことにした。「側室なら食べるに困るわけでもないし、痛ぶられるわけでもないわ!」と特別な悲観もせず帝国へ渡ったレーナマリアだが、到着してすぐに己の甘さに気付かされることになる。皇帝ルクスフィードには、既に49人もの側室がいたのだ。自分が50番目の側室であると知ったレーナマリアは呆然としたが、「自分で変えられる状況でもないのだから、悩んでも仕方ないわ!」と今度は割り切る。明るい性格で毎日を楽しくぐうたらに過ごしていくが、ある日…側室たちが期待する皇帝との「閨の儀」の話を聞いてしまう。レーナマリアは、すっかり忘れていた皇帝の存在と、その皇帝と男女として交わることへの想像以上の拒絶感に苛まれ…そんな「望んでもいない順番待ちの列」に加わる気はない!と宣言すると、すぐに自分の人生のために生きる道を模索し始める。そして月日が流れ…いつの日か、逆に皇帝が彼女の列に並ぶことになってしまったのだ。立場逆転の恋愛劇、はたして二人は結ばれるのか?
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
アリーチェ・オランジュ夫人の幸せな政略結婚
里見しおん
恋愛
「私のジーナにした仕打ち、許し難い! 婚約破棄だ!」
なーんて抜かしやがった婚約者様と、本日結婚しました。
アリーチェ・オランジュ夫人の結婚生活のお話。
愛のない結婚を後悔しても遅い
空橋彩
恋愛
「僕は君を望んでいない。環境が整い次第離縁させてもらうつもりだ。余計なことはしないで、大人しく控えて過ごしてほしい。」
病弱な妹の代わりに受けた縁談で嫁いだ先の公爵家は、優秀な文官を輩出している名門だった。
その中でも、近年稀に見る天才、シリル・トラティリアの元へ嫁ぐことになった。
勉強ができるだけで、人の心のわからないシリル・トラティリア冷たく心無い態度ばかりをとる。
そんな彼の心を溶かしていく…
なんて都合のいいことあるわけがない。
そうですか、そうきますか。
やられたらやり返す、それが私シーラ・ブライトン。妹は優しく穏やかだが、私はそうじゃない。そっちがその気ならこちらもやらせていただきます。
トラティリア公爵は妹が優しーく穏やかーに息子を立て直してくれると思っていたようですが、甘いですね。
は?準備が整わない?しりません。
は?私の力が必要?しりません。
お金がない?働きなさい。
子どもおじさんのシリル・トラティリアを改心させたい両親から頼みこまれたとも知らない旦那様を、いい男に育て上げます。
何でもするって言うと思いました?
糸雨つむぎ
恋愛
ここ(牢屋)を出たければ、何でもするって言うと思いました?
王立学園の卒業式で、第1王子クリストフに婚約破棄を告げられた、'完璧な淑女’と謳われる公爵令嬢レティシア。王子の愛する男爵令嬢ミシェルを虐げたという身に覚えのない罪を突き付けられ、当然否定するも平民用の牢屋に押し込められる。突然起きた断罪の夜から3日後、随分ぼろぼろになった様子の殿下がやってきて…?
※他サイトにも掲載しています。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。