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第五章 チームお飾りの王太子妃集結、因縁の地にて

【番外編】ファンタジー小説大賞受賞感謝SS part1

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 皆様、ファンタジー小説大賞での投票&応援本当にありがとうございました。
 そしていつも読んで下さってありがとうございます!!
 お礼が大変遅くなってしまいましたが……。
 (気が付けば約1年!! 船に乗るタイミングを待っていたら、こんなことに!!)
 長くなってしまったので大変申し訳ございませんが、part1・part2・part3と三回連続でお届けいたしますことをどうか、どうかお許し下さい。
 

【番外編】ファンタジー小説大賞大賞受賞感謝ShortStory

 タイトル《さぁ。何しようかな……?》

 ↓
 ↓
 ↓
 スタートです!


――――――――――――――――




穏やかな午後、私はイドレ国の文化や言葉について学んでいた。

「クローディア様、そろそろ休憩になさいませんか?」

 時計を見ると随分と時が経っていた。

「そうね」

 私が顔を上げると、リリアが口を開いた。

「クローディア様、今日は風も穏やかで、日差しも柔らくて甲板は気持ちいいと思いますよ。もし行かれるのであればお供いたします」

 リリアに甲板をすすめられた。
 確かに外の空気を吸うのも気分転換になりそうだ。
 すると今度はアリスが口を開いた。

「クローディア様、サフィール閣下からの頂いたお土産もございますし、お部屋でお菓子パーティーなどいかがですか? ご用意いたします」

 そういえば、ダラパイス国のおみやげだと言ってサフィールにたくさんのお菓子をもらった。
 ずっと忙しくて食べる余裕がなかったが、今ならのんびりと堪能できそうだ。
 二人の後にアドラーが口を開いた。

「クローディア様はクイーンイザベラ号の内部を見て回りたいとおっしゃっていましたよね? 今ならよろしいのではないですか?」

 そうそう、こんなに大きな船だ。隅々まで探検したいと思っていたのだ。


 甲板で気分転換か、部屋でお菓子パーティーか、船内探検か……
 どうしようかな……?





――・――・――・――・――・――


●《甲板へ出て気分転換しようかな……?》

●《お菓子パーティーしようかな……?》

●《船の中を探検しようかな……?》


――・――・――・――・――・――












 この物語は選択形式になっております。
 船の中の束の間の休息……さぁ、あなたならどうやって過ごしますか?

《甲板へ出て気分転換しようかな……?》
を選んだあなたはこのまま下へどうぞ!!

《お菓子パーティーしようかな……?》
を選んだあなた……大変申し訳ございません。次回をお待ちください。

《船の中を探検しようかな……?》
を選んだあなた……大変申し訳ございません。次々回をお待ちください。







決まりましたか?
――・――・――・――・――・――




それでは、まず初めに
●《甲板へ出て気分転換しようかな……?》
を選んだあなた!!





スタートです!!
――・――・――・――・――・――


「甲板へ出て気分転換しようかな」

 私はリリアを見ながら言った。
 船室から見える窓の外はとてもいい天気だ。
 今日は風も穏やかなので、船も安定してると聞いた。

「それでは、早速甲板へ向かいましょうか、お供いたします」
「ええ」

 私は、リリアと護衛の兵士と共に甲板へ向かった。

「うわ~~潮の香がする……それに風が気持ちいい……」

 私は大きく伸びをした。
 そういえば、こんなにのんんびりと青空の下に出ることもなかった。
 これまでずっと馬車移動か、屋敷の中にいることが多かったのだ。

「本当に、気持ちいいですね」

 リリアが私を見ながら微笑んだ。リリアの笑顔も普段より柔らかい気がした。

「クローディア、何かあったのか?」

 名前を呼ばれて振り向くと、上半身裸のレオンが立っていた。

「レオン、ただ気分転換をしようと思っただけよ」
「ああ、それはいいな。俺も少し休むか」

 そう言って首元から流れ落ちる汗を布で拭った。

 レオンは、身体が大きく背が高いので普段から大きいな~とは思っていたが、鋼のような鍛えられた身体はまるで彫刻のようにたくましく、思わずじっと見てしまった。
 また、無造作にかきあげた髪から汗が流れ落ちる姿が完成された芸術品を見ているようで、とても絵画的だった。

「レオンって、脱いだら凄いのね……」

 思わずレオンの身体の感想を伝えると、レオンは「ああ。女性の前で悪かったな」と言って、軽く布で身体を拭くと、ラフなシャツを羽織った。
 そして困ったように言った。

「いや、服を着ていないのにクローディアに声をかけた俺も悪かったが……その……もっと恥じらいというか、警戒心を持った方がいいぞ……上半身裸の男に声をかけられたら、悲鳴を上げてもいいくらいだ」

 警戒心……

 訓練をしていたであろうことは一目瞭然で、レオンがこんな場所で私に危害を加えるというのも考えられなかったので、ぼんやりとレオンの鍛えられた身体に魅入ってしまっていた。
 なるほど、淑女というのは上半身裸の男性を見たら悲鳴を上げてでも距離を取る……次は気をつけよう。

「侍女殿も一言、『服を着ろ』と忠告してくれ」

 レオンの言葉に、リリアは頭を下げた後に言った。

「気が回らずに大変申し訳ございませんでした。ところでレオン殿下のその鋼のような腕や、胸の厚みは普通の訓練ではなく、あの大剣のおかげなのだろうか、考えておりました。レオン殿下の身体を見たところ、あの大剣は縦ではなく横に振って使うのですね?」

 凄い、リリア。あんな一瞬でそんなところまで見ていたんだ……。でもやっぱりリリアも私と一緒でじっと見てたんだね……もしかしたら、わたしより真剣に見てたかも?

 リリアの言葉にレオンは目を大きく開けながら答えた。

「身体を見られただけで、俺の剣のくせまでわかるのか……さすがクローディアの侍女だ。主を守るために、厳しい訓練を受けているのだな。ハイマの侍女の基準は随分と高いのだな……」

 あ、レオン。たぶんリリアだけだと思うよ?

 誤解を解こうか、どうしようかと考えているふと、普段レオンが使っている大剣が見えた。

「あ、もしかしてレオン。大剣で素振りしてたの?」

 私が尋ねると、レオンが少し慌てて言った。

「いや、こいつは船では振れないんだ。こいつの一番の特徴は『風斬り』って言って、風圧で少し離れた相手を吹き飛ばすところだ。実際に打ち身になるほどの威力がある。だから侍女殿の言う通り普段は剣を横に振って広範囲の攻撃に使う」
「へぇ~~。離れた相手を広範囲に攻撃……あ、もしかして素振りで船が壊れる……とか?」
「ああ。壊れるな。だから樽に砂を入れて訓練用に持ち込んだ。それを自由自在に操れるように訓練していた」

 私はレオンの近くにあった酒樽を見た。
 正直、あれだけでも重いのにさらに砂まで……

「まぁ、ちょっと見て行けよ」

 レオンは二つの酒樽を軽々と持ち上げると、大道芸のお手玉のように酒樽を空に放り投げてキャッチした。
 凄い……こんなことができるの??

「どうだ?」

 レオンが酒樽を置くと私だけではなくリリアも拍手した。

「凄いわ!!」
「確かに、あの大剣を最大限に生かすにはこれほどの身体能力が必要なのですね……軍神と呼ばれる所以がわかりました」

 レオンがにこっと笑ったので、私は思わず呟いた。

「レオンって努力家なのね……」

 見るからに重そうな酒樽を見ながら呟くと、レオンが笑いながら言った。

「まぁ、守りたい人がいるからな。その人は国を奪還してみたり、敵国の機密を暴いてみたり……女狐に乗っ取られた国を救ってみたり……敵国に乗り込もうとしていたり……本当に、何に巻き込まれるかわらないからな」

 う……それって、もしかして私のこと……?

 申し訳なくて顔を下げていると、レオンが優しい声で言った。

「なぁ、クローディア。俺の見ている世界を見てみるか?」
「え?」

 レオンにそう言われて、私は訳もわかないまま頷くと、レオンに抱き上げられた。
 そして、私のすぐ近くにレオンの顔があった。
 いつも見上げているレオンの顔を正面から見ることはほとんどない。

「どうだ? 俺の目線で見る世界は?」

 私は、辺りを見回しながら答えた。

「凄いわ。船室の方の甲板の様子までわかるのね、それにいつも見えない木箱の中が見えるのも不思議な気分よ」

 少し興奮気味に答えるとレオンが目を細めながら言った。

「少し目線を変えただけで見える世界は変わるんだ。俺は俺の見える景色でしか、手を貸せない。だが、クローディアの見えてない物を見ることができるかもしれない。だから……困ったら遠慮なく、俺に頼れよ」

 そう言って、レオンは私の頬に、一瞬触れるだけのキスをした。
 レオンにキスをされたことに動揺していたが、きっとレオンにとってはこれはあいさつだ。

 私は照れる気持ちを抑えながらも、レオンを見ながら言った。

「もう頼っているわ、これからもよろしくね」
「ああ!!」

 私は青空の下、レオンの笑顔をすぐ近くで見ながら笑ったのだった。




――――――――――――

◎レオンエピソートをお届けしました!!

―――――――――――― 


 





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次回更新は8月27日(火)です☆







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