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第三章 チームお飾りの王太子妃、隣国奪還

お気に入り4000感謝SS

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※こちらは本編ではありません。
皆様への感謝を込めた番外編になりますので、気になる方だけお読み頂けると有難いです。



――舞台は、ベルン国の王太子に招待された夕食会。
本編ではさらりと流されてしまったパーティーですが……クローディアはみんなとも仲良く過ごしていたのでした。


【お気に入り4000感謝SS】

 アドラー&レオン『特権行使』






どうぞ……。

――――――――――――


 食事が終わり、デザートを選ぶために席を立とうとすると、アドラーが手を差し伸べてくれた。

「クローディア様。お手をどうぞ」

 私はアドラーを見て微笑むと「ありがとう」と言って席を立った。アドラーに「本日のお料理で気になるものはございました?」と聞かれたので、「パイに包まれた白身魚の料理、濃厚なソースと白身魚のさっぱりさがクセになりそうで、とても美味しかったわ」と返すと、アドラーは「そうですか、では今後似たような料理がありましたら、手配いたします」と微笑んでくれた。私はアドラーに「いつもありがとう」と言って笑い合っていた。
 アドラーとはいつもこうして食事後に限らずに、何気ない会話をしているので、私もいつも通り自然に答えていた。
 するとレオンが近付いて来て、私の頭を撫でまわしながらスカーピリナ国の言葉で言った。

『おい、クローディア。ずっと思っていたのだが、側近との距離が近くないか?』

 確かに今は、エスコートをして貰ったので、距離は近い。だが、令嬢が側近にエスコートをしてもらうのはおかしなことではないと思うのだが……。
 それに、何かあるとすぐに私の髪を撫でまわすのはいかがなものだろうか?

 私はレオンに向かってスカーピリナ国の言葉で答えた。

『エスコートをして貰っているのだから、このくらいの距離は普通じゃない? ドレスを着て椅子から立ち上がる時、テーブルが前にあると地味に大変なのよ?』

 私はとても真面目に答えたのだが、その答えを聞いたレオンが、眉を寄せ呆れたように言った。

『……クローディア、とぼけているのか? 俺は側近とのが近いと言ったわけではない。が近いと言ったのだ。側近が主をエスコートして、身体的な距離が近いなどと、意味のわからないことを言う訳がないだろう?!』

 えええ~~?
 さっきのレオンの言い方で、咄嗟に精神的な距離、つまり、心の距離が近いって意味に取れる人ってそんなにいる?!
 どう考えても、物理的な距離って意味でしょう~~??
 それとも私がおかしいの??
 普通わかるの??

 私がレオンの言葉に釈然としない思いを抱いていると、レオンが私の腰を抱き寄せて笑いながら言った。

『身体的な距離が近いとはこのくらいだ……』

 なるほど、これはかなり近い。だからって実践する必要はなかったのだが……。

 私がレオンの腕の中から抜け出そうとすると、アドラーが手品のようにふわりと私を抱き寄せて、レオンの腕の中から逃がすと、レオンを見て笑っていない目で微笑んで見せた。

『レオン陛下。御言葉ですが、不用意にクローディア様に触れるのはお止め下さい。それに無責任に身体的な距離の近さを定義付けするのは止めて下さい。下手に定義付けをして、警戒されてしまったら困ります。私はクローディア様の側近ですからクローディア様を常に抱きかかえて移動したいくらいなのですから』

 アドラー。私、側近にそこまでの労働は求めてないよ? 抱きかかえての移動って……恥ずかしいし、足の筋力が低下しそうなので、有事の際以外は……止めてね。

 私が心の中でアドラーの発言にツッコミを入れていると、アドラーの言葉に、レオンは片眉を上げて言った。

『それを口にするのはいいのか? だが……そうか、側近だからそれほど身体的にも精神的にも近い距離でもいいという訳か……。よし、では側近殿。この後のエスコートは、このスカーピリナ国の王の私が代わろう。ご苦労。クローディア、まずは私の側にいることに慣れろ』

 レオンが手を伸ばそうとすると、アドラーが即座に私からレオンを離して『結構です。謹んでお断りいたします』と答えた。

『おい、他国の王の誘いを断るなよ?! パーティーのエスコートだぞ?! 立場からみてもクローディアのエスコートに一番相応しい人間は私だろう?! 正式に護衛の任を受けているのだからな』

 レオンの言葉にアドラーはにっこりと笑いながら答えた。

『この食事会はプライベートな食事会です。公式な場なら仕方ありませんが、クローディア様のプライベートに他国の王が関わるのはあまり外聞がよくありません。よって、クローディア様のエスコートを代わるというご提案は却下いたします』

 レオンは、眉を寄せるとアドラーに向かって言った。

『おい、側近。いくらプライベートだからって、むしろプライベートだからこそ、この場で俺がクローディアの側に居ても、何か言うヤツはいないだろう?!』

 アドラーは澄ました様子で答えた。

『ええ。もちろんです。ですから、レオン陛下でなく、私がクローディア様をエスコートしても問題ないのです』

 レオンは、ニヤリと笑ってアドラーの首に腕を巻きつけながら言った。

『側近……お前とは一度しっかりと話をしなければと思っていた!!』
『私には特にありませんが……』

 どうしよう、アドラーがレオンに絡まれてしまっている。私がオロオロしていると、右からレイヴィンが、左からラウルが現れて両手を取られた。するとレイヴィンが私の顔を覗き込みながら言った。

「クローディア様。陛下が申し訳ございません。代わりに私がエスコートいたしますので行きましょう」

 するとラウルもにこやかに笑いながら言った。

「そうです。さぁ、どうぞ」

 こうして、私はレイヴィンとラウルのエスコートされることになった。アドラーがレオンに連れて行かれながら『くっ!! クローディア様、ラウルも危険なのに……』と声を上げていたのだった。
 





――――――――――――



明日はラウル&レイヴィン『さらなる高みへ』です。

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