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ギルバートエンド
2 幸せを手にした令嬢
しおりを挟むビアンカとギルバートが居なくなったホールの廊下には、国王の声が響いていた。
「そこの娘よ、即刻城を去れ。そしてアルバート。お前はこれから生誕祭をこなせ。いいか、決して動揺を見せるな」
アルバードは、自分の父のこれまで見たこともない怖い顔を見て震えながら返事をした。
「……御意」
ツェツィーリアは国王の威圧で恐怖を感じて声が出せなかった。
「では皆の者、参るぞ」
そして、国王が二人の横を通り過ぎた後に、気まずそうな顔でアルバートの弟のアルフレッドとその婚約者も二人の側を通り過ぎて行った。
王妃殿下は護衛に支えられて自室に戻って行った。
皆が通り過ぎた後にツェツィーリアがアルバートの腕を取った。
「アルバート殿下……」
うるうると泣きそうなツェツィーリアの顔を見てアルバートは彼女の腕を振り払った。
「聞こえなかったのか? 陛下の命だ。去れ」
「え?」
ツェツィーリアが信じられないという顔をしたが、アルバートはツェツィーリアを視界に入れずに、国王の後に続いて会場に入った。
その後、生誕祭を無事に終わらせた。
だがビアンカとの婚約破棄は多くの者に見られていたために、生誕祭の間中、地獄のような居心地の悪さを感じていた。
◇
アルバートとビアンカの婚約は翌日には解消された。
さらには、これまでアルバートに尽くしてきたビアンカへの賠償は、生涯をかけてアルバートが支払うことになった。
そして、二人の婚約が解消された3日後。
アルバートの弟のアルフレッドが王太子になることが決まった。
アルバートは、アルフレッドに何かあった時のために、王族としてアルフレッドの補佐をすることが決まった。
そして……――
「お前!! 我が領の恩人、ビアンカ様がいらっしゃるにかかわらず、なんてことを!!」
バスロ伯爵は話を聞き、ツェツィーリアを叱りつけ、彼女を貴族籍から抜いた。
そして人々に奉仕させる道を歩むように、彼女を修道院に送ったのだった。
◇
そして2年後……――
「お嬢様、とてもお綺麗ですわ」
「ふふふ、ありがとう」
純白のドレスに身を包んで鏡の中の自分を見た。すると足音と共にノックの音が聞こえて入室を許可した。
「ビアンカ!! なんて美しいんだ!!」
私は迎えに来てくれた最愛の人の笑顔につられて私まで笑顔になっていた。
「ふふふ、ありがとうございます、ギルバード様も素敵ですわ」
立ち上がってギルバード様を見つめると、唇に柔らかさを感じた。
そして唇が離れるとギルバート様が私を真剣な顔で見つめながら言った。
「ビアンカ、愛しています」
私もギルバード様を見つめながら言った。
「私もです。愛しています」
そして再び唇が触れあった。
その後私たちは顔を見合わせて笑ったのだった。
【完】
――――――――――――――――――
最後までお読み頂き、ありがとうございます!!
またどこかで皆様にお会いできますことを願っています!!
たぬきち25番
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