34 / 50
ルジェク ルート(王子ルート)
Ⅰ 自由を手にした(はずの)悪役令嬢
しおりを挟む
これより先は、ルジェクルートです。
準備はよろしいでしょうか?
↓
↓
↓
スタートです!!
――――――――――――――――――
ゲームが終わったら、どうなるのか?
それは誰にもわからない。
また、ゲームの結末を歪めてしまったらどうなるのか?
それもまた、誰にも――わからない。
私は先日、無事にゲームの当て馬役の悪役令嬢からの卒業を果たし、ルジェク王子との婚約を白紙に戻してもらった。
まぁ……途中経過は、ゲームの内容とは大幅に変ってしまったが、それでも結果は変わらないので問題ない……はずだ。
ルジェク王子は、ゲームのシナリオ通りに主人公クレアと文化交流祭に参加したし、婚約を白紙に戻したので、後は私が悪役令嬢として二人の仲を邪魔するように見せかけて、実は二人の仲を深めるために登場しなくとも、自然にルジェク王子とクレアは仲を深めてハッピーエンドを迎えるはずだ。
これで私は、二人の仲を深めるスパイスである悪役令嬢というボランティア活動から解放され、推しのルジェク王子を教室の隅から眺めたり、年に数回夜会などで遠くから愛でたりという絶妙なポジションを確保した――はずだった。
そう……。
私には推しを遠くから愛でつつ、学園生活を満喫しながら、本命の彼氏を見つけるという生活が訪れるはずだったのだ……。
それなのに!!!
「フォルトナ、司祭からようやく大聖堂のステンドグラスが新しくなったと連絡をもらったのだ。フォルトナは、大聖堂のステンドグラスを楽しみにしていただろう? 一緒に見に行こう!! 放課後は王妃教育もなく時間があるのだろう?」
私は現在、『今日の昼食はフォルトナと二人だけで食べたい』というルジェク王子に連れられて、学園内でも少し隠れた場所にある、花に囲まれたかなり雰囲気のいいベンチで、ルジェク王子に手を握られていた。
つまり、ルジェク王子とゼロ距離で、強制イベントが発生しそうな状況だった……。
あれ? ちゃんとゲーム通りの展開なのに、なぜ強制イベントっぽいデートイベントが発生してるのかな?
――意味がわからない!!
とりあえず、推しのルジェク王子の顔が良すぎて、心臓が早くなりすぎているのでこの状況から解放されたかった。
「ルジェク王子……あの……近いです。それに、確かに王妃教育はなくなりましたが、私にも予定が……あったような……なかったような……気がします」
私がルジェク王子の余りの美しさに気を失わないように、少し王子から距離を取ろうとしながら言った。
いつもならこうなる前に、兄がルジェク王子と私の間に入ってくれるが、生憎と兄は、リオン王子と共にガカール国に行っているためしばらく戻らない。
ここは自分で解決する必要がある。
「そうか、フォルトナにはすでに予定があったのか……」
ルジェク王子の言葉に私は何度も頷きながら言った。
「そうなのです!!」
これであきらめてくれるよね?
私が祈るようにルジェク王子を見ていると、ルジェク王子が笑顔で言った。
「では、ステンドグラスは今度にして、今日はフォルトナの予定に付き合おう!!」
なんで?!
どうして、そんな結論になっちゃったかな~~?
「いやいやいや、それはいけません!! 私の用事にルジェク王子を巻き込むなんて!!」
少し『いや』が多かった気がするが、仕方ないのだ。私も必死だった。
私が首を振ると、ルジェク王子は、私の手を取ったまま、まるで子犬のような瞳を私を向けながら言った。
「フォルトナはこれまでずっと、王妃教育が忙しく、全く一緒に過ごせなかったかっただろう? 私はずっとフォルトナと出掛けたいと思っていたのだ。婚約が白紙になったのは、絶望したが、このような機会でもないと、フォルトナとゆっくりと過ごすこともできない。フォルトナは私と共に過ごすのが不快なのか? もう私は何をしてもフォルトナの心は動かないのか?」
ええええ~~~?
どういうこと~~?!
推しに迫られているのですが……これはどういうバグなの?!
でも、バグだろうが、なんだろうが、推しに上目遣いで見つめられて、一緒に過ごしたいなんて子犬のような目で見つめられて……断れる? いや、絶対にム・リ!!
私は、ルジェク王子を見つめながら言った。
「今日は……旧図書館に行こうと思っておりました。その後でよろしければ、ご一緒いたします」
私の言葉にルジェク王子は嬉しそうな顔で私髪をさらりと撫で、とろけそうなほど甘い瞳を向けながら言った。
「そうか、では放課後。楽しみにしている」
「……はい」
私はなぜか、放課後にルジェク王子殿下と一緒に過ごすことになったのだった。
準備はよろしいでしょうか?
↓
↓
↓
スタートです!!
――――――――――――――――――
ゲームが終わったら、どうなるのか?
それは誰にもわからない。
また、ゲームの結末を歪めてしまったらどうなるのか?
それもまた、誰にも――わからない。
私は先日、無事にゲームの当て馬役の悪役令嬢からの卒業を果たし、ルジェク王子との婚約を白紙に戻してもらった。
まぁ……途中経過は、ゲームの内容とは大幅に変ってしまったが、それでも結果は変わらないので問題ない……はずだ。
ルジェク王子は、ゲームのシナリオ通りに主人公クレアと文化交流祭に参加したし、婚約を白紙に戻したので、後は私が悪役令嬢として二人の仲を邪魔するように見せかけて、実は二人の仲を深めるために登場しなくとも、自然にルジェク王子とクレアは仲を深めてハッピーエンドを迎えるはずだ。
これで私は、二人の仲を深めるスパイスである悪役令嬢というボランティア活動から解放され、推しのルジェク王子を教室の隅から眺めたり、年に数回夜会などで遠くから愛でたりという絶妙なポジションを確保した――はずだった。
そう……。
私には推しを遠くから愛でつつ、学園生活を満喫しながら、本命の彼氏を見つけるという生活が訪れるはずだったのだ……。
それなのに!!!
「フォルトナ、司祭からようやく大聖堂のステンドグラスが新しくなったと連絡をもらったのだ。フォルトナは、大聖堂のステンドグラスを楽しみにしていただろう? 一緒に見に行こう!! 放課後は王妃教育もなく時間があるのだろう?」
私は現在、『今日の昼食はフォルトナと二人だけで食べたい』というルジェク王子に連れられて、学園内でも少し隠れた場所にある、花に囲まれたかなり雰囲気のいいベンチで、ルジェク王子に手を握られていた。
つまり、ルジェク王子とゼロ距離で、強制イベントが発生しそうな状況だった……。
あれ? ちゃんとゲーム通りの展開なのに、なぜ強制イベントっぽいデートイベントが発生してるのかな?
――意味がわからない!!
とりあえず、推しのルジェク王子の顔が良すぎて、心臓が早くなりすぎているのでこの状況から解放されたかった。
「ルジェク王子……あの……近いです。それに、確かに王妃教育はなくなりましたが、私にも予定が……あったような……なかったような……気がします」
私がルジェク王子の余りの美しさに気を失わないように、少し王子から距離を取ろうとしながら言った。
いつもならこうなる前に、兄がルジェク王子と私の間に入ってくれるが、生憎と兄は、リオン王子と共にガカール国に行っているためしばらく戻らない。
ここは自分で解決する必要がある。
「そうか、フォルトナにはすでに予定があったのか……」
ルジェク王子の言葉に私は何度も頷きながら言った。
「そうなのです!!」
これであきらめてくれるよね?
私が祈るようにルジェク王子を見ていると、ルジェク王子が笑顔で言った。
「では、ステンドグラスは今度にして、今日はフォルトナの予定に付き合おう!!」
なんで?!
どうして、そんな結論になっちゃったかな~~?
「いやいやいや、それはいけません!! 私の用事にルジェク王子を巻き込むなんて!!」
少し『いや』が多かった気がするが、仕方ないのだ。私も必死だった。
私が首を振ると、ルジェク王子は、私の手を取ったまま、まるで子犬のような瞳を私を向けながら言った。
「フォルトナはこれまでずっと、王妃教育が忙しく、全く一緒に過ごせなかったかっただろう? 私はずっとフォルトナと出掛けたいと思っていたのだ。婚約が白紙になったのは、絶望したが、このような機会でもないと、フォルトナとゆっくりと過ごすこともできない。フォルトナは私と共に過ごすのが不快なのか? もう私は何をしてもフォルトナの心は動かないのか?」
ええええ~~~?
どういうこと~~?!
推しに迫られているのですが……これはどういうバグなの?!
でも、バグだろうが、なんだろうが、推しに上目遣いで見つめられて、一緒に過ごしたいなんて子犬のような目で見つめられて……断れる? いや、絶対にム・リ!!
私は、ルジェク王子を見つめながら言った。
「今日は……旧図書館に行こうと思っておりました。その後でよろしければ、ご一緒いたします」
私の言葉にルジェク王子は嬉しそうな顔で私髪をさらりと撫で、とろけそうなほど甘い瞳を向けながら言った。
「そうか、では放課後。楽しみにしている」
「……はい」
私はなぜか、放課後にルジェク王子殿下と一緒に過ごすことになったのだった。
82
お気に入りに追加
1,119
あなたにおすすめの小説
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します
天宮有
恋愛
私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。
その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。
シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。
その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。
それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。
私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。
【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
この婚約破棄は、神に誓いますの
編端みどり
恋愛
隣国のスーパーウーマン、エミリー様がいきなり婚約破棄された!
やばいやばい!!
エミリー様の扇子がっ!!
怒らせたらこの国終わるって!
なんとかお怒りを鎮めたいモブ令嬢視点でお送りします。
記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました
冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。
家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。
過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。
関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。
記憶と共に隠された真実とは———
※小説家になろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる