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12 文化交流祭、始まっるよ~~!
しおりを挟む「フォルトナ!! 戻ったぞ!!」
文化交流祭を明日に控えた夜。
セルーン公爵と夫人。すなわち、フォルトナの両親が王都に戻って来た。
まず、声を上げたのはフォルトナパパだった。信じられないくらいのイケオジである。
フォルトナは、どうやら、パパ似のようだ。銀色の髪と、紫の瞳が本気で美しい!!
残念ながら、彼はゲームに登場しなかったので、彼の説明は、私の拙い説明で、どうか許してほしい。
フォルトナパパは、背が高く、逆三角形の身体。きっと、普段から身体を鍛えていると、思われる。笑うと目尻にシワが出来て、凛々しい顔が優しく見える。
とにかく、カッコイイ!!
「フォルトナ、ただいま」
そして、金色の髪に、濃紺の瞳を持つ美しい女性が現れた。
この女性がフォルトナのママだ。唇も頬も天然ローズピンクで、眉も唇の形も最高。スラリと高い鼻筋に、大きな瞳に、長いまつ毛。元BAとしては、これほどの美しさを持つ女性の姿には、感嘆するしかない。
本当に美男美女の夫婦だ。
ずっと眺めていたいが、そういう訳にもいかない。
両親が美形過ぎるというのは、一度置いておいて、私はフォルトナらしく、両親をお迎えする必要がある。
「おかえりなさいませ、父上、母上」
淑女の礼をして、フォルトナの両親を迎えると、彼らはとても喜んでくれた。
どうやら、フォルトナは両親には愛されているようで安心した。
「おかえりなさいませ。公爵、公爵夫人。公爵……例の件、いかがでした?」
兄が隣で冷静にあいさつをした。すると、フォルトナパパは途端に目尻に出来た笑いシワを消して、真剣な顔をした。
ああ、笑シワ……素敵だったのに……。
「やはり、隣国が怪しい動きをしているようだ。だが、ガカール国も一枚岩ではないようでな。リオン王子の周辺が水面下で動いているようだ」
「リオン王子が……」
兄も真剣に話をしているが、私にはなんのことだか、さっぱりわからない。
きっと、あまり関係のない話なのだろう。
そんなことより、パパ……また、笑いかけてくれないかな~~。
私がじっと、フォルトナパパを見ていると、フォルトナパパが、私の視線に気づいてくれた。
「どうした? フォルトナ?」
「いえ……また笑ってくれないかな~と」
すると、私は、フォルトナパパに抱きしめられた。
「これは、どんな褒美だ!! フォルトナが、そんなに可愛いことを言ってくれるなんて!!
もしや……またこれは、あれか! 噂の反抗期とやらが終わったのか?! 終わったんだな?! なんて、素晴らしい日だ!! 祝杯をあげよう!!」
「まぁ、フォルトナの反抗期が終わった?! 嬉しいわ~~~」
フォルトナママにまで抱きしめられた。
本当に、フォルトナは、どれだけ塩対応だったのだろうか?
その後、私は、本当に飽きるほど、フォルトナの両親に抱きしめられたのだった。
☆==☆==
次の日は、文化交流祭だった。
フォルトナの両親は、各国の来賓の方々をおもてなしするために、すでに、文化交流祭の会場に出掛けた。
私は、一応、ルジェク王子殿下の婚約者なので、招待客として、兄と共にダンスの会場に向うことになっている。
その日、私は、胸元や肩が薄いレースになっている上品なデザインのドレス着ていた。
私としては、フォルトナは、抜群のスタイルを持っているのだから、もっと胸元が開いたセクシー系ドレスや、腰のくびれを強調した大人な魅力溢れるマーメードラインのドレスが着たかったのだが、兄に『危険だ! フォルトナ!! 頼むから、もっと、別のドレスにしてくれ。そんな妖艶な姿は危険極まりない!!』と古い時代の頑固親父のようなことを言われて、結局兄セレクトのこのドレスにした。
なるほど、どうやら、兄は清楚系のお嬢様ドレスが好きなようだ。
まぁ、自分の好みのドレスは、恋人に着せるために取っておけばいいのにとは思う。妹に着せるのはどうかと思うが……。
「ああ、なんてことだ!! フォルトナは、何を着ても美しい!! そんなに美しく着飾って大丈夫だろうか? 良からぬ輩が出て来るのではないか? もっと布地の多いドレスにするべきか……」
兄は、本気で言っているのだろうか?
褒めてくれるのは嬉しいが、これより布地の多いドレスとなると、魔法使いが着るローブのようになるのではないだろうか?
もう、このままでは文化交流祭に遅れてしまう。私は、兄の手を引きながら言った。
「兄上の選んでくれたドレス、素敵です。さぁ、会場に向かいましょう」
「そ、そうだな。会場に向かおう」
「はい」
こうして、ようやく、会場に向かうことになったのだった。
☆==☆==
文化交流祭の会場はこの国でも、王宮の次に大きくて、豪華絢爛な建物だ。
毎年多くの、周辺の国の方々を招く、この文化交流祭のために、建てられた。
フォルトナの記憶では知っていたが、やはり本物は迫力が違う。
「凄いですわね……」
私が呟くと、兄が、淡々とした様子で言った。
「まぁ、この国の威信のために建てられた物だからな」
「威信……」
そう、この文化交流祭は、周辺諸国の王侯貴族が一同に会する重要な場だ。
このくらいの荘厳さは必要不可欠なのかもしれない。
「ああ、もうすぐ着くな」
「ええ」
兄は、私の手を取ると、穏やかな顔で言った。
「では、行こうか」
「はい」
私は、兄に手を引かれて、ゆっくりと馬車を降りたのだった。
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