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6.初めての王都
しおりを挟む時が経つのも早いもので、私リディア・ローレンスは14歳になりました。
14歳になると、私の身体は成長する訳で、前世では信じられないくらいに私のお胸は成長致しました。と言ってもレティシアには負けるけどもね。私の天使は童顔の癖に胸が、いや身体が厭らしいくらい美しく育ちました。これが俗に言うロリ巨乳ってヤツです。福眼です。
ニヤニヤしてたら、ユラに冷たい目で見られた。何で?!
前世とは違って、毎日の鍛錬を欠かさずしていたら怪我もする事なく、病気にかかる事もなく、至って健康的にすくすくと育ちました。
そのお陰か、私のくびれはキュッと引き締まっていて、自慢じゃないけどお腹もバッキバキに割れている。筋トレと剣術と護身術と柔術と…まあ、前世で読んでいた本が大いに活躍してしまい、いつの間にか色々と増えてました。あははーーー
なので、私は女性の必須アイテムであるコルセットを着用しなくても良い。
何度かレティシアがコルセットを装着する所を見ていたけれど、あれは本当に苦しそうだった。侍女が三人がかりでコルセットを締め上げていたのを見て、余計にこの体型を維持しようと心に誓った。
ユラに至っては、何気に毎日私の筋トレに付き合ってくれていて、それ以外にも陰で鍛えてたみたいで、実力は分からないけど、それなりに強いと思う。もう普通の侍女じゃないね。
それに今は訳あって、四年前からレティシアの専属侍女としてヴィンセント侯爵家で働いている。
寂しいけど、ユラの同意の元で決定したから仕方ない。ヴィンセント家には派遣侍女として行っているみたいなので、籍はローレンス家に置いたままだ。
まあ本人が納得しているのなら、私は何も言えない。
そして、いよいよ乙女ゲームのシナリオが始まるまで、後一年と迫っていた。
私は今王都にあるレティシアの邸に来ている。本当は来たくなかったのけど、私の社交界デビューの為に王都へとやって来ました。とても憂鬱な私です。
「リディったら、まだ拗ねているの?仕方ないでしょう?本来なら12歳で社交界デビューにも関わらず、リディは上手に逃げていたのだもの。もう逃げられないわよ?国王陛下からの招待状なら断れないもの」
「本当、最悪」
今日は舞踏会へ来て行くドレスを新調する為にやって来た訳で、仕立て屋が来るまで時間があったので、広い庭にテーブルを置き、呑気にお茶会をしていました。
不貞腐れる私にレティシアは笑顔で言うと、また私はテーブルに顔を伏せて溜め息を吐いた。
何故こうなったかというと、ある日突然、父上の元に国王陛下が直々に舞踏会への招待状を送って来たのだ。
ご丁寧にまだ社交界デビューをしていない娘も一緒に登城する様にと、書かれていた。本当、迷惑な話だ。
父上はその招待状を見た途端、凄く不機嫌になっていたらしい。父上の専属執事ヨシュアが困った様に言ってました。
その後、父上には凄く謝られて、可哀想になった私は、舞踏会へ行くと頷いてしまったのだ。
社交界デビューすると聞き付けた兄上達が、エスコートに申し出てくれた。
私はアルヴァス兄上に、レティシアの所にも招待状が届いていたみたいで、レティシアはルドウェル兄上にエスコートをしてもらう事になった。
本来ならローレンス家に仕立て屋を呼んで、ドレスの新調をするのだけれど、何でも私がいつも着ている少し変わったデザインのドレスがレティシアは気になっていたみたいで、私が考えて作ってもらっている事を伝えると、私のドレスも考えてほしいと頼まれたのだ。
どうせ作るなら、私のドレスも一緒に作ってもらおうと今日は呼ばれた。
その為、嫌々ヴィンセント家に足を運んだ訳です。
まあ、可愛いレティシアの頼みだから、断らないけどね?レティシアのドレスを仕立てるだけなら、喜んで来たのに。私のドレスなんて要らないでしょ?
家にあるドレス着て行くつもりだったのに、即却下されました。
「レティシアお嬢様、リディアお嬢様、仕立て屋の方がお見えになられました」
「ありがとう、ユラ」
ユラに案内されて、仕立て屋が待つ部屋へと向かった。
部屋へ着くと、仕立て屋が慣れた手付きで採寸を済ませて、レティシアの意見も聞きつつ、レティシアと私のデザインを考えて、仕立て屋にお願いした。
#__・__#
「それでは、レティシア様のドレスのデザインはこちらで宜しいでしょうか」
「ええ、そちらのデザインでお願い致します!出来上がりがとっても楽しみだわ!」
仕立て屋が手に持つドレスのデザインが描かれている紙をレティシアに見せると、レティシアは手を叩いて、ご満悦の表情を浮かべていた。
「それでは、リディア様のドレスのデザインの方ですが、もう少し詳しくお話を伺いたいのですが宜しいでしょうか」
「ええ、私ももう少し手直ししたいと思っていたの」
「それじゃあ、私は先に戻っているわね!ドレス、楽しみにしていますね」
「分かったわ」
「畏まりました」
「リディアお嬢様、くれぐれも程々にして下さいませ」
「わ、分かってるわよ。ユラ」
ユラにはお見通しの様で、しっかり釘を刺されました。まあ、気にしないけどね?
笑顔でレティシアとユラを見送ってから、私は仕立て屋の方とドレスのデザインについて熱く語り合いました。
「ほうほう。では、こちらはこの様な仕上げで宜しいでしょうか」
「うんうん!良い感じだね」
「それでは、ドレス全体の細かい装飾などはーー」
「全てそちらの方でお任せします。でも、あくまでシンプルに、余り重くならない程度で最小限に抑えて下さい。軽量化もお忘れなく」
「はい!お任せ下さいませ」
私のドレスは普通のドレスでないのは間違いないけれど、仕立て屋は変に追求せず、私の思うドレスを仕立ててくれているみたいだ。
仕立て屋は「これはとても素晴らしいドレスが出来上がりますよ!」と、目を輝かせながら帰って行った。
ちなみに、私のドレスはちゃんと暗器が収納出来るようなデザインにしたのは言うまでもない。
さてと、目的は達成したから帰ろうかな。
私は軽くスキップしながら、レティシア達の待つ庭へと私は足を運んだ。
「もう帰ってしまうの!」
「レティシアお嬢様、お声のトーンをもう少し下げて下さいませ。お行儀が悪いですよ」
「ごめんなさい」
「わーお!厳しいね、ユラ」
「リディアお嬢様もですよ。リディアお嬢様は、私の話など何度言っても聞き流していらっしゃいましたからね」
「はいはい。じゃあ、また来るからね」
大きな声で叫ぶレティシアにユラは注意すると、レティシアはシュンとして謝った。意外と素直なのね。
ユラは結構スパルタみたいで、レティシアが淑女らしからぬ行動や言動をすると、厳しく指導していた。
私の専属侍女をしていた時も、結構口煩かったけど、軽く受け流していたからね。
レティシアは良い子だから、あまり厳しくし過ぎないでよ、ユラ。
軽く二人の会話を受け流して、そのまま玄関へと向かった。
「リディアお嬢様、まだローレンス家からのお迎えは来ておられませんよ」
「大丈夫大丈夫。運動がてら歩いて帰るわ。身体が鈍ってしまうから、適度な運動はしておきたいの」
「お嬢様お一人では危険でございます。迎えが来るまでお待ち下さい」
「大丈夫よ、ユラ。ちゃんとマント着るし、今日は着脱式のドレスだから外せば、ほらね」
ユラの制止を気にせず、私はユラの方へ振り返り、腰の後ろに手を伸ばしてリボンを解くと、スカートが取れて、白のスラックス姿になった。上に着ていたのは白のワイシャツでループタイを付けている。
取り外したスカートの内側の布地を取り出すとフード部分になり、スカートを羽織ると紐を首元で結び直して、フードを被れば、出来上がり。
スカートがあっという間にマントになりました。今日の服装はメイド風ドレスです。スカートの部分はマントになる様に黒一色にしていて、余計な装飾もない。
ユラは呆れて、頭を抱えていました。いつもの事なので気にしません。
「よっと!」
私は近くにあった木の枝に掴まり、くるっと飛び登って、そのまま塀へと軽々飛び移り、レティシアに手を振ると、敷地の外へと消えていった。
「脳筋お転婆お嬢め…」
「リディ、恰好良い…」
眉間に皺を寄せて頭を抱えるユラを余所に、レティシアは頬を赤く染めてリディアの去った後もしばらく塀を眺めていた事を私は知らない。
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