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なやな

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第一章 今も昔も変わらない

おつかい

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次の日から私は無事に釣具屋のパートとして出勤する事になったのだけど…
お客さんはほとんどが地元の人達ばかりで
必ず、

「由美ちゃんやない!こっち帰って来たと?」
と聞かれるばかり…。
暇な時間帯もあるが
それなりに楽しく接客出来ていると思う。
父はというと観光客向けの、
はじめての海釣りツアーなるものに同行している為、
日中不在な事が多い。

なんでも島の観光客ブームに乗っかり
始めたのだそう。
わざわざこんな島に来て
釣りをする人がいるという事に驚きだが、
島でする事なんて何もないので田舎で働いている身からすればまぁ有難いとも思う。

 そんな事を考えていると
時間はお昼過ぎになり、
お昼ご飯を食べに一旦お店を閉めて家へ向かう。
東京にいた頃は行列のお店とか
たくさん並んだなと思いながら坂道を登る。

家に帰ると母が玄関で待ってくれていた。

「どうしたと?待ってくれとったん?」
と私が笑うと
母は帰って来たところ悪いんやけどさ、
と言いながら私にお金とエコバックを差し出しながらこう言った。

「悪いんやけどナスとか無くなったけん、買ってきてくれん?」

まさかの買い出しに駆り出される事になった。

 海沿いの道を歩きながらバス停を目指す。
日差しが思ったより強くて、
家を出る前に麦わら帽子を被ってきた。
夏の日差しを受けて海がキラキラと輝いている。
とても綺麗だと思った。
昔は何とも思わなかった場所が、
今はとても綺麗でずっと見ていたいなと感じたのだ。
私が少し大人になったからそう感じるのか、
それとも見て見ぬふりをしていただけなのか。

それからバスが来る間、
私はキラキラと輝く海を眺めていた。
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