コーヒーはいかがですか？

第一章 今も昔も変わらない

パート募集中

 実家へ戻った次の日、私は麦茶を飲みながら就職について考えていた。
実家へ戻ってきたものの、
やはり就職はしないといけない訳で、
この歳で新しい職を探す事は少しハードだなと考えいた。

当たり前だが職種が限られている。
パート勤務とか…？
一人で悩みながら麦茶を飲み干す。風鈴の音が居間に響き渡る。
夏だなぁとか考えながら地元の求人雑誌を漁る。

ふと母が居間にやってきて求人雑誌を覗き込んだ。

「パート探しよると？」

「うん、なんかないかなって思ったけど田舎やけんなんもないね」と言う私に母が
田舎だからないやろー。などと言いながら雑誌をのぞき込みながら数秒…
いきなりあ！と声をあげたのでびっくりしながら、

「え、何かいい求人でもあった？」と私が聞くと頷きながら

「うん、うちの釣具屋があるやん！パート募集中」そう言う母はとても笑っていた。

うちの実家は昔から地元の人しか来ないような小さい釣具屋を営んでおり、
昔から暇な時はよく釣りをしていたのを
ぼんやりと思い出しながら考える。

求人情報を見ても田舎過ぎて職種は選べないだろうし良いかもしれないな…。
私は母の顔を見ながら笑顔で

「うん！是非働かせて下さい」と口にした
すると母はお父さん呼んでくる！と言いながら玄関へと走って行くのだった。