132 / 140
1章
偽りの平和
しおりを挟む
「作った魔道具のことを一番知っているのは誰か?」
僕に王からの問いかけが投げられる。
「まあ、それは普通に考えて魔道具を作成した張本人でしょう」
「そうだ」
王は僕の言葉を肯定してくれる。
「多分王宮の人間は軍事魔道具のことを大まかにしか理解していない人間を指揮官にして魔道具を利用させても最大限のパフォーマンスを発揮させることが出来ないと考えたんだろう」
「でも、指揮官に任命するなら作った当初から王を任命させていればよかったのでは?」
「全く功績を有してない人間を指揮官みたいな重要な役職に就かしても上手くはいかないとは思うよ。下からの反発を招くと思うしね。だから、僕がある程度の軍事魔道具を作って軍の人間に僕の認識を良くしてから任命することにしたんだと思うよ。そこまで頭が回る組織なんだったら僕を王宮に引き入れるための方法も暴力以外で考えてほしかったけどね」
「軍の指揮官になった王はそこからどんな行動を始めたんですか?」
僕はその先の話が気になったので王にやんわりと先へ進むように促した。
「僕の計画の第一段階は成功した。次は中枢からトップへと上り詰めることだ」
「僕はそこから指揮官と魔道具の開発者を両立しながら領土を広げていった。国土はとても広がったよ。周りの国に僕らの国が戦争を仕掛けても勝てないということが分かっているからか、戦闘行為には入らず和解交渉を進めてきた。その結果僕らの国は戦争をすることはなくなった」
「皮肉なものですね。戦争のお陰で周辺諸国の戦争が止みここらの国一帯に平和が訪れるなんて」
「フフッ、確かに言われてみればそうかもね。君の言う通り皮肉だね。この国が強大な力を持ちすぎてしまった結果周辺諸国は動くことが出来ない。これは偽りの平和と呼ばざるを得ないね」
「それには同意見ですね」
僕は王の意見に同意した。
平和に行き着くために多くの犠牲が必要だったわけか。
何の犠牲も被ってない者はこの平和を喜び、日々を謳歌する。
しかし、戦争で家族や友人、大切な人間を亡くした人その人たちに本当の平和が訪れることはない。
いつ何時も戦争が原因で死んだ人間が頭から離れられないのだから。
平和とは視点を変えるだけで本当にも嘘にもなるのかもしれない。
僕に王からの問いかけが投げられる。
「まあ、それは普通に考えて魔道具を作成した張本人でしょう」
「そうだ」
王は僕の言葉を肯定してくれる。
「多分王宮の人間は軍事魔道具のことを大まかにしか理解していない人間を指揮官にして魔道具を利用させても最大限のパフォーマンスを発揮させることが出来ないと考えたんだろう」
「でも、指揮官に任命するなら作った当初から王を任命させていればよかったのでは?」
「全く功績を有してない人間を指揮官みたいな重要な役職に就かしても上手くはいかないとは思うよ。下からの反発を招くと思うしね。だから、僕がある程度の軍事魔道具を作って軍の人間に僕の認識を良くしてから任命することにしたんだと思うよ。そこまで頭が回る組織なんだったら僕を王宮に引き入れるための方法も暴力以外で考えてほしかったけどね」
「軍の指揮官になった王はそこからどんな行動を始めたんですか?」
僕はその先の話が気になったので王にやんわりと先へ進むように促した。
「僕の計画の第一段階は成功した。次は中枢からトップへと上り詰めることだ」
「僕はそこから指揮官と魔道具の開発者を両立しながら領土を広げていった。国土はとても広がったよ。周りの国に僕らの国が戦争を仕掛けても勝てないということが分かっているからか、戦闘行為には入らず和解交渉を進めてきた。その結果僕らの国は戦争をすることはなくなった」
「皮肉なものですね。戦争のお陰で周辺諸国の戦争が止みここらの国一帯に平和が訪れるなんて」
「フフッ、確かに言われてみればそうかもね。君の言う通り皮肉だね。この国が強大な力を持ちすぎてしまった結果周辺諸国は動くことが出来ない。これは偽りの平和と呼ばざるを得ないね」
「それには同意見ですね」
僕は王の意見に同意した。
平和に行き着くために多くの犠牲が必要だったわけか。
何の犠牲も被ってない者はこの平和を喜び、日々を謳歌する。
しかし、戦争で家族や友人、大切な人間を亡くした人その人たちに本当の平和が訪れることはない。
いつ何時も戦争が原因で死んだ人間が頭から離れられないのだから。
平和とは視点を変えるだけで本当にも嘘にもなるのかもしれない。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる