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1章

精神論

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「私は今から神聖な王宮に足を踏み入れ王の何かしらの痕跡がないか探しにいこうと思う!私と同じ意思を持っているものはついてくるがいい!」

一番最初に手を大きく掲げ王を探しに行くべきだと声高らかに叫んでいたやつが王宮へと向かっていく。
人を先導、及び扇動するには高圧的な態度やぶっきらぼうな言葉を使う方が成功する。

理由は簡単だ。
丁寧な言葉遣いで人を先導、及び扇動しようとしてもうまくいかない。

丁寧な言葉遣いはリーダー性に欠ける。
丁寧な言葉遣いはなめられる。

それ相応の実力を保有していないと判断されてしまう。
事実、この国歴史上の偉人、多大なる功績を残したものはリーダー性に富んだ者だ。

リーダー性がないだけで隠れた実力者はごまんと世の中に存在しているだろう。
他の国では精神論だけでなく理屈、どちらも大切にしているらしい。

なのでリーダー性がなくても実力者としても活躍で来ているらしい。
ただし、この国では精神論が重要視されている。

理由はこの国を創った王が精神論を大事にしていたらしい。
この国を創るさい、愚かな戦争が起こったらしい。

相手の軍勢は圧倒的だった。
敗色濃厚だったはずだったが、王は士気をあげるために何かを言った。

そして、その言葉に兵士は応えた。
そして、勝利した。

そのせいらしい。
しかし、兵士は精神論で動いたわけじゃない。

王が放った何かの言葉に反応したのだ。
それは感情論や精神論ではない。

王が与えた対価に兵士が代償として働いたのだ。
それは精神論ではない理屈だ。

王は何か勘違いしてそれを精神論だと理解したのだ。
阿呆としかいいようがない。

恐らく兵士はそれを理解していたはずだ。

王についていった彼らが傭兵なら話は早かったのだ。
傭兵は対価を得る代わりに代償を払う。

だが、リーダー性が必要なのは事実なのかもしれない。

リーダー性を持つ彼の後ろには死んだ王の信者がぞろぞろとついていく。

僕もそれにならうように彼の後ろを歩いていく。
王宮に入る前にもしかして……という思いがあったのだが……

「これは………」
希望がないことは理解できた。
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