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2章 囚われた未来

全力全開

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眼前に広がる腕をクレドは躱す。
全て余裕を持ってミスを犯さないように気を付けているのだ。

万が一失敗してしまえば死亡。
その未来が口を開けてクレドを待ち構える。

自分が未来を助けられずに……

いや助けられないだけならまだ最低最悪な未来は避けられていると言っても過言ではないだろう。
彼女が一番危惧しているのは、未来を助けることも失敗し、自分が死亡してしまうことだ。

夏美のもとに帰るやつは誰もいなくなり、彼女は独りぼっちになってしまう。

それを危惧してクレドはサイクロプスの行動や自分の行動をよく考えて対処するようにしているのだ。
クレドは中々にサイクロプスに近づくことが出来ない。

(まどろっこしい!)
彼女は気づいていないが、正確に言えば彼女が対峙しているサイクロプスはサイクロプスではない。

サイクロプスという種族を超越している。
サイクロプスの能力をはるかに凌駕し、排除者の討伐の難易度をとてつもなく跳ね上がらせる。

槍には到底近づけない。
しかし、生身で戦うには少し無理がある。

死亡のリスクを増大させる。

「全力全開第一!!Activate!」
半世紀を生きるクレドが幾多の死地を乗り越えて編み出した技だ。

人間____いやあらゆる生物は自分の体にリミットをかけて生きている。
クレドが使用した『全力全開第一』

体にかかっている無数のリミットの一部を外す技能だ。
クレドはゆっくりと羽を動かした。

にも関わらず先程の高速飛翔をも超えるスピードでサイクロプスの周りを飛翔。
名前をつけるなら、光速飛翔。

光にも負けないスピードで世界を飛び回る。
数秒飛翔した後ゆっくりと動きを止める。

サイクロプスの足元にいる排除者は目にもとまらぬ速さで飛び回るクレドに呆けた顔を見せている。

「やっぱり使い勝手がなぁ」
体のリミットを外すことは常人には不可能と言ってもいい。

普段使用していない体のリミットを外せば体は意思に反して予期せぬ動きをしてしまう。
予期せぬ動きに体が付いていかず怪我を負ってしまう。

「これだから使いたくないんだよ」

ポツリと本音が漏れてしまう。
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