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閑話

麻痺の中年排除者実験台になる 9

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玄関には明らかに家族以外の靴が転がっているのを見て俺はため息をつく。
こういう時はまじでめんどくさいのだ。

俺には一人妹がいる。
どんな世の中にもいるように年上の兄のことを常時見下してやまないろくでもない妹だ。


両親によれば、お互い幼いころは仲がとてもよかったらしいが、俺の記憶では俺が思春期に入るころにはほとんど会話と呼べるものは交わされていなかったように感じる。

それは思春期のせいだったのか……それとも、もともと馬が合わずそういう運命をたどる一途なのか。
そんなことを知る人間は神ぐらいしかいないだろう。

他の人間は何故俺と妹との仲が悪いのかなど理解できないだろう。
当事者である俺が良く分かっていないのだから当たり前といえば当たり前なのだろう。

先程、自分が帰ったことを示す挨拶を言わなければよかったと今更ながら後悔する。
恐らく……今リビングに存在しているのは妹とその友人たちだろう。

妹は俺と友人たちを対面させることを大変嫌っている。
リビングに入ろうものなら、ローキックやタイキックが待ち受けていることだろう。

リビングに入っただけで殴る蹴るの暴力の嵐。

理不尽の暴力だ。
しかしそんな暴力には屈しない!

そんなことにいちいち屈していては排除者の職業なんて勤まったもんじゃない。
俺は自室が存在している二階へと向かう。

わざわざ自分から暴力の嵐に向かっていく、ドM精神など持ち合わせてなどいない。
両親の両親___つまり俺の祖父母にあたるわけだが、その人たちから今俺が住んでいる家を譲り受けたらしい。

そんなわけでこの家は建てられてから相当な年月が経っているということだ。

階段を昇っていく旅にギシギシと木造の階段が軋みの音を立てる。
その音を聞きながらそろそろ建て替え工事やリフォームが飛鳥なのでは?とそんな疑問すらも浮かんでくる。

階段を昇っている最中にバンッ!!と強い衝撃と音が家に走る。

古い木造の家なんだぞ!丁寧に扱えよ!と俺は音をたてさせた主に向かって心の中で怒りをぶつける。
荒い足音が俺へとどんどん近づいていく。

その音の主はもちろん俺の妹だ。




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