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地球の末路

ネームバリュー

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「いきなり異世界からの訪問者が来てあなたに自分の家族をどこか遠い地に連れていきたいと話している。それを拒みたいと言う気持ちは我が儘ではなく。普通の人間の答えですよ 恥じることは何もありません」

 それを耳にしてカルマの目に映る女性は安堵の息を漏らす。

 「今決めることは出来ません。何より私一人だけで決めれるわけもありません 息子と夫と話し合ってきめさせていただきたいと思います」

 「そうですか いい報告を期待しております」

カルマは去ろうとするが、最後に伝えるべきか迷ったことを意を決して口にする。
 「こんなことをいっては…… 金で釣るのかとか言われそうですけど…… もちろんそれなりの謝礼は用意しております」

 女性は「そうですか」とカルマが正体を明かす前に浮かんでいた笑みで応対してくれた。

 カルマは落ち込みながら勇者候補がいるはずの家から去っていった。

 「やっぱり上手くいかないもんですね」

 一度の交渉で上手く行くはずがない。

 あちらの世界では交渉は武力をちらつかせればどんどんこちら側が有利に傾いていった。

 また少数ではあるが武力の敵わない大国が交渉相手だったとしても、宝石を餌にすればある程度は有利に運べたのだ。

 しかし、この世界に来て技術力や宝石を日本という国にちらつかせても神山総理が首を縦に振ることはなかった。

 粘り強い交渉で譲歩を引き出すぐらいしかできなかった。

 交渉は簡単だと思っていたのだが。

 カルマは今まで交渉がうまくいっていたのは、自分の交渉術が高かったからではなくただ単に自分が所属している国のネームバリューと、国で豊富に産出された宝石類のお陰だと改めて思い知らされた。

 国のトップだから今までのやり方が通じなかったのか?

 その考えは甘かった。

 立ち去る際についでのように金の話を盛り込んだが、それでも譲歩すら引き出すことが出来なかった。

 普通の人間の反応なんだ、カルマが住んでいた世界の人間の価値観がおかしかっただけなのだ。

 普通の人間 普通の人間 普通の家庭 普通の家庭・・・・・・・・・・

 普通の人間、普通の家庭でないのなら・・・・・・

 借金まみれで家庭が崩壊しかけており、金に目がくらむ最低人間の家庭に勇者候補がいるとするならば・・・・・・・・・・

 楽に交渉が出来るに違いない。

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