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その8 魔性の女
しおりを挟むドライブから戻ると、陽介は疲れたようでシャワーを浴びると言う。
「お兄ちゃん、一緒に(バスルーム)入ろうか?」
「よ、ようすけ、、お前何言ってるんだよ! またオレを挑発すんのか?」
○○神社参道で江口部長&島村久子とバッタリ会ったあと、陽介に「島村さんよりお前の方がきれいだぞ」と言ってから異変を感じていた。
シャワー室から出てきた陽介はセクシーなショーツにブラジャー。
下着姿のままリビングに入って来ると兄の前でポーズをとって見せる。
「どう、エロいでしょ?」
あまりにも露骨な弟の挑発に訳がわからず目のやり場に困る。
孝介もゆっくりシャワーを浴びリビングに戻ると目が点になった。
陽介は紫色のナイトドレス? それともスリップなのか?丈は短くベビドールのようにも見える。ブラジャー、ショーツが透けて見え扇情的だ。化粧も清楚だったドライブ時と違い派手になっている。そんな姿で鼻歌をうたいながら台の上に酒肴を並べていた。
このナイトドレスともランジェリーともつかないエロティックな姿は、送られてきたメール画像で見たことはあるが目の前で見るのは初めてなのだ。
とても冷静ではいられないが、それを押し隠すように何でもないような素振りで寿司を突いた。
「お兄ちゃん、お寿司には日本酒だよね? 明日はお父さんもお母さんも帰ってくるから、お兄ちゃんとふたりで過ごすのは最後だよ。お酒でも飲んでゆっくりしようよ」
「最後って、、同じ屋根の下に住んでるじゃないか!」
「違うの、兄と弟としてじゃなく孝介と陽子としてっていう意味。それともお兄ちゃん、みんなが寝静まった頃に僕の部屋に遊びに来る? 」
「な、何を考えているんだ?陽介!」
画像の中だけで見た弟は、単に女装が似合う少年に過ぎないと思っていた。
それがこの年末年始に一緒に過ごすとどんどん女になっていった。
絶対越えてはならない壁も危うくなってきたのを兄は感じるのだった。
こいつは本当に男なのか?
魔性の女?
(このままでは、女郎蜘蛛がオスを喰らうように、オレは陽介に絡め取られてしまう。そうしたら逃げられない...)
「お兄ちゃん、なんで僕がこんなエッチな格好してるか考えてるでしょ?
ドライブであちこち行ったのに誰にも僕が男だって気付かれなかったから自信になった。それにずっと清楚な女の子を演じてたからその反動かな?夜は淫らな女になってみたくて...」
「淫らって、お、おまえ、、、」
大晦日は女子高生姿の陽介を前に取り乱すと酩酊状態。元日は陽介の挑発に我を忘れ唇を奪ってしまった。
そして、今、エロティックなランジェリー姿の陽介に誘惑されている。
彼はまるで娼婦のようだ。
陽介は兄に「島村さんよりお前の方がきれいだぞ」と言われた。
“ あんなきれいな女の人より僕の方がきれい? ほ、本当??”
兄の言葉で陽介は全身から悦びが込み上げてくるのを感じた。
女装心? 否、自分は本当の女なのではないか?という錯覚に陥った。
燃え上がった炎は抑えられない。
今夜が勝負だ。
明日になれば父と母が帰ってくる。
日常に戻ればこんなチャンスはめったにない。それに、人一倍自制心の強い兄は何事もなかったように振る舞うだろう。弟との禁断?の関係に悩んでいるようだが、もう陥落寸前だとこの数日の様子を見れば分かる。
「お兄ちゃん、今日、島村久子さんより僕の方がきれいって言ってくれたよね? お兄ちゃんが好きだった、あんなきれいな人より僕が?」
「うん、、そう見えたんだよ...」
陽介の瞳がうるんできた。
それを見て孝介はドキドキする。
孝介は寿司を突きながらのお酒が止まらない。酔わねば陽介の挑発的視線に耐えられない。それでも大晦日のように酩酊状態になるわけにはいかない。
陽介が迫ってきた。
陽介は兄の横に座ると体を寄せた。
「お兄ちゃん。またキスしようか?男同士だからとか、兄弟だからダメだって言うのは古い考え方だよ。今は多様性の時代だし、もっと、自分の気持ちに正直になった方がいいよ...」
弟はそういうと兄の股間に触れた。
孝介の中で何かがガタッと外れた。
自制心の強い彼のブレーキが完全に制御不能になった。
もう後悔はしない。
私は元旦の夜のように陽介の唇を奪った。兄と弟の舌が絡み合いそれはどんどん激しくなっていく。
私はキスをしたまま陽介の身体を抱き寄せこちら向きに膝の上に乗せた。
対面愛撫しながら、私はこれに挿入行為が加われば対面座位だなと思った。
そのまま駅弁ファックになったら?
そんな妄想をしていた。
兄と弟がこんなことをして、、、。
堕ちたもんだと思う。
でも、私は後悔しない。
「お兄ちゃん、服、脱いじゃえば?」
「いや、そこまでしたら、最後までいってしまうからなァ...」
「そうだね。僕はセックス経験ないしお兄ちゃんだって女の人としか経験ないんでしょ? 練習しておかないと無理かもね。でも、僕の処女を奪うのは絶対お兄ちゃんだよ」
セックスなんて言葉、まともに口に出されると照れてしまう。
「陽介、処女って、、お前、自分が男であること忘れてんじゃないか? それよりも童貞を捨てるのが先だぞ」
「あ、忘れてた。僕は男だった」
そこでふたりは笑い合った。
「お兄ちゃん、舐めてあげる...」
「・・・・・」
弟は兄のズボンを下げた。
「うわぁ~! こんなに大きく硬くなってる。目の前で見たの初めて...」
「おい!こんなもんで感動すんな!」
孝介にしても、同性の目の前に男性器を晒したのは初めてだ。
案外、異性に見られるより同性に見られる方が恥ずかしいものだ。エロっぽい女の姿であっても陽介は同性でそれに兄と弟なので尚更だ。
弟は兄の膨張した男性器に大きく目を見開き触れた。そして、それを握り軽く扱くと手の中で兄の男性器は更に膨れ上がり硬くなっていった。
大きくなった兄のモノに、弟は感動した面持ちで頬ずりした。
「おおお、よ、ようこ。それ以上やったらオレは...」
「いいよ、お兄ちゃん。出してもいいから。僕の顔めがけて...」
その時だった。
ピンポーン!
玄関のチャイムが鳴った。
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