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3巻
3-3
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× × ×
深い眠りから目を覚ました。
体を少し動かし、体に異常がないか確認して、ベッドから下りる。
疲れを無視して体を動かし続けたから、本調子に戻すのは時間が必要だな。あとは、栄養を取らないと。
「あ~、おはよう」
「ユウキ様、おはようございます」
ムルカの家のメイドが挨拶を返してくれた。居間にムルカがいない。どこかに出かけているようだ。
「すみませんが、今日の日付を教えてください」
あれからどれくらいの日数が経過したのか確認すると、丸一日寝ていたことを知った。
その後、腹が減っているので食事を取ることにした。とにかく食べよう。小さな村なので、食事も質素だった。それでもまぁ、食えるだけマシかな。
食後、窯の様子を見に行く。
窯の入り口が開いていた。
あ~そうだった。客が来たので重い体を動かして無理やり開けたのだ。そして、できたばかりの陶器を売って、残りをユーラベルクまで運んでほしいと頼んだのだった。
取り引き内容は詳しく覚えてないが、ま、いいか。
窯の状態をチェックする。いつものように藁の箒で丹念に掃除する。亀裂の類はなかった。数時間かけてチェックを終えた。
続いて、次の陶器作りの構想を練る。
ひとまず、今までのやり方を見直してみる。
茶碗、丸皿、平皿の場合は、完成まで問題なく行えた。その一方で、花瓶、大皿の際は、素焼きで半分が使い物にならなくなった。本焼きでは全部生き残ったが、たまたまだったと思う。
いずれにしても、素焼きで壊れないようにする必要があるな。
「温度と時間を調整してみるか。あとは成形の段階でまだ未熟な部分があると思うから、改めて技術を磨こう」
前の世界で得た、陶芸の知識を思い出しつつ、工程を見直す。
次に考えたのは、釉薬についてである。材料が揃ったので新しい物が作れるのだ。自分ならではの特色を出すためにも釉薬作りは欠かせない。
アイデアがいくつも生まれ、とにかくやりたくて仕方がなくなってきた。
「よ~し、やるぞ!」
気合いが入る。
まずは成形からだ。そこから始めよう。前回は同じ形の物しか作らなかったが、今回はいろいろ製作してみよう。そのあとは釉薬作り。あ、そうだ。弟子たちが素焼きをする窯も必要だな。それ以外にもやることはたくさんある。
とにかく実際にやってみないと分からないことばかりなので、ぼんやりしている時間はない。人生ひたすら勉強だ。
さっそく粘土を土台に置いて、成形し始める。
手を濡らし粘土をじっくりと捏ねる。そうしながら水分を吸収させ、柔らかい粘土へと変化させる。
続いて、ろくろ成形で大皿の形を作っていく。器の厚みをほんの少しだけ厚くすることにした。ほんの数ミリ程度だが、それが重要なのだ。前回は薄くしすぎて、素焼きで耐えられなかったのだと判断した。
一枚一枚製作していく。枚数は前回と同じ十枚。
次は、花瓶である。
こちらも同じくほんの数ミリ厚みを増して製作する。最初に粘土で平たい土台を作り、そこに細いひも状にした粘土を、積み上げながら徐々に形にして高さを増していく。なお、この作り方を「ひも作り」という。
ある程度の高さになったら、ヘラと手で形を整えていく。それを何度も繰り返して花瓶の形にする。製作したのは同じく十個。
ここで終了して、乾燥させる。
次に始めたのは釉薬作りだ。釉薬作りは、陶芸家の秘法とも言えるほどに重要である。
まず、各種の草や雑木などを燃やして灰にする。灰釉ではこれが原料となる。他と混ざらないように注意して進める。
その工程を終え、ふるいにかける。灰をさらに細かく均一にすることで、より良い物にできるのだ。
それが終わったら、水簸と呼ばれるアク抜きを開始する。これをやらずに使おうとすると、綺麗なツヤが出なくなるので手抜きはできない。
なおこのアク抜きには二十日ほどかかるため、ここでいったん作業を終える。
乾燥と釉薬のアク抜きをしている間に、素焼き用の窯をもう一つ作ろうと思う。
弟子たちに手伝ってもらいつつ、窯を製作する。耐熱用煉瓦が欲しいのだが、そんな物はこの世界にない。
焼いた煉瓦と、固めた土で製作していく。
中の構造と強度を計算し、どれくらい焼き物を入れるのか考え、全体の設計を行い製作する。煉瓦を組み終えたら、上から土を被せてしっかりと固めて完成だ。
新調した窯で、素焼きに取りかかる。藁、薪、木炭を用意し、大皿と花瓶を窯に入れて素焼きを始める。
火を点け、温度を上げて、火の勢いと窯の中の状態を確認しながら進めていく。
その後、素焼きが完了した。
確認して中から作品を取り出す。
「よし!」
前回の経験を踏まえて改良したおかげで、大皿、花瓶ともに割れていなかった。ここで少し無駄な部分を削る作業を入れた。ヤスリで慎重に削っていく。
しっかりと全体に釉がけをしておく。重ねがけをして僕の陶器としての特色を出す。
いよいよ本焼きに入る。
作品を慎重に窯の中に配置して、入り口を粘土で塞ぐ。
藁に火を点けて薪を足していく、そして徐々に木炭を入れていく。前回よりも窯の中の温度を少し上げる。
必要温度は千度前後なのだが、それより高くすることで陶器に変化が起きるはずだ。もちろん、温度を上げすぎれば、作品は見るも無残になってしまうだろうが……
火の勢いから温度を測りつつ、慎重に作業を進めていった。
× × ×
一方その頃、ユーラベルクギルド支部では――
「えっ? もう陶器が完成したって!」
リサギルド支部長と、ギルドの幹部たちが、ミライナからの報告を聞いていた。
彼女たちは驚きを隠せなかった。陶器の製作工程を見させてもらって、あまりにも技術レベルが高く、製作には時間がかかると判断していたからだ。
ユウキから預かっている品は、技術者、学者、研究者が解析を進めているが、なぜこれほど美しい出来なのか議論の最中にあった。特に、器全体の輝きの謎は解明できていない。そうして議論が進まないまま、時間だけが経過していたのだが、その最中に、次の品が完成したとミライナが持ってきたのだ。
梱包された品を開けて、全員が息を呑む。
「うおっ! こ、これは、何とすごい!!」
封を解いて取り出されたのは、大きな皿だった。
基本的には、以前見せてもらった陶器と同じ色だったが、木の葉のような細かな意匠が施されている。それが皿の雰囲気をより雅に見せていた。
一つひとつ梱包が解かれ、出されていく大皿。合計で四枚あったが、そのどれもが二つとない品物だった。
「大して日数も経っていないというのに……」
「心底驚かされますなぁ!」
「うむうむ!」
だが、これで終わりではなかった。ミライナは「次の物がある」と言う。全員がさらに驚く、「まだ次があるのか?」と。
次に取り出されたのは、四個の花瓶。大皿と同じく、数ヶ所木の葉のようなアクセントとなる模様が入っており、色合いもまた違っていた。
全員が言葉を失う。
「……ユウキは、これをいったいどうしろと?」
沈黙を破ってリサが発言すると、ミライナが答える。
「ギルドのほうで展示と販売をしてほしいそうです」
「なるほど」
リサはそう口にして、少し考えた。
「……ちょっと、本人の名前で売るわけにはいきませんね」
「「「「えっ?」」」」
その場にいた全員が疑問の声を上げた。
リサは続ける。
「これほどの品、本人の名前で売るのが当然ですが……今はまだ製作を開始したばかり。ユウキは実績もなく爵位も低いため、良からぬ貴族が力ずくで功績を奪おうとしてもおかしくありません」
ひとまず別名を用意し、ユウキに注目されないようにしておく必要があると。
全員が納得したように頷く。
「そうだな、売りに出せばどれぐらいの値段になるのか分からんしな」
「ユーラベルクにも馬鹿な連中は多いから、それが最善であろう」
「とにかく、直接会うことはできないようにしよう」
意見が一致して、陶器に関する情報の秘匿が決定した。
「では、どんな名前にするのかを議論することにいたしましょうか」
しばらく考える各人。
一人の幹部が口にする。
「シシンという名はどうであろうか? 真心を尽くす、という意味だ」
「いいですね」
シシンという名に決定した。
とりあえず、大皿、花瓶、各一点は見本品として所有しておくことにして、他の三点の売り先を見つけることになったのだった。
第二章 成長した家臣たち
「ユウキ様はしばらく帰ってこられないそうだ」
「……そうですか」
「私たちの商売、すごく上手くいっているのに」
「まぁ、自由にやれるのはいいけどさ」
「当面は現状維持ですね」
「そうねぇ」
ユウキに家臣入りしたガオム、リシュラ、リシュナ、ウルリッヒ、ミオ、リナの六人は、ユウキの知識や技術を使い、各仕事を一手に任される立場になっていた。なお、ガオムは警備隊を、リシュラとリシュナは商店を、ウルリッヒは医療品を、ミオは解体業を、リナは飲食店を、それぞれ任されている。
各店は大繁盛していて何の問題もない。初期投資の安さと立地の悪さを無視して、多大な利益を上げていた。
ちなみに商売の基本はすべてユウキが考えたものであり、各々はそれの維持に努めている。
リナの料理店は、「速く、安く、美味い」という方針だった。経費を可能な限り削り、作業手順を限界まで減らすことで、それを実現しているのだ。
また店の特徴として椅子をなくしていた。これについてユウキが言うには――
「人という生き物は、一度座ると動こうとしなくなる。だから食事が終わっても長居してしまうんだ。一食あたりの単価が高いなら椅子を置くのは正解だけど、うちのように速さと安さが売りの店には必要ないんだ」
ということだった。
なので、客は立ったまま食事をするしかない。
確かに椅子を用意すればいやすくなるが、長く居座られると客の回転率が悪くなる。急いでいる客は、そういうのんびりとした店よりも、多少居心地が悪くても手っ取り早い店を選ぶだろう。ユウキの狙いは、長居しない客にあった。
その判断は見事に当たった。
わざと店に長くいられないようにするという逆転の発想に、リナは感心していた。
家臣は各々いろいろな商売の手法を伝授されたが、その一方で共通して言われていることがあった。
それは「近所付き合いを怠るな」である。
儲かる店は、近所の迷惑になる。儲けを出せば出すほどに、店の前には長蛇の列ができる。そのため近隣は迷惑を被るのだ。さらに、儲けを出しているため嫉妬の対象にもなる。
不評を買ってトラブルに発展させないためにも、ユウキは近所付き合いを徹底させているのだった。
商店を任せていたリシュラ、リシュナにも、特殊な営業方針が設定されていた。
小さな商店であるのだが、商品の数も非常に少ないのだ。ユウキから出された方針は「商品は十点まで」というもの。
商品数を揃えるのが商店経営の定石だというのに、たった十点だけしか陳列できないという枷。リシュラとリシュナは、困惑を隠せなかった。
開店してすぐこそ心配していたが、店を運営してみてその理由が分かってきた。
確かに、商品数を揃えて見栄えを良くするのは大事だ。だが、それでは他と変わらない、どこにでもあるような店になってしまう。
ならばいっそ、売れることが大きく見込める商品だけを扱って専門性を高めたほうが、店の個性が出るのだ。
ユウキの真の狙いはそこにあったのだろう。
そして結果として出た。
やがて、良い商品だけを扱う店という評判が広まっていったのだ。なお、その売り上げに大きく貢献しているのはウルリッヒの薬剤だった。
ウルリッヒはユウキ直伝の薬剤の製造をして、リシュラとリシュナの店に卸している。
その中でも主力の商品が、手荒れあかぎれに効く軟膏である。
この世界の女性たちの悩みが手荒れだった。それを治すため、ユウキはウルリッヒに軟膏の製法を伝授した。
使っている材料は珍しくない物だが、調合が難しいため、ウルリッヒは何度も失敗しながら覚えた。
この薬剤は色が悪く、匂いも良くない。
そのせいもあって当初人気がなかったが、効能が広まると飛ぶように売れ出した。口コミは徐々に広がっていき、今では品薄気味である。
ウルリッヒは毎日それを製作するのに時間を費やし、休みが取れない状態だ。
ミオは冒険者ギルドの解体部署で働いている。その理由は、ユウキが開発した「吊り上げ式解体台」の扱いにいち早く慣れるためである。
吊り上げ式解体台の最大の特徴は、魔物の頭部にフックをかけて吊り上げること。通常では、肉をひっくり返しながら作業するが、これならそのままの状態で全方向から手を入れられる。
ミオは吊り上げ式解体台を十台確保し、毎日解体作業に従事している。まとめて解体作業を行うことで時間の短縮ができたのだ。
ガオムは警備隊の訓練と指揮をしている。
他の五人と比べて目立つようなことなどないが、今後、ガオムが指揮することになる人数は増加する予定だ。
ガオムもそれを見越して、訓練に身を入れていた。
六人は結果を出すことに必死であった。
ここで結果を出して、少しでも早く自分たちの家を建てる。
彼らはそんな目標を掲げていた。
ここまで良い条件の職場などどこを探してもない。だからこそ、それを任せてくれるユウキの信頼に応える必要があった。
毎日忙しくも充実した時間を過ごす六人であった。
× × ×
「ユウキはしばらく、他の場所で仕事に集中しなくてはならないそうです」
「え~。お店はすごく順調なのにどうして?」
「何でも、ユウキ以外にできない仕事だそうで……ギルド支部長のリサ様からそう言われました」
「どれくらいで帰ってこられるの?」
「まだ予定が立てられないそうで……」
リフィーア、エリーゼ、リラ、フィー、ミミの五人が不満げに会話している。
彼女たちは、ユウキが運営している店で働きながら生活していた。店のほうは順調で、かなりの金額がギルドに積み立てられている。
ユウキは爵位の授与までの間、いろいろな仕事や準備をしなくてはならないとのこと。それで、近くの村を治めるグレッシャー騎士爵のところにいるらしい。ユウキが何の仕事をしているのか聞いておきたかったのだが――
「申し訳ないけど、今後ギルドの莫大な利益になる仕事の中心人物として働いている、としか言えないわ。これは他言してはだめよ。爵位の授与の準備をしてもらいたいけど、それより優先する仕事を任せているわ」
リサギルド支部長が直々に来て、そのように説明した。
多忙なギルド支部長が時間を割いて、わざわざ来てくれたのだ。相当重要な仕事なのだと、全員が理解した。
ユウキからは、当分はこの場所で生活をしていろ、とのこと。
ここは人が集まる繁華街なので不便はないが、物価はそれなりに高い。そのためユウキからある程度のお金をもらったのだが――
「えっ? こんなに」
エリーゼが驚くのももっともである。それは平民にとって数ヶ月分の稼ぎだったのだから。エリーゼはみんなに告げる。
「ユウキから、文字の勉強や数の計算、その他礼儀作法を学んでおけと手紙が送られてきたわ。それらに必要な分のお金は差し引かれているみたい。ギルドで教師を選び、働きつつ学びなさい、ということなんだけど……」
そうして勉強の時間が始まった。
「う~、こんなの面倒!」
「でも、ユウキは正式な職業貴族になるのだから、その妻が無教養では恥をかかせるでしょうし」
「そうよねぇ。この分だと相当な大物になるだろうし」
「妻の立場を守るため」
「とにかく、覚えるしかありませんね」
教師として教えに来たのは、そこそこ年配の男女五人だった。これが結構手厳しくて、頻繁にだめ出しをしてくる。
リフィーアは神殿である程度学んでいたのだが、他の四人は勉強らしい勉強をしていない農民の子供なので何をするにも四苦八苦だった。
また別の日。
「はぁ……素材の良い仕立て服とか、飾り細工とか、お金がかかるわねぇ」
「ほんと」
「平民出の私たちには無縁の品だったのに」
「その分のお金やら何やらユウキから出されてるし」
「要は、これで身なりを整えろってこと……」
リフィーアたちは衣服の準備をすることになった。だが、ユウキの爵位の正式な授与はもうしばらく先になるとのこと。
なぜ先延ばしになるのか。
それは冒険者ギルド上層部が判断したため。普通であればすぐにでも与えるのだが、ユウキの場合、正式な貴族にすると余計な付き合いが増え、動きづらくなってしまうかもしれない。そのため、代爵のままで仕事をさせるほうが都合が良いという判断だった。
なお、ユウキが考案した商売は利益が大きいため、ギルドには店を譲ってほしいという要望が殺到している。
本気で稼ぎたいと望む者がいる一方で、楽をしたいだけの世襲貴族も少なくない。
世襲貴族はギルドに「仕事をよこせ」と言うくせに、能力がない。そんな馬鹿を冒険者ギルドは認めるはずもなく、審査の段階で弾いている。
ギルドがユウキの店に派遣している人材の中には、有能な者たちもいる。
彼らの多くがギルドの幼年組出身者だ。何らかの不幸で身寄りがなくなり、引き取り手もいない人々。ユウキの店へ優先的に送られてくる、真面目な労働者だ。
職業貴族の子供らや、知識・技術を学びたい人々も少なくない。
職業貴族は、基本的に親の爵位を世襲できない仕組みになっている。世襲したい場合は、本人がそれ相応の実績をギルドに示して、審査を通らなければならない。この条件は厳格化されていて、コネでは不可能になっている。
そのため職業貴族の子供らは、親の仕事を引き継ぐに足る実力をつけられる仕事場を探しているのだが……良い条件の職場などそうそうあるわけがなく、大半が地味な下積みをしている。
ユウキはそんな職業貴族の子供を信用し、積極的に雇用していた。
深い眠りから目を覚ました。
体を少し動かし、体に異常がないか確認して、ベッドから下りる。
疲れを無視して体を動かし続けたから、本調子に戻すのは時間が必要だな。あとは、栄養を取らないと。
「あ~、おはよう」
「ユウキ様、おはようございます」
ムルカの家のメイドが挨拶を返してくれた。居間にムルカがいない。どこかに出かけているようだ。
「すみませんが、今日の日付を教えてください」
あれからどれくらいの日数が経過したのか確認すると、丸一日寝ていたことを知った。
その後、腹が減っているので食事を取ることにした。とにかく食べよう。小さな村なので、食事も質素だった。それでもまぁ、食えるだけマシかな。
食後、窯の様子を見に行く。
窯の入り口が開いていた。
あ~そうだった。客が来たので重い体を動かして無理やり開けたのだ。そして、できたばかりの陶器を売って、残りをユーラベルクまで運んでほしいと頼んだのだった。
取り引き内容は詳しく覚えてないが、ま、いいか。
窯の状態をチェックする。いつものように藁の箒で丹念に掃除する。亀裂の類はなかった。数時間かけてチェックを終えた。
続いて、次の陶器作りの構想を練る。
ひとまず、今までのやり方を見直してみる。
茶碗、丸皿、平皿の場合は、完成まで問題なく行えた。その一方で、花瓶、大皿の際は、素焼きで半分が使い物にならなくなった。本焼きでは全部生き残ったが、たまたまだったと思う。
いずれにしても、素焼きで壊れないようにする必要があるな。
「温度と時間を調整してみるか。あとは成形の段階でまだ未熟な部分があると思うから、改めて技術を磨こう」
前の世界で得た、陶芸の知識を思い出しつつ、工程を見直す。
次に考えたのは、釉薬についてである。材料が揃ったので新しい物が作れるのだ。自分ならではの特色を出すためにも釉薬作りは欠かせない。
アイデアがいくつも生まれ、とにかくやりたくて仕方がなくなってきた。
「よ~し、やるぞ!」
気合いが入る。
まずは成形からだ。そこから始めよう。前回は同じ形の物しか作らなかったが、今回はいろいろ製作してみよう。そのあとは釉薬作り。あ、そうだ。弟子たちが素焼きをする窯も必要だな。それ以外にもやることはたくさんある。
とにかく実際にやってみないと分からないことばかりなので、ぼんやりしている時間はない。人生ひたすら勉強だ。
さっそく粘土を土台に置いて、成形し始める。
手を濡らし粘土をじっくりと捏ねる。そうしながら水分を吸収させ、柔らかい粘土へと変化させる。
続いて、ろくろ成形で大皿の形を作っていく。器の厚みをほんの少しだけ厚くすることにした。ほんの数ミリ程度だが、それが重要なのだ。前回は薄くしすぎて、素焼きで耐えられなかったのだと判断した。
一枚一枚製作していく。枚数は前回と同じ十枚。
次は、花瓶である。
こちらも同じくほんの数ミリ厚みを増して製作する。最初に粘土で平たい土台を作り、そこに細いひも状にした粘土を、積み上げながら徐々に形にして高さを増していく。なお、この作り方を「ひも作り」という。
ある程度の高さになったら、ヘラと手で形を整えていく。それを何度も繰り返して花瓶の形にする。製作したのは同じく十個。
ここで終了して、乾燥させる。
次に始めたのは釉薬作りだ。釉薬作りは、陶芸家の秘法とも言えるほどに重要である。
まず、各種の草や雑木などを燃やして灰にする。灰釉ではこれが原料となる。他と混ざらないように注意して進める。
その工程を終え、ふるいにかける。灰をさらに細かく均一にすることで、より良い物にできるのだ。
それが終わったら、水簸と呼ばれるアク抜きを開始する。これをやらずに使おうとすると、綺麗なツヤが出なくなるので手抜きはできない。
なおこのアク抜きには二十日ほどかかるため、ここでいったん作業を終える。
乾燥と釉薬のアク抜きをしている間に、素焼き用の窯をもう一つ作ろうと思う。
弟子たちに手伝ってもらいつつ、窯を製作する。耐熱用煉瓦が欲しいのだが、そんな物はこの世界にない。
焼いた煉瓦と、固めた土で製作していく。
中の構造と強度を計算し、どれくらい焼き物を入れるのか考え、全体の設計を行い製作する。煉瓦を組み終えたら、上から土を被せてしっかりと固めて完成だ。
新調した窯で、素焼きに取りかかる。藁、薪、木炭を用意し、大皿と花瓶を窯に入れて素焼きを始める。
火を点け、温度を上げて、火の勢いと窯の中の状態を確認しながら進めていく。
その後、素焼きが完了した。
確認して中から作品を取り出す。
「よし!」
前回の経験を踏まえて改良したおかげで、大皿、花瓶ともに割れていなかった。ここで少し無駄な部分を削る作業を入れた。ヤスリで慎重に削っていく。
しっかりと全体に釉がけをしておく。重ねがけをして僕の陶器としての特色を出す。
いよいよ本焼きに入る。
作品を慎重に窯の中に配置して、入り口を粘土で塞ぐ。
藁に火を点けて薪を足していく、そして徐々に木炭を入れていく。前回よりも窯の中の温度を少し上げる。
必要温度は千度前後なのだが、それより高くすることで陶器に変化が起きるはずだ。もちろん、温度を上げすぎれば、作品は見るも無残になってしまうだろうが……
火の勢いから温度を測りつつ、慎重に作業を進めていった。
× × ×
一方その頃、ユーラベルクギルド支部では――
「えっ? もう陶器が完成したって!」
リサギルド支部長と、ギルドの幹部たちが、ミライナからの報告を聞いていた。
彼女たちは驚きを隠せなかった。陶器の製作工程を見させてもらって、あまりにも技術レベルが高く、製作には時間がかかると判断していたからだ。
ユウキから預かっている品は、技術者、学者、研究者が解析を進めているが、なぜこれほど美しい出来なのか議論の最中にあった。特に、器全体の輝きの謎は解明できていない。そうして議論が進まないまま、時間だけが経過していたのだが、その最中に、次の品が完成したとミライナが持ってきたのだ。
梱包された品を開けて、全員が息を呑む。
「うおっ! こ、これは、何とすごい!!」
封を解いて取り出されたのは、大きな皿だった。
基本的には、以前見せてもらった陶器と同じ色だったが、木の葉のような細かな意匠が施されている。それが皿の雰囲気をより雅に見せていた。
一つひとつ梱包が解かれ、出されていく大皿。合計で四枚あったが、そのどれもが二つとない品物だった。
「大して日数も経っていないというのに……」
「心底驚かされますなぁ!」
「うむうむ!」
だが、これで終わりではなかった。ミライナは「次の物がある」と言う。全員がさらに驚く、「まだ次があるのか?」と。
次に取り出されたのは、四個の花瓶。大皿と同じく、数ヶ所木の葉のようなアクセントとなる模様が入っており、色合いもまた違っていた。
全員が言葉を失う。
「……ユウキは、これをいったいどうしろと?」
沈黙を破ってリサが発言すると、ミライナが答える。
「ギルドのほうで展示と販売をしてほしいそうです」
「なるほど」
リサはそう口にして、少し考えた。
「……ちょっと、本人の名前で売るわけにはいきませんね」
「「「「えっ?」」」」
その場にいた全員が疑問の声を上げた。
リサは続ける。
「これほどの品、本人の名前で売るのが当然ですが……今はまだ製作を開始したばかり。ユウキは実績もなく爵位も低いため、良からぬ貴族が力ずくで功績を奪おうとしてもおかしくありません」
ひとまず別名を用意し、ユウキに注目されないようにしておく必要があると。
全員が納得したように頷く。
「そうだな、売りに出せばどれぐらいの値段になるのか分からんしな」
「ユーラベルクにも馬鹿な連中は多いから、それが最善であろう」
「とにかく、直接会うことはできないようにしよう」
意見が一致して、陶器に関する情報の秘匿が決定した。
「では、どんな名前にするのかを議論することにいたしましょうか」
しばらく考える各人。
一人の幹部が口にする。
「シシンという名はどうであろうか? 真心を尽くす、という意味だ」
「いいですね」
シシンという名に決定した。
とりあえず、大皿、花瓶、各一点は見本品として所有しておくことにして、他の三点の売り先を見つけることになったのだった。
第二章 成長した家臣たち
「ユウキ様はしばらく帰ってこられないそうだ」
「……そうですか」
「私たちの商売、すごく上手くいっているのに」
「まぁ、自由にやれるのはいいけどさ」
「当面は現状維持ですね」
「そうねぇ」
ユウキに家臣入りしたガオム、リシュラ、リシュナ、ウルリッヒ、ミオ、リナの六人は、ユウキの知識や技術を使い、各仕事を一手に任される立場になっていた。なお、ガオムは警備隊を、リシュラとリシュナは商店を、ウルリッヒは医療品を、ミオは解体業を、リナは飲食店を、それぞれ任されている。
各店は大繁盛していて何の問題もない。初期投資の安さと立地の悪さを無視して、多大な利益を上げていた。
ちなみに商売の基本はすべてユウキが考えたものであり、各々はそれの維持に努めている。
リナの料理店は、「速く、安く、美味い」という方針だった。経費を可能な限り削り、作業手順を限界まで減らすことで、それを実現しているのだ。
また店の特徴として椅子をなくしていた。これについてユウキが言うには――
「人という生き物は、一度座ると動こうとしなくなる。だから食事が終わっても長居してしまうんだ。一食あたりの単価が高いなら椅子を置くのは正解だけど、うちのように速さと安さが売りの店には必要ないんだ」
ということだった。
なので、客は立ったまま食事をするしかない。
確かに椅子を用意すればいやすくなるが、長く居座られると客の回転率が悪くなる。急いでいる客は、そういうのんびりとした店よりも、多少居心地が悪くても手っ取り早い店を選ぶだろう。ユウキの狙いは、長居しない客にあった。
その判断は見事に当たった。
わざと店に長くいられないようにするという逆転の発想に、リナは感心していた。
家臣は各々いろいろな商売の手法を伝授されたが、その一方で共通して言われていることがあった。
それは「近所付き合いを怠るな」である。
儲かる店は、近所の迷惑になる。儲けを出せば出すほどに、店の前には長蛇の列ができる。そのため近隣は迷惑を被るのだ。さらに、儲けを出しているため嫉妬の対象にもなる。
不評を買ってトラブルに発展させないためにも、ユウキは近所付き合いを徹底させているのだった。
商店を任せていたリシュラ、リシュナにも、特殊な営業方針が設定されていた。
小さな商店であるのだが、商品の数も非常に少ないのだ。ユウキから出された方針は「商品は十点まで」というもの。
商品数を揃えるのが商店経営の定石だというのに、たった十点だけしか陳列できないという枷。リシュラとリシュナは、困惑を隠せなかった。
開店してすぐこそ心配していたが、店を運営してみてその理由が分かってきた。
確かに、商品数を揃えて見栄えを良くするのは大事だ。だが、それでは他と変わらない、どこにでもあるような店になってしまう。
ならばいっそ、売れることが大きく見込める商品だけを扱って専門性を高めたほうが、店の個性が出るのだ。
ユウキの真の狙いはそこにあったのだろう。
そして結果として出た。
やがて、良い商品だけを扱う店という評判が広まっていったのだ。なお、その売り上げに大きく貢献しているのはウルリッヒの薬剤だった。
ウルリッヒはユウキ直伝の薬剤の製造をして、リシュラとリシュナの店に卸している。
その中でも主力の商品が、手荒れあかぎれに効く軟膏である。
この世界の女性たちの悩みが手荒れだった。それを治すため、ユウキはウルリッヒに軟膏の製法を伝授した。
使っている材料は珍しくない物だが、調合が難しいため、ウルリッヒは何度も失敗しながら覚えた。
この薬剤は色が悪く、匂いも良くない。
そのせいもあって当初人気がなかったが、効能が広まると飛ぶように売れ出した。口コミは徐々に広がっていき、今では品薄気味である。
ウルリッヒは毎日それを製作するのに時間を費やし、休みが取れない状態だ。
ミオは冒険者ギルドの解体部署で働いている。その理由は、ユウキが開発した「吊り上げ式解体台」の扱いにいち早く慣れるためである。
吊り上げ式解体台の最大の特徴は、魔物の頭部にフックをかけて吊り上げること。通常では、肉をひっくり返しながら作業するが、これならそのままの状態で全方向から手を入れられる。
ミオは吊り上げ式解体台を十台確保し、毎日解体作業に従事している。まとめて解体作業を行うことで時間の短縮ができたのだ。
ガオムは警備隊の訓練と指揮をしている。
他の五人と比べて目立つようなことなどないが、今後、ガオムが指揮することになる人数は増加する予定だ。
ガオムもそれを見越して、訓練に身を入れていた。
六人は結果を出すことに必死であった。
ここで結果を出して、少しでも早く自分たちの家を建てる。
彼らはそんな目標を掲げていた。
ここまで良い条件の職場などどこを探してもない。だからこそ、それを任せてくれるユウキの信頼に応える必要があった。
毎日忙しくも充実した時間を過ごす六人であった。
× × ×
「ユウキはしばらく、他の場所で仕事に集中しなくてはならないそうです」
「え~。お店はすごく順調なのにどうして?」
「何でも、ユウキ以外にできない仕事だそうで……ギルド支部長のリサ様からそう言われました」
「どれくらいで帰ってこられるの?」
「まだ予定が立てられないそうで……」
リフィーア、エリーゼ、リラ、フィー、ミミの五人が不満げに会話している。
彼女たちは、ユウキが運営している店で働きながら生活していた。店のほうは順調で、かなりの金額がギルドに積み立てられている。
ユウキは爵位の授与までの間、いろいろな仕事や準備をしなくてはならないとのこと。それで、近くの村を治めるグレッシャー騎士爵のところにいるらしい。ユウキが何の仕事をしているのか聞いておきたかったのだが――
「申し訳ないけど、今後ギルドの莫大な利益になる仕事の中心人物として働いている、としか言えないわ。これは他言してはだめよ。爵位の授与の準備をしてもらいたいけど、それより優先する仕事を任せているわ」
リサギルド支部長が直々に来て、そのように説明した。
多忙なギルド支部長が時間を割いて、わざわざ来てくれたのだ。相当重要な仕事なのだと、全員が理解した。
ユウキからは、当分はこの場所で生活をしていろ、とのこと。
ここは人が集まる繁華街なので不便はないが、物価はそれなりに高い。そのためユウキからある程度のお金をもらったのだが――
「えっ? こんなに」
エリーゼが驚くのももっともである。それは平民にとって数ヶ月分の稼ぎだったのだから。エリーゼはみんなに告げる。
「ユウキから、文字の勉強や数の計算、その他礼儀作法を学んでおけと手紙が送られてきたわ。それらに必要な分のお金は差し引かれているみたい。ギルドで教師を選び、働きつつ学びなさい、ということなんだけど……」
そうして勉強の時間が始まった。
「う~、こんなの面倒!」
「でも、ユウキは正式な職業貴族になるのだから、その妻が無教養では恥をかかせるでしょうし」
「そうよねぇ。この分だと相当な大物になるだろうし」
「妻の立場を守るため」
「とにかく、覚えるしかありませんね」
教師として教えに来たのは、そこそこ年配の男女五人だった。これが結構手厳しくて、頻繁にだめ出しをしてくる。
リフィーアは神殿である程度学んでいたのだが、他の四人は勉強らしい勉強をしていない農民の子供なので何をするにも四苦八苦だった。
また別の日。
「はぁ……素材の良い仕立て服とか、飾り細工とか、お金がかかるわねぇ」
「ほんと」
「平民出の私たちには無縁の品だったのに」
「その分のお金やら何やらユウキから出されてるし」
「要は、これで身なりを整えろってこと……」
リフィーアたちは衣服の準備をすることになった。だが、ユウキの爵位の正式な授与はもうしばらく先になるとのこと。
なぜ先延ばしになるのか。
それは冒険者ギルド上層部が判断したため。普通であればすぐにでも与えるのだが、ユウキの場合、正式な貴族にすると余計な付き合いが増え、動きづらくなってしまうかもしれない。そのため、代爵のままで仕事をさせるほうが都合が良いという判断だった。
なお、ユウキが考案した商売は利益が大きいため、ギルドには店を譲ってほしいという要望が殺到している。
本気で稼ぎたいと望む者がいる一方で、楽をしたいだけの世襲貴族も少なくない。
世襲貴族はギルドに「仕事をよこせ」と言うくせに、能力がない。そんな馬鹿を冒険者ギルドは認めるはずもなく、審査の段階で弾いている。
ギルドがユウキの店に派遣している人材の中には、有能な者たちもいる。
彼らの多くがギルドの幼年組出身者だ。何らかの不幸で身寄りがなくなり、引き取り手もいない人々。ユウキの店へ優先的に送られてくる、真面目な労働者だ。
職業貴族の子供らや、知識・技術を学びたい人々も少なくない。
職業貴族は、基本的に親の爵位を世襲できない仕組みになっている。世襲したい場合は、本人がそれ相応の実績をギルドに示して、審査を通らなければならない。この条件は厳格化されていて、コネでは不可能になっている。
そのため職業貴族の子供らは、親の仕事を引き継ぐに足る実力をつけられる仕事場を探しているのだが……良い条件の職場などそうそうあるわけがなく、大半が地味な下積みをしている。
ユウキはそんな職業貴族の子供を信用し、積極的に雇用していた。
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