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第1章
192話 やはり愚か者は現れる
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買った鳥はこちらでレンタルした馬車に積み込んでから領地に運ぶことになった
「…ユウキ様、あんなクズどりを買い込んでどうなさるおつもりなのですか?」
ミーティアは極めて不機嫌な表情をしながら聞いてきた。
「お金が足りなさそうだからお金に換えるんだけど?」
「ならば!もっといい商品がございます」
今からでも遅くないからそれを買えと。う~ん、その気持ちはありがたいが今現在これ以上手軽で安く済む方法ではなさそうだ。
所持金はまだまだあるが安く済むのならばその方が良い。みんなは不満たっぷりだった。
そうして領地まで戻る。
『コケッコ!』
暴れないように籠で購入してきた鳥を放つと元気よく動き出す。状態は中々良いみたいだ。多くの人が大量の鶏に面食らっている。放し飼い用に簡単な柵を作る必要があるな。
そうして、養鶏業を始めることにした。
それからしばらくして。
『我らはパーラム男爵を中心とした商業組合である!ユウキと申す者、ここで産出される宝石の原石の取引契約を結ぶために派遣されたのである!』
見た目が豪華な男らが数人現れた。
「はぁ、どうも…」
「早く茶を出すのである!」
あくまで上から目線を崩さない連中、その後ろには冒険者ギルドから派遣された役員らが待たされていた。あくまで自分ら優先という連中はともかく後ろはちゃんとした人間だと思うので両方一緒に話を聞くことにした
「どうぞ」
水の入ったコップを出すが、
「貴様は礼儀知らずである!正当な貴族家の使いに茶を出さんとはけしからんことである!」
身勝手なことばかりを言う男らであった。
こんな何もないような場所で茶を求める、相手の状況とか見ずに。僕とて出せるのならば茶を出したいが仕入れのルートは無いしここまで運ぶのは大変だし自分らだけ茶を飲んでいても意味がない。
「それで、どのようなことでここまで参られたのでしょうか」
「おう、それはここで産出される原石の換金額のことであるな!」
言葉の中に都合のいい意味が入っているが無視する。周りをよく見るとミーティアを筆頭にほぼ全員が「感じが悪い」顔に出ていた。
まだ話をし始めたばかりなのに周囲の雰囲気は良くなかった。
こちらの意見を何も聞かずに相手は紙を出した。
「ほれ、ここにサインをするだけだ。無知なお前でも出来るようにしておいたぞ」
この人、無礼を通り越してるんだけど。その中身を見ると都合が良すぎて泣けてきた。
その壱 取引配分は500:1とする
その二 契約は無期限とする
その三 損害が出たら全てそちらで責任を持つ
その四 こちらを盟主として組織に忠誠を誓う
その他目を疑うような内容ばかりで割愛
すっご~~~~く手前勝手な契約だな。ミーティアにも見せたが彼女はすぐさまどす黒い気配を漂わせた。すべての条件が自分らの都合よく利益を全部吸い上げることばかりが書かれていた。
こんなありえない内容にサインなどできるはずがない、絶対に。
「申し訳ありませんが」
内容がおかしいです、説明を求めます。そういうと相手が怒りの表情を見せる。
「貴様は下賤な民の出なのだ。学も無く教養も無い、それを我らの組織に入れてやろうというのだ。いろいろ勉強になるし人脈とて広がる」
完全にこちらを見下した発言に周囲から悪い気配が立ち上がる。ミーティアだけでなく冒険者ギルドから派遣された役員たちですらも。それに気づかない連中なのだ。
ヤレヤレ、予想はしていたけど聞くだけ無駄だな。
「お帰り下さい」
それだけしか、言うことが無い。
「貴様!我らがはるばるやって来たという何もせず帰すのか!ありえない、ありえないぞ!我々は高貴なお方から派遣されてきたのだから契約するのだ!契約しろ、さもなくば災いが訪れるぞ!」
もはや外面などどうでもよくなったのか、唾を吐き怒声で「サインしろ!」押してくる。はぁ、どうしてこんなのが生き残ってるんだろうか。経済は大衆の意思で回っているのに気が付かない連中だ。
声高で騒ぎ立てる連中に効く薬はこれしかない。
「お客様がお帰りになられる」
『ははっ』
そばで武装した人達に対応を任せる。彼らは冒険者ギルドから派遣された護衛を専門とする人間だ。腕も経つし忠誠心も高い。これ以上話すことも無いのでお帰りいただく。
「な、なんだ、お前は!」
明らかに鍛えられた人間を相手に怯えの色を見せる連中。ほら、妙にいきがるからこのような人達が出てくるんだよ。そうして連中は追い出された。
「大変でございましたな」
「ええ」
バカ騒ぎした連中を追い出してようやく冒険者ギルドから派遣された役員らと話が出来る。
「まずはお祝いの言葉を送らせてもらいます」
山賊らが蔓延り秩序が乱れていた土地を見事に開放したことへの賛辞とこの土地の統治者としての男爵に任命すること。あとは儀礼に則った言葉を贈られる。
「冒険者ギルドは貴殿の活躍を褒めたたえます。今後とも、良き統治者として力を尽くして下さい」
「謹んでお受けいたします」
男爵位に任ずる印章を正式に貰う。この男爵位の家名を決めて欲しいそうだ。
「”トヨクニ”でお願いします」
聞きなれない言葉のようだ。
僕の国の言葉で『豊国』と読む。豊かな国という意味だ。それで承認のサインをする。
これで正式にこの土地の統治者になれたわけだ。今後の発展は期待できるが人手も資金ももっといるだろう。頑張らないとなぁ。
「…ユウキ様、あんなクズどりを買い込んでどうなさるおつもりなのですか?」
ミーティアは極めて不機嫌な表情をしながら聞いてきた。
「お金が足りなさそうだからお金に換えるんだけど?」
「ならば!もっといい商品がございます」
今からでも遅くないからそれを買えと。う~ん、その気持ちはありがたいが今現在これ以上手軽で安く済む方法ではなさそうだ。
所持金はまだまだあるが安く済むのならばその方が良い。みんなは不満たっぷりだった。
そうして領地まで戻る。
『コケッコ!』
暴れないように籠で購入してきた鳥を放つと元気よく動き出す。状態は中々良いみたいだ。多くの人が大量の鶏に面食らっている。放し飼い用に簡単な柵を作る必要があるな。
そうして、養鶏業を始めることにした。
それからしばらくして。
『我らはパーラム男爵を中心とした商業組合である!ユウキと申す者、ここで産出される宝石の原石の取引契約を結ぶために派遣されたのである!』
見た目が豪華な男らが数人現れた。
「はぁ、どうも…」
「早く茶を出すのである!」
あくまで上から目線を崩さない連中、その後ろには冒険者ギルドから派遣された役員らが待たされていた。あくまで自分ら優先という連中はともかく後ろはちゃんとした人間だと思うので両方一緒に話を聞くことにした
「どうぞ」
水の入ったコップを出すが、
「貴様は礼儀知らずである!正当な貴族家の使いに茶を出さんとはけしからんことである!」
身勝手なことばかりを言う男らであった。
こんな何もないような場所で茶を求める、相手の状況とか見ずに。僕とて出せるのならば茶を出したいが仕入れのルートは無いしここまで運ぶのは大変だし自分らだけ茶を飲んでいても意味がない。
「それで、どのようなことでここまで参られたのでしょうか」
「おう、それはここで産出される原石の換金額のことであるな!」
言葉の中に都合のいい意味が入っているが無視する。周りをよく見るとミーティアを筆頭にほぼ全員が「感じが悪い」顔に出ていた。
まだ話をし始めたばかりなのに周囲の雰囲気は良くなかった。
こちらの意見を何も聞かずに相手は紙を出した。
「ほれ、ここにサインをするだけだ。無知なお前でも出来るようにしておいたぞ」
この人、無礼を通り越してるんだけど。その中身を見ると都合が良すぎて泣けてきた。
その壱 取引配分は500:1とする
その二 契約は無期限とする
その三 損害が出たら全てそちらで責任を持つ
その四 こちらを盟主として組織に忠誠を誓う
その他目を疑うような内容ばかりで割愛
すっご~~~~く手前勝手な契約だな。ミーティアにも見せたが彼女はすぐさまどす黒い気配を漂わせた。すべての条件が自分らの都合よく利益を全部吸い上げることばかりが書かれていた。
こんなありえない内容にサインなどできるはずがない、絶対に。
「申し訳ありませんが」
内容がおかしいです、説明を求めます。そういうと相手が怒りの表情を見せる。
「貴様は下賤な民の出なのだ。学も無く教養も無い、それを我らの組織に入れてやろうというのだ。いろいろ勉強になるし人脈とて広がる」
完全にこちらを見下した発言に周囲から悪い気配が立ち上がる。ミーティアだけでなく冒険者ギルドから派遣された役員たちですらも。それに気づかない連中なのだ。
ヤレヤレ、予想はしていたけど聞くだけ無駄だな。
「お帰り下さい」
それだけしか、言うことが無い。
「貴様!我らがはるばるやって来たという何もせず帰すのか!ありえない、ありえないぞ!我々は高貴なお方から派遣されてきたのだから契約するのだ!契約しろ、さもなくば災いが訪れるぞ!」
もはや外面などどうでもよくなったのか、唾を吐き怒声で「サインしろ!」押してくる。はぁ、どうしてこんなのが生き残ってるんだろうか。経済は大衆の意思で回っているのに気が付かない連中だ。
声高で騒ぎ立てる連中に効く薬はこれしかない。
「お客様がお帰りになられる」
『ははっ』
そばで武装した人達に対応を任せる。彼らは冒険者ギルドから派遣された護衛を専門とする人間だ。腕も経つし忠誠心も高い。これ以上話すことも無いのでお帰りいただく。
「な、なんだ、お前は!」
明らかに鍛えられた人間を相手に怯えの色を見せる連中。ほら、妙にいきがるからこのような人達が出てくるんだよ。そうして連中は追い出された。
「大変でございましたな」
「ええ」
バカ騒ぎした連中を追い出してようやく冒険者ギルドから派遣された役員らと話が出来る。
「まずはお祝いの言葉を送らせてもらいます」
山賊らが蔓延り秩序が乱れていた土地を見事に開放したことへの賛辞とこの土地の統治者としての男爵に任命すること。あとは儀礼に則った言葉を贈られる。
「冒険者ギルドは貴殿の活躍を褒めたたえます。今後とも、良き統治者として力を尽くして下さい」
「謹んでお受けいたします」
男爵位に任ずる印章を正式に貰う。この男爵位の家名を決めて欲しいそうだ。
「”トヨクニ”でお願いします」
聞きなれない言葉のようだ。
僕の国の言葉で『豊国』と読む。豊かな国という意味だ。それで承認のサインをする。
これで正式にこの土地の統治者になれたわけだ。今後の発展は期待できるが人手も資金ももっといるだろう。頑張らないとなぁ。
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