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ゲーム開始時編
新地域の開放
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「全員修理用や回復用の素材やアイテムは十分確保しているな」
『はい』
タケミカヅチとライナが確認を取る。今回は新しい素材が手に入る新地域の開放だ。服などに使用される繊維が豊富に取れる場所が目的地だ。1番目の町に東に位置していてモンスターも序盤に行けるのにかなり強い。なので戦闘がメインのプレイヤーらが護衛として付いていく。
半分以上が生産職であり戦闘能力はさして高くないからだ。戦闘職と生産職がパーティを組んでフィールドボスを倒す作戦である。
僕もそれに参加していた。
そうして道中モンスターを倒しながら奥に進んでいくと湿原が見えてくる。
「一旦ここで休憩を取る。カオル、『あのアイテム』を出してくれ」
「わかった」
インベからそのアイテムを取り出す。それは大きな水晶体だった。それを地面において、
「建築開始」
呪文を唱えると水晶が膨らみ徐々に形を作っていく。数分後に出来上がったのは大きな家だった。
『うおぉ~、こりゃすげぇや。情報では聞いてたが』
これはゲーム内で販売されている『野営用ポッド』の一つだ。建物の中にいると非アクティブとなりステータスの回復速度が上昇する効果がある。一定時間しか効果がない安いのから無期限で使えるものまで色々存在している。モンスターを狩るための移動拠点だ。
僕が出した一番大きくて設備が整い回復効果も一番高くしかも無期限である。百五十人も収容できる上に様々な施設が家の中に存在する一番高額な物である。
値段はもちろん目が飛び出るほどに高く個人のプレイヤーどころか人数が集まっても入手困難なほど、だが、僕にはカジノで得られる収入がある。
「「カオル、お願いだ。これ、買ってくれ!」」
ミカさんとライナさん二人でお願いされた。
まぁ、どうせカジノから得る莫大な金の使い道に悩んでたしね。そうして購入した。
「ふへぇ~、広いなぁ」
「こっちは薬剤を調合するための部屋か」
「こっちは修理や鍛治を行える金床や炉まであるぞ」
他のプレイヤーは設備が整った部屋の数々を見て不思議そうな顔をしていた。
「タケミカヅチ、ライナさん」
「なんだよ」
「これって最上級の野営用ポッドですよね?」
「そうだが」
「あのカオルってプレイヤーはなんでこんな高額なものを入手してるんですか?」
見た感じ後方支援タイプなのにどうしてこんなに金持ちなのか?他のプレイヤーから聞かれる。
「それは教えられない」
「しかし」
「いいから黙っていろ」
二人はそっけなく追い返す。
「(やっぱりカオルの正体を知りたいというプレイヤーが多いな)」
「(ですねぇ。うちは全員に口止めしてますが外部のプレイヤーにはそれは分からないことですし)」
タケミカヅチとライナのメンバーには全員口を閉ざすように命令しているが三分の一以上は他の場所から来ている。それらが全員集まってもこの野営用ポットの金額には全然届かない。
β版から続けている熟練プレイヤーですら買えないだろう。その資金源となっているのは莫大な利益を出すカジノを有しているからである。他では入手不可能な効果を有する数々のアイテム、それを手に入れるために数多くのプレイヤーが出入りしている。
稼いだ金をコインに替えて遊ぶ者、大勝ちする夢を見る者、単純に投資と見る者、プレイヤーは無数に存在しそれぞれの方法で行動している。単純に遊ぶだけでもいいしアイテムに交換して転売する連中も多い。それだけカジノの景品が魅力的だということだ。
上のほうまで見ていくと性能だけで最新の装備品の三倍の性能を有する装備までもがあるのだ。もちろん、購入可能数には制限があるが。今現在、カジノは数多くのプレイヤーが集まるホットなスポットになっている。そのオーナーの元に入ってくる金額はとてつもない。
未だにゲームシステムで動かされていると大多数が認識しているカジノだがプレイヤーが所有できるという意見はどこからも上がっていない。
GMからの忠告でミカとライナはカオルがオーナーであることを知らされている。
ここに来る少し前に確かめたのだ。
『確認してみることにしようか』
秘密裏にメールを同時に送ってみたのだ。
二人はそこでカジノのオーナーの部屋まで案内される。
「ようこそ、僕のカジノへ」
変装スキルで老紳士の姿からいつものようにカオルに戻る姿を確認した。
「あんな他言無用なメールを同時に送ってくるってことはGMさんから何か言われたんだね」
「ああ」
「本当にオーナーなのですね」
「まぁね」
カオルはどこか楽しそうでありながら面倒なようだった。
「あの購入した本の出したクエストを全部クリアしたら押し付けられたんだよ」
私達はまだ何一つとしてクリアしていない。それをこんな短時間でクリアしたとは驚きである。
「って、ことはカジノはうちらでも所有できるわけだ」
「ですね」
その事実を確認しやる気になるが、
「ちょっとばかり難しい、かな?」
カオルはちょっと複雑な顔をしていた。
「どうしてだ?」
「クエストをもう一度確認してみてよ」
私達はもう一度盗賊方面のクエストを見てみる。
「あっ!最後のクエストが書き換わっている」
「みたいですね」
最後のクエスト『町の賭博場を手に入れろ』が消えていて替わりに『裏社会への繋がりを手に入れろ』に変化していた。
「これはGMさんから聞いたんだけど」
裏社会へのルートに入ると最低限の要求能力を満たすクエストだけを押し付けられる、それをクリアして最後のクエストをクリアすると案内役から特別なルートへの出入りを許されるようになる。そこでの依頼は情報収集から特別なアイテムの調達、はてはカジノのような経営などを任されるようになるわけだ。
ただ、このルートには段階がありカジノを任されるようになるのは相当な腕前と信頼がなければ不可能、加えて表と裏の社会への貢献度など多岐に渡る。
こんな短時間でのクリアはゲーム運営の方でも予想してなかったらしく修正をしたそうだ。
「だから最後のクエストが変わっているのか」
「そうだね」
「次の町にはないのですか」
「何でも偶数の町にしかカジノは配置されないんだって」
偶数の町ということは四番目か、まだそこまでゲームが進んでいないためすぐには無理だ。当分は下積みが必要なようだ。とはいえ、この情報はまだ誰も入手していないので価値は大きい
「僕のほうにもクエストは来ているよ」
「どんな内容ですか」
「主にゲーム時間に比例しての利益の達成と周辺への資金提供、他にもNPCの撃退数とか」
カオルの説明によるとただ無闇に金を取ってはならないそうだ。一定以上の金額を稼ぐのは当然だがそれを使い周囲の施設を発展させたり品揃えを増やしたり、現れてくるPCやNPCを勝負したり、などなど。考えなければならないことが多い。
入ってくる金で独自のアイテム製作できる利点はあるがカジノの規模とオーナーに依存するので万能的なアイテムを作り出せない仕組みになっている。なので、購入数に制限があるわけだ。
製作したアイテムで利益を上げないとカジノの経営は行き詰るのでその性能や値段設定も必要、これはとんでもなく面倒だ。
実際、儲けは出るのか?その点を聞く。
「現実は知らないけど初期資金とまっさらな店舗を与えられてからのスタートだね。ゲームは現実と同じものを用意できるしルールも設定できる。雇うNPCとか設備とか買ってそれから・・・」
カオルの話す内容は現実の世界のカジノとさして変わりなかった。ゲーム暦が長いが現実のカジノ経営とこれでは何も変わりが無い事に気づく。
「上手くやれば莫大な利益になるけど、失敗した時はペナルティが酷いものだよ」
カオルのところには来ていないそうだがゲーム時間で一ヶ月以上赤字を出すと監視役が来て運営の内容を大幅に制限されて二ヶ月以上だと毎日の赤字を自分が負担しなくてはならなくなり三ヶ月以上になるとそこで終わりだそうだ。
これは下手に手を出すと大火傷どころでは済まなさそうだ。
「カジノで販売しているアイテムの半数ぐらいは僕自身が製作したものだよ」
残りの半数はカジノの規模にしたがって製造されるそうだ。前者は個数制限があるが後者は無いのが特徴だ。大半が消費アイテムになる。長期間使えるのは前者になるわけだ。
「面倒なシステムだなぁ」
「ですねぇ」
カジノなんて楽して儲かるとは考えてはいけないってことだな。
「GMさんから忠告されてるみたいだけど改めて言っておくね」
カジノをプレイヤーが所有できることやそのオーナーのことも全部含めて他人に漏らしてはならないし攻略掲示板にも載せてはならない事。
「それは絶対に約束する」
「さすがにアカウント停止でもさせられたら最悪ですから」
二人とも納得してくれたようだ。
「お金、余ってるのか?」
「もう次の投資用の資金は回収し終えたから余ってるね」
「なら、カオルに是非とも購入してもらいたい品物があるんですよ」
二人に迫られていくつかの高額アイテムを確保した。一つ目は先ほどの野営用テント、二つ目が、
「早速町に戻って準備してきます」
大きな水晶に手を触れるとそのプレイヤーが消えた。これがワープの魔法を他人でも使用可能にする【転移水晶体】だ。これがあれが自分が置いたワープストーンにマザーストーンを使い自由に移動できる道具である。これもかなり高額なもので前線で稼ぐプレイヤー以外入手困難なほどだ。
最後の3つ目が【魔法のカバン】である。これを装備していると一時的にインベントリを拡張できる。本来であれば限界があるのだが一時的にとはいえ荷物容量を増やせる効果は大きい、しかも他人への譲渡も可能なのだ。
この二つは購入金額もさることながら入手手段に交渉系スキルがないと駄目だそうだ。ミカさんもライナさんも「欲しい欲しい」そう思いながらも誰から入手できるのかが分からなかったそうだ。
僕は町で【特別交渉】を使って探し出す。
「ヒヒヒ、よくきたねぇ。あたしが魔法のカバン職人さね」
情報を得ていくとそこは道を離れた木の影の場所にあった。どうやら入り口が魔法などで細工してあり正式な手順を踏まないとこれないようだ。
「こんなところに店構えてるのはゲームらしいといえばらしいんだが」
「面倒なところにありますねぇ。どうりで情報だけしか流れてこないわけです」
一緒に手順を踏んで入ってきた二人は「こんなの情報屋でも噂話にしかならないわけだ」愚痴を漏らしていた。
「んで、どのカバンを買うんだい?一人につき十個までだよ。次回の入荷は来月だね」
商品を確認するとインベの中にカバンを仕舞いこんで引き出す仕組みになるみたいだ。大きく大容量のものから小さくコンパクトなものまで様々だ。
二人は持ってきた所持金と相談して魔法のバッグを購入していく。効果が高いため値段もそこそこ高い。僕もこの際だから買おう。最大容量のを十個纏めて。
「売買が終わると足取りを追えないように塞ぐのか」
「いやらしいシステムですね」
そうして目的のものは全て買い終わったので本命の新地域への攻略を開始することにした。
『はい』
タケミカヅチとライナが確認を取る。今回は新しい素材が手に入る新地域の開放だ。服などに使用される繊維が豊富に取れる場所が目的地だ。1番目の町に東に位置していてモンスターも序盤に行けるのにかなり強い。なので戦闘がメインのプレイヤーらが護衛として付いていく。
半分以上が生産職であり戦闘能力はさして高くないからだ。戦闘職と生産職がパーティを組んでフィールドボスを倒す作戦である。
僕もそれに参加していた。
そうして道中モンスターを倒しながら奥に進んでいくと湿原が見えてくる。
「一旦ここで休憩を取る。カオル、『あのアイテム』を出してくれ」
「わかった」
インベからそのアイテムを取り出す。それは大きな水晶体だった。それを地面において、
「建築開始」
呪文を唱えると水晶が膨らみ徐々に形を作っていく。数分後に出来上がったのは大きな家だった。
『うおぉ~、こりゃすげぇや。情報では聞いてたが』
これはゲーム内で販売されている『野営用ポッド』の一つだ。建物の中にいると非アクティブとなりステータスの回復速度が上昇する効果がある。一定時間しか効果がない安いのから無期限で使えるものまで色々存在している。モンスターを狩るための移動拠点だ。
僕が出した一番大きくて設備が整い回復効果も一番高くしかも無期限である。百五十人も収容できる上に様々な施設が家の中に存在する一番高額な物である。
値段はもちろん目が飛び出るほどに高く個人のプレイヤーどころか人数が集まっても入手困難なほど、だが、僕にはカジノで得られる収入がある。
「「カオル、お願いだ。これ、買ってくれ!」」
ミカさんとライナさん二人でお願いされた。
まぁ、どうせカジノから得る莫大な金の使い道に悩んでたしね。そうして購入した。
「ふへぇ~、広いなぁ」
「こっちは薬剤を調合するための部屋か」
「こっちは修理や鍛治を行える金床や炉まであるぞ」
他のプレイヤーは設備が整った部屋の数々を見て不思議そうな顔をしていた。
「タケミカヅチ、ライナさん」
「なんだよ」
「これって最上級の野営用ポッドですよね?」
「そうだが」
「あのカオルってプレイヤーはなんでこんな高額なものを入手してるんですか?」
見た感じ後方支援タイプなのにどうしてこんなに金持ちなのか?他のプレイヤーから聞かれる。
「それは教えられない」
「しかし」
「いいから黙っていろ」
二人はそっけなく追い返す。
「(やっぱりカオルの正体を知りたいというプレイヤーが多いな)」
「(ですねぇ。うちは全員に口止めしてますが外部のプレイヤーにはそれは分からないことですし)」
タケミカヅチとライナのメンバーには全員口を閉ざすように命令しているが三分の一以上は他の場所から来ている。それらが全員集まってもこの野営用ポットの金額には全然届かない。
β版から続けている熟練プレイヤーですら買えないだろう。その資金源となっているのは莫大な利益を出すカジノを有しているからである。他では入手不可能な効果を有する数々のアイテム、それを手に入れるために数多くのプレイヤーが出入りしている。
稼いだ金をコインに替えて遊ぶ者、大勝ちする夢を見る者、単純に投資と見る者、プレイヤーは無数に存在しそれぞれの方法で行動している。単純に遊ぶだけでもいいしアイテムに交換して転売する連中も多い。それだけカジノの景品が魅力的だということだ。
上のほうまで見ていくと性能だけで最新の装備品の三倍の性能を有する装備までもがあるのだ。もちろん、購入可能数には制限があるが。今現在、カジノは数多くのプレイヤーが集まるホットなスポットになっている。そのオーナーの元に入ってくる金額はとてつもない。
未だにゲームシステムで動かされていると大多数が認識しているカジノだがプレイヤーが所有できるという意見はどこからも上がっていない。
GMからの忠告でミカとライナはカオルがオーナーであることを知らされている。
ここに来る少し前に確かめたのだ。
『確認してみることにしようか』
秘密裏にメールを同時に送ってみたのだ。
二人はそこでカジノのオーナーの部屋まで案内される。
「ようこそ、僕のカジノへ」
変装スキルで老紳士の姿からいつものようにカオルに戻る姿を確認した。
「あんな他言無用なメールを同時に送ってくるってことはGMさんから何か言われたんだね」
「ああ」
「本当にオーナーなのですね」
「まぁね」
カオルはどこか楽しそうでありながら面倒なようだった。
「あの購入した本の出したクエストを全部クリアしたら押し付けられたんだよ」
私達はまだ何一つとしてクリアしていない。それをこんな短時間でクリアしたとは驚きである。
「って、ことはカジノはうちらでも所有できるわけだ」
「ですね」
その事実を確認しやる気になるが、
「ちょっとばかり難しい、かな?」
カオルはちょっと複雑な顔をしていた。
「どうしてだ?」
「クエストをもう一度確認してみてよ」
私達はもう一度盗賊方面のクエストを見てみる。
「あっ!最後のクエストが書き換わっている」
「みたいですね」
最後のクエスト『町の賭博場を手に入れろ』が消えていて替わりに『裏社会への繋がりを手に入れろ』に変化していた。
「これはGMさんから聞いたんだけど」
裏社会へのルートに入ると最低限の要求能力を満たすクエストだけを押し付けられる、それをクリアして最後のクエストをクリアすると案内役から特別なルートへの出入りを許されるようになる。そこでの依頼は情報収集から特別なアイテムの調達、はてはカジノのような経営などを任されるようになるわけだ。
ただ、このルートには段階がありカジノを任されるようになるのは相当な腕前と信頼がなければ不可能、加えて表と裏の社会への貢献度など多岐に渡る。
こんな短時間でのクリアはゲーム運営の方でも予想してなかったらしく修正をしたそうだ。
「だから最後のクエストが変わっているのか」
「そうだね」
「次の町にはないのですか」
「何でも偶数の町にしかカジノは配置されないんだって」
偶数の町ということは四番目か、まだそこまでゲームが進んでいないためすぐには無理だ。当分は下積みが必要なようだ。とはいえ、この情報はまだ誰も入手していないので価値は大きい
「僕のほうにもクエストは来ているよ」
「どんな内容ですか」
「主にゲーム時間に比例しての利益の達成と周辺への資金提供、他にもNPCの撃退数とか」
カオルの説明によるとただ無闇に金を取ってはならないそうだ。一定以上の金額を稼ぐのは当然だがそれを使い周囲の施設を発展させたり品揃えを増やしたり、現れてくるPCやNPCを勝負したり、などなど。考えなければならないことが多い。
入ってくる金で独自のアイテム製作できる利点はあるがカジノの規模とオーナーに依存するので万能的なアイテムを作り出せない仕組みになっている。なので、購入数に制限があるわけだ。
製作したアイテムで利益を上げないとカジノの経営は行き詰るのでその性能や値段設定も必要、これはとんでもなく面倒だ。
実際、儲けは出るのか?その点を聞く。
「現実は知らないけど初期資金とまっさらな店舗を与えられてからのスタートだね。ゲームは現実と同じものを用意できるしルールも設定できる。雇うNPCとか設備とか買ってそれから・・・」
カオルの話す内容は現実の世界のカジノとさして変わりなかった。ゲーム暦が長いが現実のカジノ経営とこれでは何も変わりが無い事に気づく。
「上手くやれば莫大な利益になるけど、失敗した時はペナルティが酷いものだよ」
カオルのところには来ていないそうだがゲーム時間で一ヶ月以上赤字を出すと監視役が来て運営の内容を大幅に制限されて二ヶ月以上だと毎日の赤字を自分が負担しなくてはならなくなり三ヶ月以上になるとそこで終わりだそうだ。
これは下手に手を出すと大火傷どころでは済まなさそうだ。
「カジノで販売しているアイテムの半数ぐらいは僕自身が製作したものだよ」
残りの半数はカジノの規模にしたがって製造されるそうだ。前者は個数制限があるが後者は無いのが特徴だ。大半が消費アイテムになる。長期間使えるのは前者になるわけだ。
「面倒なシステムだなぁ」
「ですねぇ」
カジノなんて楽して儲かるとは考えてはいけないってことだな。
「GMさんから忠告されてるみたいだけど改めて言っておくね」
カジノをプレイヤーが所有できることやそのオーナーのことも全部含めて他人に漏らしてはならないし攻略掲示板にも載せてはならない事。
「それは絶対に約束する」
「さすがにアカウント停止でもさせられたら最悪ですから」
二人とも納得してくれたようだ。
「お金、余ってるのか?」
「もう次の投資用の資金は回収し終えたから余ってるね」
「なら、カオルに是非とも購入してもらいたい品物があるんですよ」
二人に迫られていくつかの高額アイテムを確保した。一つ目は先ほどの野営用テント、二つ目が、
「早速町に戻って準備してきます」
大きな水晶に手を触れるとそのプレイヤーが消えた。これがワープの魔法を他人でも使用可能にする【転移水晶体】だ。これがあれが自分が置いたワープストーンにマザーストーンを使い自由に移動できる道具である。これもかなり高額なもので前線で稼ぐプレイヤー以外入手困難なほどだ。
最後の3つ目が【魔法のカバン】である。これを装備していると一時的にインベントリを拡張できる。本来であれば限界があるのだが一時的にとはいえ荷物容量を増やせる効果は大きい、しかも他人への譲渡も可能なのだ。
この二つは購入金額もさることながら入手手段に交渉系スキルがないと駄目だそうだ。ミカさんもライナさんも「欲しい欲しい」そう思いながらも誰から入手できるのかが分からなかったそうだ。
僕は町で【特別交渉】を使って探し出す。
「ヒヒヒ、よくきたねぇ。あたしが魔法のカバン職人さね」
情報を得ていくとそこは道を離れた木の影の場所にあった。どうやら入り口が魔法などで細工してあり正式な手順を踏まないとこれないようだ。
「こんなところに店構えてるのはゲームらしいといえばらしいんだが」
「面倒なところにありますねぇ。どうりで情報だけしか流れてこないわけです」
一緒に手順を踏んで入ってきた二人は「こんなの情報屋でも噂話にしかならないわけだ」愚痴を漏らしていた。
「んで、どのカバンを買うんだい?一人につき十個までだよ。次回の入荷は来月だね」
商品を確認するとインベの中にカバンを仕舞いこんで引き出す仕組みになるみたいだ。大きく大容量のものから小さくコンパクトなものまで様々だ。
二人は持ってきた所持金と相談して魔法のバッグを購入していく。効果が高いため値段もそこそこ高い。僕もこの際だから買おう。最大容量のを十個纏めて。
「売買が終わると足取りを追えないように塞ぐのか」
「いやらしいシステムですね」
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