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ゲーム開始時編

第2の町3

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「どのスキルを取ろうかな~」

新しく入ったモンスターを育てようと1番目の町の最初の森に戻ったがSPが増えてるので新しいスキルをとることにしたのだ。たまっているポイントは7でスキルを最大7個取れる。ゲーム開始時の選択ではSPを多く振り込むことで上のスキルへと変化させられたが開始後は全部最初からスタートする。

ミカさんらからβの攻略情報を見ておいた方が良いと言われたのでスキルの利点と効果を確認したのだ。凄い数のスキルをチェックした。有効なスキルとか無用スキルとか色々書いてあった。

「中身を見たけど戦闘ばかりで生産はあまり取り上げてなかったな」

色々見たが生産のスキル評価は採集と採掘ぐらいであり次に装備の製造とかポーション製造、最下位になんと料理があった。モンスターの肉などにはバッドステータス補正があることが原因で毒料理となってしまうそうだ。だからどの露店でも料理は売られてなかった。

狙うのならここだな、そう感じた。それとミカさんらの戦闘行為を見て他のスキルを加える。一番の問題はスキルの枠。装備スキル枠に入れてないと使えないのである。控えに入れるのに制限は無いのでいくつかは取ったら控えに入れるしかない。

色々と考えてスキルを選ぶ。SPには限りがあるので慎重に選んで決めた。

「【料理】【食材加工】【生産技術】【作業効率化】【収穫量増加】【メンテナンス】を取ろう」

SPを消費してスキルを取る。

「「え?そんなスキル取ったの?」」

「何かアドバイスをお願いします」

ミカさんとライナさんに今相談している所だ。

「あんたのやりたいことは大体スキルからわかるがどれも非常に不人気なスキルだぜそれ」

「そうですね。料理とかはゴミスキルですし他のスキルも限定的過ぎます」

事前に相談してくれれば効果が高いスキルを教えたのに。そういう顔だった。そんなに悪いスキルとは感じないんだけど。

「βの時はどんなにスキルレベル上げてもバットステータスが付いちまったんだ。だから最悪なものだったよ」

「あと【収穫量増加】は農地を持ってないと効果が無いですし【メンテナンス】もただ耐久度を微量に回復するスキルです」

死んだスキルだと断言された。さらに農地もゲームシステムのせいで不人気らしい。

「料理する場所とか農地ってどこにあるんですか」

「料理とかするなら自分の店舗を持ってないと駄目だぜ、ないなら食堂の店主に代金払って貸してもらうしかない。農地は1番目の町にNPCがいるから借りるか買うことが出来る」

「情報ありがとうございます」

早速行くことにした。まずは農地だな。

「いらっしゃいませ。本日は農地のレンタルですか?購入ですか?」

二人の話だとレンタルは現実時間で7日借りれて購入だと永遠に手に入る、さらに規模もあって上に行くほどに広く値段も高い。またのうちの整備や管理も自分でしなくてはならないがNPCを雇うことも可能。生産物はすべて自分のものに出来るということだ。また複数の場所の購入も可能である。

所持金は約9Mとすこし。購入を予定していたので聞くことにした。

「レンタルは1面5000Gで購入はその倍か」

これは一面だけの値段で規模を買うならさらに広くなると同時に値段も高くなる。少が50万、中が150万、大が300万、巨大が500万、超が750万か。多少余裕を持ってないと詰む可能性があるがチマチマ買うのも面倒なので超巨大を1個購入する。管理してくれるNPCは1人10万なので5人雇うことにした。

「ありがとうございました」

NPCから《土地の権利書》をもらう。早速農地に行くことにした。

「ふわぁ~」

確認しに行くと凄まじく広い。農地はマス目であり一つの面に20つタネなどを植えられる。果実などの苗木は1面に4つだ。その農地が25000面もあった。早速農地の手入れをする。始めの状態の土地は荒れ果てていて使えないので鍬などで耕さないといけないがモンスターがいる僕は全部呼び出して大急ぎで開墾を始める。2時間ほどでかなりの農地が整ったので種子や苗木をそろえて植えていく。

ゲームのシステムでは何度か取ると枯れるのだが1回ごとに種子が手に入るのでループさせられるし木は育つのに時間がかかるが枯れることが無い。またいくつかの野菜の種は販売されているのでこれも料理などに使える。そうして農場を時間をかけて整備した

次は料理。食堂の店員に代金を払って借りる。とりあえずやってみることにした。スキルを入れ替えて料理を始める。レシピは全てオリジナルであり入れる材料で変わるようだった。そうして最初の料理ができる。

生ゴミ 全ステータス低下 品質評価1 毒1状態付与 食用不可

「やっぱりこうなってしまうのか」

やはり適当な材料を入れるのでは駄目らしい。試行錯誤を数回行うが同じ結果だった。肉をただ焼くだけでも生ゴミになってしまう。材料はすごくあるので包丁で切り分ける形や厚さを変えたり焼くときも火加減に注意したりと現実と同じように注意を払う。また筋切りとか事前に下ごしらえなども事前にやるなど工夫を凝らす。

そうしてひたすら格闘すること1時間ほどして、

「やった!」

料理などのレベルが10ぐらいでバッドステータスなしの肉野菜炒めが料理として完成した。品質評価は3だけど。ただこれでもNPCが売っている料理と大差は無い。まだまだ材料は山ほどあるのでさらに料理を作る。2時間ほどあれやこれや苦労してスキルレベルが20を越えたあたりで出来た結果がこれだ。

肉野菜炒め 品質評価5 空腹度回復25%

串焼き 品質評価5  空腹度回復15%

サンドイッチ 品質評価5  空腹度回復20%

野草のサラダ 品質評価5 空腹度回復17%

ハーブティー 品質評価5 空腹度回復10%

フルーツジュース 品質評価5 空腹度回復10%

よし、これぐらいならとりあえず売り物になるだろう。全部の品質がまだ5なのでまだまだ上があるな。【料理促進】というレシピ化した料理を一括作成するアーツを覚えたので効率が良くなった。さらにレベル上げをするためひたすら料理を作る。35まで上げると全部の料理にそれぞれ1つステータス補正の効果が付くようになった。数値的に5~10ぐらいの範囲のようだ。それからログアウトの時間まで料理を続けるのだった。

陰陽術や呪術などのスキル上げはとりあえず保留としてメンテナンスのスキルを装備に使って確認する。

「結構時間かかるなぁ」

装備一つの耐久度を一つ回復に使った時間はゲーム時間で10分もかかる。失敗などのペナルティは無いが面倒なスキルだった。露店を回って耐久が完全に死んだ装備などを大量に買ってひたすらメンテナンスする。Lv30まで一気に上げると装備の全てが1分ぐらいで修復できるようになった。

「よし、露天販売はこれでOKっと」

すぐさま制作した料理を露店販売することにした。あとはメンテナンスした装備を格安で大量に販売する。集めた素材はかなり消費したのでまた集める必要があったのでNPCに任せてすぐに森などに向かう。人が集まる場所は取れなかったがそれについては仕方がないと諦める。さて森などに行ってアイテムを集めようかな。

そうしてしばらく経つとチャットが届いた。

(カオルか。実は露店ですごいい良い物が売られてるのを発見したんだ)

(何なのですか)

(何って、ステータス補正を上げてくれる料理だよ!しかもかなりの量が売っていて空腹度回復も大きいしすごく大量にあるんで大行列が出来て買っていくぞ。それ以外にもそこそこの性能の装備が格安で売られてるんで初心者が多く買ってるぜ)

間違いなく僕の店だな。なんか言うのは躊躇われる。

「(βの時は全部ゴミにしかならなかった料理スキルが正式ではここまで高い効果を持ってるとは考えて無かったよ。さすがにカオルには勝てないけどこれで大分攻略が楽になる。いつも頼ってばかりじゃ問題だしな)」

「(良かったですね)」

「(にしてももうこんな料理を作ってる料理人って誰なんだろうな?)」

僕です。言うのが少し躊躇われたチャットを終えると同時に別の人からチャットが入ってくる。

「(ハーイ。カオルちゃん)」

姉であるハルナとヒナだった。

「(お姉ちゃん。どうかしたの)」

「(あれから不遇スキルばっかり選んだ可愛い弟が苦労してると思ってね。スキル上げを助けようと思ってね)」

姉の優しさというヤツなのだろうな。

「(私たちはもう2番目の町へついたわ。そっちはまだ最初の場所をウロウロしてるんでしょ)」

そういえば姉二人にはまだ何も話してなかった。リアルでは毎日顔をあわせるがゲームの中のことはさほど話したことが無い。

「(ううん。もう2番目の町に来てるよ)」

「(えっ?)」

少し驚いていたようだった。

「(じゃあ一緒に狩りをしない?メンバーは揃ってるんだけど紹介したいしね)」

町の広場で会う約束をする。

「おまたせ」

「早かったわね」

そこには二人の姉と他に6人の女性がいた。

「紹介するわね」

他の人が挨拶してくる・剣と盾を装備して鎧を着ている青い髪の人がリーダーのサファイアさん。大きな戦斧を持っている赤毛の人がヒナタさん。忍者のような格好と茶色の髪をしてるのがアヤメさん。弓矢を背負い緑色で色を揃えたのがナツメさん。杖を持って帽子を被っているのがリコさん。桃色の髪の日本的な和服を着てるのがナデシコさん。これで全員らしい。全部年上の女の人か。

「ってカオルちゃん。装備が変わってるね」「本当ね」

二人とも装備が凄く良くなってるのに気が付いたようだ。

「「よくそんなにお金稼げたね」」

ゲーム知識が無い僕だからまだ最初の装備のままだと思っていたようである。結構努力してるんだぞ。

全員とフレンド登録をしておく。

「早速出発しましょうか」

「あ。待って」

先に渡すものがあると止める。

「何?お金、特に必要じゃないけど」

ステータスを回復させる各種ポーションとステータスを上げる料理を渡す。

「ええっ!何でこんなに!しかも効果が凄く高いうえにこんなに大量に!」

全員が驚いていた。

「こんなにもらえませんよ」

「別にいいですから」

ポーションはミミちゃんのところに材料を持っていけば凄い量を作ってもらえるし料理だってさほどお金がかからない。有り金全部出したと感じているようだがこのぐらいなら取り返しはいくらでも出来る。慌てる全員を静めて狩りに行くことにした。

そうして岩場を進む。

「《腐酸》」

僕は陰陽術で敵モンスターのステータスを下げる。

「とりゃぁ!」

他の全員がその後に続いて攻撃を加える。防御が固い相手だがそれほど苦労なく倒す。

「カオルちゃん、いつの間にこんなに強くなってたの」「本当、見違えたわ」

相変わらず二人の姉は驚いていた。他の人もゲーム初心者とは思えない働きに不思議そうな顔だった。

そして奥のほうまで進むと、

「アースリザード、発見」

結構強いモンスターを発見する。

「ちょっと面倒ですね」

「面倒?」

「ええ、相手はまだ気づいてませんがこちらにおびき寄せないと苦戦します」

「でも結構距離があるよね」

弓なら届きそうだが難しいらしいし魔法などでは距離が遠い。僕ならそれぐらいなら難しくない。

「じゃあ引き付けるから戦闘準備よろしくおねがいします」

『えっ』

「《火飛矢》」

赤い矢が敵めがけて飛んでいく「グゲェッ」と声を上げてこちらを向く。すると全力疾走でやってくるが《腐酸》を唱えてステータスを弱体化させる。さらに《蔦蔓》で植物の蔦を絡みつかせて動きを止めてしまう。

「ほら、敵の動きが止まりましたよ」

『は、はい』

全員半信半疑だったがすぐさま戦闘状態を整える。各自連携を取り合いながら互いをサポートしている。パーティのバランスはいいな。援護になるかどうか分からないが呪術のアーツを使うことにした。

「《呪印》」

狙いを定めて使うと相手の動きが止まる。

「あっ」

「えっ」

どうやら《毒》《麻痺》が2つ同時にかかったらしい。毒はともかく麻痺状態になってはモンスターは何も出来なくなってしまう。結局そのまま敵モンスターはそのまま倒されてしまった。

「「「「「じー」」」」」」

全員がこちらに視線を集める。

「つ、次。次いこうよ」

なんともいえない雰囲気を押し切って先に行くことにした。
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