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ゲーム開始時編
第2の町2
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「それでは今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
ライナさんとの合同での鉱山の採掘の約束の日を迎えた。集まったのはなんと59人もいた。僕を入れてフルPT、その内40人は採掘や採集などを持つ資源の獲得で貢献する人たちだ。残りはモンスターの注意を引いたり引き離したりする囮兼護衛である。3階からはモンスターが数多くなるので護衛とつけないと採掘は不可能なのだと。
「それではPTを組みます」
ライナさんをリーダーにして鉱山の3階に入る。
「(数が多いな)」
2階とは違うモンスターの気配を多く感じ取る。
「まずは僕が先行します」
【精霊の瞳】でモンスターの行動範囲と隠しポイントを見つけ出す。
「(こことあそことこっちに死角があるな。向こうにもポイントが多い)」
予想される行動範囲を見極めて近くの隠しポイントを掘り当てることにした。10人ほどを連れてモンスターから見えないようにしてポイントを掘り当てる
「見つけたポイントはこちらが移動しない限りロックされないから無視して採掘して」
それでも何かの問題が起こり敵から視認される危険性があるので護衛を残してポイントを割り振る。
「次はこっち」
それを数回行って全員を安全に採掘させる。3階以降は採掘ポイントの回数が多く消えにくいので長時間できるようだ。僕も採掘作業に入る。
カンカンカンカン。
様々な場所で鶴嘴を使う音が聞こえる。2階でもかなりの成果だったが3階はもっと出るので早い。出にくかったマジカルジュエルも体感的に出やすい感じだ。
「こっちは満杯になった」「こっちもだ」「わたしらも」
かなり速い速度でカバンが一杯になる。全員容量は大きいのだがスキルの効果で凄まじい量が入ってくるからだ。満杯になった人は護衛の人が先導して一旦町に戻り倉庫などに預けてからまた戻ってくる。僕は預ける必要が無いのでひたすら続けるがそろそろ倉庫を購入しないとアイテムが入らなくなりそうだなぁ。
採掘しては町に戻りまた採掘をする作業をひたす繰り返す。
「休憩です」
どうやら一休みする時間のようだ。STがかなり減ってるし空腹度も大きく減っている。全員をモンスターから感知されない安全地帯で各自食事を取る。
今日はおにぎりとお茶である。
「ご苦労様です」
「ん」
ライナさんが近づいてきた。
「作業は進んでるかな」
「予定の数倍の速さで進んでいます。すべてのプレイヤーが何度と無く往復してますね」
スキルの効果がここまで凄いとは、と。認識してはいたが現実になるとあまりの数字の違いに出るのでゲーム開始時にしか取れないことがどれだけゲームの進行を左右するのかを実感していた。
「それじゃ予定の時間まで続けるから」
「分かりました」
食事を終えてまた作業に戻る。
合間合間に採掘ポイントが消えるのでまた探し出して譲る。鉱石は恐ろしい数で増えていきマジカルジュエルもそこそこ手に入る。
「(一回リリアーヌさんのところに戻ろうかな。鉱石を加工できるスキルは持ってないし)」
それと同時に手に入れたSPで何のスキルを取るのか考えながら黙々と作業を行うことにした。
「皆さん、撤収の時間が来ました」
どうやら仕事の時間に終わりが来たようだ。現実時間で4時間程度だからそんなに長くは無い。2階ではもっと長時間できたのだが3階では結構グループが多くて採掘時間を短くして回数を多く回す決まりのようだ。
「今日はありがとうございました」
「これぐらいでいいなら」
鉱山入り口に戻り分かれることにした。鉱石は鍛冶スキル持ちに渡して装備制作にあてるみたいだ。
「これが仕事料です」
「どうも」
渡された金額は20万G。僕からすると高すぎる感じなのだが前線で稼げばすぐに取り返せるそうだ。なんでも装備などの値段がまた上昇し始めたのに加えて資源が不足していてNPCから買える装備でもまともで初期装備のままの人も多いそうだ。最初の森や草原程度では良い装備など作れない。
最初のころからでもある程度は稼ぐことは出来るんだけどどうも経済がうまくいってないようだった。
町に戻ると、
「ふ~ん、予定を入れようとして断られたのはこういうことだったのか」
ミカさんが待ち構えていた。
「あ、いや、これは」
「しどろもどろになる。
「この浮気者が!」
「ち、ちょっと!」
怒っているみたいなので謝ろうとすると笑い出した。
「ハハハ!カオルは本当に若いねぇ。ちょっと経験が足りないよ」
「怒ってないのですか」
「怒るどころか『よくやってくれたな!』ってだけさ。あんたはフリーだからどこに協力したとしても止める理由はないしライナのところなら安心できるってもんさ。あそこのリーダーは少し年配の人で落ち着きがあり度量も大きい、あんたの働きを褒めはするけど非難などしないさ」
「そうなんだ」
「あたしらも他のグループとは表向き共同戦線を張ってるけど攻略を進めようとばかり意気込む奴らも多いんだ。そいつらは『ひたすらモンスターを倒せれば良い』ってのが多いから生産者を軽んじる傾向がある。MMOでは仲間との連携がすごく大事でね、単独でいくら強くとも押し通せる距離は非常に短い。お互い一番槍を得ようとしてるからどうしても線引きされるんだよ」
なるほどね。
「あたしらはお題目として攻略を掲げてるけど仲間内でゲームを楽しみたいと思ってる。それを得るために先へ進もうとするんだけど単独では限界は見えてるし協力関係は必須でマナーも大事。身内はどうしても甘くなるのが人情さ。ただ合間を取り持ってくれる人間も欲しいんだよね」
それが僕だと。
「そんなに重要なことをしてるとは感じてませんけど」
「性格は真面目で礼儀正しいしキチンと善悪を判断できる。しかも貴重なスキル山盛りで何もせずとも貢献できる上に凄まじい戦闘力の持ち主。おまけに必要な仕事は守るし報酬だってごねない。とどめに生産者への素材の提供も進んでやる。これだけやれるプレイヤーは果たして何人いるのかね」
自覚がないみたいだと少し呆れているみたいだ。
「リリアーヌらに回した素材などのおかげで攻略のスピードは明確に出た。誰も口には出さないし知らないのも多いけどね」
「これからどうすれば良いのでしょうか」
「それはあんた自身で決めることだけど助言するならただそのまま突っ走れば言いだけさ。ほのぼのプレイだけどそれもゲームの醍醐味だしね」
「それじゃリリアーヌさんらの所に大量の鉱石を持っていこうと思います」
すぐに戻ってくると伝える。
「そんじゃあたしは用件を伝えておくよ」
次回の採掘PTへの予約だ。新しく入った人たちがいるのでそれらを足してこの前と同じ仕事をして欲しいと。了解したと返事を返した。
それから何度かミカさんらとライナさんと交互に採掘を繰り返す時間を進めるのだけど、
「こっちが先だ!」「いいえこっちです!」
二人は自分の前で言い争うことになっていた。何でこうなったのかというと2番目の町の食堂で食事してたらタイミングがかちあってしまったのだ。最初は穏やかに話をしていたのだが、
「次もあたしらのところでPTに入ってくれないか」「装備などに使う材料が不足してるのでPTに入ってください」
同時に切り出したその話で両者の間に何か火花が散ったように感じたのだ。
「ミカさん、そちらはもう予定以上に鉱石を採掘して鍛冶屋などに売りさばき大儲けしていると聞いてますが?」
「ライナ、その言葉はそっくり返すぜ。そっちだってお抱えの職人に提供し装備の制作が順調過ぎるみたいだが?」
どちらも鉱石を主力商品にしてるので譲れないものがあるのだろう。
「カオルとはこの町に来る前からの知り合いだ。後からの割り込みは不味いと思うぜ」
「こちらは危険な3階で採掘してますし仕事料もしっかり払っています。独占は反感を買いますよ」
「それならこっちも3階で採掘できるようしてほしいもんだよ」
「今のところ空きはありません」
「でもさ他のグループの採掘量なんて3階でやってるにもかかわらず2階でやるあたしらより遥かに劣ってるからね」
「その意見には嫌でも同意せざるを得ませんね。こちらに鉱石の融通を申し出てるのもいるぐらいですから」
どうにか話が落ち着きそうな感じだ。
「それを可能にするカオルはやっぱり身内にも秘密なのは当然であり共同で大切に扱うべきだろ」
「荒っぽいかと思えば冷静ですのね。リーダーからは『条件の有利不利は問わないから関係を継続させろ』と申してます」
「リーダーはカオルがいかに重要なのかご存知みたいだな」
「報告をしたら目を白黒させてましたから」
予定よりも圧倒的に早く鉱石の量が集まったのでそれを販売しているようだ。中身は良く分からないけど。
「そろそろ前線組から話が出てくる頃じゃないかい。『攻略組に入れてレアドロップが欲しい』って」
「ええ、レアドロップ狙いはどこでもやってますが上手くいかないのは同じですよ。その話は私の判断で止めています」
「しっかり監督しとかねぇとな」
「そうですね。どうにもこうにも頑固者ばかりで」
ふぅ、どうやら収まりそうだ。
「それじゃ行こうか」「行きましょうか」
二人は僕の左右に分かれて腕を取る。え?なんなのかな。
「「さぁ、採掘に行きますよ!」」
二人は僕を左右に引っ張り合う。やめて!体が裂けちゃうよ!
それでも決着が付かなかったので交互にPTに入るということで話が決着した。女の人って目的のためには凄く強引になるって再認識したのだった。
「そんなことがあったんだ」
「もう大変でした」
今日はリリアーヌさんのお店に来ていた。お金が十分たまったので建物を購入したそうだ。他の3人も一緒だった。
「建物の購入おめでとうございます」
「ありがとう。以前から購入は考えてたんだけど一番小さなものでも精一杯が限度の稼ぎだったんだけどカオルのおかげで大儲けできたから思い切って大きな建物が購入したの」
始めてきたが外見よりも中身は凄く広いし人目を引く場所だった。他の仲間もそれぞれ店舗を購入したそうだ。
「本当にありがとう」
「協力感謝します」
「ありがとうな」
「お兄ちゃんは凄いよ」
今日はお茶会を開いていた。ほのぼのしてゆったりとした時間が始まると思っていたのだけど
「「「「さっそくだけど【レプリカ】で増やして欲しい材料があるんですよ!」」」」
先に要件を済ませたいと全員断言した。迫力が凄くてまずアイテムを預かりどれぐらい消費するのかを確認して何個増やすのかを確認する。1個当たりの消費は少なめだが数多くやるのは難しかった。とりあえず全部を1個から3個に増やした
「「「「フフフ、これで貴重な素材を使う装備を複数個作れる~」」」」
全員笑顔だ、そして代金をもらう。300万Gか。必要な材料が貴重品ということなので妥当だと思う。
「カオルくんはSPを使って何のスキル取るのかな」
「そうですね、悩んでます」
「今のままでも良いぐらいだけど」
攻略情報を見て決めようかな。
あの後僕は2番目の町の森に行くことにした。狙いは採集と新しいモンスターをテイムすることである。餌も豊富に用意した。
「どんなのがいるのかな」
森の奥へ向かいモンスターを探す。
しばらく探すと狼のようなモンスターと小さめの馬のモンスターを発見する。近づこうとすると唸り声を上げて身構えられる。警戒状態のようなので餌を置いて待つことにした。しばらくすると警戒が弱くなり餌を食べ始める。それからまたしばらく待つと体をすり寄せてくる。テイムが成功したようだ。
《ウルフ》
性別 ♀
ステータス
HP 48
MP 48
ST 48
空腹度 0
スキル 【格闘】【俊足】
《ホース》
性別 ♂
ステータス
HP 55
MP 55
ST 55
空腹度 0
スキル 【移動速度上昇】【騎乗】
初期ステータスがバランスが良く高いのは2番目の町だからかな。とりあえず経験地を上げるのは最初の町で行うので安全な場所に戻すことにした。
さらに奥へと進んだ。すると体が凄く小さな子供のようでありながら植物の種子で出来たモンスターを5体発見した。
《シードヒーロー》
性別 ♂
ステータス
HP 55
MP 45
ST 55
空腹度 0
スキル 【ヒーローパワー】【植物の体】【リーダー】
《シードファイター》
性別 ♂
ステータス
HP 70
MP 5
ST 70
空腹度 0
スキル 【ファイターパワー】【植物の体】【豪力】
《シードアーチャー》
性別 ♀
ステータス
HP 40
MP 55
ST 70
空腹度 0
スキル 【アーチャーパワー】【植物の体】【遠視】
《シードマジシャン》
性別 ♀
ステータス
HP 25
MP 70
ST 60
空腹度 0
スキル 【マジシャンパワー】【植物の体】【MP増加】
《シードヒーラー》
性別 ♀
ステータス
HP 30
MP 65
ST 60
空腹度 0
スキル 【ヒーラーパワー】【植物の体】【MP増加】
おお、個性があり中々のステータスだ。おそらく集団で戦うことを前提としてるのだろう。すぐさま餌を出して様子を見る。すごく警戒心が強いみたいだし餌を食べても敵意が薄れない。何度も餌を与える。10回ほどしてようやくテイム出来た、さっきの加えて7体、一気に増えたな。名前は後で考えよう。
早速経験地稼ぎと素材を集めることにしようか。
「こちらこそよろしくお願いします」
ライナさんとの合同での鉱山の採掘の約束の日を迎えた。集まったのはなんと59人もいた。僕を入れてフルPT、その内40人は採掘や採集などを持つ資源の獲得で貢献する人たちだ。残りはモンスターの注意を引いたり引き離したりする囮兼護衛である。3階からはモンスターが数多くなるので護衛とつけないと採掘は不可能なのだと。
「それではPTを組みます」
ライナさんをリーダーにして鉱山の3階に入る。
「(数が多いな)」
2階とは違うモンスターの気配を多く感じ取る。
「まずは僕が先行します」
【精霊の瞳】でモンスターの行動範囲と隠しポイントを見つけ出す。
「(こことあそことこっちに死角があるな。向こうにもポイントが多い)」
予想される行動範囲を見極めて近くの隠しポイントを掘り当てることにした。10人ほどを連れてモンスターから見えないようにしてポイントを掘り当てる
「見つけたポイントはこちらが移動しない限りロックされないから無視して採掘して」
それでも何かの問題が起こり敵から視認される危険性があるので護衛を残してポイントを割り振る。
「次はこっち」
それを数回行って全員を安全に採掘させる。3階以降は採掘ポイントの回数が多く消えにくいので長時間できるようだ。僕も採掘作業に入る。
カンカンカンカン。
様々な場所で鶴嘴を使う音が聞こえる。2階でもかなりの成果だったが3階はもっと出るので早い。出にくかったマジカルジュエルも体感的に出やすい感じだ。
「こっちは満杯になった」「こっちもだ」「わたしらも」
かなり速い速度でカバンが一杯になる。全員容量は大きいのだがスキルの効果で凄まじい量が入ってくるからだ。満杯になった人は護衛の人が先導して一旦町に戻り倉庫などに預けてからまた戻ってくる。僕は預ける必要が無いのでひたすら続けるがそろそろ倉庫を購入しないとアイテムが入らなくなりそうだなぁ。
採掘しては町に戻りまた採掘をする作業をひたす繰り返す。
「休憩です」
どうやら一休みする時間のようだ。STがかなり減ってるし空腹度も大きく減っている。全員をモンスターから感知されない安全地帯で各自食事を取る。
今日はおにぎりとお茶である。
「ご苦労様です」
「ん」
ライナさんが近づいてきた。
「作業は進んでるかな」
「予定の数倍の速さで進んでいます。すべてのプレイヤーが何度と無く往復してますね」
スキルの効果がここまで凄いとは、と。認識してはいたが現実になるとあまりの数字の違いに出るのでゲーム開始時にしか取れないことがどれだけゲームの進行を左右するのかを実感していた。
「それじゃ予定の時間まで続けるから」
「分かりました」
食事を終えてまた作業に戻る。
合間合間に採掘ポイントが消えるのでまた探し出して譲る。鉱石は恐ろしい数で増えていきマジカルジュエルもそこそこ手に入る。
「(一回リリアーヌさんのところに戻ろうかな。鉱石を加工できるスキルは持ってないし)」
それと同時に手に入れたSPで何のスキルを取るのか考えながら黙々と作業を行うことにした。
「皆さん、撤収の時間が来ました」
どうやら仕事の時間に終わりが来たようだ。現実時間で4時間程度だからそんなに長くは無い。2階ではもっと長時間できたのだが3階では結構グループが多くて採掘時間を短くして回数を多く回す決まりのようだ。
「今日はありがとうございました」
「これぐらいでいいなら」
鉱山入り口に戻り分かれることにした。鉱石は鍛冶スキル持ちに渡して装備制作にあてるみたいだ。
「これが仕事料です」
「どうも」
渡された金額は20万G。僕からすると高すぎる感じなのだが前線で稼げばすぐに取り返せるそうだ。なんでも装備などの値段がまた上昇し始めたのに加えて資源が不足していてNPCから買える装備でもまともで初期装備のままの人も多いそうだ。最初の森や草原程度では良い装備など作れない。
最初のころからでもある程度は稼ぐことは出来るんだけどどうも経済がうまくいってないようだった。
町に戻ると、
「ふ~ん、予定を入れようとして断られたのはこういうことだったのか」
ミカさんが待ち構えていた。
「あ、いや、これは」
「しどろもどろになる。
「この浮気者が!」
「ち、ちょっと!」
怒っているみたいなので謝ろうとすると笑い出した。
「ハハハ!カオルは本当に若いねぇ。ちょっと経験が足りないよ」
「怒ってないのですか」
「怒るどころか『よくやってくれたな!』ってだけさ。あんたはフリーだからどこに協力したとしても止める理由はないしライナのところなら安心できるってもんさ。あそこのリーダーは少し年配の人で落ち着きがあり度量も大きい、あんたの働きを褒めはするけど非難などしないさ」
「そうなんだ」
「あたしらも他のグループとは表向き共同戦線を張ってるけど攻略を進めようとばかり意気込む奴らも多いんだ。そいつらは『ひたすらモンスターを倒せれば良い』ってのが多いから生産者を軽んじる傾向がある。MMOでは仲間との連携がすごく大事でね、単独でいくら強くとも押し通せる距離は非常に短い。お互い一番槍を得ようとしてるからどうしても線引きされるんだよ」
なるほどね。
「あたしらはお題目として攻略を掲げてるけど仲間内でゲームを楽しみたいと思ってる。それを得るために先へ進もうとするんだけど単独では限界は見えてるし協力関係は必須でマナーも大事。身内はどうしても甘くなるのが人情さ。ただ合間を取り持ってくれる人間も欲しいんだよね」
それが僕だと。
「そんなに重要なことをしてるとは感じてませんけど」
「性格は真面目で礼儀正しいしキチンと善悪を判断できる。しかも貴重なスキル山盛りで何もせずとも貢献できる上に凄まじい戦闘力の持ち主。おまけに必要な仕事は守るし報酬だってごねない。とどめに生産者への素材の提供も進んでやる。これだけやれるプレイヤーは果たして何人いるのかね」
自覚がないみたいだと少し呆れているみたいだ。
「リリアーヌらに回した素材などのおかげで攻略のスピードは明確に出た。誰も口には出さないし知らないのも多いけどね」
「これからどうすれば良いのでしょうか」
「それはあんた自身で決めることだけど助言するならただそのまま突っ走れば言いだけさ。ほのぼのプレイだけどそれもゲームの醍醐味だしね」
「それじゃリリアーヌさんらの所に大量の鉱石を持っていこうと思います」
すぐに戻ってくると伝える。
「そんじゃあたしは用件を伝えておくよ」
次回の採掘PTへの予約だ。新しく入った人たちがいるのでそれらを足してこの前と同じ仕事をして欲しいと。了解したと返事を返した。
それから何度かミカさんらとライナさんと交互に採掘を繰り返す時間を進めるのだけど、
「こっちが先だ!」「いいえこっちです!」
二人は自分の前で言い争うことになっていた。何でこうなったのかというと2番目の町の食堂で食事してたらタイミングがかちあってしまったのだ。最初は穏やかに話をしていたのだが、
「次もあたしらのところでPTに入ってくれないか」「装備などに使う材料が不足してるのでPTに入ってください」
同時に切り出したその話で両者の間に何か火花が散ったように感じたのだ。
「ミカさん、そちらはもう予定以上に鉱石を採掘して鍛冶屋などに売りさばき大儲けしていると聞いてますが?」
「ライナ、その言葉はそっくり返すぜ。そっちだってお抱えの職人に提供し装備の制作が順調過ぎるみたいだが?」
どちらも鉱石を主力商品にしてるので譲れないものがあるのだろう。
「カオルとはこの町に来る前からの知り合いだ。後からの割り込みは不味いと思うぜ」
「こちらは危険な3階で採掘してますし仕事料もしっかり払っています。独占は反感を買いますよ」
「それならこっちも3階で採掘できるようしてほしいもんだよ」
「今のところ空きはありません」
「でもさ他のグループの採掘量なんて3階でやってるにもかかわらず2階でやるあたしらより遥かに劣ってるからね」
「その意見には嫌でも同意せざるを得ませんね。こちらに鉱石の融通を申し出てるのもいるぐらいですから」
どうにか話が落ち着きそうな感じだ。
「それを可能にするカオルはやっぱり身内にも秘密なのは当然であり共同で大切に扱うべきだろ」
「荒っぽいかと思えば冷静ですのね。リーダーからは『条件の有利不利は問わないから関係を継続させろ』と申してます」
「リーダーはカオルがいかに重要なのかご存知みたいだな」
「報告をしたら目を白黒させてましたから」
予定よりも圧倒的に早く鉱石の量が集まったのでそれを販売しているようだ。中身は良く分からないけど。
「そろそろ前線組から話が出てくる頃じゃないかい。『攻略組に入れてレアドロップが欲しい』って」
「ええ、レアドロップ狙いはどこでもやってますが上手くいかないのは同じですよ。その話は私の判断で止めています」
「しっかり監督しとかねぇとな」
「そうですね。どうにもこうにも頑固者ばかりで」
ふぅ、どうやら収まりそうだ。
「それじゃ行こうか」「行きましょうか」
二人は僕の左右に分かれて腕を取る。え?なんなのかな。
「「さぁ、採掘に行きますよ!」」
二人は僕を左右に引っ張り合う。やめて!体が裂けちゃうよ!
それでも決着が付かなかったので交互にPTに入るということで話が決着した。女の人って目的のためには凄く強引になるって再認識したのだった。
「そんなことがあったんだ」
「もう大変でした」
今日はリリアーヌさんのお店に来ていた。お金が十分たまったので建物を購入したそうだ。他の3人も一緒だった。
「建物の購入おめでとうございます」
「ありがとう。以前から購入は考えてたんだけど一番小さなものでも精一杯が限度の稼ぎだったんだけどカオルのおかげで大儲けできたから思い切って大きな建物が購入したの」
始めてきたが外見よりも中身は凄く広いし人目を引く場所だった。他の仲間もそれぞれ店舗を購入したそうだ。
「本当にありがとう」
「協力感謝します」
「ありがとうな」
「お兄ちゃんは凄いよ」
今日はお茶会を開いていた。ほのぼのしてゆったりとした時間が始まると思っていたのだけど
「「「「さっそくだけど【レプリカ】で増やして欲しい材料があるんですよ!」」」」
先に要件を済ませたいと全員断言した。迫力が凄くてまずアイテムを預かりどれぐらい消費するのかを確認して何個増やすのかを確認する。1個当たりの消費は少なめだが数多くやるのは難しかった。とりあえず全部を1個から3個に増やした
「「「「フフフ、これで貴重な素材を使う装備を複数個作れる~」」」」
全員笑顔だ、そして代金をもらう。300万Gか。必要な材料が貴重品ということなので妥当だと思う。
「カオルくんはSPを使って何のスキル取るのかな」
「そうですね、悩んでます」
「今のままでも良いぐらいだけど」
攻略情報を見て決めようかな。
あの後僕は2番目の町の森に行くことにした。狙いは採集と新しいモンスターをテイムすることである。餌も豊富に用意した。
「どんなのがいるのかな」
森の奥へ向かいモンスターを探す。
しばらく探すと狼のようなモンスターと小さめの馬のモンスターを発見する。近づこうとすると唸り声を上げて身構えられる。警戒状態のようなので餌を置いて待つことにした。しばらくすると警戒が弱くなり餌を食べ始める。それからまたしばらく待つと体をすり寄せてくる。テイムが成功したようだ。
《ウルフ》
性別 ♀
ステータス
HP 48
MP 48
ST 48
空腹度 0
スキル 【格闘】【俊足】
《ホース》
性別 ♂
ステータス
HP 55
MP 55
ST 55
空腹度 0
スキル 【移動速度上昇】【騎乗】
初期ステータスがバランスが良く高いのは2番目の町だからかな。とりあえず経験地を上げるのは最初の町で行うので安全な場所に戻すことにした。
さらに奥へと進んだ。すると体が凄く小さな子供のようでありながら植物の種子で出来たモンスターを5体発見した。
《シードヒーロー》
性別 ♂
ステータス
HP 55
MP 45
ST 55
空腹度 0
スキル 【ヒーローパワー】【植物の体】【リーダー】
《シードファイター》
性別 ♂
ステータス
HP 70
MP 5
ST 70
空腹度 0
スキル 【ファイターパワー】【植物の体】【豪力】
《シードアーチャー》
性別 ♀
ステータス
HP 40
MP 55
ST 70
空腹度 0
スキル 【アーチャーパワー】【植物の体】【遠視】
《シードマジシャン》
性別 ♀
ステータス
HP 25
MP 70
ST 60
空腹度 0
スキル 【マジシャンパワー】【植物の体】【MP増加】
《シードヒーラー》
性別 ♀
ステータス
HP 30
MP 65
ST 60
空腹度 0
スキル 【ヒーラーパワー】【植物の体】【MP増加】
おお、個性があり中々のステータスだ。おそらく集団で戦うことを前提としてるのだろう。すぐさま餌を出して様子を見る。すごく警戒心が強いみたいだし餌を食べても敵意が薄れない。何度も餌を与える。10回ほどしてようやくテイム出来た、さっきの加えて7体、一気に増えたな。名前は後で考えよう。
早速経験地稼ぎと素材を集めることにしようか。
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ほーとどっぐ
ファンタジー
王国最強のS級冒険者パーティに所属していたユウマ・カザキリ。しかし、弓使いの彼は他のパーティメンバーのような強力な攻撃スキルは持っていなかった。罠の解除といったアイテムで代用可能な地味スキルばかりの彼は、ついに戦力外通告を受けて追い出されてしまう。
が、彼を追い出したせいでパーティはたった1日で全滅してしまったのだった。
元とはいえパーティメンバーの強さをよく知っているユウマは、迷宮内で魔王が復活したのではと勘違いしてしまう。幸か不幸か。なんと封印された魔王も時を同じくして復活してしまい、話はどんどんと拗れていく。
「やはり、魔王の仕業だったのか!」
「いや、身に覚えがないんだが?」
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