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ゲーム開始時編
第2の町1
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「周囲には広い森と奥には山々があるのか~」
2番目の町に到着した僕たちは休息をとることにした。
「ここはどんな特徴があるのかな」
「まずは資源ですね。深い森にはマナが溢れ素材が豊富であり山々には無数の採掘場所と大きな鉱山があり鉱石や宝石の産出地として有名です」
そういうゲーム設定のようだ。
「ミカ、あなたたちのおかげで死亡者を出さずに着けました」
「礼はいいよ。あたしらがボスにダメージを与えたのは半分くらいさ、残りはカオルの手柄」
HPバーを見ていたミカさんらは僕が一番貢献したと判断した。それでも他の人たちがいなければここまで上手く進んだかは分からない。僕も礼を言う。
「これからどうしますか」
「まず手を付けるのは鉱山ですね」
「あそこか~」
他の人たちはどうなのか知っているようだ。
「下に潜るほど良質で多く取れるんだけどきついよね」
「そうだな。複数で潜るとしても3階より下は現時点では無理だろうな」
「私は薬草などを重点的に集めます」
「こちらは上等な繊維などを採集に人手を出そうと思います」
生産者はそれぞれグループを作り求める材料を探すために分かれるみたいだ。僕はどうしようか。
「ん~」
「カオルはどうすんだ?」
「とりあえず他の人に倣い同じく鉱山に行こうと考えています」
「気が合うね。あたしらも良い装備を作るために鉱山のほうを重点的に回ろうって考えてた」
ミカさんも同じ考えのようだ。
「行くならメンバーを足して欲しい。鉱山には採掘スキルが必須で未発見のポイントを見つけるのには発見スキルが必要なんだ」
僕は【精霊の瞳】【天眼発見】というスキルで全て分かるが他の人はかなり低く難しいそうだ。明日時間が空いてるのでそれでよければいけると約束してその日は終わった。
『今日はよろしくお願いします』
「ど、どうも」
翌日ログインして待っていたのは男女合わせて45人もいた、ミカさん、多すぎじゃないですか?
「以前お会いしてから2番目の町に来るのを待ってましたよ」
「え?」
「俺たちは生産職、特に採掘をメインにしてるんですがβの頃に比べて明らかに掘れる場所が少なくなって困ってたんですよ。どうにもスキルが採掘だけじゃ大きく制限がかかっていて効率が悪くなったんです」
「なるほど」
「中々上手くいかず姉御にも相談して解決策を出していただこうと考えてたんですがカオルさんが来てくれたのなら安心できるってもんですよ」
全員が頷く。どういう説明をしたのか気になるところではある。
「僕は新規に始めたから分からないことも多い、先導をお願いします」
全員を連れて鉱山に向かう。
「鉱山ってどんなの」
「鉱山は7階からなり下の方ほど良質な鉱石が多く取れるんですが危険度が高くなりやす。敵が出るのは2階からですね」
「3階より下はどうなの」
「βの時はゴーレムなどが半分くらいの採掘ポイントを押さえていて複数でもまともには仕事が出来ませんぜ」
いきなり挑むには情報が少なすぎる、しかし最初の階では足りなさ過ぎる。まずは2階から手を付けることにしよう。
そして鉱山のエレベーターに乗って2階に入る。
「モンスターが結構多いね」
「以前はここまで多くはなかったんですけどね」
「モンスターの有効範囲はどのぐらい」
「扇状で3メートル先を見るぐらいで」
どうするか。モンスターを呼び出して壊滅させたりおびき出して釣るという方法もあるがまずは安全に鉱石を確保させることにしよう。買ってきた鶴嘴を装備する。
まずは隠しポイントを引っ張り出す。よし、ここだな。カンカンと数回振るうと輝く鉱脈が現れた。
『おおっ!』
「まずは敵に気づかれない範囲で隠しポイントを探し出します。それで足りないなら敵を動かします」
隠しポイントをすぐさま探し当てると後は他の人に譲ることにした。
カンカンカンカン。
ひたすら鶴嘴を振るう45人と僕。パーティを組んでひたすらに掘る。スキル効果で上等な鉱石が大量に入ってくるので全員すごい勢いで増えていく。出来る限りもてる量を増やすため全員追加カバンを持っている。
「一杯になった」「こっちも」「わたしも」
それなのに一杯になる人が続出した。ポイントはある程度経つと消えるのでまた見つけなければいけないが僕が一人いればいいだけなので交代で町へと帰らせてまた戻ってきてもらうことにした。それを何度と無く繰り返す。
「カオルさん、お水を」
「ありがとう」
どうやら休憩の時間のようだ。
「ふぅ」
「いや~、運系やドロップ系スキルの効果は凄いですね。次から次へと出てきますよ」
「以前はどうだったの」
「あっしらは前線組の援護を受けて早くにこの町に入りましたが明らかに採掘ポイントが減った上に入手する質も量も低下してたんです。さらに発見系スキルがないと見えない隠しポイントのせいでさらに難しくなりやした」
そのせいで何もせずとも見えるポイントの奪い合いが起きたみたいだ。なので事前に話し合って場所を決めて採掘する取り決めが出来たらしい。
「他の前線組も採掘などが難しくなったのでスキルなどを大きく見直しました」
だけども戦う人と作る人の評価は完全に違う。僕のようなスキルはゲーム開始時にしか手に入らない。中にはβのデータを消してまでスキルを変えた人もいたそうだ。
なんとなく選んだスキルがここまで有効だとは思わなかった。用意してくれたサンドイッチを食べながら頷いた。
「今後新規に入る人は攻略法などを見てくる人も多いでしょうが中々思うようにいかないのはゲームの中でも同じでしてね」
「なるほど」
「姉御と一緒にβから引継ぎした人らは人材確保に必死になってやってるんですが上手くいかず・・・」
「そこで僕を見つけたわけだ」
「そうです。ここまで欲しいスキルを山盛りなプレイヤーは始めてみたと。姉御は大喜びです」
出来ることならギルドを設立したら入って欲しいと。それについてはまだ未定なので今すぐ返事は出来ないと答える。
「出来る限りの事はするけどまだフリーでいたいから」
「それについては姉御からしつこいほど注意されてますんで何かをするなら予定に入れておいてもらえれば幸いです」
サンドイッチを食べ終えてSTと空腹度が回復したので再び採掘に励むことにした。
そうして時間だけが進んでいく。
「皆、今日は終わりの時間だ」
制限時間が来たそうなので撤収に入る。
「これは少ないですが」
「渡してくれるのは嬉しいけど意味は無いと思うんだ」
「ゲームとはいえ他人に便乗し拘束するのだから代金は払うのが普通です」
中身は7万G。こっちはただ隠しポイントを見つけて譲っただけだけどちゃんとした仕事の代金として受け取っておくことにした。
「鉱山はソロで来たらいけないの?」
「複数人で既存のポイントを独占してるのならともかくソロで隠しポイントを見つけて採掘してるのなら何も問うなってのが決まりです」
横取りはしてはいけないと。それならソロで来ても問題ないな。2日後にまた町の広場で会う約束をしておく。
「いいんですか」
「ルールが分からないから最初は他の人と一緒がいい」
「分かりました」
「場所は取れるのかな」
「取り決めはされてますが他の組は3階で仕事をしてるので問題はないとおもいます」
そうして2日後にまたログインして鉱山に入った。前はお弁当なども用意してもらったが今回は自分で用意した。
前と同じように隠しポイントを見つけて数回採掘したら譲るという行為を繰り返す。ゲーム的にはいいかもしれないが現実だと寄生だな。ただしっかりと仕事料を出してくるのはまともだと思う。
しばらく採掘をしているとエレベーターが動き出した。
「あれ」
「どうやら下の階の連中が上がってくるみたいですぜ」
「ちょっと不味いかも」
「ですね」
現在僕の見つけた隠しポイントで採掘している全員が感じる。これだけの採掘ポイントが発見できた事を聞かれると非常に困るのだ。ミカさんがいればどうにかなるかもしれないが彼女は別の場所にいる。僕のことを追及されるのは少しばかり腹が痛い。
「どうしようか」
「安心して下さい、βからの継続組は多いですが新規にも活躍する者も出てるのですから」
堂々としていろと。そしてエレベーターが止まる。
出てきたのは女性が多い一団だった。先頭にいる水色の髪の女性が美しいな。
「あら、あなた達は」
「ライナさんのグループでしたね、今日は」
どうも顔なじみのようだ。
「今日の調子はどうでしたか」
「全然駄目ね。以前と比べて全体的に敵の数が多くて採掘可能な場所数箇所を押さえるのすら難儀してるわ。スキルの大幅な見直しと補正がされたってのは公式の発表でもあったし私たちも十分理解してたけど生産方面はもっと難しくなったわ」
難易度が上がった愚痴っている。
「既存のポイントは目減りして隠しポイントも発見スキルがないと見えない。しかも要求レベルが高いときてるし。3階から攻略するという方針も軌道修正しなくちゃいけないと考えてるわ」
「なるほど」
「私たちは3階を割り振られてるけど2階に戻ることも考えておかないと」
すると彼女は周囲の様子が違うことに気づく。
「あら?たしか2階にはこんなに採掘ポイントは無かったはずよね」
「お気づきになりやしたね。実は高いレベルの発見スキル持ちと合同で採掘を進めてやして」
「へぇ、これだけのポイントをすぐに見つけ出せるってことはかなり振ってるのね、私たちにもスキル持ちはいるんだけど上げずらいから発見率はかなり低いのよね」
「納得してるところ悪いんですが時間経過でポイントは消えてしまいます。時間が限られているのでここで話をするよりも他のグループと集まったときに話をするほうが建設的かと」
「そうね。ゲームでも現実でも時間は有効に使わないとね」
彼女は仲間らに引き上げるよう命令する。
「そういえばそちらの紫色の髪の男の子は新顔ね」
「へい、カオルという新規組です」
「・・・ふぅん。そういうことか」
彼女はどこか納得顔だった。ヒラヒラと手を振って帰る。
「彼女たちは」
「彼女らは姉御と同じくβからの引継ぎ組で話をしてたのはライナって言います。リリアンヌさんらと同じく生産組で主に資源の調達をメインとしてるグループですね」
「へぇ」
「どっちもギルドを創設すべく前線での戦闘組と後方での生産組に分かれているんですよ。理解が良くて人望もありこの鉱山に出入りするプレイヤーの監督的立場って人ですね」
結構凄いんだな。
「あの分だと採掘が進んでおらず予定の見直しを考えてるみたいだったけど」
「そうみたいですね。3階にはあっしらも行ったことがありやすのでその苦労も良く分かります」
おっとこのまま話を続けているのは設定時間を越えそうなので作業に戻るとしよう。そうしてひたすら採掘作業を続けることにした。
「今日はお疲れさま」
『お疲れ様でした』
時間が来たので撤収する。町に戻るとミカさんが待っていた。
「皆お疲れ。さっそくだけど鉱山での採掘がどうなってるのか確認しに来たよ」
食堂に向かい空腹度を回復するために料理を注文する。
「で、どうなんだい」
「カオルさんのおかげで本来なら下で取れる良質な鉱石がゴロゴロ出てます。もう予定の4割は進んでますね」
「さすがだねぇ。こっちは町でのプレイヤーの勧誘を進めてるよ。ただスキルの構成に差はあるが似たり寄ったりが多いよ。カオルのようなスキル持ちはいなかったね」
攻略情報が書かれていてそれを参考にしてるのが多いせいだと。確かにそれは良いことだがスキルの選択を狭める行為でもあった。僕のスキルについてはいまだに「趣味にしかならない」「無用スキル」と散々に書かれていた。情報の公開はありがたいが実際に中身を確認もせず偏見するのは良くないというのが実際のプレイヤーの本音だろうか。
「プレイヤーが入ってくるのは良いけど中身を厳選するのが本当に面倒だね」
β時代から続けているミカさんはゲーム内の実情を良く知っている。
「勧誘は続けるけどすぐに追いつくのは難しいし代わりの人間が入る目処も立ってない。あんたらはこのまま仕事を進めておいてくれ、他のグループも同じように資源の獲得に力を入れてる路線は変わりないしな」
「ギルドを設立する『登録書』クエストはどうするんで」
「そっちは一進一退だね。難易度が高いのは変わらずで入手手段も限られるから値上がりは必死さ」
購入も視野に入れておかなければいけないとぼやく。
「ま~それはそれだ。今回の仕事料を渡しておくよ」
中身は10万Gに上がっていた。
「値上がりですか?」
「前線組はモンスターを倒すんでスキルが高く金持ちが多いんだがいかんせん支援が遅れてる。その人材に割り当てる予算を増加させないと攻略が進まないんでね」
そうして料理が運ばれてきて楽しく食事が進む。
「今回もありがとうね。次回もよろしく頼むよ」
ミカさんらと別れる。さて、まだゲームを続ける時間が残っているのでどうしようか。アイテムの整理をしようとコマンドを見るとメールが届いているようだ。誰からだろう。
『始めまして。ライナといいます。鉱山で顔をあわせたと思うのですが他の人がいたのでメールで連絡を取りました。実は折り入って話したいことがあるのでお手数ですが本日中に1番目の町に戻って指定の場所まで来ていただけますか。遅れるようでしたらこちらへメモをお願いします』
ふむ、どんな人分からないが事前にと連絡してるし文面も綺麗だ。会って損をすることは無い感じなので会うことにしようか。
「【ワープ】」
瞬時に1番目の町まで戻る。一度行った場所なら瞬時にいけるから便利だよね。指定の家に向かうとライナさんと数人が待っていた。
「着てくれたと言う事はメールを読んでくれたのですね。ありがとうございます、改めまして、私はライナです」
「カオルといいます」
簡単に名前を言い合う。
「いきなりですが本題に入ります。単刀直入な言い方で申し訳ないのですが私たちのグループにPTとして入ってはもらえないでしょうか?」
「なぜ?」
「恥ずかしい話ですが内情を隠さずお話します。私どもはあの鉱山で3階を割り振られておりますが以前と比べてモンスターが強くなりスキルの弱体化、さらに採掘ポイントが減り隠しポイントが増えていて満足な採掘が出来ない状態が長く続いております。他の仲間らも進展が進まない状況を理解していますがどうにも解決策が出てきません。以前は採掘スキルだけで事足りていたのですが発見系スキルやドロップ系スキル、特に運系スキルの大幅な修正が正式サービスで設定されていてそれらはゲーム開始時にしか取得できません。そのため以前のスキル構成では資源の入手手段が著しく制限されていてスキルを見直して修得しましたがタイミングが悪くレベルアップが遅れています。どこのグループも同じですがその方面のスキル持ちを必死に探していますがβでの攻略法を見てくるプレイヤーが多すぎてそのスキルを持ってくる人がほぼ完全にいなくなってしまいました」
僕はそういう情報を一切見てこずに始めたからなぁ。
「進まないゲームに焦りを抱いていたのですがある時仲間がリリアーヌらの店に入るとゲーム初期とは考えられない上等な装備や回復量の高いポーションが大量に売られている事を仲間に急いで伝えました。さらにタケミカヅチのグループがすぐさま装備の充実を行い非常に速い速度で攻略を進めている状況が生まれ今ではかなりの装備などが購入されています。秘密裏に提供者の情報を求めましたが拒否されてしまいましたがツテを使い調べていたのです」
大量の生産者が2番目の町に進んだこともしっかりと確認していたと。
「PTに入って何をしろというのですか」
「ただPTには入っているだけでもかまいません。護衛をつけろというのならつけますし採掘の邪魔は一切しません。報酬などの分配も優先的にいたします。出来れば隠しポイントを見つけてもらえればと。相当なスキルビルドをしていると伺っておりますので」
その上でお金を支払うと。結構いい人みたいだし何回かは付き合ってもいいかもしれない。
「次回の鉱山での採掘予定を教えてください」
「協力していただけるのですね!」
「とりあえずどのぐらいの影響が出るのかを数回確認していただきます。その上で付き合いたいというのならば特に拒む理由もありませんし。ただこちらにも時間の都合があるので」
フレンド登録しておく。ミカさんは別に他者への協力を阻むような発言は一切してないしこのぐらいでいいなら簡単だ。
2番目の町に到着した僕たちは休息をとることにした。
「ここはどんな特徴があるのかな」
「まずは資源ですね。深い森にはマナが溢れ素材が豊富であり山々には無数の採掘場所と大きな鉱山があり鉱石や宝石の産出地として有名です」
そういうゲーム設定のようだ。
「ミカ、あなたたちのおかげで死亡者を出さずに着けました」
「礼はいいよ。あたしらがボスにダメージを与えたのは半分くらいさ、残りはカオルの手柄」
HPバーを見ていたミカさんらは僕が一番貢献したと判断した。それでも他の人たちがいなければここまで上手く進んだかは分からない。僕も礼を言う。
「これからどうしますか」
「まず手を付けるのは鉱山ですね」
「あそこか~」
他の人たちはどうなのか知っているようだ。
「下に潜るほど良質で多く取れるんだけどきついよね」
「そうだな。複数で潜るとしても3階より下は現時点では無理だろうな」
「私は薬草などを重点的に集めます」
「こちらは上等な繊維などを採集に人手を出そうと思います」
生産者はそれぞれグループを作り求める材料を探すために分かれるみたいだ。僕はどうしようか。
「ん~」
「カオルはどうすんだ?」
「とりあえず他の人に倣い同じく鉱山に行こうと考えています」
「気が合うね。あたしらも良い装備を作るために鉱山のほうを重点的に回ろうって考えてた」
ミカさんも同じ考えのようだ。
「行くならメンバーを足して欲しい。鉱山には採掘スキルが必須で未発見のポイントを見つけるのには発見スキルが必要なんだ」
僕は【精霊の瞳】【天眼発見】というスキルで全て分かるが他の人はかなり低く難しいそうだ。明日時間が空いてるのでそれでよければいけると約束してその日は終わった。
『今日はよろしくお願いします』
「ど、どうも」
翌日ログインして待っていたのは男女合わせて45人もいた、ミカさん、多すぎじゃないですか?
「以前お会いしてから2番目の町に来るのを待ってましたよ」
「え?」
「俺たちは生産職、特に採掘をメインにしてるんですがβの頃に比べて明らかに掘れる場所が少なくなって困ってたんですよ。どうにもスキルが採掘だけじゃ大きく制限がかかっていて効率が悪くなったんです」
「なるほど」
「中々上手くいかず姉御にも相談して解決策を出していただこうと考えてたんですがカオルさんが来てくれたのなら安心できるってもんですよ」
全員が頷く。どういう説明をしたのか気になるところではある。
「僕は新規に始めたから分からないことも多い、先導をお願いします」
全員を連れて鉱山に向かう。
「鉱山ってどんなの」
「鉱山は7階からなり下の方ほど良質な鉱石が多く取れるんですが危険度が高くなりやす。敵が出るのは2階からですね」
「3階より下はどうなの」
「βの時はゴーレムなどが半分くらいの採掘ポイントを押さえていて複数でもまともには仕事が出来ませんぜ」
いきなり挑むには情報が少なすぎる、しかし最初の階では足りなさ過ぎる。まずは2階から手を付けることにしよう。
そして鉱山のエレベーターに乗って2階に入る。
「モンスターが結構多いね」
「以前はここまで多くはなかったんですけどね」
「モンスターの有効範囲はどのぐらい」
「扇状で3メートル先を見るぐらいで」
どうするか。モンスターを呼び出して壊滅させたりおびき出して釣るという方法もあるがまずは安全に鉱石を確保させることにしよう。買ってきた鶴嘴を装備する。
まずは隠しポイントを引っ張り出す。よし、ここだな。カンカンと数回振るうと輝く鉱脈が現れた。
『おおっ!』
「まずは敵に気づかれない範囲で隠しポイントを探し出します。それで足りないなら敵を動かします」
隠しポイントをすぐさま探し当てると後は他の人に譲ることにした。
カンカンカンカン。
ひたすら鶴嘴を振るう45人と僕。パーティを組んでひたすらに掘る。スキル効果で上等な鉱石が大量に入ってくるので全員すごい勢いで増えていく。出来る限りもてる量を増やすため全員追加カバンを持っている。
「一杯になった」「こっちも」「わたしも」
それなのに一杯になる人が続出した。ポイントはある程度経つと消えるのでまた見つけなければいけないが僕が一人いればいいだけなので交代で町へと帰らせてまた戻ってきてもらうことにした。それを何度と無く繰り返す。
「カオルさん、お水を」
「ありがとう」
どうやら休憩の時間のようだ。
「ふぅ」
「いや~、運系やドロップ系スキルの効果は凄いですね。次から次へと出てきますよ」
「以前はどうだったの」
「あっしらは前線組の援護を受けて早くにこの町に入りましたが明らかに採掘ポイントが減った上に入手する質も量も低下してたんです。さらに発見系スキルがないと見えない隠しポイントのせいでさらに難しくなりやした」
そのせいで何もせずとも見えるポイントの奪い合いが起きたみたいだ。なので事前に話し合って場所を決めて採掘する取り決めが出来たらしい。
「他の前線組も採掘などが難しくなったのでスキルなどを大きく見直しました」
だけども戦う人と作る人の評価は完全に違う。僕のようなスキルはゲーム開始時にしか手に入らない。中にはβのデータを消してまでスキルを変えた人もいたそうだ。
なんとなく選んだスキルがここまで有効だとは思わなかった。用意してくれたサンドイッチを食べながら頷いた。
「今後新規に入る人は攻略法などを見てくる人も多いでしょうが中々思うようにいかないのはゲームの中でも同じでしてね」
「なるほど」
「姉御と一緒にβから引継ぎした人らは人材確保に必死になってやってるんですが上手くいかず・・・」
「そこで僕を見つけたわけだ」
「そうです。ここまで欲しいスキルを山盛りなプレイヤーは始めてみたと。姉御は大喜びです」
出来ることならギルドを設立したら入って欲しいと。それについてはまだ未定なので今すぐ返事は出来ないと答える。
「出来る限りの事はするけどまだフリーでいたいから」
「それについては姉御からしつこいほど注意されてますんで何かをするなら予定に入れておいてもらえれば幸いです」
サンドイッチを食べ終えてSTと空腹度が回復したので再び採掘に励むことにした。
そうして時間だけが進んでいく。
「皆、今日は終わりの時間だ」
制限時間が来たそうなので撤収に入る。
「これは少ないですが」
「渡してくれるのは嬉しいけど意味は無いと思うんだ」
「ゲームとはいえ他人に便乗し拘束するのだから代金は払うのが普通です」
中身は7万G。こっちはただ隠しポイントを見つけて譲っただけだけどちゃんとした仕事の代金として受け取っておくことにした。
「鉱山はソロで来たらいけないの?」
「複数人で既存のポイントを独占してるのならともかくソロで隠しポイントを見つけて採掘してるのなら何も問うなってのが決まりです」
横取りはしてはいけないと。それならソロで来ても問題ないな。2日後にまた町の広場で会う約束をしておく。
「いいんですか」
「ルールが分からないから最初は他の人と一緒がいい」
「分かりました」
「場所は取れるのかな」
「取り決めはされてますが他の組は3階で仕事をしてるので問題はないとおもいます」
そうして2日後にまたログインして鉱山に入った。前はお弁当なども用意してもらったが今回は自分で用意した。
前と同じように隠しポイントを見つけて数回採掘したら譲るという行為を繰り返す。ゲーム的にはいいかもしれないが現実だと寄生だな。ただしっかりと仕事料を出してくるのはまともだと思う。
しばらく採掘をしているとエレベーターが動き出した。
「あれ」
「どうやら下の階の連中が上がってくるみたいですぜ」
「ちょっと不味いかも」
「ですね」
現在僕の見つけた隠しポイントで採掘している全員が感じる。これだけの採掘ポイントが発見できた事を聞かれると非常に困るのだ。ミカさんがいればどうにかなるかもしれないが彼女は別の場所にいる。僕のことを追及されるのは少しばかり腹が痛い。
「どうしようか」
「安心して下さい、βからの継続組は多いですが新規にも活躍する者も出てるのですから」
堂々としていろと。そしてエレベーターが止まる。
出てきたのは女性が多い一団だった。先頭にいる水色の髪の女性が美しいな。
「あら、あなた達は」
「ライナさんのグループでしたね、今日は」
どうも顔なじみのようだ。
「今日の調子はどうでしたか」
「全然駄目ね。以前と比べて全体的に敵の数が多くて採掘可能な場所数箇所を押さえるのすら難儀してるわ。スキルの大幅な見直しと補正がされたってのは公式の発表でもあったし私たちも十分理解してたけど生産方面はもっと難しくなったわ」
難易度が上がった愚痴っている。
「既存のポイントは目減りして隠しポイントも発見スキルがないと見えない。しかも要求レベルが高いときてるし。3階から攻略するという方針も軌道修正しなくちゃいけないと考えてるわ」
「なるほど」
「私たちは3階を割り振られてるけど2階に戻ることも考えておかないと」
すると彼女は周囲の様子が違うことに気づく。
「あら?たしか2階にはこんなに採掘ポイントは無かったはずよね」
「お気づきになりやしたね。実は高いレベルの発見スキル持ちと合同で採掘を進めてやして」
「へぇ、これだけのポイントをすぐに見つけ出せるってことはかなり振ってるのね、私たちにもスキル持ちはいるんだけど上げずらいから発見率はかなり低いのよね」
「納得してるところ悪いんですが時間経過でポイントは消えてしまいます。時間が限られているのでここで話をするよりも他のグループと集まったときに話をするほうが建設的かと」
「そうね。ゲームでも現実でも時間は有効に使わないとね」
彼女は仲間らに引き上げるよう命令する。
「そういえばそちらの紫色の髪の男の子は新顔ね」
「へい、カオルという新規組です」
「・・・ふぅん。そういうことか」
彼女はどこか納得顔だった。ヒラヒラと手を振って帰る。
「彼女たちは」
「彼女らは姉御と同じくβからの引継ぎ組で話をしてたのはライナって言います。リリアンヌさんらと同じく生産組で主に資源の調達をメインとしてるグループですね」
「へぇ」
「どっちもギルドを創設すべく前線での戦闘組と後方での生産組に分かれているんですよ。理解が良くて人望もありこの鉱山に出入りするプレイヤーの監督的立場って人ですね」
結構凄いんだな。
「あの分だと採掘が進んでおらず予定の見直しを考えてるみたいだったけど」
「そうみたいですね。3階にはあっしらも行ったことがありやすのでその苦労も良く分かります」
おっとこのまま話を続けているのは設定時間を越えそうなので作業に戻るとしよう。そうしてひたすら採掘作業を続けることにした。
「今日はお疲れさま」
『お疲れ様でした』
時間が来たので撤収する。町に戻るとミカさんが待っていた。
「皆お疲れ。さっそくだけど鉱山での採掘がどうなってるのか確認しに来たよ」
食堂に向かい空腹度を回復するために料理を注文する。
「で、どうなんだい」
「カオルさんのおかげで本来なら下で取れる良質な鉱石がゴロゴロ出てます。もう予定の4割は進んでますね」
「さすがだねぇ。こっちは町でのプレイヤーの勧誘を進めてるよ。ただスキルの構成に差はあるが似たり寄ったりが多いよ。カオルのようなスキル持ちはいなかったね」
攻略情報が書かれていてそれを参考にしてるのが多いせいだと。確かにそれは良いことだがスキルの選択を狭める行為でもあった。僕のスキルについてはいまだに「趣味にしかならない」「無用スキル」と散々に書かれていた。情報の公開はありがたいが実際に中身を確認もせず偏見するのは良くないというのが実際のプレイヤーの本音だろうか。
「プレイヤーが入ってくるのは良いけど中身を厳選するのが本当に面倒だね」
β時代から続けているミカさんはゲーム内の実情を良く知っている。
「勧誘は続けるけどすぐに追いつくのは難しいし代わりの人間が入る目処も立ってない。あんたらはこのまま仕事を進めておいてくれ、他のグループも同じように資源の獲得に力を入れてる路線は変わりないしな」
「ギルドを設立する『登録書』クエストはどうするんで」
「そっちは一進一退だね。難易度が高いのは変わらずで入手手段も限られるから値上がりは必死さ」
購入も視野に入れておかなければいけないとぼやく。
「ま~それはそれだ。今回の仕事料を渡しておくよ」
中身は10万Gに上がっていた。
「値上がりですか?」
「前線組はモンスターを倒すんでスキルが高く金持ちが多いんだがいかんせん支援が遅れてる。その人材に割り当てる予算を増加させないと攻略が進まないんでね」
そうして料理が運ばれてきて楽しく食事が進む。
「今回もありがとうね。次回もよろしく頼むよ」
ミカさんらと別れる。さて、まだゲームを続ける時間が残っているのでどうしようか。アイテムの整理をしようとコマンドを見るとメールが届いているようだ。誰からだろう。
『始めまして。ライナといいます。鉱山で顔をあわせたと思うのですが他の人がいたのでメールで連絡を取りました。実は折り入って話したいことがあるのでお手数ですが本日中に1番目の町に戻って指定の場所まで来ていただけますか。遅れるようでしたらこちらへメモをお願いします』
ふむ、どんな人分からないが事前にと連絡してるし文面も綺麗だ。会って損をすることは無い感じなので会うことにしようか。
「【ワープ】」
瞬時に1番目の町まで戻る。一度行った場所なら瞬時にいけるから便利だよね。指定の家に向かうとライナさんと数人が待っていた。
「着てくれたと言う事はメールを読んでくれたのですね。ありがとうございます、改めまして、私はライナです」
「カオルといいます」
簡単に名前を言い合う。
「いきなりですが本題に入ります。単刀直入な言い方で申し訳ないのですが私たちのグループにPTとして入ってはもらえないでしょうか?」
「なぜ?」
「恥ずかしい話ですが内情を隠さずお話します。私どもはあの鉱山で3階を割り振られておりますが以前と比べてモンスターが強くなりスキルの弱体化、さらに採掘ポイントが減り隠しポイントが増えていて満足な採掘が出来ない状態が長く続いております。他の仲間らも進展が進まない状況を理解していますがどうにも解決策が出てきません。以前は採掘スキルだけで事足りていたのですが発見系スキルやドロップ系スキル、特に運系スキルの大幅な修正が正式サービスで設定されていてそれらはゲーム開始時にしか取得できません。そのため以前のスキル構成では資源の入手手段が著しく制限されていてスキルを見直して修得しましたがタイミングが悪くレベルアップが遅れています。どこのグループも同じですがその方面のスキル持ちを必死に探していますがβでの攻略法を見てくるプレイヤーが多すぎてそのスキルを持ってくる人がほぼ完全にいなくなってしまいました」
僕はそういう情報を一切見てこずに始めたからなぁ。
「進まないゲームに焦りを抱いていたのですがある時仲間がリリアーヌらの店に入るとゲーム初期とは考えられない上等な装備や回復量の高いポーションが大量に売られている事を仲間に急いで伝えました。さらにタケミカヅチのグループがすぐさま装備の充実を行い非常に速い速度で攻略を進めている状況が生まれ今ではかなりの装備などが購入されています。秘密裏に提供者の情報を求めましたが拒否されてしまいましたがツテを使い調べていたのです」
大量の生産者が2番目の町に進んだこともしっかりと確認していたと。
「PTに入って何をしろというのですか」
「ただPTには入っているだけでもかまいません。護衛をつけろというのならつけますし採掘の邪魔は一切しません。報酬などの分配も優先的にいたします。出来れば隠しポイントを見つけてもらえればと。相当なスキルビルドをしていると伺っておりますので」
その上でお金を支払うと。結構いい人みたいだし何回かは付き合ってもいいかもしれない。
「次回の鉱山での採掘予定を教えてください」
「協力していただけるのですね!」
「とりあえずどのぐらいの影響が出るのかを数回確認していただきます。その上で付き合いたいというのならば特に拒む理由もありませんし。ただこちらにも時間の都合があるので」
フレンド登録しておく。ミカさんは別に他者への協力を阻むような発言は一切してないしこのぐらいでいいなら簡単だ。
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転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
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〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
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セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
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彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
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体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)
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魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』
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一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。
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『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』
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〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
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「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
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元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
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クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
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相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
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