勇者育成機関で育てられた僕よりも異世界から呼ぶ勇者のほうが楽で簡単で強いそうなので無用となりました

無謀突撃娘

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謎の冒険者プレートの中身を調べる

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セシルと共にコテージ戻ってくるとか各自自由行動にしておく。僕の分の食事は後で食べると言っておいて個室で預かった冒険者プレートの中身を確認する。説明しやすいように紙とペンを事前に用意しておく。

「さーて、蛇が出るやら鬼が出るやら」

まず《解析》で大雑把に経路を調べる。ここではまだ問題点は出てこないな。次に《分析》で各経路の分岐状態を調べる。うーん、まだ出てこないか。

さらに《分別》で各経路の役割を切り分ける。まだここでも出てこないという事はどこかに隠されたルートがあるはずだ。

各ルートを分岐点や空白部分を重点的に調べる。

「おっ、これは」

明らかに何かが入り込める場所を見つける。そこに《介入》する。

「《プロテクトコード198593918》です。ここに入るにはパスコードを入力してください」

やはり何かが仕込まれているようだ。手当たり次第に試すとどんなエラーが出るかも分からないのでますは正当なパスコードを手に入れる必要がある。

多分だがここにつながるルートの中身を断片的に組み合わせているのだろう。さて、どれほど難解なのか試せてもらうことにしようか。

結局不眠不休で勤しみ2日も経過してしまったため仲間からとても心配されたがパスコードの正式な内容は把握した。これ、とんでもなくヤバいものだ。多分冒険者ギルドが天地をひっくる返すほどに騒ぐはずである。

解析が終わり頼まれた仕事が終わったことを受付嬢に密かに伝えるとすぐにギルド支部長や重役達が集まる部屋まで案内される。

「で、問題の中身はどうなりましたか」

「嘘偽りなく申し上げますが」

冒険者プレートの中に特定のコードを使わないとアクセスできない部分がありそれを使えばどんな等級すら思いのままに出来ることを説明する。

試しにやってみて確認させる必要があるので何者の物でもない灰色級の冒険者プレートを用意してもらう。

「まずはこの灰色級を純金色級に変えて見せましょう」

「それはさすがに無理不可能だと思うが」

「まぁ、百聞は一見に如かずです」

すぐさま冒険者プレートに手を入れて正式なパスコードを入れると、

「《プロテクト解除コード認証を許可します》何を変更しますか」

プレートを純金色級に変えろと打ち込む、すると灰色のプレートが輝くほどの純金になった。

『え?うそ、マジですか?たったこれだけのことで冒険者の地道な功績が無意味になるんですか!』

「それについて冒険者ギルド側に内緒で自分らに都合のいい改竄内容を盛り込んでいたとしか」

「これが有り得ない等級をしている連中の秘密という訳ですか」

「そうなりますね」

「こんな、真面目の冒険者を侮辱するこれは即刻削除すべきでしょう」

「では、このルートの権限を完全に削除でいいですか」

全員が同意する。

「《プロテクトコード198593918》を完全にデリート。マスターオリジナルが命じる」

これでもうプレートの意図的な改竄は事実上不可能になることに。これは世界中の冒険プレートを通じて行われるので二度と使うことは出来ないだろう。

世界中で大混乱が起きるのは間違いない。それについては冒険者ギルドで対応させることにした。

でその後、当然のごとく冒険者ギルドにコネと縁故採用組の行った不正が白紙にされてしまったことに対する抗議が殺到する。

『突然自分達の冒険者プレートが灰色級になってしまった。これはいったいどういう事なんだ。説明を求める』

「冒険者プレートの中身を再確認したところ明らかな不正効果が見つかりました。それを排除しただけです」

さすがに奴らも不正効果については特権だと高をくくっていたようだがそれについては秘密にしていたようでまさかそれを消されてしまうとは考えもしなかったようだ。もしそれを口外したら有り得ない手法で等級を誤魔化していたことについてバラされたら最後破滅確定だ。

これで本当に等級を無理矢理強引に上げるという異常手段が不可能となった。正規の手順を踏まないと等級が上がらなくなってしまった。

コネや縁故採用組はますます苦境に立たされた。

え?僕にお咎めは無かったから安心していいよ、仲間達のプレートはそのままだ。実績通りならそのままな部分はちゃんと残しているからね。

これでようやくまともな冒険者だけが生き残れるようになったわけだ。

コネや縁故採用組はどうにかしてプレートを改造しようと試みるがそれについては僕の方から徹底的な改造処理を施しているので奴ら程度では手の出しようがない。やったらそいつのプレートの記録に残ってしまうので永久剥奪の手段を取る。

ま、不正は駄目だという事だね。

案の定改造をしようとした連中が大勢現れた。

『これは永久剥奪です』

『なんでだよ!』

『その理由は明白でしょうが』

『そ、そんなぁ』

『お前たちの不正行為を今後見逃す気はありません』

『実家や一族にどんな顔すりゃいいんだ』

コネや縁故採用組の大半が不正改造を行っていたのだ。もう彼らには全員灰色級からスタートをさせてしまう。その点について見逃すだけでもありがたいと思え。

このことは諸国中に伝えられ冒険者ギルドは「不正は駄目です」そう明言されこれを見逃すと容赦のない罰則を科すことを通達した。

貴族部族氏族らは大激怒するが「それならその罪を裁判所で明かしましょうか。これがどれだけ重罪か覚悟のうえで来てください」黙るしかなかった。そんな罪深いことを当然の権利のように都合よく使っていたことを公開されたら即座に家を潰されてしまうし一族は重罪人扱いだ。

さすがに破滅を覚悟でそれをやる気があるものなどいない。

で、灰色級になってしまった奴ら全員等級による特典が使えなくなり大半の人々から白い目で見られて村八分状態になり真面目な仕事をするしかなくなるのだが胡坐をかき甘い汁を吸い続けた彼らは容易に心を入れ替えない者もいた。だけども灰色級では使えることはほとんどない。

そいつらは軒並み借金取り共の餌食となる。結構な金を踏み倒していたようだが灰色級になってしまえば冒険者ギルドは助けてくれない。軒並み強制労働所送りとなるか実家に多大な賠償金を要求され見捨てられてしまった。

生き残れたのはほんのわずかだった。

「こんなのはおかしい!」

「何がおかしいと」

「なんでそんなことをしてしまったんだ!」

「お前らが不正行為を平気で行うからでしょうが」

「当然の権利だろうが!」

「本人は本人、他人は他人です」

「名家の生まれの自分達が何で白い目で見られるんだよ!」

「卑怯な手を使ったからです。いい加減現実を受け入れてください」

「訴えてやるぞ!」

「かまいませんよ。裁判なりなんなり受けて立ちますから」

「……」

「いくら睨んでも怖くありませんよ」

奴らにはもう心を入れ替えるしか手段がないのにまだ足掻いていた。この手の連中はしぶといからね。

さて、僕とセシルは聖堂でクラスチェンジを行う。

「で、どれにするのか決めたんだね」

「はいっ」

進行役にマナストーンと位階の石像を渡す。

セシルが選んだのは《軍武聖騎士》将軍と聖騎士の両方の長所を持ち騎乗可能で重騎馬なタイプだ。さて、これで当面のことは大丈夫だろう。

「これで、これで、ようやく、自分が」

「おめでとう」

ささやかに拍手する。

さて、適度な依頼を受けて腕試しといこうか。
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