勇者育成機関で育てられた僕よりも異世界から呼ぶ勇者のほうが楽で簡単で強いそうなので無用となりました

無謀突撃娘

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第2陣 銀の精鋭 でも 4

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灰色級のパーティは何とかゴブリン共を追い払ったがその代償は重かった。

「いてぇ、いてぇよ」「苦しいよぉ」「だ、誰か、お薬を」「奇跡、そう、奇跡が」

大多数が負傷しておりその傷の重さも個々により違う。監督役殿はすぐさま全員の状態を見分け負傷の段階を4段階に分けた。赤が重傷。黄が中傷、緑が軽傷、青が無害、その4段階に分ける

赤を最優先として回復の水薬や奇跡を優先的に使う。

黄はすぐさま応急処置として包帯と傷に効く軟膏を配布し各自治療をさせる・

緑は動かすと傷が悪化するため動かないように指示。

青は他の負傷者の介護をさせる。

迅速に指示を出し容態の進行をチェックしていく。それで何とか動けるようになる。

「これからパーティの最優先は帰還だ」

もはや戦闘能力もなく傷の痛みに苦しむ皆を連れて《バーミット》まで連れて帰らなければならない。結構な距離を進んでしまったから注意を払っておかないと。

無事な者に重傷者を背負わせ残りは支え合いながら少しづつ確実に帰り道を行く。

「なんでおれたちこうなっちまったんだ」「あれだよ。手柄に目がくらんで待ち伏せ食らったからだろ」「いやぁ、このまま死んでしまうの」「なんで勉強しなかったんだよちくしょう」

ここで彼らは地道な採集能力の鍛錬を怠っていたことがどれほどの意味があるか痛感した。野生の薬草も毒草も見分けられないほど経験が足りない。それを覚えていれば少しは傷薬が作れるはずなのに。

自分達がいかに足手まといなのかを残酷なほど教えてくれた。

さらに問題が発生する。食料の不足だ。ここに来る間に備蓄を持ってきてなかったのだ。全員が空腹感に苛まれる。僕は彼らの先回りをして茸とか生で食べられる食材を最低限用意した。

彼らはもはや幽鬼のごとくそれを分配し各自腹に入れる。宿の飯に比べれば最悪だが生き延びるためだ。

夜になってもまだたどり着けず野営する。野営テントすら持ってきてないので地べたに寝転ぶしかない。全員がすすり泣きながら眠りにつく。

3日かけてようやく到着するが身も心もボロボロになってしまった。負傷者は即座に病院送りで生き残りも今後のことを本気で考えなければならなかった。

あんなに輝ける武勲詩があるのに現実の自分達はこれだ、これが世界の現実なんだ。

あれだけ軽んじていた監督役殿がいなければ自分らは生きて帰ってこれなかったはずだ。

たかが一つ上のはずだけなのに明らかに先が見えていた彼らを否定したのは誰だったか。

なんで、こんなに大切なことなのに真面目に勉強しなかった自分らのほうが馬鹿で愚かだった。

もっと早く現実と向き合うべきだった。そうしていればもう少し幸福があったはずだ。

世界はもうその方向に向かいつつある。それに対応し生き残る努力をしなければ自分らは根絶やしにされる。

板切れに布を敷いただけの粗末なベッドで寝転ぶ全員が涙で顔をグシャグシャにして生きて帰ってこれたことを実感した。

翌日

『監督役殿。俺たち心を入れ替えます。本気で必要なことを教えてください。お願いします』

「俺一人じゃ無理だ。この前のレクチャー組の協力がないと無理だぞ」

『何でもします。俺たちもうあんな悪夢に会いたくないんです。どんな泥臭い仕事でも耐えます』

「今から再出発するとなるとかなり困難な道のりになるぞ。怠け癖が身についてるお前らに耐えられるのか」

『監督役殿は俺たちより少し若く出発しただけです。自分達に出来ないなんて言わせないぐらい努力します』

「そこまで言うからには全力を尽くそう。もうお前らを誰かから預かってるという甘えは許さないからな」

生き残りは必死になってレクチャー組に謝った。今後甘えを見せたら二度と振り返らないと念押しをする。ここで僕の考案した初心者支援制度を使うことにした。

その後彼ら生き残り組は心を入れ替え泥臭い仕事も黙々とこなしていく。大鼠退治とか大虫退治とか汚物処理のような仕事も数少ない実戦を積めるチャンスと見なし血眼になって依頼をこなしていった。

とにもかくにも経験値が足りない彼らにはひたすら黙々と地味な依頼をこなしてもらう。

僕らは僕らで片づけなければならない依頼が入っていた。前回銀の精鋭が依頼を横取りしたゴブリンの拠点を殲滅する依頼だ。

早速コテージで作戦会議を行う。

「前任者が無駄に攻撃を仕掛け続けたせいで防備の状況が上がっていると見ていいだろうね。あいつら、大したことも出来ないくせに無駄なことばかり繰り返して難易度が上がってしまったから」

「ふざけるなです。奴らはやはり全滅するべきだった」「後始末を誰がすると思ってるんでしょうか」

「雑兵共の馬鹿な行動のせいで手を煩わせてくれる」「あの馬鹿はよくそれで指揮官務まりましたね」

「人の上に立つべきはやはり不用意に選べませんね」「いやねー、あたしらの苦労はどうなるのよ」

「我が同胞の不始末をなぜ僕らがと怒りしか感じません」

仲間全員がその後始末をしなくてはならない現実。もっと早く依頼を達成してほしかったのに馬鹿な連中の横槍のせいで余計な苦労ばかりが増えていく。本当だったら時間はかからなかったはずなのに前任者が執拗に諦めなかったせいで僕ら以外手に負えなくなってしまったのだ。

他のパーティも気を吐いて頑張っているが大事な依頼は僕らの所に優先的に回されている。今回はコテージごと持っていく必要があるな。

そうして、現場まで来ると要塞化していた。あー、やっぱりこのパターンか。攻撃が継続されて拠点を強化するのは常道だ。これは交代で休息を取らないと殲滅不可能だ。

2パーティに戦力を分けて昼も夜も関係なく攻め続ける。焚火を用意して火矢を打ち込んだり岩石を放り投げての城門破壊、しまいには木を切り倒してそれをカタパルトのように打ち出すなど、あの手この手を使い徐々に切り崩していく。

僕は2つのパーティを掛け持ちして援護をする。もちろん寝る時間なんてほとんど取れなかった。まぁ、僕にはあまり睡眠が欲しいわけではない体だから。

結局、3日間戦い続けて要塞の破壊とそこのゴブリンの殲滅が完了した。

『あー、しんどかった。マジしんどかった。これってもう冒険者の依頼を越えてるよねー』

正直言って要塞化している時点で依頼の放棄も考えられたほどに戦いは熾烈を極めた。ありったけの物資を注ぎ込みようやく殲滅したが中身が乏しく旨みのない依頼であった。回収できるものはありったけ回収したが大赤字である。まだ余裕はあるが備蓄物資の充実は急務である。

「すまないけどここらで石材木材とか廃坑とかで資源採取して来ていいですか。材料販売店では追い付かなくて」

「そうですね。今回はさすがにモンスターパニック直前でしたからそのように処置を取ります」

「助かります。次はもう少し実入りのいい依頼をお願いできれば助かりますので」

「わかりました。あ、お仲間全員蒼光玉級に昇格できる条件を満たしました。セシル君も翠光玉級になれますよ」

時間の都合が合えば冒険者ギルドに来て昇級手続きを取りたいと受付嬢から伝えられる。昇級ということなら仲間も喜ぶか。コテージ戻り仲間らに昇級可能になったことを伝えると椅子から軽く飛び跳ねた。

さて、僕はというと。

「よいしょっと」

ガキィン ガキィン ガキィン

木こり斧で丸太を切り出し中だ。

矢を始めとして色々活用法がある木材は大至急必要だった。

それが終わると岩山に行って《水剣》で石材を切り出す

鏃や触媒の石板や場合によれば防壁にもなる石材の切り出しを行う。

あればあるだけいいがさすがに山を無くしたり丸裸にするほどは出来ない。場所を変えながら影響が出にくい範囲で材料を確保する。

骨材は《竜牙兵》バーゼルが覚えたので最低限欲しいところ。これは買えばいいか。

最後に鉄を始めとする金属の元になる鉱石。いくつかの廃鉱山や廃坑から鉱毒から《抽出》する。対して儲かるわけではないのが常識だが僕がやればかなりの量を取れる。いくつかの場所を回り鉱毒から元となる材料を取り出して帰ってくる。

「にひひっ、この輝きがいいよね」「本当ですわね。これで奴らを見返せますわ」

「うむ。これでより高みに至ったと実感できる」「ここまで行ったら中々のものですよ」

「より主の御許に近づけました」「いやぁー、あたしがここまで来れるとはね」

「僕がこれを持つ資格があるか必ず証明します」

仲間達は全員昇級を終えてきたようだ。僕は補給物資の調達を優先したから後回しにしたけど。どうせご飯まで時間があるし先に済ませておくか。そろそろセシルも正規パーティにしておいた方がいいだろう。もうそれぐらいの信用は勝ち得ている。

「セシル」

「は、はいっ」

喜びを浮かべている彼はこちらを振りむく。

「皆に確認するね。セシルを今後の正式な仲間と認めてよいか」

「え、つ、ついに」

『異議なし!」

「皆さん、今後とも精進します」

涙を浮かべるセシルと歓迎する仲間達。

「僕の昇級手続きと正規のパーティ登録、クラスチェンジの聖堂の使用許可を取りに行くから」

『いってらっしゃーい』

セシルを連れて冒険者ギルドの建物まで向かう。

「冒険者プレートの昇級とセシルの正規パーティ登録とクラスチェンジのために聖堂の使用許可を取りたいのですが」

「はい、了承しました」

しばらく待つと青く輝くプレートを渡される。

「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」

セシルを置いて別室に案内される。

「秘密を守れる方としてお願いしたいことがるんです。引き受けてもらえますか」

神妙な面持ちで受付嬢が聞いてくる。

「僕に出来る範囲であれば」

「実はこれについてなんです」

それは翠光玉級のプレートだった。

「冒険者プレートの内容の改竄が不可能なことはご存じですよね。そして同時に上げられる等級には上限が存在していることも」

「そうですね、であればこれには何か不可解なことがあるわけですね」

持ち主は銀の精鋭の隊長だったそうだ。

「もうコネや縁故採用で等級の強引な引き上げはほぼ禁止されました。とはいえ例外規定としてその技術の使用は出来なくはありません。だけども、翠光玉級まで引き上げが可能であるとはさすがに不可解な部分が多すぎます。これの使用許可を出してるのは王族を始めとしたお偉い方々ですが意図的にこんなものを量産されては困るんです」

「そういう事でしたらそちらでお調べになったはずですが」

もちろん、然るべき方々が調べてみたが異常な問題は出なかったそうだ。

「まだすべて確認したわけではありませんがこちらではお手上げになりました」

なら、外部の高名な技術者に調べてもらうしかない。だが、王族の睨みがあり不用意なことは出来ない。

「僕はどこの誰かもわからない人物なのですが」

「あなたが所有者の装備についてこちらで勝手に調べさせた所とんでもない事実が上がってきたんです」

イヴラフグラ《富と咎を成すもの》には鞘に何か紋章が書かれているが。

「すみませんがこれ以上は何も言えません。ただ、諸国に大変睨みを利かせられる人物がその身分を保証しているとしか」

この剣が僕が何者なのかを証明してくれると施設の人間は最後に教えてくれた。ふむ、そういう事なら別に受けてもいいか。

「今の段階では良く分かりませんが何が出て来ても驚かないようにしておいてください」

受付嬢にそれを伝えてプレートを預かりコテージにセシルと戻ることにした。
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