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全員卒業させたが新たなトラブルが
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決闘からしばらく時間がたち平穏がやってきた。僕は個室のベッドから起きてに自宅を整える。
「おはよう」
『お、おは、よう、ござい、ます』
ぶつ切りの言葉遣いと恐れ怯え、どうやらわたしはそのように見えたようだ。
「安心してよ。『僕』に戻っているから」
「そうですか。それなら安心だわ」「あの性格も悪くないけど結構殺意高めでしたから」
「ふむっ。いつも通りの日常ですな。最も彼女は今もなお存在しているわけですが」「ご機嫌損ねるとどうなるか分かりませんねー」
「我らが主よ。世界とはどうしてこうなっているのでしょうか」「まー、そういう事だから諦めてしまうほうが楽だよねー」
各自様々な感情を思い描きながら朝食となる。
朝食はパンにソーセージを挟みソースをかけて食べるタイプ、芋と野菜と肉のシチュー、チーズ、各種飲み物だ。いつもの食事の風景のはずなのに仲間達はなんだか気が重い表情だ。
「どしたの?」
「昨夜あれだけ暴れておきながらよく平気で飯を食えるなと」
あの地獄を思い出すとなかなか食事が進まない仲間達。ま、あれは悲惨だった、けど原因は相手にあるのだから。
これが僕にとって平常運転だから。
とりあえず、前回の決闘の結果内容を聞くため冒険者ギルドの建物まで行くことにした。
「? 何だか、視線が」
以前からこうした視線が集まるのは感じていたがそれは興味や関心であった。でも今は違う。尊敬とか恐れとかそんな感じがする。畏敬の念とでも言えばいいのだろうか。建物に入る。
「ピュアブリング様ですね。別室までご案内します」
いきなり別室案内とはどういうことなのだろうか。そこに行くとギルドの重役と相手側の代表者と思える人物がいた。
僕の顔を見た途端相手は顔色を豹変させる。
「ひぃっ!な、ななな、何でこの悪魔が、ここに来るんだ!」
僕のことを見るなり悪魔呼ばわりとはひどいなぁ。僕は善良だよ、ちょっとばかり中身がおかしいけど。
「早速交渉を始めたいのですが」
「はい」
「お前らぁ。こんな脅迫的な状態で交渉が出来るかぁ」
「脅迫的?そちらが要求している条件を出来るだけ叶えたのですけど」
「さっさとその悪魔を遠ざけろ。どっか遠くに行ってしまえ」
相手は完全に恐慌状態になっている。これで交渉とかどういうことなのだろうか。
「では、今後二度と話し合いの場は設けないという事でよろしいですか」
「ま、まて。それは絶対に駄目だ」
「彼がいることを了承しますね。当事者なのですから」
「……くっ、分かった」
ようやく交渉が開始される。
「まず強制労働所送りになっている同胞の解放ですが、不可能ですね」
「なぜだ!」
声を荒げる相手。こちらはそれを無視して進めるようだ。
「奴らの馬鹿な行動のせいで混乱が起きた。その不始末として借金を背負ってます。なので、罪の清算ですね」
「そ、それについてはもう少し温情をかけていただけないかと」
「無理です」
それでこの問題はおしまい。相手は口をつぐむしかない。
「次にそっちが勝手に言っていた賠償金の支払いをこちらが要求します」
「な、なんだと!それでは話が違うではないか」
「一方的な要求が通るとでも。こっちはお前らのせいで無駄な後始末ばかりしてるんですよ」
それを考えたらそちらが支払うのが当然だ。またも口をつぐむしかない相手。
「最後に無能な同族の罪を問えとのことですがそのような罪などどこにもありませんし今後二度と過度な干渉は致さないようにしてください」
「なっ!無能な同族のせいで我らがどれだけ困っていると思っているのだ」
「では、先の問題で強制労働所送りの連中と彼らは違います。むしろまともな方ですよ」
「し、しかし、それでは」
「今一度立場を明確にしておく必要がありますね」
そちらから申し込んできた決闘にこちらは勝った。弱者は強者に従え、そう声高に叫んでいるのならばその通りにしろ。こちらからの要求はそれだけだ。
受け入れられない?そういう事でしたらあなたら部族氏族は約束破りをしたと世界中に言いふらしますよ。そんな脅しをかける。
そんなことになったら自分達はもうおしまいである。
結局折れるのはそちらの方だ。口をつぐむしかない相手。
「今後は真面目に生きてくださいね」
「卑怯者が!」
奴らの発言で頭に来たのか職員は残酷な言葉を言い放つ
「ピュアブリング、こいつらの里の場所を教えますから襲撃してきて下さい。どんな事態になろうとも認めます」
「わかった」
その言葉を聞いて顔を青ざめさせる相手。この悪魔に里を襲わせる、だって?そんなことをされたら皆殺しではないか!この残虐な悪魔を止められる保証はどこにもない。冒険者ギルドはそれを肯定している。そしてその悪魔もまたそれを承諾した。本気なのだ。
「そ、それ、そればかりは、ご勘弁を」
ひたすら頭を下げるしかない。
そうして、何も意味もない交渉が終わった。僕がいる必要ありましたか?
『リーダー。お話はどうでしたか』『先生。もうこれでおしまいなんですね』
パーティメンバーだけではなくレクチャーをしている者達まで集まっていた。今回の話し合いが無事に終わったことを伝えると皆喜んだ。
「これで、もう自由だ」「やった、やったよ」「もうひどい目に会わなくていいのね」
「これで大分荷物を減らせたね」
『はいっ。やっぱり先生はすごい人ですね』
それはすぐさま噂として広がることになった。
「あれが、例の人物なのね」
「部族の猛者をコテンパンにしたとか」
「相手が降伏するまで一方的に」
「それが無駄だと判断し地獄に」
「こわっ。そんなの相手が悪すぎるよ」
「命だけは保証してやったそうだぜ」
「体の保証はしてくれなかったそうだ」
「ああ、相手はもう慈悲すら請えなくなったそうだ」
「観戦者のほとんどが現実から目を背けるほど凄惨に」
「クズどもにはお似合いの最後だな」
多少妄想が入っているが大体は合っていたその噂はしばらくたつと忘れられるはずだと僕は思っていた。その程度の噂じゃないかな。
ところが、そうはならなかった。とある吟遊詩人が噂を元にお話を歌い始めたのだ。単純に私利私欲なく損得抜きに人々を助けるお話、らしい。たったそれだけらしいが民衆からは大好評なのだそうだ。この手の話はウケが良いらしい。本人が生きていればなおさらに。
そんなもんなんだねぇ。不幸と悲劇が溢れている世の中ではそんなものでも意味があるんだ。
別にそれはそれでいいか。さっさとレクチャーを受ける組を終わらせないと。
「ハイ、これで全員終了だよ。おめでとう。よくがんばったね」
『先生、いままでありがとうございました』
最後のレクチャー組をゴブリンの退治と共に終わらせこれで僕の仕事も終了である。彼女らは最後まで愛人になりたい、そう言っていたが全部無視する。もう親鳥から巣立つべきだしそもそも大きく育ちすぎている。もうこれ以上肥大化させてはならない。
そもそもが彼らをこのような状況に追い込んだ主が現況なのだがそいつらは強制労働に駆り出されている。借金を完済するまで逃げられない。それに連れていかれなかっただけマシだと思う。
彼女らは事あるごとに宿屋に連れ込もうとしているが全部断る。とにかく、接点を徐々に減らしていかないと追い付かないぞ。
「新人冒険者のレクチャーお疲れさまでした」
「どうも」
「今の所彼らは順調に進んでますよ。もう少ししたら黒曜石級になれると思います」
「そうですか」
「これって明確な貢献度なんですけど今現在あなたしか行ってないのでどう判断すべきか検討中です」
「焦ってないので別にいいです」
「あと、前回の決闘に対する報酬なのですが。どういたしますか」
「じゃ、その制度の後押しにでも使ってください」
「かしこまりました」
あと、何か依頼が無いのかを聞いておく。
「今の所急を要する依頼はありませんからご自由に選べますが」
ふむぅ、そういうことなら適度な難易度の依頼でいいか。それを選ぼうとして乱入者がやってくる
「どけどけどけ。冒険者ギルドの建物はここだな」
やたらピカピカ輝きを放つ装備をしている連中が現れた。種族は雑多であった。まあ、お上りさんなのだろう。キラキラ輝く装備が自慢なだけだと僕は思った。
「支部長に会いたい。大至急だ」
「申し訳ありませんがどちら様なのでしょうか」
「巷で勇名をはせる我らを知らんとは辺境とは貧しいものなのだな」
そいつらは『銀の精鋭』そう名乗った。なるほど、銀製の装備を身に着けているからあんなにピカピカなのか。それがどうした?ただそれだけだ。それ以外の意味が見つからない。
そいつらはすぐさま支部長に会わせろの一点張りだ。受付嬢は冒険者プレートのランクを確認すると赤彩石級だった。中には鉄色級や翠光玉級まで混じっていた。まーたこのパターンか。コネや縁故採用で無理矢理等級を上げてきたタイプね。冒険者ギルドでそれが使えない制度を実施してるがまだすべての場所でそれに変わってはいない。
特に貴族出身とかになるとハク付けとかないと結婚相手に困ってしまう。なので中央ほどこの制度の導入を渋っているみたいだ。貴族の子弟がすべて仕事に付けるわけではないから。だから冒険者になる道を選ばざるを得ない。
まだ制度の導入が遅れている場所で冒険者となりコネと縁故採用でハク付けし地方や辺境で活躍しようという算段だろう。少しはマシだと思うがモンスターが都合よく倒れてくれるわけじゃない。結局自分ら次第だ。
受付嬢は諦めた顔で支部長の部屋まで案内することにした。僕は他の受付嬢に話しかける。
「まだあんなのが生き残ってるんだね」
「ええ、国王の後ろ盾を得ておりますが貴族家からの反発は根強いんですよ。特に歴史がある家からは目の敵にされてます。先祖の功績に胡坐をかけなくなるからです。そのあたりの問題はまだまだ続くでしょう」
頭が痛い問題だと。
「家族に甘え努力しない、危険な思いをしない、鍛錬を積まず経験がない、生き残るためには泥くさい行為すらしない、最後仲間を見捨ててでも生き残る。生き残ったらそれはそれで悪い方向に進む。最悪ですよ」
「中央では居場所がないから地方辺境に出て立身出世しようって魂胆みたいだけど」
「本当の馬鹿ですよ。規律秩序は中央のほうが整っているのは明白なのに良くない夢を見てるんですよ」
あまり関わり合いになりたいタイプではないのは確かだ。ちょっと様子見をしてみるか。
「おはよう」
『お、おは、よう、ござい、ます』
ぶつ切りの言葉遣いと恐れ怯え、どうやらわたしはそのように見えたようだ。
「安心してよ。『僕』に戻っているから」
「そうですか。それなら安心だわ」「あの性格も悪くないけど結構殺意高めでしたから」
「ふむっ。いつも通りの日常ですな。最も彼女は今もなお存在しているわけですが」「ご機嫌損ねるとどうなるか分かりませんねー」
「我らが主よ。世界とはどうしてこうなっているのでしょうか」「まー、そういう事だから諦めてしまうほうが楽だよねー」
各自様々な感情を思い描きながら朝食となる。
朝食はパンにソーセージを挟みソースをかけて食べるタイプ、芋と野菜と肉のシチュー、チーズ、各種飲み物だ。いつもの食事の風景のはずなのに仲間達はなんだか気が重い表情だ。
「どしたの?」
「昨夜あれだけ暴れておきながらよく平気で飯を食えるなと」
あの地獄を思い出すとなかなか食事が進まない仲間達。ま、あれは悲惨だった、けど原因は相手にあるのだから。
これが僕にとって平常運転だから。
とりあえず、前回の決闘の結果内容を聞くため冒険者ギルドの建物まで行くことにした。
「? 何だか、視線が」
以前からこうした視線が集まるのは感じていたがそれは興味や関心であった。でも今は違う。尊敬とか恐れとかそんな感じがする。畏敬の念とでも言えばいいのだろうか。建物に入る。
「ピュアブリング様ですね。別室までご案内します」
いきなり別室案内とはどういうことなのだろうか。そこに行くとギルドの重役と相手側の代表者と思える人物がいた。
僕の顔を見た途端相手は顔色を豹変させる。
「ひぃっ!な、ななな、何でこの悪魔が、ここに来るんだ!」
僕のことを見るなり悪魔呼ばわりとはひどいなぁ。僕は善良だよ、ちょっとばかり中身がおかしいけど。
「早速交渉を始めたいのですが」
「はい」
「お前らぁ。こんな脅迫的な状態で交渉が出来るかぁ」
「脅迫的?そちらが要求している条件を出来るだけ叶えたのですけど」
「さっさとその悪魔を遠ざけろ。どっか遠くに行ってしまえ」
相手は完全に恐慌状態になっている。これで交渉とかどういうことなのだろうか。
「では、今後二度と話し合いの場は設けないという事でよろしいですか」
「ま、まて。それは絶対に駄目だ」
「彼がいることを了承しますね。当事者なのですから」
「……くっ、分かった」
ようやく交渉が開始される。
「まず強制労働所送りになっている同胞の解放ですが、不可能ですね」
「なぜだ!」
声を荒げる相手。こちらはそれを無視して進めるようだ。
「奴らの馬鹿な行動のせいで混乱が起きた。その不始末として借金を背負ってます。なので、罪の清算ですね」
「そ、それについてはもう少し温情をかけていただけないかと」
「無理です」
それでこの問題はおしまい。相手は口をつぐむしかない。
「次にそっちが勝手に言っていた賠償金の支払いをこちらが要求します」
「な、なんだと!それでは話が違うではないか」
「一方的な要求が通るとでも。こっちはお前らのせいで無駄な後始末ばかりしてるんですよ」
それを考えたらそちらが支払うのが当然だ。またも口をつぐむしかない相手。
「最後に無能な同族の罪を問えとのことですがそのような罪などどこにもありませんし今後二度と過度な干渉は致さないようにしてください」
「なっ!無能な同族のせいで我らがどれだけ困っていると思っているのだ」
「では、先の問題で強制労働所送りの連中と彼らは違います。むしろまともな方ですよ」
「し、しかし、それでは」
「今一度立場を明確にしておく必要がありますね」
そちらから申し込んできた決闘にこちらは勝った。弱者は強者に従え、そう声高に叫んでいるのならばその通りにしろ。こちらからの要求はそれだけだ。
受け入れられない?そういう事でしたらあなたら部族氏族は約束破りをしたと世界中に言いふらしますよ。そんな脅しをかける。
そんなことになったら自分達はもうおしまいである。
結局折れるのはそちらの方だ。口をつぐむしかない相手。
「今後は真面目に生きてくださいね」
「卑怯者が!」
奴らの発言で頭に来たのか職員は残酷な言葉を言い放つ
「ピュアブリング、こいつらの里の場所を教えますから襲撃してきて下さい。どんな事態になろうとも認めます」
「わかった」
その言葉を聞いて顔を青ざめさせる相手。この悪魔に里を襲わせる、だって?そんなことをされたら皆殺しではないか!この残虐な悪魔を止められる保証はどこにもない。冒険者ギルドはそれを肯定している。そしてその悪魔もまたそれを承諾した。本気なのだ。
「そ、それ、そればかりは、ご勘弁を」
ひたすら頭を下げるしかない。
そうして、何も意味もない交渉が終わった。僕がいる必要ありましたか?
『リーダー。お話はどうでしたか』『先生。もうこれでおしまいなんですね』
パーティメンバーだけではなくレクチャーをしている者達まで集まっていた。今回の話し合いが無事に終わったことを伝えると皆喜んだ。
「これで、もう自由だ」「やった、やったよ」「もうひどい目に会わなくていいのね」
「これで大分荷物を減らせたね」
『はいっ。やっぱり先生はすごい人ですね』
それはすぐさま噂として広がることになった。
「あれが、例の人物なのね」
「部族の猛者をコテンパンにしたとか」
「相手が降伏するまで一方的に」
「それが無駄だと判断し地獄に」
「こわっ。そんなの相手が悪すぎるよ」
「命だけは保証してやったそうだぜ」
「体の保証はしてくれなかったそうだ」
「ああ、相手はもう慈悲すら請えなくなったそうだ」
「観戦者のほとんどが現実から目を背けるほど凄惨に」
「クズどもにはお似合いの最後だな」
多少妄想が入っているが大体は合っていたその噂はしばらくたつと忘れられるはずだと僕は思っていた。その程度の噂じゃないかな。
ところが、そうはならなかった。とある吟遊詩人が噂を元にお話を歌い始めたのだ。単純に私利私欲なく損得抜きに人々を助けるお話、らしい。たったそれだけらしいが民衆からは大好評なのだそうだ。この手の話はウケが良いらしい。本人が生きていればなおさらに。
そんなもんなんだねぇ。不幸と悲劇が溢れている世の中ではそんなものでも意味があるんだ。
別にそれはそれでいいか。さっさとレクチャーを受ける組を終わらせないと。
「ハイ、これで全員終了だよ。おめでとう。よくがんばったね」
『先生、いままでありがとうございました』
最後のレクチャー組をゴブリンの退治と共に終わらせこれで僕の仕事も終了である。彼女らは最後まで愛人になりたい、そう言っていたが全部無視する。もう親鳥から巣立つべきだしそもそも大きく育ちすぎている。もうこれ以上肥大化させてはならない。
そもそもが彼らをこのような状況に追い込んだ主が現況なのだがそいつらは強制労働に駆り出されている。借金を完済するまで逃げられない。それに連れていかれなかっただけマシだと思う。
彼女らは事あるごとに宿屋に連れ込もうとしているが全部断る。とにかく、接点を徐々に減らしていかないと追い付かないぞ。
「新人冒険者のレクチャーお疲れさまでした」
「どうも」
「今の所彼らは順調に進んでますよ。もう少ししたら黒曜石級になれると思います」
「そうですか」
「これって明確な貢献度なんですけど今現在あなたしか行ってないのでどう判断すべきか検討中です」
「焦ってないので別にいいです」
「あと、前回の決闘に対する報酬なのですが。どういたしますか」
「じゃ、その制度の後押しにでも使ってください」
「かしこまりました」
あと、何か依頼が無いのかを聞いておく。
「今の所急を要する依頼はありませんからご自由に選べますが」
ふむぅ、そういうことなら適度な難易度の依頼でいいか。それを選ぼうとして乱入者がやってくる
「どけどけどけ。冒険者ギルドの建物はここだな」
やたらピカピカ輝きを放つ装備をしている連中が現れた。種族は雑多であった。まあ、お上りさんなのだろう。キラキラ輝く装備が自慢なだけだと僕は思った。
「支部長に会いたい。大至急だ」
「申し訳ありませんがどちら様なのでしょうか」
「巷で勇名をはせる我らを知らんとは辺境とは貧しいものなのだな」
そいつらは『銀の精鋭』そう名乗った。なるほど、銀製の装備を身に着けているからあんなにピカピカなのか。それがどうした?ただそれだけだ。それ以外の意味が見つからない。
そいつらはすぐさま支部長に会わせろの一点張りだ。受付嬢は冒険者プレートのランクを確認すると赤彩石級だった。中には鉄色級や翠光玉級まで混じっていた。まーたこのパターンか。コネや縁故採用で無理矢理等級を上げてきたタイプね。冒険者ギルドでそれが使えない制度を実施してるがまだすべての場所でそれに変わってはいない。
特に貴族出身とかになるとハク付けとかないと結婚相手に困ってしまう。なので中央ほどこの制度の導入を渋っているみたいだ。貴族の子弟がすべて仕事に付けるわけではないから。だから冒険者になる道を選ばざるを得ない。
まだ制度の導入が遅れている場所で冒険者となりコネと縁故採用でハク付けし地方や辺境で活躍しようという算段だろう。少しはマシだと思うがモンスターが都合よく倒れてくれるわけじゃない。結局自分ら次第だ。
受付嬢は諦めた顔で支部長の部屋まで案内することにした。僕は他の受付嬢に話しかける。
「まだあんなのが生き残ってるんだね」
「ええ、国王の後ろ盾を得ておりますが貴族家からの反発は根強いんですよ。特に歴史がある家からは目の敵にされてます。先祖の功績に胡坐をかけなくなるからです。そのあたりの問題はまだまだ続くでしょう」
頭が痛い問題だと。
「家族に甘え努力しない、危険な思いをしない、鍛錬を積まず経験がない、生き残るためには泥くさい行為すらしない、最後仲間を見捨ててでも生き残る。生き残ったらそれはそれで悪い方向に進む。最悪ですよ」
「中央では居場所がないから地方辺境に出て立身出世しようって魂胆みたいだけど」
「本当の馬鹿ですよ。規律秩序は中央のほうが整っているのは明白なのに良くない夢を見てるんですよ」
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