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冒険者ギルドを始め大騒ぎとなる
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村々を襲っていたオークの巣穴の発見と討伐。しっかりとした実力者でしか受けられない仕事を受けた僕らパーティは存在してはいけない存在と遭遇した。
ヘッドハンター。遥か古の時代魔王や魔人らが金属を用い制作し敵の首を刈るために作り出した殺戮人形。今の時代ではほとんど目撃されてない個体。それが出現した。
僕らは急ぎ足でコテージまで戻ると撤収準備をして《ポークサイド》まで戻り冒険者ギルド領主教会の3者の立ち合いの元、今回の出来事を最初から最後まで嘘偽りなく説明した。
僕ら4人の冒険者プレートから戦闘記録を引き出した後、それが事実だと分かると全員の顔が無表情となる。
『もう混沌はそこまで世界を脅かしておるのか』
全員が顔を伏せる。
「オークどもが数を増しておるという事実は掴んでいたが」「まさか奴らがこのような儀式を行えるなど」「それで呼び出されるヘッドハンター。何とも恐ろしいものです」
オーク討伐の朗報での喜びは霧散し対処困難な現実が突き付けられる。冒険者プレートから引き出した情報が本当だとしたらとんでもない大惨事が引き起こされるだろう。それに大至急対応しなくてはならない。
「各地に伝令を走らせ中央にも警戒を促す必要があるだろうな」
「冒険者ギルドとしてもオーク共がこのような儀式でヘッドハンターを呼び出せたという事実は大変危険です」
「教会も今後同じ場面に遭遇しないようにより鍛錬を積む必要があるでしょう」
幸いにして3者は一致団結してこの脅威をどうにかしようとしていたのは良い動きだ。下手に名誉欲で倒そうとして大量の人間を無駄死にさせるよりかはマシだ。
それと同時に僕らの冒険者プレートは黒みを帯びた鉄色のプレートに変化した。これまでの功績を考えて当然の処置だと。
オーク討伐もそうだがヘッドハンターを4人で倒せたことも大きな理由になる。通常であればヘッドハンターは騎士魔術師神官らが50人集まっていても倒すのが困難であるそうだ。鎧や盾を容易く切り裂き恐ろしい行動速度とまともに攻撃を受け付けない高純度な金属の体に底知れぬ生命力。
それをよく4人だけで倒せたものだと。
「本当に、本当によく生きて帰ってきてくれた」
僕のコテージでラグリンネとエトナのお師匠の神官はひたすら涙を流した。ヘッドハンターの脅威を文献で読んだことがあるのだろう。遭遇はしてないそうだがその恐ろしさは先輩らから教えられていた。弟子がそれに出会い戦い生き延び勝った。これほど誇らしいことはない。
このままでは話が先に進まないのでいったん区切る。
「町の様子はどうでしょうか」
「北部との交易ルートが再開して商人らがぼちぼち集まり始めてるよ。冒険者らもね。ただ北の方も激戦のようであまり実績のある冒険者は来てないよ」
「そうですか」
「あと、これ幸いにと北部の有力者たちの使者らも来ていたよ」
今後北とは連携してモンスターらに対処する方向なので有力者らに繋ぎを入れておくのは悪い判断ではないな。
当面はこの方針でよいだろう。
暗い話はこれぐらいにして食事にしようか。
焼きたてでふんわりとしたパンにバターに肉と芋のシチューに加えて干し果実各種と果実水を出す。お師匠様も同席した。
「遠慮なさらずにどうぞ」
「いやはやここまで豪勢な食事は初めてで」
「『天の恵みに感謝を』」
全員ガツガツ食いまくる。ま、幸いにして金はまだ大量にあるのでこれぐらいはまだ問題はない。とはいえ闇商人にモンスターの素材を売却できる機会が減ったのはどうにかしないとならないしヘッドハンターの遺骸も魔法の炉で溶かさないと装備が作れない。
彼女たちに闇商人の取引を黙認してもらうか?どうしたらよいものか。そんなことを悩んでいると食事が終わることになるが。
「ライザ様、大変です」
教会にいる若い女性の神官が大慌てで僕のコテージまで息を切らせてやってきた。
「どうかしましたか」
「あの悪徳神官が北部から来た連中と共に教会で騒いでいるのです」
「ええっ!」
あの悪徳神官はその罪状から最下位まで落とされ今は汚れ仕事に従事しているはずだ。
「どういうことなのですか」
「大雑把に説明するなら『北部の冒険者らと渡りをつけてきた。教会を寄越せ』などと騒ぎ立ててます」
前回オーク討伐派遣で神官が少なくなり監視が甘くなったところを脱出し密かに貯めていた悪い金で北部の人間と繋がりを持ち何かお題目を掲げてきたのだろう。ヤレヤレ、悪人は諦めが悪いね。甘い蜜を吸い続けるためなら人を誹謗中傷して当然ということなのだろう。
面倒そうな案件だがライザの今後に関わるので一緒に行くことにした。
「我はライザとかいう小娘に教会を引き継がせることはできないと宣言する。未熟で経験を知らず教養もなく信心も足りない小娘よりも正当な血筋を引き継いだ私が教会を預かるべきだ」
『そうだそうだ。神官様が正しい』
俺らは皆北部で活躍している冒険者らだ。俺たちが神官様の味方をするぞと。血気盛んだな。おそらくオーク討伐に参加し手柄を上げて自分たちの主張を押し通すつもりなのだろう。
冒険者風の連中も商人らしき連中も混じり猛抗議している。仕方ない、残酷な現実を見てもらうか。3人に目配せして冒険者プレートを彼らに見せる。
『こ、黒鉄級の冒険者プレート、だと。それも3人も。神官なのに…』
それを見てたじろぐ全員。
等級の区分の明確さはその人間の経験値であり上に行くほど高くなる。多分奴らは色彩石止まりなのだろう。鉄級はそれよりも上であり黒みを帯びた鉄色のプレートを持つ彼女たちのほうが待遇は高いし依頼の優先度も上だ。
本来であれば信仰職は冒険者ランクが上がりづらい、なのにその若さで黒鉄色のプレートを持っている。それがどれほどの意味を持つのか悪徳神官を除いてすぐさま理解できた。
そこに、追い打ちが加えられる。それを語るのは女神官だった。
「彼女らは3人合計で200体に近いオークををとしておりますし前回の冒険ではヘッドハンターすらも討伐しております。なんなら、冒険者ギルドに問い合わせても良いですよ」
『へ、ヘッドハンターを倒しただと!そ、そんなのは偶然とまぐれだろうが!そんなことはあり得ない』
彼らは「こんな小娘が」そう考えるが冒険者プレートの色を何者も誤魔化すことが出来ないことを改めて確認させられる。
「あなた方は偶然やまぐれでヘッドハンターを倒せると考えられるのですか。そのおめでたい頭ではすぐに死んでしまいますよ。これは紛れもない現実、愚かな夢はさっさと忘れることです」
容赦のない女神官の言葉に全員に恐怖が走る。
『もしこの女神官らが本当にヘッドハンターを倒したとしたら純粋に戦闘力で負けてるんじゃないか』
いやいやいや、戦士や魔術師が直接対決で神官に負けるはずがないだろう。だけども、その前に女神官は言った、200体近くのオークを3人で倒したと。俺らだってそこそこやってきてはいる、だけどもオークとなると厳しい。集団を組まれれば敗走だって普通だ。それを200体とか数字が違いすぎる。
そもそもにして精鋭を集めてでさえ討伐が困難なヘッドハンターを4人で倒した。その事実が覆らないというのであれば自分たちは即座に叩きのめされるだろう。
声高に騒いでいた連中が徐々に悪徳神官から距離を取る。早く沈む船から逃げ出したいようだ。
「どうしましたか。神の元に武勲詩を語りに来たのではないのですか」
『あ、あははっ。いやぁ、お騒がせして申し分けありませんでした』
そうして、すぐさま悪徳神官のほうを振向く全員。
「てめぇ、よくも俺らを騙したな」「ここに付いてくるだけで金払うといったよな」「お前のせいで教会に逆らう寸前だったんだぞ」
機を見るに敏な冒険者たちは雇い主である悪徳神官を見限った。それもそうだ、教会の奇跡を嘆願できなくなれば命がいくらあっても足りないのだから。
「貴様ら、高貴な私をなんだと思っておる。私には北部を始め有力な人物とのつながりが」
「ほう、その有力な繋がりにこの3人の女神官様は含まれてないようだがそれはどう説明するんだ」
冒険者らは証拠が足りないから出せ、出さなきゃこれまでだと。脅しをかける。
「お前は声高に言ったな。相手は世の中の道理を知らない小娘だから容易いと。実際に会ってみたら一番の実力者じゃないか。俺らを病院送りにでもする気か」
「ふ、ふん。それなら今目の前で私に対して忠誠を捧げるよう命じてやる」
悪徳神官が持ち出したのはユクールが詰まっているであろう革袋を目の前に出す。ああ、買収か。敵前で買収する根性は評価するがもう教会は僕が出した金で自力再建可能なほどに潤っている。それにすら気づかない悪徳神官。ライザはもう我慢の限界だった。
「お前の汚れた金など絶対に受け取らない。皆、さっさとこいつに仕事をさせなさい」
教会の建物の中から神官らが飛び出してきて悪徳神官を拘束する。
「小娘ごときに懐柔されただけではなく中央を軽んずるその行為、天罰が下るぞ」
いまだに騒ぎ立てるが誰も聞いてない。
「これは手間賃ですが」
僕はここに来た全員に少しばかり金を握らせる。ちょっとした豪勢な食事代程度だがそれでもそこそこ食い扶持にはなるだろう。これで奴が連れてきた冒険者全員がこちらに寝返った。
「貴様ら、私を見捨てるのか」
「は、俺らはただ教会へ今後活動するための祈願を願いに来ただけだ。お前の理由なんて知らない」
「そうそう。冒険者として勝利の信仰は基本だしな」
「あと、俺らに約束した依頼料払えよ。そうしないと押しかけるぞ」
悪徳神官はこれで莫大な借金を自分自身で生み出してしまった。その返済が終わるにはどれほどの時間がかかるだろうか。心を入れ替え真面目にやれば支払い終えるかもしれないが相手は破落戸まがいの冒険者らだ。悠長に待つことなど知らないので返済は過酷なものになるだろう。
こうなってくると生活が成り立たなくなるので彼の実家や中央に連絡を取り「手に負えません」それで奴は神官が派遣される場所で最悪な鉱山送りとなる。そこで延々と労働者を相手に仕事を行う。手を抜いたりサボれば容赦なく鞭が飛んでくる。彼の人生はそこで終わるのだろう。
ヘッドハンター。遥か古の時代魔王や魔人らが金属を用い制作し敵の首を刈るために作り出した殺戮人形。今の時代ではほとんど目撃されてない個体。それが出現した。
僕らは急ぎ足でコテージまで戻ると撤収準備をして《ポークサイド》まで戻り冒険者ギルド領主教会の3者の立ち合いの元、今回の出来事を最初から最後まで嘘偽りなく説明した。
僕ら4人の冒険者プレートから戦闘記録を引き出した後、それが事実だと分かると全員の顔が無表情となる。
『もう混沌はそこまで世界を脅かしておるのか』
全員が顔を伏せる。
「オークどもが数を増しておるという事実は掴んでいたが」「まさか奴らがこのような儀式を行えるなど」「それで呼び出されるヘッドハンター。何とも恐ろしいものです」
オーク討伐の朗報での喜びは霧散し対処困難な現実が突き付けられる。冒険者プレートから引き出した情報が本当だとしたらとんでもない大惨事が引き起こされるだろう。それに大至急対応しなくてはならない。
「各地に伝令を走らせ中央にも警戒を促す必要があるだろうな」
「冒険者ギルドとしてもオーク共がこのような儀式でヘッドハンターを呼び出せたという事実は大変危険です」
「教会も今後同じ場面に遭遇しないようにより鍛錬を積む必要があるでしょう」
幸いにして3者は一致団結してこの脅威をどうにかしようとしていたのは良い動きだ。下手に名誉欲で倒そうとして大量の人間を無駄死にさせるよりかはマシだ。
それと同時に僕らの冒険者プレートは黒みを帯びた鉄色のプレートに変化した。これまでの功績を考えて当然の処置だと。
オーク討伐もそうだがヘッドハンターを4人で倒せたことも大きな理由になる。通常であればヘッドハンターは騎士魔術師神官らが50人集まっていても倒すのが困難であるそうだ。鎧や盾を容易く切り裂き恐ろしい行動速度とまともに攻撃を受け付けない高純度な金属の体に底知れぬ生命力。
それをよく4人だけで倒せたものだと。
「本当に、本当によく生きて帰ってきてくれた」
僕のコテージでラグリンネとエトナのお師匠の神官はひたすら涙を流した。ヘッドハンターの脅威を文献で読んだことがあるのだろう。遭遇はしてないそうだがその恐ろしさは先輩らから教えられていた。弟子がそれに出会い戦い生き延び勝った。これほど誇らしいことはない。
このままでは話が先に進まないのでいったん区切る。
「町の様子はどうでしょうか」
「北部との交易ルートが再開して商人らがぼちぼち集まり始めてるよ。冒険者らもね。ただ北の方も激戦のようであまり実績のある冒険者は来てないよ」
「そうですか」
「あと、これ幸いにと北部の有力者たちの使者らも来ていたよ」
今後北とは連携してモンスターらに対処する方向なので有力者らに繋ぎを入れておくのは悪い判断ではないな。
当面はこの方針でよいだろう。
暗い話はこれぐらいにして食事にしようか。
焼きたてでふんわりとしたパンにバターに肉と芋のシチューに加えて干し果実各種と果実水を出す。お師匠様も同席した。
「遠慮なさらずにどうぞ」
「いやはやここまで豪勢な食事は初めてで」
「『天の恵みに感謝を』」
全員ガツガツ食いまくる。ま、幸いにして金はまだ大量にあるのでこれぐらいはまだ問題はない。とはいえ闇商人にモンスターの素材を売却できる機会が減ったのはどうにかしないとならないしヘッドハンターの遺骸も魔法の炉で溶かさないと装備が作れない。
彼女たちに闇商人の取引を黙認してもらうか?どうしたらよいものか。そんなことを悩んでいると食事が終わることになるが。
「ライザ様、大変です」
教会にいる若い女性の神官が大慌てで僕のコテージまで息を切らせてやってきた。
「どうかしましたか」
「あの悪徳神官が北部から来た連中と共に教会で騒いでいるのです」
「ええっ!」
あの悪徳神官はその罪状から最下位まで落とされ今は汚れ仕事に従事しているはずだ。
「どういうことなのですか」
「大雑把に説明するなら『北部の冒険者らと渡りをつけてきた。教会を寄越せ』などと騒ぎ立ててます」
前回オーク討伐派遣で神官が少なくなり監視が甘くなったところを脱出し密かに貯めていた悪い金で北部の人間と繋がりを持ち何かお題目を掲げてきたのだろう。ヤレヤレ、悪人は諦めが悪いね。甘い蜜を吸い続けるためなら人を誹謗中傷して当然ということなのだろう。
面倒そうな案件だがライザの今後に関わるので一緒に行くことにした。
「我はライザとかいう小娘に教会を引き継がせることはできないと宣言する。未熟で経験を知らず教養もなく信心も足りない小娘よりも正当な血筋を引き継いだ私が教会を預かるべきだ」
『そうだそうだ。神官様が正しい』
俺らは皆北部で活躍している冒険者らだ。俺たちが神官様の味方をするぞと。血気盛んだな。おそらくオーク討伐に参加し手柄を上げて自分たちの主張を押し通すつもりなのだろう。
冒険者風の連中も商人らしき連中も混じり猛抗議している。仕方ない、残酷な現実を見てもらうか。3人に目配せして冒険者プレートを彼らに見せる。
『こ、黒鉄級の冒険者プレート、だと。それも3人も。神官なのに…』
それを見てたじろぐ全員。
等級の区分の明確さはその人間の経験値であり上に行くほど高くなる。多分奴らは色彩石止まりなのだろう。鉄級はそれよりも上であり黒みを帯びた鉄色のプレートを持つ彼女たちのほうが待遇は高いし依頼の優先度も上だ。
本来であれば信仰職は冒険者ランクが上がりづらい、なのにその若さで黒鉄色のプレートを持っている。それがどれほどの意味を持つのか悪徳神官を除いてすぐさま理解できた。
そこに、追い打ちが加えられる。それを語るのは女神官だった。
「彼女らは3人合計で200体に近いオークををとしておりますし前回の冒険ではヘッドハンターすらも討伐しております。なんなら、冒険者ギルドに問い合わせても良いですよ」
『へ、ヘッドハンターを倒しただと!そ、そんなのは偶然とまぐれだろうが!そんなことはあり得ない』
彼らは「こんな小娘が」そう考えるが冒険者プレートの色を何者も誤魔化すことが出来ないことを改めて確認させられる。
「あなた方は偶然やまぐれでヘッドハンターを倒せると考えられるのですか。そのおめでたい頭ではすぐに死んでしまいますよ。これは紛れもない現実、愚かな夢はさっさと忘れることです」
容赦のない女神官の言葉に全員に恐怖が走る。
『もしこの女神官らが本当にヘッドハンターを倒したとしたら純粋に戦闘力で負けてるんじゃないか』
いやいやいや、戦士や魔術師が直接対決で神官に負けるはずがないだろう。だけども、その前に女神官は言った、200体近くのオークを3人で倒したと。俺らだってそこそこやってきてはいる、だけどもオークとなると厳しい。集団を組まれれば敗走だって普通だ。それを200体とか数字が違いすぎる。
そもそもにして精鋭を集めてでさえ討伐が困難なヘッドハンターを4人で倒した。その事実が覆らないというのであれば自分たちは即座に叩きのめされるだろう。
声高に騒いでいた連中が徐々に悪徳神官から距離を取る。早く沈む船から逃げ出したいようだ。
「どうしましたか。神の元に武勲詩を語りに来たのではないのですか」
『あ、あははっ。いやぁ、お騒がせして申し分けありませんでした』
そうして、すぐさま悪徳神官のほうを振向く全員。
「てめぇ、よくも俺らを騙したな」「ここに付いてくるだけで金払うといったよな」「お前のせいで教会に逆らう寸前だったんだぞ」
機を見るに敏な冒険者たちは雇い主である悪徳神官を見限った。それもそうだ、教会の奇跡を嘆願できなくなれば命がいくらあっても足りないのだから。
「貴様ら、高貴な私をなんだと思っておる。私には北部を始め有力な人物とのつながりが」
「ほう、その有力な繋がりにこの3人の女神官様は含まれてないようだがそれはどう説明するんだ」
冒険者らは証拠が足りないから出せ、出さなきゃこれまでだと。脅しをかける。
「お前は声高に言ったな。相手は世の中の道理を知らない小娘だから容易いと。実際に会ってみたら一番の実力者じゃないか。俺らを病院送りにでもする気か」
「ふ、ふん。それなら今目の前で私に対して忠誠を捧げるよう命じてやる」
悪徳神官が持ち出したのはユクールが詰まっているであろう革袋を目の前に出す。ああ、買収か。敵前で買収する根性は評価するがもう教会は僕が出した金で自力再建可能なほどに潤っている。それにすら気づかない悪徳神官。ライザはもう我慢の限界だった。
「お前の汚れた金など絶対に受け取らない。皆、さっさとこいつに仕事をさせなさい」
教会の建物の中から神官らが飛び出してきて悪徳神官を拘束する。
「小娘ごときに懐柔されただけではなく中央を軽んずるその行為、天罰が下るぞ」
いまだに騒ぎ立てるが誰も聞いてない。
「これは手間賃ですが」
僕はここに来た全員に少しばかり金を握らせる。ちょっとした豪勢な食事代程度だがそれでもそこそこ食い扶持にはなるだろう。これで奴が連れてきた冒険者全員がこちらに寝返った。
「貴様ら、私を見捨てるのか」
「は、俺らはただ教会へ今後活動するための祈願を願いに来ただけだ。お前の理由なんて知らない」
「そうそう。冒険者として勝利の信仰は基本だしな」
「あと、俺らに約束した依頼料払えよ。そうしないと押しかけるぞ」
悪徳神官はこれで莫大な借金を自分自身で生み出してしまった。その返済が終わるにはどれほどの時間がかかるだろうか。心を入れ替え真面目にやれば支払い終えるかもしれないが相手は破落戸まがいの冒険者らだ。悠長に待つことなど知らないので返済は過酷なものになるだろう。
こうなってくると生活が成り立たなくなるので彼の実家や中央に連絡を取り「手に負えません」それで奴は神官が派遣される場所で最悪な鉱山送りとなる。そこで延々と労働者を相手に仕事を行う。手を抜いたりサボれば容赦なく鞭が飛んでくる。彼の人生はそこで終わるのだろう。
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