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クラスチェンジしようとするが
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朝日が昇る。武器の手入れを終わらせた僕は彼女たちよりも後にベッドルームで寝たのだ。
「おはよう」
「おはようございます」「おはようです」「うにゃ、おはよ」
スッキリとした3人の顔を見て「悪夢を何とか振り切った」そう感じた。そうでなければどんよりとした目覚めだっただろう。
早速朝食を用意する。用意したのは大麦粥と調味液とチーズと干し果実だ、果実水も付ける。
「『天の恵みに感謝を』」
何気ない一つの日常、それは昨夜とは違う様相を見せる。昨夜まではまだ仲間にはどこか距離感があった、しかし今はそれはない。同じ死線を潜り抜けた者だけが持つ連帯感。パーティに必須の仲間意識が芽生えていた。
朝食を食べつつ今後のことを話し合う。
「まずはお師匠様や孤児院に目的が達成されたことを報告してから聖堂でクラスチェンジを行うことが最優先だね」
全員が頷く。正式な手順でクラスチェンジするには正教会が抑えている聖堂が必要不可欠だからだ。
「ライザは光神官と聖神官のどちらかだね」
「そうですね。どっちを選ぶかはまだわかりませんが」
両者には両者特有の特徴がある。光神官は光系魔術が使用可能になり回復の奇跡も授かれる、聖神官は浄化系魔術が使用可能になるのでアンデット系に大きなダメージが見込めるようになるし付与魔術も行使できる。この辺りはそれぞれの需要と相談だろう。
ライザとは目的が達成されればそこで離脱するから問題はラグリンネとエトナの方か。
「私はライザと同じく光系神官を目指そうと思います」「あたしは闇系神官だよ。そっちのほうが性に合ってるし」
同じ神官系クラスだが光と闇では明確に覚えるスキルが異なる。同じパーティに役割が被るというより好みの問題なのだろう。別に依存はないので好きに選ばせればいいか。
食事が終わりライザは孤児院へ報告に行くため残り二人を連れてお師匠様の神官の元へと向かう。
おっ、結構人が多く集まってるね。どうやら連日地道に説教を行ったのが実を結んだのか納得顔の人々がチラホラといる。お賽銭も気持ち明確に多くなっていた。それらが終わり人々が帰ると僕らは近づく。
「お帰り。無事に帰ってこれてことだけでも喜ばしいよ」
『えへへへー』
二人は満面の笑みだ。その様子を見て目的が達成されたことを確信するお師匠様の神官。そして密かに僕に対してお礼を言う
(貴方様の寄進のおかげでだいぶん資金繰りが楽になりました。もう少し頑張ったら新たに弟子を貰い教会建設のために尽力するつもりです)
何なりと命じてください。じゃ、早速本題に移ろうとするか。
「三人のクラスチェンジのために聖堂の使用許可を取りたいのですが」
問題はここからだ。この地方で尊い心臓の布教活動を教会らはどう見ているか。クラスチェンジ自体は歓迎されるべきことなのでさして問題もないはずだが神官様は渋い顔をした。
「正直に申し上げますが」
許可が下りるかどうかは半々という。
「ライザさんは対抗してくる司祭がいるためそちらのほうを優先させる可能性があります。彼女をクラスチェンジさせれば司祭に引き継がせる理由が消失してしまいます。元々中央から来た司祭は集金活動には熱心でも慈善事業に消極的なのです」
金と時間と手間かかる孤児院の経営などさっさと取り潰してその分を寄進お布施に回せと。いかにも中央らしい考えだ、それ以外にも理由があるらしい。
「噂ですが、中央の神官の予想図を見る限りかなりの労役を課すようで」
あんな粗末な教会兼孤児院よりももっと壮大で荘厳な教会を建ててしまおうと画策しているらしい。正直今のままで問題ないようなのだが教会の威信とやらを示すためだろう。そのために民衆に労役を課す。いかにも頭が固い中央らしい考えだ。どれほどの予算が下りているのかは不明だが民衆からの反応は冷ややかである。
もうちょっと深く踏み込んだ話をしたいからコテージに来てもらうことにした。
「おおっ。施設が充実していてよいですな。これぐらいのモノがあれば布教活動もやりやすいものです」
ラグリンネとエトナにホットワインとお茶菓子を用意してもらう。甘い食べ物が懐かしいのかしみじみと味わう神官様。そこにライザも戻ってきていた。5人で今後のことを話し合う。
「孤児院を預かっている女性はとても喜んでました、でも…。聖堂の使用許可のほうは、その…」
表情から察するに許可が下りなかったのだろう。それについてはこちらも理解していた。
「どうしましょうか」
ここにきて難題発生だ。仕方がない、会いたくないが中央から来た司祭が聖堂の使用許可を制限しているみたいので直接乗り込んでみるか。
「聖堂を使わせろ?下民風情が何を偉そうにしているのだ。聖堂を使えるのは高貴な者と信心深い者だけだ」
こちらを完全に見下す信仰職にあるまじき発言に全員の頭に血が上る。あまりよろしくないと聞いてはいたがここまでとは。多分司祭という地位を悪い手を使って入手したのだろうな。そうでなければここまでにはならない。汚職者はどこにでもいるものだ。
「寄進お布施は弾みますよ」
「! あなたが身銭を切る必要はありません。まずここは私達にお任せを」
他の全員が「こんなのに金を払う必要はない」「まずは私たちが先に交渉する」と、僕からすればあまり意味がないように感じるがとりあえず仲間を信じることにしたし同行した神官様も「この汚職神官が」そういう顔だった。
「そうだな…、聖堂を使わせてほしくば60万ユクール積んでもらいましょうか」
『なっ!?』
汚職神官はクソのような金額を提示した。
一組の平民の家族は3千ユクールの収入で一年を暮らしていける計算だ、その200倍なんてどう考えても不条理極まりない。つまり、お前たちには聖堂は使わせないという脅迫だ。
「ふざけるのも大概にしなさい!」「貴様のような連中が教会にいるなんて!」「絶対に踏み潰す!」
ライザラグリンネエトナ、皆激昂していた、そして、この汚職神官に屈するかと決意を露にする。神官様も怒りの表情を隠さない。
僕は「出せない」とは言わなかった。出そうと思えば出せる自信はあったがそれでこいつを増長させる理由はなかったからだ。
その司祭は高笑いを浮かべる。
「金なき者に我らが奇跡はもったいないわ。愚民はさっさと出ていけ」
そうして追い出された後。
「あのクズ神官め!足元を見た上に法外な要求、クラスチェンジできれば奴らは軒並み追い出します」「そうですね。取り付く島がない、金だけが正義という考えには賛同できません」「信心深い者が優先ていうけど金次第なんだろうね」
怒り心頭で食べ物をがっつく彼女ら、忌々しい現実に荒ぶる気持ちが抑えられないようだ。
「まあ、落ち着いてよ」
僕が言うことに間違いはない、そう確信している全員が一旦大人しくなる。今後の備えての準備も進めていたのだ。そういえば民衆がある噂をしていたことを思い出す。
「確か、ここの領主の跡取りがキマイラの毒針で当たり意識不明の重体だそうだね」
「それがどうかしましたか」
3人には分からないようだが神官様には分かったようだ。
「神官様は跡取りにを助けられる治療薬の心当たりがある、そう言って領主に近づいてほしい」
「畏まりました」
いくら教会といえどもそこに教会を建てられるかは領主のさじ加減一つだ。教会が味方にならないなら領主を味方につける作戦に出た。
早速解毒の水薬を作成する。キマイラクラスの毒だと等級3以上が必要だろう。すり潰し薬液を混ぜて純化し複数の水薬の効果を重複させる。
「よし」
出来たのはランク一の万能薬。ほぼ完全回復薬と同じ効果だ。これがあればどんな病も直せるだろう。
神官様からすぐにでも来るように言われたので領主の館まで向かう。
「君は何者なのか」
「ただの薬剤師です」
無用に情報を明かすべきではないな。
キマイラの毒を治せる治療薬を用意した、それだけでもこの家族にとっては希望だろう。早速本人のところまで案内してもらう。
その子供はキマイラの毒が進行しており何とか耐えている状況だった。すぐさま体を抱きかかえ万能薬をゆっくりと口に含ませてから数分でバッドステータスが全部消え去り健康な少年の姿になる。
「お、父、さま。ぼくは、助かったのですか」
「ああ、助かった。そうだとも」「ええ、これで死神からは逃げ出すことができました」
喜びを浮かべる家族。
「君にはなんとお礼をいったら分からない。出来る限りのことを約束しよう」
「それでしたら」
一つ願いがある。クラスチェンジのための聖堂の使用許可を求む。アイテムはすべてこちらでそろえているので時間は取らせない。ただし、中央から派遣されている司祭をその場から排除してほしい。それだけが望みだ
「わかった。すぐにでも行動に移そう。正直あの中央の司祭は我らにも多額の寄進お布施を要求した上無用で大規模な教会の建設を推し進めようと評判も悪いからな」
寄進お布施を払え、そうしなければ跡取りを助けないぞと。正直彼らの奇跡程度では助かる見込みはなかったはずだ。領主の方も困っていたそうだ。
これで裏側の交渉は終わった。後はどうなるか楽しみだ。
「おはよう」
「おはようございます」「おはようです」「うにゃ、おはよ」
スッキリとした3人の顔を見て「悪夢を何とか振り切った」そう感じた。そうでなければどんよりとした目覚めだっただろう。
早速朝食を用意する。用意したのは大麦粥と調味液とチーズと干し果実だ、果実水も付ける。
「『天の恵みに感謝を』」
何気ない一つの日常、それは昨夜とは違う様相を見せる。昨夜まではまだ仲間にはどこか距離感があった、しかし今はそれはない。同じ死線を潜り抜けた者だけが持つ連帯感。パーティに必須の仲間意識が芽生えていた。
朝食を食べつつ今後のことを話し合う。
「まずはお師匠様や孤児院に目的が達成されたことを報告してから聖堂でクラスチェンジを行うことが最優先だね」
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ライザとは目的が達成されればそこで離脱するから問題はラグリンネとエトナの方か。
「私はライザと同じく光系神官を目指そうと思います」「あたしは闇系神官だよ。そっちのほうが性に合ってるし」
同じ神官系クラスだが光と闇では明確に覚えるスキルが異なる。同じパーティに役割が被るというより好みの問題なのだろう。別に依存はないので好きに選ばせればいいか。
食事が終わりライザは孤児院へ報告に行くため残り二人を連れてお師匠様の神官の元へと向かう。
おっ、結構人が多く集まってるね。どうやら連日地道に説教を行ったのが実を結んだのか納得顔の人々がチラホラといる。お賽銭も気持ち明確に多くなっていた。それらが終わり人々が帰ると僕らは近づく。
「お帰り。無事に帰ってこれてことだけでも喜ばしいよ」
『えへへへー』
二人は満面の笑みだ。その様子を見て目的が達成されたことを確信するお師匠様の神官。そして密かに僕に対してお礼を言う
(貴方様の寄進のおかげでだいぶん資金繰りが楽になりました。もう少し頑張ったら新たに弟子を貰い教会建設のために尽力するつもりです)
何なりと命じてください。じゃ、早速本題に移ろうとするか。
「三人のクラスチェンジのために聖堂の使用許可を取りたいのですが」
問題はここからだ。この地方で尊い心臓の布教活動を教会らはどう見ているか。クラスチェンジ自体は歓迎されるべきことなのでさして問題もないはずだが神官様は渋い顔をした。
「正直に申し上げますが」
許可が下りるかどうかは半々という。
「ライザさんは対抗してくる司祭がいるためそちらのほうを優先させる可能性があります。彼女をクラスチェンジさせれば司祭に引き継がせる理由が消失してしまいます。元々中央から来た司祭は集金活動には熱心でも慈善事業に消極的なのです」
金と時間と手間かかる孤児院の経営などさっさと取り潰してその分を寄進お布施に回せと。いかにも中央らしい考えだ、それ以外にも理由があるらしい。
「噂ですが、中央の神官の予想図を見る限りかなりの労役を課すようで」
あんな粗末な教会兼孤児院よりももっと壮大で荘厳な教会を建ててしまおうと画策しているらしい。正直今のままで問題ないようなのだが教会の威信とやらを示すためだろう。そのために民衆に労役を課す。いかにも頭が固い中央らしい考えだ。どれほどの予算が下りているのかは不明だが民衆からの反応は冷ややかである。
もうちょっと深く踏み込んだ話をしたいからコテージに来てもらうことにした。
「おおっ。施設が充実していてよいですな。これぐらいのモノがあれば布教活動もやりやすいものです」
ラグリンネとエトナにホットワインとお茶菓子を用意してもらう。甘い食べ物が懐かしいのかしみじみと味わう神官様。そこにライザも戻ってきていた。5人で今後のことを話し合う。
「孤児院を預かっている女性はとても喜んでました、でも…。聖堂の使用許可のほうは、その…」
表情から察するに許可が下りなかったのだろう。それについてはこちらも理解していた。
「どうしましょうか」
ここにきて難題発生だ。仕方がない、会いたくないが中央から来た司祭が聖堂の使用許可を制限しているみたいので直接乗り込んでみるか。
「聖堂を使わせろ?下民風情が何を偉そうにしているのだ。聖堂を使えるのは高貴な者と信心深い者だけだ」
こちらを完全に見下す信仰職にあるまじき発言に全員の頭に血が上る。あまりよろしくないと聞いてはいたがここまでとは。多分司祭という地位を悪い手を使って入手したのだろうな。そうでなければここまでにはならない。汚職者はどこにでもいるものだ。
「寄進お布施は弾みますよ」
「! あなたが身銭を切る必要はありません。まずここは私達にお任せを」
他の全員が「こんなのに金を払う必要はない」「まずは私たちが先に交渉する」と、僕からすればあまり意味がないように感じるがとりあえず仲間を信じることにしたし同行した神官様も「この汚職神官が」そういう顔だった。
「そうだな…、聖堂を使わせてほしくば60万ユクール積んでもらいましょうか」
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汚職神官はクソのような金額を提示した。
一組の平民の家族は3千ユクールの収入で一年を暮らしていける計算だ、その200倍なんてどう考えても不条理極まりない。つまり、お前たちには聖堂は使わせないという脅迫だ。
「ふざけるのも大概にしなさい!」「貴様のような連中が教会にいるなんて!」「絶対に踏み潰す!」
ライザラグリンネエトナ、皆激昂していた、そして、この汚職神官に屈するかと決意を露にする。神官様も怒りの表情を隠さない。
僕は「出せない」とは言わなかった。出そうと思えば出せる自信はあったがそれでこいつを増長させる理由はなかったからだ。
その司祭は高笑いを浮かべる。
「金なき者に我らが奇跡はもったいないわ。愚民はさっさと出ていけ」
そうして追い出された後。
「あのクズ神官め!足元を見た上に法外な要求、クラスチェンジできれば奴らは軒並み追い出します」「そうですね。取り付く島がない、金だけが正義という考えには賛同できません」「信心深い者が優先ていうけど金次第なんだろうね」
怒り心頭で食べ物をがっつく彼女ら、忌々しい現実に荒ぶる気持ちが抑えられないようだ。
「まあ、落ち着いてよ」
僕が言うことに間違いはない、そう確信している全員が一旦大人しくなる。今後の備えての準備も進めていたのだ。そういえば民衆がある噂をしていたことを思い出す。
「確か、ここの領主の跡取りがキマイラの毒針で当たり意識不明の重体だそうだね」
「それがどうかしましたか」
3人には分からないようだが神官様には分かったようだ。
「神官様は跡取りにを助けられる治療薬の心当たりがある、そう言って領主に近づいてほしい」
「畏まりました」
いくら教会といえどもそこに教会を建てられるかは領主のさじ加減一つだ。教会が味方にならないなら領主を味方につける作戦に出た。
早速解毒の水薬を作成する。キマイラクラスの毒だと等級3以上が必要だろう。すり潰し薬液を混ぜて純化し複数の水薬の効果を重複させる。
「よし」
出来たのはランク一の万能薬。ほぼ完全回復薬と同じ効果だ。これがあればどんな病も直せるだろう。
神官様からすぐにでも来るように言われたので領主の館まで向かう。
「君は何者なのか」
「ただの薬剤師です」
無用に情報を明かすべきではないな。
キマイラの毒を治せる治療薬を用意した、それだけでもこの家族にとっては希望だろう。早速本人のところまで案内してもらう。
その子供はキマイラの毒が進行しており何とか耐えている状況だった。すぐさま体を抱きかかえ万能薬をゆっくりと口に含ませてから数分でバッドステータスが全部消え去り健康な少年の姿になる。
「お、父、さま。ぼくは、助かったのですか」
「ああ、助かった。そうだとも」「ええ、これで死神からは逃げ出すことができました」
喜びを浮かべる家族。
「君にはなんとお礼をいったら分からない。出来る限りのことを約束しよう」
「それでしたら」
一つ願いがある。クラスチェンジのための聖堂の使用許可を求む。アイテムはすべてこちらでそろえているので時間は取らせない。ただし、中央から派遣されている司祭をその場から排除してほしい。それだけが望みだ
「わかった。すぐにでも行動に移そう。正直あの中央の司祭は我らにも多額の寄進お布施を要求した上無用で大規模な教会の建設を推し進めようと評判も悪いからな」
寄進お布施を払え、そうしなければ跡取りを助けないぞと。正直彼らの奇跡程度では助かる見込みはなかったはずだ。領主の方も困っていたそうだ。
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